2025年8月22日金曜日

き2025.08.22 酒井順子・関川夏央・原武史 『鉄道旅へ行ってきます』

書名 鉄道旅へ行ってきます
著者 酒井順子
   関川夏央
   原 武史
発行所 角川文庫
発行年月日 2024.03.25(単行本:2010.12.20)
価格(税別) 800円

● 単行本でも読んでいることを,読み終えてから知った。もちろん,だから損したとかいう話ではない。

● 「人工的なものは何一つない。聞こえてくるのは,川のせせらぎと野鳥の鳴き声だけだ。何の夾雑物もなく,大自然と裸の自分が相対しているうちに,心が研ぎ澄まされてくる。(p181)とは共著者の原武史の文章なのだが,こういう文章を書く(こういう文章しか書けない)人を,ぼくは信用しない。心が研ぎ澄まされる? 何だ,それ。
 おまえはどんな文章を書けるのだ? と言われると,そういう文章すら書けないわけだが。

● 以下にいくつか転載。
 マニアって,あえて自分に徒労的義務を課すんだけ。(関川 p127)
 (五能線は)演歌の代替物なんだろう。冬,日本海,荒波,「都落ちする私」。自己憐憫は不滅だから。ここで疑似体験するんだろうね。(中略)もともと,演歌と汽車と「都落ち」は相性がいい。それからフォークソングも。演歌の変奏だったから。(関川 p137)
 戦跡は観光には適さない。遺構がなく,つかみどころがないからだ。(関川 p168)
 汽車趣味もお城・戦国趣味も,やっぱり「児戯」には違いない。ただ,雑学自慢にならない言語化ができれば救われるのだが,それはラクなことではない。(関川 p170)
 「旅情」を感じつつ孤独にひたる,などというのもやや見当違いではないかと思う。「旅情」や「感傷」など,実人生に掃いて捨てたいほどある。あえてよそに探しに行くことはなかろう。(関川 p217)
 ガツガツしてる奴は年をとってもガツガツしてる。あんまり年齢は関係ないですね。(原 p244)

2025年8月8日金曜日

2025.08.08 『秩父三十四ヵ所を歩く 改訂版』

書名 秩父三十四ヵ所を歩く 改訂版
発行所 山と渓谷社
発行年月日 2006.03.
価格(税別) 1,400円

● 先月,初めて秩父に行った。面白そうなところだ。面白いと言ってはいけないのかもしれない。ただ者ではない感に満ちているということだ。
 他所から移り住む人も多いかもしれない。一度来たら虜になる人がいそうな気がする。沖縄のように気候風土が日本離れしているわけではない。空気感が独特という感じを受けた。

● 酒や食も奥深さを湛えているような気がするが,何より神社仏閣が多い。人口に比して明らかに過剰だ。
 それを支えているものは何なのか。それを追求したいとは思わないが,秩父三十四ヵ所は巡ってみたいと思っている。本当にやるかどうかはわからないが,その気はある。

● 若い頃(中年の頃)は,退職したら四国八十八ヵ所を歩いて回りたいと思っていた。体験記をいくつも読んだ。この前に弘法大師の本も読もうと思って,ちくま学芸文庫の4冊を買った。
 が,手を付けていない。四国八十八ヵ所を巡るのは半ば以上諦めている。

● が,秩父ならばできるかもしれない。
 と思って本書に目を通してみたわけだが,果たして実行するやいなや。

● 巻頭に秩父札所連合会会長の羽金文雄さんの挨拶文(?)が載っているのだが,これがまことにつまらない。こうした挨拶文はこういうふうに書くものという不文律があって,それにしたがっているのだろうな。
 というより,本人が書いたものではないかもしれないが。