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2015年10月28日水曜日

2015.10.25 櫻井 寛 『宮脇俊三と旅した鉄道風景』

書名 宮脇俊三と旅した鉄道風景
著者 櫻井 寛
発行所 ダイヤモンド社
発行年月日 2013.03.08
価格(税別) 2,000円

● 著者が宮脇氏に随行して,カメラマンを務めたり荷物持ちをしたりしたことが,何度もあったらしい。それをあらためて回想したもの。本書のメインは著者が撮影した写真。特に,宮脇氏を撮った写真。

● 著者が随行したのは,海外の鉄道に乗りに行くときだった。いきおい,海外の鉄道や沿線風景の写真が多くなる。あと,アメリカが少し。

● ぼくも宮脇氏の作品はほぼすべて読んでいるはずだけれども,あらためて読み返したいとは思わないまま,現在に至る。
 新しいのがどんどん出版されるわけだから,なかなか昔読んだのを読み返すって方向にはいかないわけで。

● ちなみに,宮脇作品の中でぼくの特にお気に入りは,『汽車旅12ヵ月』と『台湾鉄路千公里』。当時,何度か読み返しているはずだ。
 特に『台湾鉄路千公里』はまだ貧しさを湛えていた頃の台湾の世相,風景がしみじみと染みてくるようでね。
 それに,宮脇さんがまだ鉄道(あるいは,鉄道について書くこと)に飽いていない時期で,宮脇さんとともに,阿里山のホテルにいた若い台湾人カップルの様子に感慨をおぼえたり,サトウキビ畑をトコトコと走る列車の車窓風景を愛でる気分に浸ることができた。

2013年7月5日金曜日

2013.07.04 櫻井 寛 『人気鉄道でめぐる世界遺産』

書名 人気鉄道でめぐる世界遺産
著者 櫻井 寛
発行所 PHP
発行年月日 2013.05.02
価格(税別) 1,300円

● 鉄道+世界遺産。どちらも著者による達者な写真で楽しめる。たぶん,だいぶ写真のストックがあって,それを有効に使えたのではないだろうか。
 でも,どちらかというと,世界遺産よりは鉄道の比重が高い。それが本書のいいところ。世界遺産には一抹の胡散臭さも感じているのでね。

● LCCがどんどん普及していけば,長距離運行の鉄道は経営が苦しくなるだろう。営業廃止もけっこう出てくるのではないか。
 日本の新幹線や寝台特急のみならず,ヨーロッパも同じで,本書でもたっぷり登場するフランスのTGVのような高速で長距離を結ぶ鉄道も,ひょっとしたら存続が厳しくなるような事態に見舞われないとも限らない。

● ぼくがこれから外国の鉄道に乗って世界遺産を見に行くというのは,ちょっと想定しずらいので,ま,どうでもいいやってことになるんだけども,それでも個人的には鉄道に頑張ってもらいたい。なんだかんだ言って,乗り物の中では鉄道が一番好きなクチだから。
 ま,乗り物は全部好きなんだけどさ。

2012年9月26日水曜日

2012.09.22 櫻井 寛 『ぞっこん鉄道今昔 昭和の鉄道撮影地への旅』


書名 ぞっこん鉄道今昔 昭和の鉄道撮影地への旅
著者 櫻井 寛
発行所 朝日新聞出版
発行年月日 2012.08.30
価格(税別) 2,300円

● 「中学生から高校,大学時代に撮影した思い出の地を再訪問する旅紀行」(あとがき)。30年も前のモノクロ写真と現在のカラー写真,同じ場所で同じ構図で撮影した2枚の写真を同時に見ることができる。
 時代を考証する貴重な資料にもなっているわけでしょう。だから,本にする値打ちもある。

● その頃から鉄道写真を撮る趣味があって,それを貫いてきたってすごいなぁと思ってしまう。それだけでとんでもない才能だよね。
 自分はそういうのがないまま,いたずらに年齢だけ重ねてしまった。だから,一層そう思うんだけどね。何だか,自分のダメさかげんを思い知らされる感じだね。でも,ほとんどの人は同じようなものだよね,ね。

● ただね,こういうことはあるなと思う。つまりですね,著者が育った家庭って中流なんですよ。アッパーミドルっていうか。
 当時は,農林漁業が産業の中心だった時代で,都市部のサラリーマン家庭と地方の農家の生活水準には相当な格差があった。サラリーマンって今でこそ大衆の代名詞だけど,当時は自分もああなりたいっていう憧れの対象だったんですよ。
 著者は両親とも国鉄に勤めていたっていう家庭で育っているから,いわばお金持ちのお坊ちゃんなんですよ。だからこそ,中学生のときからカメラを与えられて,国内のそちこちに撮影に行くこともできたんでしょうね。貧乏旅だと言いながらでもね。

● ちなみに,ぼくは田舎の農家育ちなんだけど,ぼくの中学の同級生の女子で,ピアノを習っていたなんて子はひとりもいなかったと思う。そんな時代でしたよ。
 カメラにしたって,ぼくが初めてカメラを買ってもらったのは中学3年のとき。それも,玩具に毛が生えた程度のもの。それでもカメラを持って修学旅行に行けたのは少数派だったな。

● 写真だからネガも残っているわけで,すごい財産ですよ,それって。日記を残している人はいるのかもしれないけれど,文章だと読む手間がいる。写真は瞬時に訴えかけ,同時に訴えが完了する。

● この本は,著者が若かりし頃を回想する青春記としても読める。そういうものとして読んでも,読みごたえがある。っていうか,楽しんで読める。

● 「そのとき,爆音が耳をつんざく。暴走族ではない。もちろん列車でもない。爆音の正体はジェット機,それも米軍の戦闘機だった。その瞬間,40年前の暑い夏の日の記憶がありありとよみがえった。蒸気機関車の雄姿もさることながら,頭上には軍用機が飛び交っていた。それは横田基地からベトナムへと出撃するB52戦略爆撃機だった。当時は反戦運動も盛んだったが,私は蒸気機関車にうつつを抜かしていた」(p81)

 これは八高線沿線の金子坂での文章なんだけど,いいでしょ,「私は蒸気機関車にうつつを抜かしていた」って。こういう人って信用するに足る。声高に平和や反戦を叫んでいる人なんかより,ずっと。

● この本は「アヒヒカメラ」の2006年1月号から2010年12月号までの60回の連載をまとめたものだが,地域別に北から南に並べている。連載順のままにした方がよかったかもしれないと,チラッと思った。

● ちなみに申しあげれば,ぼくもその昔,JR線全線完乗というのを目指したことがある。宮脇俊三さんの本に感化されたから。影響を受けやすいタチなんです。
 北海道と四国,九州はすべての路線に乗った。が,本州は7割くらいで頓挫したままになっている。ひたすら乗るだけってのを続けたわけなんだけど,どうもそれだけでは面白くなかったんでしょうね。根っからの鉄ちゃんではなかったんだろうな。