書名 リッツ・カールトン 「型」から入る仕事術
著者 高野 登
発行所 中公新書ラクレ
発行年月日 2014.03.10
価格(税別) 760円
● 本書でいう「型」とは形に心をこめたものということらしい。イマイチよくわからないといえばわからない。
タイトルは「仕事術」となっているけれども,内容はリーダー論。
● 著者は「リッツ・カールトン」の高野であって,「リッツ・カールトン」と一体になっている感がある。今は「リッツ・カールトン」を離れているわけだが。
その「リッツ・カールトン」の話は終わりの方に出てくる。
● 以下にいくつか転載。
リーダーが育っていない組織では,従業員があまり成長しない方がコントロールしやすいと考えます。つまりミッションなどを考えずに,言われたこと,指示されたことを,マニュアルに沿ってこなす従業員の方が使いやすいということですね。(p5)
最近見かけなくなったものに,「床屋」「スナック」があります。(中略)「床屋」と「スナック」,ここに共通しているものは「談義」です。(p25)
地域社会を活性化するために一番大事なことは,その地域によそ者,若者,ばか者がいることです。(p28)
(呼びだしボタンが設置されると)ボタンが押される前にお客様のご要望に気づこうとしていたものが,だんだん「呼ばれたら行けばいい」,最後は「呼ばれるまで行かない」となってしまうのです。本来ならば,基礎体力をそろえるためのマニュアルが,結果としてサービスの質の低下につながってしまうという現象が起こります。(p43)
呼びだしボタンを最初に導入したのはチェーンの居酒屋だったか。ファミレスの方が早かったのか。
居酒屋は半個室が増えているから,スタッフはお客を見ることができない。お客さんも,呼びだしボタンを押さなければ店員は来ない,とハッキリわかっていた方がくつろげるだろう。ファミレスもこれに準ずる。
「ボタンが押される前にお客様のご要望に気づこうと」するのがサービスになるのは,高級ホテルとかレストランとか,わりと一部に限られるのではないか。
で,そういうところで呼びだしボタンを設置してあるのを,ぼくは見たことがない。
あいさつは仏教の言葉の「一挨一拶」が語源となっています。(中略)あいさつの意味から考えたら,自分から先にあいさつをするということです。あいさつは位の高い人が低い人の様子を伺うということからきているものです。(p69)
人は笑顔の人のまわりに集まってきます。笑顔は場を明るくし,そしてまわりを笑顔にしていきます。豊かな人間関係をつくることができるのです。これこそ人として生まれた醍醐味ではないでしょうか。(p75)
たとえそれが言いがかりのようなクレームだったとしてもまずは聞く,それが最初のステップです。そして最終的にどうするかという着地点をイメージするのです。たとえば賠償が必要なのか,謝罪なのか,菓子折りなのか,それとも自分たちの言い分をきちんと伝えるのか,毅然とした態度をとるのか,それは相手の声に耳を傾けるなかで見えてくるものです。でも最初のステップである聞くことを軽視してしまうと,問題がさらに大きくなってしまうものです。(p88)
勢いがあるから姿勢がいいのではなく,姿勢を正すことによって心の構えも正していく。それによって勢い,人間のパワーのようなものがみなぎってくるのだと思うのです。(p91)
ワクワク感とうのは探しに行くものというより,来たものにワクワクするというのが正しいように思います。今あるものに感謝して,今ある状態に感謝して素直に受け入れてみる。(p122)
今日という日は残りの人生の第一日目です。毎日を人生の一日目として,スタートできているかどうか。(P124)
リッツ・カールトンでは,社員同士でもお互いが「顧客」と考えています。社員と業者さんは内部顧客なのです。(p134)
謙虚さと素直さと兼ね備えている人は,入社当初は多少スキルや技術が劣っていたとしても,長期的に見たら間違いなく伸びます。反対に,スキルや知識が優れていても,謙虚さと素直さに欠ける人は,どこかで頭打ちになります。(p137)
舞台役者と同じではないでしょうか。「一流の舞台役者は日常を引きずらない」。舞台に上がったときには私生活を忘れて役に入りきる。(p138)
サービスにおいては,サービスを受ける側よりも提供する側のエネルギーが大きいことが必要です。サービスする側が元気がないのに,受け手がワクワクすることはありえないからです。(p140)
仕事を途中で投げだしてしまう人や,落ち込みやすい人は,心の筋力を鍛えることを意識していないのかもしれません。(p142)
想いというのはリーダーが300度の熱でそれを伝えても,組織の中間にそれが伝わるときには200度になってしまいます。(中略)自然の法則と同じで,お湯の温度は器と移すたびに少しずつ下がります。それと同じことが組織でも起きてしまうのです。(中略)リーダーがもつべき温度が高くなければならない理由はそこにあります。(p157)
内定をもらえたらとりあえず社会に出る。でも「本気になることが運命を拓く」ということも教わっていない。自立や自律といった知恵も身につけていない人もたくさんいるようです。(p163)
書名 リッツ・カールトンと日本人の流儀
著者 高野 登
発行所 ポプラ社
発行年月日 2012.08.20
価格(税別) 1,300円
● 4章構成。第3章までは御自身が体験してきたホテルに絡む話。第4章は時事評論,世相評論。
3章まではグイグイ読ませるのに,4章になるとガクンとつまらなくなる。新聞の社説を読んでいるような。
この頃の日本は民主党暗黒時代だったわけだけれども,どうも目先しか見えていないようだ。難しいところだ。
韓国の“現代”を持ちあげているところなど,今となっては削除したいと思っているのではないかと想像する。
● 以下にいくつか転載。
一所懸命生きて,一所懸命働いていると,必ずいい出会いがあるのです。 しかし,逆もまた真なり。手を抜いて生きようとすると,出会ってはいけない人と知り合ってしまう・・・・・・こともあります。(p4)
成功したいのなら,自分が目指す年収の五パーセントを自分に投資することだ。目指す年収を設定し,その五パーセントを投資してこそ,ホテルマンとしての感性が磨かれるんだ(p56)
その道のプロフェッショナルと言われる人は,舞台役者さんでも日舞のお師匠さんでも,常に居住まいを正し,自身のふるまいを意識して暮らしていらっしゃいます。普段できていない人が,いざ舞台に立ったとき美しい身のこなしができる道理がありません。これは,ホテルという「舞台」で働くスタッフも同じことなのです。(p58)
話を聴き続けることは人間が本来持っている可能性を引き出すことだと気づきました。人の話に耳を傾けることは,相手を尊重することです。話を聴いてくれる人がいることは自信になります。(p89)
滞在するたびにファンが増えていったあるメーカーのトップは,粋なふるまいの人でした。日本人ならではの奥ゆかしさと義理堅さを備えた超一流の紳士でした。 部屋の掃除をするハウスキーパーたちまで,みんな彼の大ファンになってしまうのです。「彼の会社の製品しか買わない」というほど惚れ込んでいたスタッフもいました。 枕元に置くチップには,かならず「Thank you」とひと言書かれた小さなメモが添えられています。使用したシーツやタオルもきれいに整頓されていて,人柄が表れていると大絶賛でした。(p94)
こんなお客様に出会うと,「この方のためなら」とスタッフの感性にスイッチが入ります。サービスを超えさせてしまう瞬間です。スタッフの心のエンジンは,こうしたお客様によって大きくなっていくのです。(p95)
自分のお金で遊ばなければ,粋な遊び方は身につかないと言われます。分かれ目は,自分のお金を使って人を喜ばせたいという余裕。(p96)
リーダーのシュルツィが放つ温度が百度だったら,こんなことは起こらないでしょう。リーダーの放つ温度が三百度くらいあるとき,とてつもなく高いとき,こうしたことが起こるのです。 「リッツ・カールトンの使命は・・・・・・,リッツ・カールトンのビジョンは・・・・・・」と,シュルツィが語る哲学を誰もが語り出すのです。 みんなでリッツ・カールトンの価値を創造していく気持ちよさ,いい夢に巻き込まれていく実感,熱い温度の中で夢を共有し実現していく喜び。 目には見えない確かなものを手にしたとき,それはどんな高いサラリーをもしのぐ最高の報酬となります。(p100)
サービスの技術や知識は時間をかけて訓練すれば習得できます。しかし,その人の人格や価値観,感性は生まれてから長い期間をかけて培われたものです。簡単には変えられません。 ですから,(採用にあたっては)感受性,倫理観,自立心など,人としての本質をさまざまな角度から探り出すために,長い時間がかけられます。リッツ・カールトンの理念を共有できる素質があるかどうかを見極めて判断するために。(p104)
本来,人間は弱いもの。ときに誘惑にかられることもあります。弱いからこそ,信じることで強くなる。弱いものを信じなければ,もっと弱くなってしまう。トップが人を育てるということは,弱いところもすべて受け入れる覚悟を決めることです。(p111)
リッツ・カールトン側が,年収や職業・・・・・・などお客様のプロフィールを設定し,ブランドに合ったお客様に来ていただこうと考えたとするならば,それはリッツ・カールトン側の都合にすぎません。 ブランディングとは,お客様のライフスタイルやプロフィールにリッツ・カールトンを取り込んでいただくことです。そのために,どんな価値をつくっていけばいいのか,どんなホスピタリティを提供していけるのかを考え続け,何をするのかを自問自答しながら,大阪にリッツ・カールトンの種をまいていくのです。(p116)
アメリカのホスピタリティの原点は,陽気で明るいものです。お客様に喜んでもらい,スタッフ自身も楽しんでしまう。その喜びや楽しさが相手に伝わるかどうかが大事でした。 一方,ザ・リッツ・カールトン大阪は,奥ゆかしくきめ細やかな日本人のおもてなしの流儀をアメリカのホスピタリティに融合させたものです。 ホスピタリティは,心に寄り添う力です。寄り添い方は人それぞれ,文化によっても異なります。(p119)
マーケット・リサーチはすでに商品になったものを調査して数字で表しているため,数字を追っている人は,過去の方ばかりを見ている人(p123)
人はモノやお金だけでは満たされません。人から愛され,褒められ,人の役に立ち,必要とされることで満たされ,生きている実感が持てるものです。こうした実感の多くは,仕事を通して得られるものです。(p135)
書名 リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ
著者 高野 登
発行所 角川ONEテーマ21
発行年月日 2013.05.10
価格(税別) 781円
● 本書はリッツ・カールトンのサービスの特長を紹介するのではなく,リッツ・カールトンを離れて,ホスピタリティの構成要素について語っている。
● 本書に登場するいくつかのエピソードの中で,最も印象に残るのは,“ハガキを送る美容師”だろう。次のような話。
すると,帰り際に「よかったら高野さん,次回はお写真をもってきていただけませんか」と言われたのです。 「写真を何に使うの?」と,不思議に思って聞いてみたところ,「それは秘密です」とにっこり。(中略) ある日のことです。彼女からハガキが届いたのです。裏面を見た瞬間,私の中のものさしは,宇宙の果てまで吹っ飛んでいきました。(中略)そのハガキには,私がプリントされていたのです。寅さんが着るような衣装を身に着け,オレンジ色のかつらをかぶり,とても楽しい真ん丸のサングラスをかけ,口ひげをたくわえています。そして,その下に「そろそろですね?」と,一言だけサラリと書かれてあったのです。(中略) 会話の中で,私がホテルの仕事をやっているということを知り,「じゃ,高野さんは一生こういう恰好はできないな」と思ったのでしょう。つまり,彼女はそうやって遊んでくれたわけです。 それからは,毎回毎回「お見事!」とヒザを打ちたくなるようなハガキ,というより作品が届きました。(中略) そこに行かなくなったのは,彼女が辞めてしまったからです。じつは彼女には,保育士になるという夢がありました。(中略)そして、ついに彼女の夢がかなうときがやってきました。(中略) 一言,お礼とお祝いを言おうと,彼女が辞める最後の週に花束を持って美容室に行ったのです。すると,店内は,お花屋さんかと見間違う程,たくさんの花でうめつくされていました。(中略)美容師が一人辞めるというときに,こんなにお花が届くというのは,通常では考えられないことです。まさに圧巻でした。 人は,こういう仕事の仕方をすることもできるのです。単に髪を切るというサービスで終わるのではなく,まったく違うレベルの仕事です。(p142~)
● 以下に多すぎる転載。
仕事の意味とは何か,組織が存在する目的とは何か。(中略)私自身,いまだに明快な答えを出せずにいるのですが,それでも,見えてきたことがあります。 人は誰でも,本当に人様のお役に立てたときは輝いているということです。(中略) さらに大事なことは,世の中のお役に立てたと実感できたとき,じつはその本人が成長しているということです。(p3)
「相手の立場に立って考える」にはどうしたらいいのかということになるのですが,それには「自分のものさしを捨てる」ということが必要です。相手のものさしで見るという覚悟を決めることが,とても大事なポイントになります。(p19)
リッツ・カールトンのホテルマンもやっているのですが,まずは丹田にグッと力を入れます。そして,ニッコリ笑って「自分は,すべてOK」と言います。 それがクレームであろうが,リクエストであろうが,自分の中にはすべてを受け入れる力がある,何があっても「OK!」という力を,一瞬で入れるわけです。(中略)逆に何もせず「何がくるんだろう」と,常に不安を抱えながら行動していると,お客様に向き合うことも,寄り添うこともできません。(p28)
トップが「世界一になる」という夢をかかげ,その夢に自分が「巻き込んでもらっている」という意識だけでは,成長はありません。 成長というのは,トルネードの中で,グルグル回らされている立場から,自ら一緒になってトルネードを巻き起こす立場になっていくことです。(p36)
人というのは,「本気になってこの人は自分たちのことを信用している,信頼しきっている」という思いが伝わってきたときには,その相手を裏切ることなどできません。(p43)
誰か他の人にこの話を教えたときに,自分の中の感性の目盛りがいっきに上がるのです。事実を知ったときよりも人に話したときにアップするのです。(中略)要は,自分の中の「感性の筋肉を使ってアウトプットする」というのが重要なのです。(p49)
おもてなしを形にするときの3要素とうものをご存じの方も多いと思いますが,それは,「装い・ふるまい・しつらえ」をいいます。この3つがちゃんとそろっていないとおもてなしになりません。(中略)おもてなしの本質というのも,やはり細部に宿るのです。細部は,日常という連続の中にあります。そのため,日常における自分の過ごし方が,おもてなしの感性のレベルを決めていきます。(p55)
生きている限り,いつ何が起きるかはわかりません。それが,交通事故で両足を失い,気が付いたら病院のベッドの上にいた,という状況だとしたら・・・・・・。(中略) 私にはまるで想像できない世界です。しかし,そういうところから彼(島袋勉さん)は立ち直っていって,マラソンを走り,ツールド沖縄で314キロもの距離を自転車で走破し,ついには富士山にも登ってしまいました。 このエネルギーの源ってなんだろう? それが知りたくてしょうがなかったわけです。 これについて島袋さんは,非常に簡単な言葉でサラッとおっしゃいました。「高野さん,僕はね,できない理由を探さないことにしたんです」と。(p63)
企業の改革も同じです。本来,会社の悪化した部分は手術やリハビリで治さなければならないはずです。しかし,企業のトップ,幹部としては,「研修をやったら痛みを感じなくて済むのでは?」などと,痛みをさける方法を考えてしまうわけです。 このとき,その痛みを受け入れて,それを次につなげて強みにしていく,という覚悟を決めると,企業再生は意外に容易にできるのかもしれません。(p67)
堪忍袋が真ん中から切れそうになっているのが見えたら,大急ぎで針と糸を用意して,それを縫ってみる。そういうイメージを自分の中で作っていくのです。これは我慢力を鍛えるイメージトレーニングです。(p77)
繊細な気配り,気遣いが女性的なホスピタリティであるなら,気働きは骨太な男性的なホスピタリティの形です。(中略)そしてこれこそが,トップが身につけるべきホスピタリティではないかと強く感じたのです。(p85)
自分の部下が,大事なクライアントさんと話をしているときに,「上司たる自分がお茶を淹れる? コーヒーを淹れる? 冗談じゃない!」と捉えるのか。それとも,「部下にもお客様にも,日頃の感謝を示すことができる」と,楽しみながら捉えるのか。(p88)
シュルツィ(リッツ・カールトンのトップ)は,どんなにカンカンになって叱っても,次の日にはケロリとしています。昨日のことなどまるでなかったかのように,笑顔で接してきます。これもまた,叱ることの中の大切な要素ではないかと思います。(p92)
不思議なことに,コンサルタントの先生たちは失業しません。コンサルタントの会社がつぶれたという話は,ほとんど聞いたことがありません。 何故でしょう? それは,人は聞いた話を忘れるからです。(中略) 現に,あるコンサルタントの方は,「みんな忘れてくれるからありがたいもんだ」とおっしゃっていました。(p98)
大げさなことをやる必要はまったくありません。自分自身がちょっと変わるだけでいいのです。その場にいた20人の方々が,1日に使う言葉を10個変えたとしたら,それだけで200の新しい言葉が生まれます。200の言葉が生まれれば,200の新しい行動パターンが生まれます。 そして,200の新しい行動を毎日続けたのなら,それが新しい習慣になり企業風土になります。組織を改革するとはそういうことなのです。(p99)
本気のおせっかいはホスピタリティになるのです。本気にならないと中途半端になってしまい,結局それは余計なお世話で終わってしまいます。(p119)
圧倒的にリッツ・カールトンらしさを追求していくことにより,競合他社が降りてしまうレースを考えるということ。ガチンコ勝負をしないわけです。(中略)しかし,それを形にしていくためには,社員たちの中に,それを楽しむ価値観が必要です。それなしには,いいアイデアは浮かんではきません。(p151)
あの組織でなければダメだ。あの会社でなければダメだ。そのホテルでなければダメだ。あの人でなければダメだ。そう強烈に思わせるものがないと,人は動かないし買おうとはしません。今はそういう時代なのです。(中略) 自分は人から,「あの」が付く人だと思われているのだろうか。(中略) では「あの」が付く人になるためにはどうするか? それには,受け手が渇望しているメッセージに気が付いて,それを届けることができる必要があります。(p153)
おもてなしの心を素直に表現できるホテルマンと,どうもうまく表現できないホテルマン。その違いがどこからくるのか? ということです。 そしてそれは,ほんの小さな習慣の違いから生まれる違いであることがわかりました。それを解くカギは,リッツ・カールトンのスタッフに対する,こんな問いかけにあります。 「あなたはこの2,3週間に,身近な人を喜ばせるためにどんなことを何回しましたか?」(p164)