ラベル ヨシダ 吉田友和 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ヨシダ 吉田友和 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2017年5月29日月曜日

2017.06.29 吉田友和 『思い立ったが絶景』

書名 思い立ったが絶景
著者 吉田友和
発行所 朝日新書
発行年月日 2016.03.30
価格(税別) 880円

● 絶景本を集めて人気スポットの集計表を作り,自身の体験からこれは絶景だと思ったものにランキングを付けて紹介し,最後は実際の絶景を見に行く。
 行ったのは中国の九寨溝。で,やはり実際に行って書いた部分が一番面白い。

● 平明な文章だからササッと読める。書く方はササッとは書いていないんだろうけどね。

● 以下にいくつか転載。
 バーベキューの火起こしをするのに,アメリカ人は着火剤のようなセコイものは使わない。ドバドバとオイルをかけて点火すると,漫画のようにボワッと大きな火が生まれた。アメリカ人のあの大胆さは,超絶スケールの自然に囲まれる中で育まれたものなのだろうと,僕は身をもって知らしめられたのだった。(p55)
 辺境の地になればなるほど,交通手段のオンリーワン現象が起きやすくなる。(中略)需要が供給を上回っており,なかなか思うように座席が取れない。結果,料金も高くなってしまう。(p130)
 僕にとって機内での時間は,漫画喫茶にいるような感覚に近い。本を読んだり,映画を観たり,ゲームをしたり。思う存分,自分の趣味の世界に浸れる。(p153)
 今回は行き先が行き先であるだけにある程度はネットで情報を集めてある。ガイドブックは情報ツールというよりは,旅気分を盛り上げる読み物としての役割が大きい。(p153)
 僕は意を決して人波の中に突入した。周囲の動きに倣い,近くに空きスペースができたら果敢に詰めていく。郷に入っては郷に従え,である。横入りなんて当たり前という価値観の人たちなのだ。のほほんと構えていたら,永遠に自分の番はやってこないだろう。(p161)
 冒険者と呼ばれるような人たちは,電気が通っておらず,水道もないような場所へ,ときには単独で足を踏み入れる。そういう話を聞くたびに,すごいなあと感心させられる。けれど,感心させられるだけだ。自分も真似してみたいとはまったく思わない。(p179)
 絶景とはパノラマである(中略)仮に同じレベルの美しさだとしても,こぢんまりとまとまった景色よりも,ガツンとした迫力のある景色の方が見る者の心に強く訴えかける。(p186)
 すさまじいまでの絶景を前にすると,一人で独占したい欲よりも,一緒に見る仲間を欲する気持ちが勝る(p188)
 アジアの旅はなんとかなる。多少の紆余曲折があったとしても,どういうわけか最終的には結果オーライとなるパターンが多いのだ。(p192)
 絶景とは,テーマパークの一種と言えるのかもしれない。(中略)世界に広く知られ,観光地化されているようなところでは,これはもはや避けられない運命なのだろう。(p206)
 被写体は美麗な九寨溝の湖-ではなく,それをバックに笑顔でポーズを決める自分自身だ。(中略)彼らのお目当ては,あくまでも自分入りの記念写真なのである。この点,我々とは意識がいささか異なるような気がしてならない。(中略)同じ絶景を前にしたときに,中国人にとっては主役は自分自身であるのに対し,日本人にとってはその絶景が主役なのだ。(p218)
 そもそも,(中国人は)他人に対する関心がなさそうな人たちだし。(p222)

2016年11月27日日曜日

2016.11.27 吉田友和 『ハノイ発夜行バス,南下してホーチミン』

書名 ハノイ発夜行バス,南下してホーチミン
著者 吉田友和
発行所 幻冬舎文庫
発行年月日 2016.06.10
価格(税別) 580円

● 吉田友和さんの作品はほぼすべてを読んでいると思う。完全にすべてかどうかは自信がないが。今のところ,吉田さんと下川裕治さんのものは出れば読む。

● 吉田さんは淡々と行跡を記していく。下川裕治さんのように,その地の歴史や政治の変遷について調べて蘊蓄を語ることはしない。
 その場で感じたこと,考えたことを述べるんだけど,さほどに深く考えているふうでもない。少なくとも,文章からはそう感じる。
 のだけれども,不思議に面白い。なんなのかね,このテイストは。ノンポリの魅力とでもいうか。ノンポリでここまで読ませるのだとすると,文章が凄いのか。

● 吉田さんはカメラも好きなようで,本書の表紙も自身が撮った写真を使っている。腕前は相当なもの。
 
● 以下にいくつか転載。
 この国(ベトナム)の旅では,正直者が馬鹿を見ることがままある。タイやシンガポールなど,ほかの東南アジアの国々に比べると,まだまだ油断ならない瞬間も多い。(p28)
 旅をしていると,各地で日本人の旅行者にももちろん出会う。(中略)けれど,一緒になる旅人の傾向としては,女性だけのグループか女性の一人旅,あるいはカップルがほとんどである。たまたまなのかもしれないが,男性の一人旅というのはレアケースで,滅多に見られないのだ。(p42)
 アジアの大衆食堂のいいところは,安くてウマいだけでなく,早い点だ。(p92)
 怒りを通り越して,呆気に取られる。お金へ対する並々ならぬ執着心に閉口してしまう。別れ際だから揉めたくないとか,そういう発想は皆無らしい。(p117)
 基本的には善人を装いつつも,隙あらば果敢に攻めてくるこの感じ。いやはや,ベトナムの旅は油断ならない。(p118)
 ボートツァーの客引きから何度か声がかかった。といっても,あまりやる気はなさそうで,断るとそれっきり。しつこくつきまとったりはしない。 市場で商いをしていたのは女性だったが,こちらは男性である。市場のおばちゃんたちがアグレッシブなのと比べると,対照的だなぁと感じた。なんというか,どことなく勤労意欲に欠けるというか。(p128)
 ベトナムは朝ご飯が美味しい国だ。そして朝ご飯が美味しい国は,豊かな国だと思う。忙しい朝にもかかわらず,食べ物に妥協しない姿勢が立派ではないか。(p157)
 ベトナムの人たちはせっかちらしいと,この旅を通して僕は学習していた。とくにこういう移動のシーンになると,先を急ぎたがる傾向があるのだ。(p191)
 食べ終わってトイレに行こうとすると,運転手や車掌さんたちのテーブルの前を通りかかった。チラリと覗き見ると,テーブルの上には食い散らかしたお皿がズラリと並んでいた。「あんなに食べたのか・・・・・・」と絶句する。この短時間で食べるには,ちょっと過剰とも言えそうなほどの量に僕は度肝を抜かれた。(中略)ベトナムの人たちは早食いなのかもしれない。少なくとも,時間感覚が僕とは明らかに異なる。(p192)
 ベトナムのホテルが特別コストパフォーマンスが高いということも,今回の旅を通して実感させられたことの一つだった。安宿であっても,クオリティが高く,値段以上の内容という感想を何度も抱いた。(p195)
 いよいよベトナムも本格的に新時代へ突入しそうな予感を抱く。それは近隣諸国が通ってきた道でもある。変わりゆく街並みに置いていかれないように,旅人も進化していきたいところだ。アジア通いを続けるのならば,いつまでも懐古趣味にばかり浸ってはいられない。(p214)

2015年9月11日金曜日

2015.09.10 吉田友和 『10日もあれば世界一周』

書名 10日もあれば世界一周
著者 吉田友和
発行所 光文社新書
発行年月日 2014.04.20
価格(税別) 740円

● 前著『3日もあれば海外旅行』でも触れられていたけど,世界一周航空券というものがある。金額を見ると,通常のチケットよりも,エコノミー-ビジネス-ファースト間の料金差が少ない。ファーストでもエコノミーの3倍くらい。
 これだったら,思い切ってファーストに乗ってみるのもいいかも。っていうか,ファーストに乗りたいんだったら世界一周航空券しかないんじゃないか。
 普通にパリやロンドンに行くときに,自腹でファーストに乗れる人なんていったいどれほどいるんだろう。

● 以前,飛鳥Ⅱで世界一周クルーズに出かけられたら豪勢だなと憧れたことがあったが,それよりも世界一周航空券でファーストクラスに乗った方が,ずっといいかも。自分の行きたいところに行けるし(どこで降機するかを自分で選べる。100%の自由はないけれども),日程も自分で組み立てられる。
 荷物は自分で運ばなければならないけどね。

● これも前著などで紹介されていることだけれども,ネットの利用を著者は推奨する。宿はホテルに限らずいわゆる安宿もネットで予約できる状況になっているようだ。
 バックパッカー的な旅や自転車旅だと,予定が固まらないから予約なんてあり得ないんだけど,飛行機での移動ならネットで予約しておいたほうが安心だ。

● 10日間で世界一周,やろうと思えばやれるわけだ。実際,著者はやって見せている。が,可能ならば1ヶ月か2ヶ月はかけたいね。勤め人には無理な話で,この本はそうした勤め人に向けて,こういうやり方があるんですよと紹介しているわけだ。

● 以下にいくつか転載。
 数年前に会社を辞め独立した身だが,日本での日常の呪縛からは逃れなれない。フリーランスとはいえ,みんなが想像するほど自由に休めないのが現実である。(p7)
 最初の世界一周で長旅をしていた当時は,宿なんてほとんど予約したことはなかった。いつその宿へ行くかが確定していなかったし,現在の予約サイトのような便利なものも存在しなかった。(中略) 今回のように日程がタイトな旅になると,状況は大きく変わってくる。少しでも無駄な時間は省きたい方針で臨むと,宿探しに時間をかけるなんて非効率極まりないものとなってしまう。(p87)
 旅をしていると曜日感覚を失いがちだが,常に曜日を意識することは案外大きなポイントかもしれない。国によっては,特定の曜日は一斉に休む習慣があるからだ。(p91)
 どの市場にも共通して言えるのは,その土地の人々の暮らしを覗き見できることだ。これほど異文化へ対する好奇心が満たされるスポットもないだろう。(p177)

2015.09.08 吉田友和 『35歳からの海外旅行〈再〉入門』

書名 35歳からの海外旅行〈再〉入門
著者 吉田友和
発行所 SB新書
発行年月日 2014.11.25
価格(税別) 730円

● 外国を旅行しているときに,一番困るのは自分の意志を伝えることだ。二番目に困るのは,それに対する相手の回答を理解できないこと。
 ハワイで買いものをしたり,食事をしたりする分には,ほとんど困ることはないけれども,初めての外国旅行(韓国だった)ではほとほと閉口した。
 自分の気の弱さをイヤというほど思い知ることになった。気後れして,食堂にすら入っていけないのだ。餓死するわけにはいかないから,いよいよになれば重い扉を押すことになるんだけど。

● こうなると語学力以前の問題で,自分のコミュニケーション能力はゼロなんだと自己診断せざるをえない。そのよって来る所以のものは,自分の性格である。
 この性格を何とかしないととはるかな昔に思ったわけだが,性格なんて何とかなるものではないのだった。
 相変わらず,人間嫌い,人間恐怖,孤独好き,内弁慶だ。喋るのが面倒くさい。喋るより書いて伝えたほうが楽。

● が,この点について,著者は次のように書いている。
 異国を旅していると,ときには現地の人たちとやり合うこともあって,神経の図太さはイヤでも身につくものだ。(p47)
 僕は「おっとりしていますね」などとよく言われる。自分では意識したことはないが,いさかいは嫌いだし,自分をガツガツ主張するタイプではないのかもしれない。 ただ,それはあくまで日本にいるときの話だ。海外旅行中は,少なからずアグレッシブさが求められるし,自然とそうなる。(p185)
 そうなのかなぁ。ぼくはまだ経験が足りないだけなのか。

● 仕事との兼ね合いについては,次のようにアドバイスしている。
 本音を明かすと,どちらを優先すべきかといえば,僕自身は仕事よりも旅の方がプライオリティは高い。圧倒的に,絶対的に高い。 この際もう開き直ってしまうが,そういうスタイルでやってきて困ったことはなかったのも事実だ。出世なんてそもそも興味がないし,ほどほどに働いて,全力で遊びたいのだ。(p44)
 見栄や虚栄心をポイッと捨て去ったら,新しい世界が開けるかもしれない。旅のせいで肩身が狭くなるようなことはまずないのだ。やりたいことを我慢したり,大好きな趣味を封印したりしてまで働くなんてナンセンスだと僕は思う。(p44)
 どうせやるなら中途半端にせず,とことん突き抜けた方がいい。“旅人キャラ”を確立すると,その後はきっと楽になるはずだ。 「あいつは休んでばかりいるけど,まあ仕方ない」 諦めてくれたら,しめたもの。(p47)
 これを読んで気が晴れる人は多いのではないかと思う。ぼくもその一人だけれど。でも,著者は「出世なんてそもそも興味がない」としても,会社に残っていれば出世した人なのではないかと思える。
 気が晴れた人の多くは,出世なんてどうでもいいとは思い切れていないけれども,結果的に出世するような能力の持ち主ではなかったり,そのようなタイプではなかったりするのではないか。ぼくもその一人だけれど。

● そのような人も落ち着くところに落ち着くから,まぁまぁ心配は要らないんだけどさ。出世しなくても死ぬことはないし。サラリーマンの給料なんて,そもそもが知れたものだし。

● 他にいくつか転載。
 旅は必ずしも長ければいいってものではない。短い旅には短い旅なりの魅力がある。(p38)
 旅の予定があるかどうかは,日々のモチベーションにも大きな影響を及ぼす。旅という非日常を心ゆくまで楽しむためには,日常もおろそかにしない方がいい。(p39)
 旅はあくまで娯楽である-これが僕の持論だ。「自分探し」なんてあり得ないし,困難を乗り越えることに喜びを見いだすような,マゾ的発想には興味がない。(p140)
 自分を顧みてトラブルの主要因をいま一度考えてみる。それはズバリ,誤解である。(p172)
 アジアで麺料理を食べるときには,そばやラーメンの感覚でずるずる食べるのは御法度だ。スープを飲むのにお椀に口をつけるのもNG。スプーンですくってちびちび口に入れる。じれったいが,「ここは日本ではないのだ」と自分に言い聞かせるようにしている。(p179)
 僕自身は,旅における積極的なネットの活用の肯定派だ。もうネットがない時代の旅には戻れない。便利なものがあるのなら,とことん利用すればいいと思う。見知らぬ外国を旅する際につきものの不安なあれこれも,情報武装することで軽減できる。(p215)

2015年9月10日木曜日

2015.09.06 吉田友和 『週末台北のち台湾一周,ときどき小龍包』

書名 週末台北のち台湾一周,ときどき小龍包
著者 吉田友和
発行所 幻冬舎文庫
発行年月日 2015.06.10
価格(税別) 650円

● 台湾一周の本といえば,宮脇俊三さんの『台湾鉄路千公里』がある。台湾が経済的にテイクオフする前でしたかね。日本人を当てこんだピンク床屋もあった時代ではないだろうか。日本とはまだまだ生活水準の差があって,そこからくる台湾人の哀感のようなものも描かれていた。
 もちろん,宮脇さんの本は鉄道がメイン。

● それに対して,こちらの吉田本は,食に対するこだわりが第一。旨そうな料理が次々に紹介される。喰ってみたくなる。
 台湾気質(?)に対するリスペクト。台湾愛という感じの本。こちらがそういう態度で接すれば,相手も応えてくれるというのは,こうした場でも成立するんだろうか。

● 最も面白かったのは,馬祖島の描写。馬祖島に行ってみたくなった。できれば自転車を持って行きたい。

● 以下にいくつか転載。
 同じ国を繰り返し訪れ,リピーター化すると,旅人は少なからず保守的になってくる。口に合う食べ物や,心休まる場所を見つけ,自分の中での定番が確立されていく。お気に入りがあること自体は歓迎すべきだが,見方によってはマンネリとも言える。(p32)
 東日本大震災の際に,世界中から多額の義援金が寄せられたが,中でも台湾が最も額が多かった事実は忘れてはならない。その総額はなんと二百億円を超えるというから,日本人としては頭が下がる思いだ。 台湾のことをよく知らない人からしたら,「なんでそんなに?」と疑問を抱くかもしれないが,この国を旅するとなんとなく腑に落ちる。ただ単に親日的という言葉だけでは片付けられない。台湾の人たちには善意の心が満ちているのだ。(p78)
 ヨーロッパで食事をしようとすると,頼んでから何十分も待たされたりする。そういう流儀なのだろうが,あのまどろっこしさが自分には合わない。お腹を空かせた客を待たせるなんてナンセンスだと思うのは,アジア人の感覚なのだろうか。(p80)

2015年9月8日火曜日

2015.09.06 吉田友和 『週末5万円からの東南アジア』

書名 週末5万円からの東南アジア
著者 吉田友和
発行所 大和書房
発行年月日 2015.09.01
価格(税別) 1,500円

● 次の8都市を週末旅で訪れる。著者はフリーになっているから,必ずしも週末に縛られる必要はないんだと思うけれども,“週末”は吉田さんのキャッチフレーズになっているんだろう。読者や出版社からの需要に応えないと。
 バンコク
 バナウェ
 クアラルンプール
 マンダレー
 ジャカルタ
 ハノイ
 プーケット
 シンガポール

● 本書は写真も見応えがある。これも著者自身の撮影にかかる。旅行好きにはカメラ好きが多いものだろうけど,大した写真だ。
 ぼくなんぞはカメラを持つのがイヤで,スマホのカメラ機能ですませているんだけど(しかも滅多に撮らない),著者ほどの腕前になれば文章に説得力を添えますな。

● 以下にいくつか転載。
 降りてみたくなったのだ。ビビビッとなぜか突然そんな感情が頭をもたげた。 暁の寺もいいけれど,ここで降りたほうがもっと楽しい展開が待っていそうな予感がした。根拠はなにもないし,目的地のアテもない。けれど,こういう直感は大切にしたい。(p28)
 LCCの利点は価格の安さだけではない。国際線の航空券は往復で買うのが常識だが,LCCでは片道の購入が可能なのだ。片道切符を繋げていくことで,既存の航空会社では不可能(というか非現実的)だった周遊型のルートも自由自在である。(p71)
 なぜか色々と歯車が噛み合わない。旅をしていると,こういう調子の悪い日というのはどこかで必ず訪れる。(p89)
 僕は,きっとなまけ者なのだろう。見た感じほぼ同世代の男たちが,仕事もそっちのけでダラダラしているのを見ると,勇気がわいてくるのだった。 仕事や私生活がうまくいかずクヨクヨしている人は,東南アジアへ行ってみるといい。自分の悩みがいかにちっぽけなものであるかを痛感させられる。(p131)
 お楽しみは取っておかないほうがいい。短期旅行では,まずまっ先に主目的から達成したほうがうまくいく。(p216)

2015年8月31日月曜日

2015.08.29 吉田友和・岡田和恵 『週末香港&マカオ!』

書名 週末香港&マカオ!
著者 吉田友和・岡田和恵
発行所 平凡社
発行年月日 2011.10.24
価格(税別) 1,200円

● 香港には何度か行っているので,多少は土地勘もある。電車で深センに入ったこともある。出入国審査でだいぶ待たされた。
 ので,本書に登場するあれやこれにも行ったことがあるのが多い。

● が,ガイドブックとしては辞書のように引いて使うには不便。実態は香港を話材にした読みものだ。吉田さんと岡田さんの短いエッセイが集まっている。で,読みものとしてはとても面白い。
 香港やマカオについて新しい知識を仕入れるというよりは,文章を味わうもの。

2015年5月31日日曜日

2015.05.28 吉田友和 『12日間世界一周!』

書名 12日間世界一周!
著者 吉田友和
発行所 角川文庫
発行年月日 2011.04.25
価格(税別) 667円

● かつて607日をかけて世界を一周した吉田夫妻が,今度はマイルで手に入れた世界一周航空券で世界一周。
 旅は長ければいいというものではないようだ。が,読む側とすると,607日のほうが読みごたえがあるのも確かですね。

● 12日間というのは,勤め先に迷惑をかけないですむギリギリの線という理由で弾きだしたもの。
 このとき,吉田さんは出版社に勤める編集者だった。これ以上連続して休むことは,事実上できない。このあたりはよくわかる。

● ただし,これだと体力勝負にもなるようだ。かなり慌ただしくなる。ので,12日間で世界一周をするか,1ヶ所か2ヶ所に絞るかは,旅行者の好み。というか,普通は絞ることになるのだろう。
 吉田夫妻は旅のエキスパートで,すでに絞っていく週末旅を何度も重ねているから,こういう選択肢もあるってことでしょ。

● 読んで印象に残ったのは,トルコとポーランド。ポーランドがヨーロッパ随一の美人の産地というのは,前にも聞いたことがあるんだけど,どうやら本当らしいね(ちなみに,アジアだとベトナムだというんだけど,これはアオザイ効果もあるのかねぇ)。
 トルコ(イスタンブール)は名所旧跡のほかに,食べ物が旨そうだ。

2015.05.26 吉田友和 『サンデートラベラー!』

書名 サンデートラベラー!
著者 吉田友和
発行所 角川文庫
発行年月日 2010.10.25
価格(税別) 629円

● 別名,週末トラベラー。吉田さんの週末旅本の集大成のような感じですか。韓国や台湾,東南アジアがメインになる。
 韓国,台湾より東南アジアのほうが遠くなるけれども,時間の有効利用には東南アジアが向いているらしい。深夜便の飛行機があるからで,むしろ東南アジアのほうが滞在時間が長く取れるんだそうだ。

● 本書最後の旅は対馬。韓国人旅行者が多い。ところが,旅行者のみならず,韓国資本の進出もすごい。有象無象の韓国人は韓国の旅行会社のツァーでやってきて,韓国資本のホテルに泊まって,韓国資本のレストランで食事をするから,地元にお金が落ちないという話が出てくる。
 同じことはカンボジアのアンコールワットでもあるらしく,こちらは下川祐治さんが『週末アジアでちょっと幸せ』で紹介している。韓国流はけっこう嫌われる。
 でも,たぶん,韓国人のライフスタイルに由来するのかも。ぼくらだったら,海外で白菜のおしんこや味噌汁がなくても耐えられるけれども,韓国人はキムチのない食事なんて考えられないらしい。外国にいてもキムチは食べたい。しかも,キムチもどきではダメなんだろ。
 いきおい,対馬だろうが,カンボジアだろうが,生活インフラ(?)をまるごと再現しなきゃってことになる。のでしょうかねぇ。

● しかし,対馬にとって,問題はこれから発生する。韓国人がいつまでも席巻しててくれればまだいいけど,そうはいかないからだ。なぜって,韓国経済がおかしくなっているからね。
 韓国資本の多くは対馬から撤退する。もうその動きがあるのかどうか知らないけれども(ウォン高だから,韓国人はまだ多いか),撤退したあとどうするかという問題。
 過疎化,国内観光客の減少があったから,韓国人を呼び込んだってところもある。韓国が撤退したあとに日本人観光客が増えてくれればいいけれども,そういう想定はちょっと無理っぽい。

● 対馬単独でできることはそんなにない。離島振興法があるにはあるけどねぇ。

2015.05.24 吉田友和・松岡絵里 『世界一周デート 魅惑のヨーロッパ・北中南米編』

書名 世界一周デート 魅惑のヨーロッパ・北中南米編
著者 吉田友和・松岡絵里
発行所 幻冬舎文庫
発行年月日 2014.04.10(単行本:2005.03)
価格(税別) 840円

● 結婚を機に勤めていた会社を辞め,607日に及ぶ新婚旅行に出かけた。本書はその後半篇。
 吉田さんはそれが初めての海外旅行だったというから,たぶん相当な幸運だった。まっさらの状態で,いきなり607日間の世界一周を体験できたわけだから。これだけのビッグイベントになると,事前になまじな体験があると邪魔になるだろう。

● 物怖じしない性格さえあれば,旅行に語学力は要らないんだと思う。では,誰でもこういう旅行をできるのかといえば,そうはいかない。
 少なくとも,新婚旅行のために会社を辞めることが,普通はできない。せっかく入った会社なのに,と思ってしまう。それができるかできないか。まず,できるほうに入っていなければいけない。それだけではっきり少数派に属することになる。

● 著者たちにしたって,おそらく夫婦2人だったからできたのであって,単独でやれたかといえば,なかなか難しかったのではないか。

● 著者たちが面白かったものが,読者にとっても面白い。というわけで,特に印象に残ったのは,キューバとサンパウロの日本人街。
 サンパウロの日本人街のとんかつ屋の親父さんは,とても魅力的だ。

● それと帰国後の日本の印象。暗ったい。洋服も地味で表情も乏しいという。
 そうですよね。特に,朝の通勤電車なんか,外国人が見たら異常事態が発生していると思うのかもしれない。
 それじゃダメなのかと言われると,どうなんだろうねぇ。昔,「日本人を幸せにしない日本というシステム」というタイトルの本があったように記憶しているけど。

2015年2月20日金曜日

2015.02.20 吉田友和 『週末夏旅!』

書名 週末夏旅!
著者 吉田友和
発行所 平凡社
発行年月日 2014.07.25
価格(税別) 1,600円

● 「暑い日本が好きになる55の休暇術」が副題。実際,日本の夏は暑い。最近とみに暑くなったとは,誰もが感じていることかもしれない。
 ぼくは涼しいところ(つまり,冷房の効いた屋内)に行きたいと思ってしまうが,その暑さを楽しもうというのが本書の提言。

● まずは,キャンプの話。離島や韓国までキャンプに出かける。戸外での食事はそれだけで旨いと曰う。
 これ,ぼくには苦手な分野。酒にしたって,戸外で飲むなんてイヤだ。ビアガーデンも好きじゃない。
 だから,花見なんて何十年もしたことがない。あんなもの,どこが楽しいのかね。

● 「青春18きっぷ」を活用しての鉄道旅。「青春18」はぼくもしばしば使う。っていうか,春,夏,冬と,シーズン毎に必ず買っている。
 昔,夜行バスで京都に行き,京都から「青春18」で西日本の鉄道に乗りまくったことがあった。JR線の全線完乗なんてのを狙っていた頃。
 栃木からだと,青森までは行ける(今は途中,JRじゃなくなっている区間があるから,1日で青森まで行けるかどうかわからない)。まもなく消滅することが決まっていた青函連絡船にも「青春18」で乗った。
 水郡線なんか何度乗ったことか。只見線,北上線,花輪線,今は廃線になってしまった岩泉線にも,「青春18」のおかげで乗ることができた。東北方面が多いな。

● ところが。今や,「青春18」は東京往復用になっている。東京のどこに行くかにもよるけれども,だいたい通常運賃の半額になる。
 ぼくの旅先は主に東京だ。春も夏も冬も。

● 夏祭り。仙台の七夕と郡上八幡の盆踊り。仙台の七夕はチラッと横目で見たことはある。どうも,祭りにも関心がない。
 本書でも説かれているけれども,祭りの多くは地元の人たちのためのものであって,観光客は見ることしかできない。でも,それが理由ではなくて,地元の小さな夏祭りにもぼくは冷淡だ。

● 車でのロングライド。これもぼくはダメだな。北海道まで車で行くなんてのは,まったく考えられない。
 栃木に住んでいるんだから,車がないと相当不便だ。ので,運転じたいはするけれども,車は日常の用をたすものであって,旅行に使うものではないと決めてかかっている。
 運転があまり好きじゃないんだな。狩猟本能(?)がないのかもしれないな。

● それに,車は基本的に不便なものだ。だいたい,図体がデカすぎる。
 運転に飽きたからといって乗り捨てるわけにはいかない。駐車場も確保しなければならない。維持費もとんでもなくかかる(おそらく,すべてタクシーに置き換えたほうが,トータルコストは安くなる)。事故を起こせば相当に後味の悪い結果を招く。
 なにより,自分で運転してたんじゃ,酒を飲みながら移動できない。
 
● “楽しむ能力”の問題なのだろうと,とりあえず結論づけている。自分には“楽しむ能力”が欠如しているか,あってもかなり浅いのだろう。
 もっというと,生命力の問題になる。楽しめないというのは生命力が弱い(小さい)のだ。ゴォゴォと燃えさかっている火と,チョロチョロと揺らめいている篝火の違いだ。
 何とかせねばとは思うものの,具体的な方法があるのかどうかはわからない。

● 僅差なのかもしれないとも思うんですよ。学校の勉強でも仕事でも,できない人ができる人を見ると,隔絶した差があると思ってしまうものでしょ。下から上を見ると,どうしてもそう見えがちだ。
 実際には下から見えるほどの差はないものだよね。“楽しむ能力”についても同じかなぁとも思うんだよね。
 でも,僅差が大差っていう言い方もあるからね。

2014年8月22日金曜日

2014.08.21 吉田友和 『旅はタイに始まり,タイに終わる』

書名 旅はタイに始まり,タイに終わる
著者 吉田友和
発行所 幻冬舎文庫
発行年月日 2014.07.05
価格(税別) 600円

● 副題は「東南アジアぐるっと5ヶ国」。香港→タイ→ラオス→ベトナム→カンボジア→タイと回る。

● 懐古的な記述が多くなっている。なぜかといえば,ここ10年の間に東南アジアは大きく変わっているから。経済が発展した。10年前とは様変わりしている。その様子を見て,10年前を懐かしむという図式。
 特にカンボジア。政治の激動に翻弄され,治安も問題視されていたけれども,かなり落ち着きを見せているようだ。そうなれば経済活動も活発になる。UNTACの頃のイメージを維持していてはいけないようだ。

● 年をとってからの10年はじつに速い。つい昨日のことのように思える。
 年寄りが時代についていけない理由のひとつは,このまとまった時間ほど過ぎ去るのが速く感じるという性癖にあるかもしれない。

● その中でラオスは昔のままの度合いが大きい。読んでいて最も惹かれたのがラオスだった。
 スマホのSIM販売店のエピソードが出てくるのだが,その店の売り子のお姉さんの写真が掲載されている。そのお姉さん,この世のものとは思えないたたずまいだ。

2014年8月19日火曜日

2014.08.16 吉田友和・松岡絵里 『世界一周デート 怒濤のアジア・アフリカ編』

書名 世界一周デート 怒濤のアジア・アフリカ編
著者 吉田友和
    松岡絵里
発行所 幻冬舎文庫
発行年月日 2013.04.10(単行本:2005.03)
価格(税別) 724円

● 新婚旅行が世界一周。今では紀行作家として高名な吉田さんは,これが初めての海外。したがって,奥さんの絵里さんがリード役。
 ほかにも同じようなことをして本を出した夫婦が何組かはいたんじゃないか。でも,現在も残っているのは,この夫婦だけだろう。文章を書けないといけないわけで。

● その文章なんだけど,デビュー作ですでに現在と同じ完成度。そうなのかぁ,やっぱこういうのは才能なんだなぁと思ったんだけど,文庫化にあたって加筆修正ではすまないほどの手を加えているらしいから,その影響もあるのかもしれない。
 旅をしながらホームページにアップし続けた。それが本書の元になった。まだブログはなかった頃。

● そのホームページがハブになって,読者からいろんな情報が寄せられたり,旅の途中で会うことになったりっていうことがあったらしい。
 今ならもっと簡便な手段で同じことができるんだろうけど,簡便ではないにしても,当時も今と同じことができていた。

● 新婚旅行でこんなことをしたら,帰国を待たず離婚することになるんじゃないかと思ったりするんだけどね。始終一緒にいるわけだから,一年もすれば倦怠期に入るんじゃないか。
 著者夫婦はそういうことにはならなかった。旅に関する技量が夫下婦上(?)だったことも幸いしたんじゃなかろうか。これが拮抗していたら,けっこう危ういんじゃないかなぁ。
 逆の作用もあるのか。助け合わなければならない局面が多々あるんだろうから。

● 内容は面白いの一語。活きがいいし,躍動感があるし。
 これを読んで自分も旅に出たくなったかというと,それは全然。ここまで書かれていれば,この本を読めばいいので,実地に出かける必要はないなと思ってしまう。

2014年8月18日月曜日

2014.08.15 吉田友和 『ヨーロッパ鉄道旅ってクセになる!』

書名 ヨーロッパ鉄道旅ってクセになる!
著者 吉田友和
発行所 幻冬舎文庫
発行年月日 2013.07.05
価格(税別) 533円

● 「国境を陸路で越えて10ヵ国」が副題。ユーレイルセレクトパスを使って欧州を巡る旅行記。

● ヨーロッパといっても外国だもの,順調に次ぐ順調とは参らない。「トラブルだらけの旅だった」というのだが,そのトラブルを詳細に書きこむことはしていない。読者に不愉快を共有させるようなことは避けている。
 全体をおおうのは,著者の育ちの良さのようなものだ。

● 本書もまた面白く読んだ。この調子でどんどん出してほしいと思うんだけど,この調子だけだと書いている本人だって,いずれ飽きがくるのではないか。
 週末旅というコンセプトのもとに出された一連のものは一世を風靡したけれども,すでに役割を果たし終えたように思われる。
 今後の営業方針をどうするか,けっこう悩ましいところではないかと推察する。

2014年8月15日金曜日

2014.08.14 吉田友和 『LCCで行く! アジア新自由旅行』

書名 LCCで行く! アジア新自由旅行
著者 吉田友和
発行所 幻冬舎文庫
発行年月日 2012.07.05
価格(税別) 648円

● 副題が「3万5000円で7ヵ国巡ってきました」。「単純往復ではない,周遊型の旅行を体験するならまずはアジアはどうだろうか。そのためのツールとして,LCCという便利なものを使ってみてはどうだろうか,という実践的かつ提案型の本」(p322)。

● ぼくといえば,ひとりで海外旅行ができるというだけでたいしたものだと思うレベル。海外一人旅はぼくにも経験はある。初めて海外に行ったのは韓国だったんだけど,そのときが一人旅だった。
 韓国にはその後,もう一度一人で行ったんだけど,まぁ内側に萎みっぱなしの専守防衛の旅行になってしまった。

● 幸いにというか,不幸なことにというか,奥さんが外国大好き人間で,結婚後は彼女がコンダクターになってくれた。彼女の後をついていく旅行を何度かすることになった。おかげで,旗持ち人の後を歩くタイプの旅行はしたことがない。
 ただし,「単純往復」以外の旅行は経験がない。

● もう20年以上前になるけど,岸本葉子さんの『わたしの旅はアジアから』を読んだことがある。当時は,海外旅行といえばハワイとかヨーロッパが普通で,アジアっていうとオヤジがつるんで買春に出向くところというイメージだったろうか。そこに若い女性が“アジアから”というタイトルをひっさげて登場した。
 のだったのかどうか。もう記憶もおぼろなんだけど,とにかく今はソウルでもバンコクでも台北でも香港でも,日本人の女性が普通に旅行している。

● 本書でも何度か言及されているけれど,IT化の恩恵でホテルの予約などはだいぶ楽になっているようだ。航空券の手配もしかり。
 昔は,航空券は香港かバンコクで買え,国内の何分の一かの値段で買えるから,などと言われたものだけれども,これも文字どおり,今は昔の話。

● 本書は単純に面白い。何よりありがたいことだ。著者の吉田さんはひょっとしたら紀行作家として一番の売れっ子になったのではあるまいか。
 しかし,今は何でも使い捨てにされる時代だ。タレントや芸人だけではなく,作家もしかり。この業界で生き残っていくのはずいぶんとシンドイことだろう。

2014年5月10日土曜日

2014.05.10 吉田友和 『めざせプチ秘境!』

書名 めざせプチ秘境!
著者 吉田友和
発行所 角川書店
発行年月日 2012.11.30
価格(税別) 1,500円

● 「行こうと思えば案外行けちゃう地球旅行」という副題。「プチ秘境」として紹介されているのは,モロッコ,イスラエル,パナマ,マダガスカル,スリランカ,ミャンマー,ウズベキスタン,ラオス,ブータン,隠岐。

● その中で特に面白かったのはイスラエル。ユダヤ人って,長い迫害の歴史をもつ一方で,西洋と資本主義を作ったっていうイメージがある。
 イエスもパウロもペテロもユダヤ人でしょ。世界の金融界で重きをなし,ノーベル賞を独占し,音楽や文学でもあまたの天才を輩出してきた。なんだかとんでもない人種だっていうね。
 というわけで,等身大のユダヤ人ってどんななんだろうと興味がある。
 インドを旅したことのある人なら想像がつくかもしれないが,あのインド人相手に対等以上に渡り合えるのはきっと彼ら(イスラエル人旅行者)ぐらいだろう。海外を旅しているラエリー(イスラエル人旅行者の愛称)の多くが,兵役を終えたばかりの若者たちだと聞いて,その押しの強さにも納得したものだった。(p44)
 中国人もビックリするぐらい並ぶということを知らない。けれどイスラエル人に比べたら,中国人なんてかわいく思えるほどだ。(p45)
● 本書に限らないけれども,著者の写真にも注目。上手いものだ。学校や先生について学んだことはないらしい。それでもここまでの写真を撮れるのは,なんていうか,いわゆるひとつの才能なんだろうか。

2014年4月30日水曜日

2014.04.28 吉田友和 『自分を探さない旅』

書名 自分を探さない旅
著者 吉田友和
発行所 平凡社
発行年月日 2012.06.13
価格(税別) 1,600円

● 会社員で週末旅を自らも楽しみ,読者に推奨もしてきた著者が,会社を退職し,旅を仕事にすることに決めた前後を綴る。
 会社員の「卒業旅行」の行き先はインド。このインドでのあれやこれが本書の白眉で,じつにどうも面白かった。

● インドというと,はまる人と嫌う人がくっきり分かれる。嫌うのはインド人の物売りや雲助のしつこいまでの小ずるさに根をあげるから。あるいは,水の悪さや香辛料のききすぎた料理にやられるから。さらには,カオスともいえる雑踏にあてられるから。
 と普通に言われるのをなるほどと受け取っていたんだけれども,いや,ちょっと待てよ,と思わせる。

● 紀行文の書き手として,今やナンバーワンに躍りでた感がある。ほかには下川祐治さんと,自転車旅の石田ゆうすけさん。この3人が,ぼくの知る狭い範囲ではお気に入りの書き手だ。

● 著者は写真も上手だ。写真は特に勉強したわけでもないのだろうが,巻末に収められている写真はどれも見応えがある。

● 以下に転載を2つ。ひとつは,テレビに出たときの体験を綴ったもの。
 蟹の手をもいで身を出す瞬間を撮る際などは,同じ料理をもう一度誂え,一時間以上もかけて入念にワンシーンを撮影していた。それでもオンエア時に使うのは恐らく数秒なのだ。(中略) 振り回される側からすると大変なことは否定できないけれど,ある種の粘り強さこそが,物作りをする上では避けて通れない壁の一つなのだろう。(中略)熱は伝播するものらしい。真剣に取り組む人を目の前にして,どう向き合えば良いか,期待を裏切らないためには何をすれば良いかと今更ながらに考え,そして覚悟を決めた。(p115)
 もうひとつは,旅の期間の長短についての著者の意見。
 期間に限りがあると,旅人は貪欲になる。(中略)どちらがいいとか悪いではないが,短期滞在の方が旅の密度が高くなるのは紛れもない事実だと思う。(p191)
● この「卒業旅行」はしかし,途中で切りあげることを余儀なくされる。東日本大震災が発生したからだ。
 帰国後の行動は,書かれているとおりだったとすれば,典型的な馬鹿者のそれだ。ひょっとすると,発生直後に帰国したからかもしれない。発生時に東京にいれば,違った対応になったのかもしれない。
 しかし,西に逃げよう,はないだろう。

● 原発の放射能にしたって,少し以上に過剰反応だ。どれだけの線量が出ているのかは,公表されていた。著者もサイトでチェックしていた。ならば,あとは自分で判断できるではないか(公表されるデータが信じられないというのなら,また別の次元の話にならざるを得ないけれども)。
 ここで肝心なのは,それ以外の情報を遮断することだろう。マスコミや自称専門家や評論家は,常に必ず間違うものではないか。有事にはそうした情報を遮断する決断ができるかどうか。

● インターネットやSNSを称揚する連中にどこか胡散臭さを感じるのも,このあたりに理由があるのではないかと思っている。情報収集,情報収集というけれど,いざというときには収集よりも遮断の方が大事なのではないか。
 あの地震が起きた直後,ツイッターで情報が流れ,それを読んだ人は助かり,そうでない人は・・・・・・という噂(?)が活字になっているのを読んだことがあるけれども,これもぼくは疑っている。称揚派が針小棒大に言い過ぎているのではないか,と。

2014年2月9日日曜日

2014.02.09 吉田友和 『3日もあれば海外旅行』

書名 3日もあれば海外旅行
著者 吉田友和
発行所 光文社新書
発行年月日 2012.11.20
価格(税別) 760円

● 賢い海外旅行術を説く。特に,LCCとか世界一周航空券について,最近の動向や面白い使い方を教えられた。マイルの上手な貯め方と使い方,海外でのスマートフォンの活用法も。

● ひと昔前とはまるで状況が変わっている。その理由は何かといえばインターネットの普及だ。旅行代理店や航空会社,ホテル,ガイドブック制作業者など,海外旅行に関わるすべての業種に変革を強制した。
 もちろん,旅行者にも。ただし,旅行者にとってはありがたい方向へ。

● 具体的で有益な情報が満載。役に立つ。
 が,たんに実利の本というにとどまらない。面白い読みものにもなっていて,旅行も楽しそうだなと思わせる。
 っていうか,こういう本は旅行好きしか読まないだろうから,旅行へのインセンティブを強化するって言った方が正確だろうけど。

● 海外でスマートフォンを使うときには,SIMフリーの端末に現地で購入したSIMをさして使うことを本書は提唱している(あるいは,Wi-Fiルータのレンタル)。
 海外パケホーダイは論外だもんね。国内キャリアが設定したバカ高い通信料を払うのは死ぬほどアホらしい。
 でも,大方の端末メーカーははキャリアに遠慮してか,SIMフリーの端末を販売しませんよね。
 海外品をネットで購入するのにハードルを感じる人は,とりあえずdocomoで買って,手数料を払ってロックを解除してもらうしかない? それもバカバカしい。

● iPhoneやNexus5はSIMフリーも販売されているから,このあたりが突破口になるか。あるいはこれだけ海外旅行者が多ければ,自ずと特殊日本的なやり方がなし崩しに消えていくか。
 これから変わっていくんでしょうね。キャリアの端末買い取り方式って,早晩消えるはずのものですよね。

2013年7月9日火曜日

2013.07.09 吉田友和・松岡絵里 『世界も驚くニッポン旅行100』

書名 世界も驚くニッポン旅行100
著者 吉田友和
    松岡絵里
発行所 PHP
発行年月日 2013.07.04
価格(税別) 1,300円

● 世界旅行のエキスパートが著した日本旅行の案内書。通常のガイドブックにはない,独自の味わいがある。充分に指南書になってくれると思う。

● 亡き宮脇俊三さんがよく言っていた(書いていた)ことを思いだす。日本は旅するに値する広い国である。
 日本の広さを実感するのは冬。夏は北海道から九州まで同じように暑いけれども,冬は北海道と九州・沖縄の気温は大きく違う。亜寒帯と亜熱帯が国内に現出する。

● が,ぼく的には,日本に限ってもまだ広すぎる。世界にあるものはすべて日本にもあり,日本にあるものはすべて栃木にもある。もちろん誤りなんだけれども(はやい話,栃木にビーチはないからね),そう思いこんでしまいたいと思っている。そこから先は想像力の勝負だ,と。
 栃木に限定して「旅」したい。地元に沈潜したい。要は,出不精の言い訳なんだけど。

● 著者のひとり,吉田さんが伯方島(愛媛県)の開山公園について,「目立って観光地を謳っている風でもない。ポツポツ遊具が置かれ,家族連れが各々の休日を過ごしているような,ありふれた公園に見える。けれど,真に愛おしい風景に出会うのは,案外そんな普通の場所だったりもするのだ」(p111)と書いている。
 「そんな普通の場所」かぁ。そうだよなぁ。あると思うんだなぁ,栃木にも,たくさん。

2013年3月11日月曜日

2013.03.11 吉田友和 『転んでも海外!』


書名 転んでも海外!
著者 吉田友和
発行所 幻冬舎
発行年月日 2012.11.10
価格(税別) 1,400円

● 特に若い人たちは海外旅行をしなくなっていると聞く(しなくなったのか,したくてもできないのか)。これを嘆く年配者の声を聞くこともある。
 ぼくは,しなくたって別にいいんじゃん,という意見。というと,でも思いでができましたから,なんて声が聞こえてくるかも。特にバブル世代からね。
 思いでねぇ。海外に行かないと思いでも作れないような手合いは,豚に喰われてしまえ。って言ってしまうと,ぼくも豚に喰われた方がいい部類に入ってしまうんですけどね。

● さて,というわけで,海外旅行本ってガイドブックをはじめいろんなジャンルのものがあるけれども,おしなべていえば活気がない感じがする。ひと頃はやったバックパッカー貧乏旅行的なものは,特に凋落著しいのではないか。
 そんな中で,吉田友和さんと奥さんの松岡絵里さんのお書きになるものが,ひとり気を吐いているような印象。ぼくもこの二人のものは,たいてい読んでますよ。
 貧乏旅行でもなく豪華ホテルやグルメ三昧でもなくっていう,ほどほどのところが世相に受けているんでしょうかねぇ。コストパフォーマンスの良さっていうあたり。

● 「心から満足して帰国するための旅極意60」というのが副題。出発前の注意事項から,機内での過ごし方。到着後の宿や食事,観光の心得。何を持っていくか。現地でのお金にまつわる話。
 そうした海外旅行の全プロセスから60のトピックを拾いあげて,著者の考えを開陳。しかもそのひとつひとつが,読み切りエッセイのようになっている。
 これ,なかなかできませんよ。何といっても語るに足る経験を数多く持っていなければいけない。

● 読みやすい。面白い。でも,ぼくは一気読みができなかった。こちらが海外旅行から離れてしまっているのが理由かなぁ。
 旅行って,行かなくなると行かない状態が定着するからね。そこで息苦しくなるほどに行きたいよぉってなると,旅フリークの称号を得られる。でも,ぼくは行かなけりゃ行かないで平気なタイプ。基本,近場ですんじゃうっていうかね。

● ニューヨーク(行ったことはないけど)よりも,パリ(これは一度行った)よりも,香港(何度か行った)よりも,東京の方が面白いんじゃない? ぼくが地方に住んでいるからだと思うんだけどね。
 もっというとさ,ぼく,栃木の片田舎で息をしてるんだけど,宇都宮で気がすんじゃうってところもあってさ。時間帯とか場所によってはね,宇都宮で旅情を感じることもあるんですよ。それでいいかなぁと思っててさ。

● 吉田さんが奥さんの言葉として紹介している文章を引用。
 留学なんて無意味だと思うよ。そんなお金と時間があるなら,旅した方が遙かに勉強になるよ。日本人は言葉のコンプレックスが強すぎるんじゃないかな。(p182)