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2015年6月6日土曜日

2015.06.06 いとうせいこう・みうらじゅん 『見仏記 メディアミックス篇』

書名 見仏記 メディアミックス篇
著者 いとうせいこう・みうらじゅん
発行所 KADOKAWA
発行年月日 2015.03.31
価格(税別) 1,600円

● もうずっと続いている「見仏記」の最新刊。今までは,いとうさんとみうらさんが二人でお寺を訪ねて仏像を見て・・・・・・,それを雑誌に連載していた。
 今回は,DVD版の撮影スタッフと一緒に行動。

● ただし,尾道では二人だけの「見仏」になった。で,その尾道篇が一番面白かったりする。
 文章はいとうさんの担当。文章の二割か三割はみうらさんを描いている。みうらさんが,いとうさんが文章を書くのを助けようとしているようにも思える。

● 互いに,互いの力量をリスペクトしているのだろう。たとえば,次のような文章もある。
 武蔵の『鷲の図』と『竹林の図』の障壁画に戻ると,みうらさんが絵を描く人ならではの言葉を短く吐いたのが印象的だった。下絵もなしに一気に描くのは本当に勇気が要るし,難しいというのだった。以前,みうらさんは私の家の襖に四体の仏を墨で描いた。その時もこわい,こわいとみうらさんは言っていた。そして,いざ描き出すとすさまじい集中をした。最後は私さえ外に出されたものだった。(p196)
● シリーズ最初の単行本を読んだときには,面白そうな読みものだと思っていた。「見仏」は取って付けた理由にすぎなくて,要は珍道中を面白い読みものに仕立てようとしているのかと思った。
 のだが。そうじゃないと気づくのに時間は要しなかったですね。だんだん「見仏」のレベルが高くなってきてて,もはやぼくにはついていけない。
 いや,当初からついて行けてなかったんだろうけどね。

2015年2月19日木曜日

2015.02.19 みうらじゅん 『ムカエマの世界』

書名 ムカエマの世界
著者 みうらじゅん
発行所 ちくま文庫
発行年月日 2011.02.10
価格(税別) 720円

● ムカエマとは「ムカムカする絵馬」。なにゆえ,ムカムカするのか。別にいいではないか。自分がお願いされるわけじゃないんだから。
 勝手すぎるお願い,けっこうじゃないか。神さまはそのために存在するんじゃないか。

● と考えてはあたりまえすぎて面白くない。本書のように気合いを入れて面白がることもできるわけだ。
 ただ,たしかに気合いが必要だ。自分でこうしたムカエマ探しをする気になるかといわれれば,そこまでの気合いはないと答えるしかない。

● 真面目な内容だけど,ひとつだけ転載。
 似顔絵という世界がある。その大家である針すなお先生や,和田誠先生などを見れば分かるが,その優れた才能とは出来る限り少ない線で,その人物の特徴を的確に描くところである。(p88)

2015.02.19 みうらじゅん 『カスハガの世界』

書名 カスハガの世界
著者 みうらじゅん
発行所 ちくま文庫
発行年月日 2006.01.10(単行本:1998.03.23)
価格(税別) 880円

● カスハガとは何かといえば,各地の「カスのような絵はがき」。なんでこんな絵はがきを作ったのだと思えるような。
 それらを集めて,絵柄から連想するものをマンガにした。

● こういう遊び方もあるのだ。といって,本にするのは大変だろう。こちらは気楽にワハハと笑えばいいが。

2015年2月18日水曜日

2015.02.18 みうらじゅん 『いやげ物』

書名 いやげ物
著者 みうらじゅん
発行所 ちくま文庫
発行年月日 2005.07.10(単行本:1988.04.22)
価格(税別) 900円

● 「誰がこんなもん買うわけ?って常識を疑っちゃう」ような土産物を「いやげ物」と名づけて,それを写真で紹介。その写真につけたキャンプションを読んでもらおうという趣向。

● その中身をいちいち紹介するのは,愚でありましょうね。が,これだけ集めると迫力がある。
 世にコレクション癖のある人は多いと思う(特に男性)。ひょっとしたら,1冊の本にしてプロデュースできるかもしれない。

● 無価値なものでも,圧倒的に集めると,エンタテインメントとして提供できるという好例。

2015年1月21日水曜日

2015.01.21 みうらじゅん 『テクノカットにDCブランド』

書名 テクノカットにDCブランド
著者 みうらじゅん
発行所 太田出版
発行年月日 2010.04.22
価格(税別) 1,238円

● 大学を卒業してからの半生記。タイトルの「テクノカットにDCブランド」は,1980年代,バブルの象徴ですか。新人類に同化しようとして,無理をしていた頃の著者自身を自嘲的に呼んだもの。
 自分はそうじゃない。そうじゃなければ何なんだ? そのキーワードがロック。
 ロックって,もっと宇宙に近いところにあるんじゃないのか? リアルって言ったって安全圏から一向に抜け出す気のない奴のリアルなんて嘘になるだろ? 現実と密着。 僕はその後ろめたさから少しでも逃げ出そうと,何度も歌詞を書き替えた。もっと恥をかいてもいいから,もっと困ってもいいから,僕の言葉でいまの僕が本当に思っていることを書くべきだ。 自分のことなど何も知らないんだ,とも思った。何を考えてこの先,どう考え直すかなんて,僕にはわからない。どう思われたい,どう見られたい,そんなことばかり気にしてきて本当の自分を見失ってきたに違いない。(p147)
 実は僕にはドキドキする作戦があったんだ。それは羅列する言葉の中に放送禁止用語を混ぜて歌うこと。僕は世間的には十分過ぎるほど大人だったが,ただ大人を困らせてみたかった。それがロックだって信じてたから。(p148)
● 具体的な出逢いがあった。「THE NEWS」というトリオバンドとの出逢い。
 夕方近くになりレディーズ部門。そこの登場したのが,結成してまだ1ヵ月だという「THE NEWS」というトリオバンド。全員センター分けの長髪ネェちゃん。 “やっちゃえ! やっちゃえ! もっと自由にやっちゃいな!” 爆音とシャウトが静かなホールにこだました。僕はそのとき,背筋に電流が走ったように“ロック”をビンビン感じた。カッコイイ! 社会に向けて思いっ切りツバを吐きかけてるようなその姿勢に,僕は圧倒されたんだ。
● 糸井重里さんとの交流がもう一本の糸。
 連載が始まると糸井さんは毎回,相談どころか重要なテーマを話してくださった。僕がそのとき手に入れたものは,くだらないものにこそ手を抜かないということ。くだらないものに対する真剣さが『ガロ』以外の読者にもちゃんと伝わる努力をすること。(p130)

2015年1月20日火曜日

2015.01.20 みうらじゅん 『青春の正体』

書名 青春の正体
著者 みうらじゅん
発行所 KKベストセラーズ
発行年月日 2005.09.16
価格(税別) 1,200円

● 「本書は,『カリフォルニアの青いバカ』『万博少年の逆襲』(河出書房新社)を改題,加筆の上,再編集した作品です」とあるから,この本の文章が書かれたのは,20年近く前のことになる。
 自分の青春のあれやこれを嗤い,慈しむ。

● 自分にもあったな,こんなこと,というのもあれば,えっ,ここまでの体験は自分にはなかったな,というのもある。あたりまえだね。
 青春時代(10代後半ですか)に戻してやるといわれてもお断りだ,という人は多いと思う。そうした文章を初めて読んだのは,吉行淳之介のエッセイだったか。

● ぼくもはっきりお断りする。あんなのは1回だけでいい。ぼくの場合は高校の3年間がかなり辛かったかな。出口が見えない閉塞感と,頭の天辺から足の指先まで詰まった劣等感。自分はダメだっていう。
 無事に二十歳になれた人は,人生の最も大変な時期をくぐり抜けてきたのだと思っている。新成人には,これからは楽になるからあまり心配しなくていい,と言ってやりたい。

● 青春って性の占める割合が高い。この本でもその話がたくさん出てくる。そういう厄介な時期なんだよねぇ。
 入れた後に動かすんだと聞いたときは,ウソだろ,そんなことをしたらあっという間だろ,とぼくも思った一人だ。

● どんな形の青春であれ,のたうち回らなければならないときは,きちんとのたうち回るべきだったんだなと,この本を読んで思った。
 ぼくは,ほぼ,ごまかしでやってきたから。自分の青春時代は薄いものになってしまったな,と思っている。

2015年1月5日月曜日

2015.01.04 みうらじゅん・リリーフランキー 『どうやらオレたち,いずれ死ぬっつーじゃないですか』

書名 どうやらオレたち,いずれ死ぬっつーじゃないですか
著者 みうらじゅん
    リリー・フランキー
発行所 扶桑社
発行年月日 2011.11.30
価格(税別) 1,200円

● みうらじゅんとリリー・フランキーの対談を読める形に編んだもの。タイトルもこの本ならこれしかないっていうほど,洒落たものですな。
 主には若い人たちに向けたものだ。けど,ロートルが読んで悪いわけもない。一気通貫で読了。

● 以下に多すぎる転載。
 もし知り合いが「私は今の生活で十分満足です」と言ったとしたら,「いや,世界はもっといっぱいあるよ」って言いたくなるじゃないですか。オレらはずっと,「満足はするな」ということを美意識としてるんですよね。(リリー p19)
 「幸せ」というのもそうだけど,単なる言葉でしかないし,見えないものにつけられたイメージの言葉なんだよ。そんなものに振り回されている人生が滑稽だよね。(みうら p21)
 だいたい,教養というのは,その人の生活だったり価値観だったり,知識がその人の身になってるもので,しかも大事なのは,その人の持っている教養で世の中を変えられるかということだと思うんです。雑学なんかじゃ世の中一ミリも変わりませんよ。(リリー p37)
 美意識さえ持ってれば,プライドはなくていいですよね。逆にプライドは持ってるくせに美意識のない人がいっぱいいますよね。(リリー p54)
 プライドってなくしていけばいくほどラクになるんだよね。「なんで怒ってるんだ?」ということを己に何度も問いかけることで,「カッコ悪いじゃん」ということを,脳に叩き込まなきゃ。(みうら p56)
 オレ,自分にひとつだけ才能があるとすれば,飽きてることを飽きてないと言い切れる自信だけなんですよね。そりゃあ,当然飽きますよ。でも,そこにしか活路がないんですね。オリジナルなんてない。新しいことを見つけられるなんて思ったこともありません。だから,ひとつのことを飽きずにやるっていう,そこしかオレの道はないって思ってるんですよね。(みうら p116)
 実際,自分の好きなことをやり続けている人って,結構みんな食えてるんですよ,実は。ただ,若いときのほうがバランス感覚がいいっていうか,大人に毒されているから,いろんな人を見たり会ったりして勉強しようとかって言いますよね。でも,そんなことをしてたら絶対にバカになりますよ。だって,ほとんどの大人はバカなんだし(リリー p120)
 それでも「発明する必要はない」っていうことが重要なんですよ,絶対に。若い人は発明しようとするんですよ。(リリー p121)
 マネしようと思ってもマネしたくないってみんなが思ってる部分がまずないと。天才といわれる人,そうした人たちのやってることは圧倒的にすごいけど,まずこちらはそれをやりたいとは思えないっていう,それをやってるエネルギーがある人ですよ。でも,そうじゃないと新しいものはできてこない。(リリー p126)
 「金儲けは,するものじゃない。いい仕事をしていれば,金いらないって言ったって金をもらってしまう。儲かってしまうものなんだ」って。(リリー p155)
 スペイン旅行をしてるとき,スペインのバルを見て「こんな面白い飲み屋があるんだ」と思ったら,すぐに何回も通って,あっという間に日本でもそんな店を作っちゃう。面白いと思って形にするまでが早いんですよ。(中略) そのスピードがあるってことが,ムーブメントを作ること。(リリー p156)
 そのときじゃないとダメなことって,やっぱりあるしね。どんなことでも,時間がかかると間違ってるんじゃないかって思いはじめて,賛否両論気にしちゃう。だから,面白いことを面白くするためには,見切り発車が必要だってことだよね。(みうら p158)
 思うに,女の人は「大金持ちより子だくさん」というのが精神的に豊かになることを,本能的に知ってると思うんです。女しかできない活動を長く求める。まぁ,若いときはそうは思ってないでしょうけど。(リリー p162)
 なにか計画立てて考える人って,人生を線路に例えてみたり,とにかく一本の線だと思ってるじゃないですか。でも,人生とか時間というのは線ではなく点の集合体でしょ。だからつなげて物事を考えていくっていうのは,本質的な意味で間違っているわけだし,そりゃあ,うまくいかないですよね。(中略) そう考えると,すごい平べったい話に聞こえますけど,今が一番大切だっていうことですよね。(リリー p220)

2015.01.03 みうらじゅん・宮藤官九郎 『どうして人はキスをしたくなるんだろう?』

書名 どうして人はキスをしたくなるんだろう?
著者 みうらじゅん
    宮藤官九郎
発行所 集英社
発行年月日 2013.09.14
価格(税別) 1,200円

● 『週刊プレイボーイ』の連載をまとめたもの。『週刊プレイボーイ』って,昔はだいぶお世話になったけれど,最近はさっぱり。
 特に,開高健さんが人生相談「風に訊け」を連載しているときは,この雑誌を置いてある喫茶店に行って,コーヒーを飲みながら,その連載を読むのが無上の楽しみだったかな。たぶん,当時は無上の楽しみだったと思う。ほかに,たいして楽しいことってなかったから。

● にしても。『週刊プレイボーイ』って男性用娯楽雑誌の代表ですよね。そこにこういう連載があるんだから,日本人ってたいしたものなんだなぁ。

● 以下にいくつか転載。
 (結婚は)自分なくしの修行としては絶好のチャンスでもあるね。(みうら p29)
 実際問題,自分に正直であることは,他人に迷惑をかけるってことなんだけどね。(みうら p41)
 “憎みきれないろくでなし”ですね。そのろくでなしオーラが,女にとってはイコール色気なんじゃないですか。「アタシ,捨てられてもいいから貪欲に愛されてみたい!」っていう本能をくすぐる。(宮藤 p49)
 一生懸命って,それだけで泣けてくるんだよね。自分ももっと一生懸命に何かやればよかったという後悔も含めてさ。大人になるってどこか報酬を期待しちゃうとこあるでしょ。そんなとき,無報酬で無我夢中に頑張ってる姿っていうのを見ると・・・・・・ねぇ。(みうら p90)
 人間って初体験が好物でしょ。セックスを引き合いに出すまでもなくね。旅に出ると初体験が待ってるって,直感的に知ってるんじゃないの。(みうら p209)
 今の日本って,精神的に不景気な感じがするんだよね。心が貧乏臭いっていうかさ。なんか,どんどん価値観がせばまってく感じがするじゃん? そこを心配するべきなんじゃないのかな。本来は自分に理解できないからこそ掘る面白さもあるんだけどねぇ。お金に換算できるものって大概,貧乏臭いと思うけどね。(みうら p223)
 人生は暇つぶしっていうじゃないですか。人間ってやっぱり死と暇になることが一番怖いんだよね。だからそれを忘れるために毎日働いたり勉強したりしてるようなものでさ。(みうら p243)
 人生って趣味が一番だと言い切っていいと思う。ベストホビーを見つける旅ってのが人生なんじゃないの。(みうら p243)
 でも,まだ今は無理やりだよ。(中略)「コレ,本当に面白いのかな?」って内心思ってるし。でもね,ホビー教の教えにならうなら,「半信半疑を続けろ」がすごく重要だから。趣味って,「こんなのに時間とお金を使ってていいのかな,俺?」って常に問いかけながら付き合ってると,長続きするんだよね。(みうら p245)