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2014年2月12日水曜日

2014.02.11 日下公人 『日下公人が読む2014年~ 日本と世界はこうなる』

書名 日下公人が読む2014年~ 日本と世界はこうなる
著者 日下公人
発行所 WAC
発行年月日 2013.12.05
価格(税別) 1,300円

● 官僚に手厳しい。著者は長銀から経済企画庁に出向したこともあるし,政府審議会の委員もやっていたから,そこでイヤな目に遭ったのかと思いたくなるほど。
 中国にいままで金をつぎ込んで企業が損害を出してきたのは,経営者の判断に問題があったので,日本国家の問題ではない。しかし,その判断を後押ししたのは,通産省である。 三井物産のIJPCの例ではないが,乱費して,ドブに捨ててきたお金が日本ぐらい多い国は世界中にない。(p45)
 危機管理の対処の仕方でも,外務省が海外でほんとうに日本人のために働いているのかは疑問である。(中略)危機があると,民間人を置き去りにして,真っ先に逃げ出すのが日本の大使や日本人の大使館のスタッフである。 外務省の人は,大体が無責任なサラリーマンの集まりで,建前ときれいごとばかり言っていて仕事を逃げる。民間の権利が侵害されたことに対しては,「民間のことは民間で」と言う。避難命令も「企業の判断である」などと責任を押しつける。(p74)
 東日本大震災時のトモダチ作戦のときのアメリカ軍も日本国民や自衛隊には大きな刺激だった。 現地に到着した米軍と自衛隊の最初の打ち合わせに際し,官僚化した自衛隊の上層部は,二時間を超える現状説明をして米軍をイライラさせた。 アメリカ軍司令官が,「打ち合わせは,明日から十五分以内としよう」「会場外のたくさんのテントは何をしているのか」と言うと,自衛隊上層部は,「おもてなしのために温かい食事をつくっています」と答えた。アメリカ軍司令官は,「作戦中の軍隊は,温かい食事などはとらない。すぐに作業に出発しよう」「用意したものは被災者に配れ」と言ったという。 そんなわけで,自衛隊は目が醒めたらしい。(p171)
● それよりも官僚的なるものに対して手厳しい。
 もともと将来予測は外れやすいのである。したがって,計画化すれば無駄がなくなるというのはウソで,将来の需要に向かっての投資や技術開発や生産の拡大は,国民大衆の百花斉放的な自由消費についていくのが正しいのである。自由消費を無駄と考える国の計画的な未来開発は,たいていが壮大な無駄に終わる。(p106)
● 中国に対する見方も同じ。
 中国に対する甘やかしは,戦後の経済援助だけではない。終戦時に日本が中国に投資した財産を置いてきたこともそうである。その財産を中国側に「買い取れ」と言わなかったのがおかしい。(p52)
 世界の国々は,日本を尊敬する国と,下手に出れば出るほどつけ上がるばかりの国の二つに分かれてきた。(p62)
● 学者もダメ。
 自分で稼いだ経験がない官界,学界,言論界の人たちは,損益計算ができないので,単に規模の大小を見ての話をする。「安売りしてでもたくさん売れ」である。そんな人に対しては「日本国を安売りしないでくれ」と言いたい。(p84)

2013年8月21日水曜日

2013.08.19 日下公人 『いま日本人に読ませたい「戦前の教科書」』

書名 いま日本人に読ませたい「戦前の教科書」
著者 日下公人
発行所 祥伝社
発行年月日 2013.06.10
価格(税別) 1,600円

● 戦前の日本は封建的だった,戦前の日本は好戦的だった,と言われる。いや,そんなことは決してなかったのだ。そうなったのは,たかだか開戦の数年前からの話なのであって,それを「戦前」とひと括りにするのは間違いだ。
 ということを,事実において証明しようとする。その素材として用いたのが,戦前の尋常小学校の国語の教科書。

● 著者はこれまでの著書でも,高学歴者,知識人ほど,薄っぺらな知で頭をいっぱいにして,欧米崇拝,自国卑下を喧伝してきたが,大方の日本人はもっとしっかりしていて,大人の暗黙知で賢い舵取りをしてきたと強調している。
 本書でも同じ。

2013年4月18日木曜日

2013.04.17 日下公人 『日本精神の復活』


書名 日本精神の復活
著者 日下公人
発行所 PHP
発行年月日 2013.02.12
価格(税別) 1,500円

● 3年間の民主党政権の最大の功績は,戦後の自民党政治が(比較的)まともなものだったことを,国民にわからせたことにあるかも。
 マスコミも学生も市民運動家も,ずっと自民党批判を生きがいにしてきたけれども,彼らの言うとおりにやっていたら,日本はどうなっていたことか。
 床屋政談のレベルで実際に国を動かせばどうなるか。民主党が証明してくれたようなものだ。

● 市民運動が正しかったことなど一度もなかったとぼくは思っているが,なぜそうなるか。考えているところはあるけれども,ここには書くほどのことでもない。
 ただね,人間は常に間違う,必ず間違う。そういうものなんだと思っていた方がいいんだろうなとは感じている。もちろん,ぼくも大衆の一人なんだけどね。

● 市民運動や労働運動をメシの種にする奴がいる。人のうえに立ちたがるタイプ。会社で出世するには頭が足りないくせに,人に号令することが好きなやつ。さんざん見てきたな,こういう奴。
 ホテルやレストランや酒場で,従業員に横柄な態度を取っている馬鹿を見かけたら,まず労組の役員だと思えばいいんじゃないか,という程度には,ぼくはこの手の奴を嫌っている。労働者の味方たるべき労組の役員が,労働者であるウェイトレスやホステスや仲居さんに横柄。うんざりするほど知ってるぞ,この手の馬鹿。

● 以上は本書とは関係ない。のだが,マスコミやインテリの馬鹿さ加減に著者は呆れているようで,読むと溜飲が下がるということはある。

● 著者が言うのは,まず,日本人(の大衆)がいかに高潔・英明であるかということ。
 もちろん,大衆のすべてがそうだっていうんじゃないでしょうねぇ。そういう人が全体の5%もいれば,結果において相当なものなのだろうと思う。

● しかし,政治家や官僚,進歩的知識人(死語か)やインテリ,マスコミはどうにもならない,と。

● アメリカ,ヨーロッパ,中国は信用できない。
 (アメリカは)アメリカ人であろうと外国人であろうと,地上にいる人は金融商品を売りつけてお金を収奪する対象にし,「詐欺のグローバル化」をこの十年間,盛大に実行してきた。 周囲の人より少し道徳レベルを下げれば富が手に入るというのは,古今東西の真理である。(p73)
 二〇一二年九月,中国で「反日」暴動が起き,暴徒が商店から品物を略奪した。新聞に出ていたのはそこまでだが,本当は何年も前から,中国では日本企業の社員を不当に拘束し,取り調べをしたりしていた。現地法人の社長に難癖をつけて身柄を押さえ,「身代金を払わなければ帰さない」といった事態が,中国各地で起きていた。昔,韓国で日本がやられたことの再来だから韓国人は心得ていて,我先に国外脱出した。お人好しの逃げ遅れた日本人が捕まり,工場も店の品物も奪われた。(p175)
● では,こういった国々と渡りあうにあたって,日本人はどこに注意したらいいのか。
 「普通の国」となる覚悟も欠かせない。「日本版CIA構想」の話が出たとき,私の友人の一人が,こう質問した。 「日本も人殺しをやるのですか」 アメリカのCIAもイギリスのMI6も,イスラエルのモサドも暗殺は諜報機関業務の常識である。「当然やります」と誰かが言いそうなものだが,みな沈黙してしまう。暗殺しない諜報機関など,子供の遊びにしか見えない。 真偽は定かではないが,サミットの正式会談後,首脳同士が酒を飲みながらの話は「次の暗殺ターゲットは誰か」の相談だという。場合によっては「あいつを殺してくれ」と他国に暗殺を依頼し,ターゲットの交換をする。 日本はそういう大人の話に乗れないから,「子供は寝てなさい」となる。(p186)

2012年12月10日月曜日

2012.12.09 日下公人 『日下公人が読む2013年~ 日本と世界はこうなる』


書名 日下公人が読む2013年~ 日本と世界はこうなる
著者 日下公人
発行所 WAC
発行年月日 2012.11.27
価格(税別) 1,238円

● いつもながらの日下節で面白く読める。来年は金融不安が世界を襲うと予想。
 来年,金融大津波が世界を洗うとヨーロッパ文明と文化の威信が地に落ちる。アメリカの自由・民主・ドルの看板に傷がつく。中国共産党は和解路線に戻る。新興国は自らのアイデンティティに目覚める・・・・・となるが,そのとき日本と世界の関係はどうなるのか,日本はどうするのか。(中略) 日本はそういうとき,どう振舞えばよいかについての経験がない。指導理念もない。覚悟もない。世界をリードする優位戦を戦える人材もいない・・・・・・と思っていたが,そんなことはなかった。 安倍晋三氏とそれを支持する人々がいた。颯爽と登場されたのは嬉しい限りである。(p2)
 心優しい日本人は平和のため,原爆などは論外で軍事力は持っても最低限で,中国など近隣諸国とトラブルも起こさず,世界から愛されるような国であればいいと願っている。しかし,それを実現するためにはどうすればいいか,援助のばら蒔きが無効であることはもう証明されているが,何かいまの世界で有効な策があるのかどうか。 国民が安倍新総裁に期待していることは,それが第一だと思うが,期待だけですむ段階はもう終わっている。(p182)
 民主党がひどすぎた。市民運動家かひょっとしたらそれ以下の水準で,一国の政治を動かそうとした。特に,外交・防衛という国の根本に関わるところを滅茶苦茶にした罪は大きい。どうにもならない。
 あと一週間で総選挙だけれども,新聞の予想記事以上に民主党は議席を減らすのではあるまいか。政権交代時に民主党だった政党もまた同じ。
 とすれば,安倍-石破ラインの自民党に期待するのは自然の流れだ。

● 日下さんは中国をはっきり見限っている。中国人とは関わるなという。
 日本の新聞は,「中国が元通貨圏をアジアにつくろうと企んで着々と進めている」と,中国脅威説をつくっているが,国家が管理する通貨は長期的には信用できない。したがって,誰も元を受け取ろうとしないのだから,元通貨圏などできるわけがないし,元はこれから下がるという予測のほうが的確であろう。(p76)
 中国は(中略)いまだに古代が根強く残っている国である。すなわち,中国は根本的に原理が違う国なのだから,日本も中国とのつき合い方は当然変えなければならない。 日本人と中国人とは心は通じないと割り切らなければいけない。しかし,日本人は,いつかは中国人もわかってくれると思っている。 たとえば,日本の会社が中国に工場を建てて,工場長みずからがそれこそ率先して雑巾がけをして,誠心誠意でやれば,働く中国人がついてきてくれて,いつかはうまくいくと思う。だが,少しもうまくいかない。そんなことはいくらでもある。(p83)
 ● ヨーロッパも滅ぶ。
 EUの危機は昔からいわれ続けているが,結局,「ヨーロッパはヨーロッパ的な幸せ」の中で静かに消えていくと考えている。(p89)
 いままでヨーロッパが問題を先送りできたのは,ひとつは植民地を搾取してきたからで,もうひとつは,ヨーロッパの間でも,弱い国を潰してきた。しかし,もう限界である。 そこで中国や日本からカネを出させようと,いろいろやっているが,そのときの彼らの論理は,騙されたのは騙されたほうが悪いという自己責任論である。(p118)
● 福祉政策もほどほどにしろという意見。
 いまの選挙制度のもとでは,働かない人の投票によって福祉予算が膨らみ,国家財政が破綻する道をまっしぐらに歩むことになる。(p16)
 リンゼー市長によって母子家庭の保護が充実すると,離婚及び父親不明の出産が増加した。市役所の職員が偽装離婚を摘発しに深夜訪問すると,射殺される事件が起こった。赤ん坊の遺伝子を検査して前夫と同じであれば母子家庭の保護を打ち切ったので,行きずりの男に遺伝子を求めるという話もあった。働くより子ども手当のほうが楽だったのである。福祉の行き過ぎは家庭を破壊した。(p60)
● そもそも左翼政党や労働組合がお嫌いである。国会議事堂の施設に関して,次のようなエピソードを紹介している。
 はじめはエレベーターも食堂も国会議員専用というのはなく誰でも同じだったが,みるみるうちに国会議員専用エレベーター,国会議員専用食堂などができた。 こうした要求は,ほとんどが社会党の主張だった。これは,労働組合運動の「カネをよこせ」「権力をよこせ」というのと同じで,そうした私利私欲や党利党略ばかりに専念していると,その政党は内部からおかしくなる。結局,衰退していまは「社民党」として細々と残っているだけである。(p67)
● 日下さんの論調の骨子は,庶民の常識や道徳,実生活から生まれた知恵にリスペクトを置いていることで,逆に官僚や学者など頭で考えるだけの人たちに対してはかなり辛辣である。
 日本のエリートも同じで技術進歩とか生産性の向上とか合理化とか国際競争力強化とかを,いまだにキーワードとして信奉している。 その延長にあるのは「計画化」や「統合化」や「中央集権化」で,それが古いと思っていないのは高学歴病である。大学その他が教えているアカデミズムを身につけて世に出た人はなかなかそれを捨てられない。したがって,結局は庶民の後方を歩くことになるが,それに気がつかない。(p22)
 役人は先見の明もないし手金もないのに,民間の商売に口を出すのが大好きである。彼らにとっての手金は,結局は徴税権であって,国民に責任を転嫁する力があるというだけである。(p106)
 ● 理性の限界も強調する。
 理性が使える範囲は,時間や場所を限定すれば切れ味は鋭い。その意味で,ケインズの理論も少しは使えるが,長期間使ってはいけない。人間は理性だけで動くものではなく,感情や感性や人格や品格や変化しやすいいろいろな要因の波にもまれて動いているから,それを縛る仁義や道徳がなければ,社会は続かない。(p28)
 ● 庶民の常識が官僚や学者をしのぐ。
 二〇一三年は,日本人の庶民の常識が復活する年だと考えている。そのときには,「裏」「影」「歪み」「回り道」「含み」「あいまい」「不統一」「多様化」「ひずみ」「揺らぎ」「でたらめ」といった,一般にはマイナスイメージでとらえられてきた日本語が,逆に,いい意味になる。 というと,「それはいったいどういうこと?」と疑問に思うかもしれない。 たとえば,公式意見としては事故や不正はゼロにしたほうがいいに決まっている。しかし,庶民の常識の中には「適正事故率」というのがある。
● 金融についても,金融だけを見ていてはいけない,と。
 公認会計士を入れてもきちんとした監査が行われないのは,オリンパスの例でも分る。オリンパスの場合には,一九九九年から一千億円以上の「飛ばし」で損失を隠していた。(中略) 外部に監査をさせたり,社外取締役を置いたからといって,会社が健全に経営されることが保証されているわけではない。コスト高になるだけで,そのコストはアメリカの弁護士や会計事務所の利益になるとはばかばかしい話である。(p125)