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2021年11月20日土曜日

2021.11.20 和氣正幸ほか 『全国 旅をしてでも行きたい 街の本屋さん』

書名 全国 旅をしてでも行きたい 街の本屋さん
著者 和氣正幸ほか
発行所 G.B.
発行年月日 2018.08.27
価格(税別) 1,600円

● 全国の街の本屋さんが紹介されている。本にするわけだから,どこにでもある本屋ではなくて,絵になりそうな,読者の目を引きそうな本屋が選ばれるのは仕方がない。品揃えに特徴があるとか,開店の理由が変わっているとか,絵本専門とか,読者との交流を積極的に展開しているとか。
 関西だったらホホホ座とか恵文社一乗寺店がトップに来る。

● 栃木県からは内町工場(益子町)と風花野文庫(宇都宮市)が掲載されている。どちらもぼくは知らなかった。新刊書店ではないようだ。地域密着というか,店側が客を選ぶというか,そういう側面が自ずとできているのかもしれない。
 「地元の大きな本屋さん」も紹介されていて,栃木県からは「BIG ONE BOOK STORE」と「うさぎや」。「BIG ONE BOOK STORE」は13店舗を構えるらしい。氏家店はぼくの行きつけのひとつ。といって,あまり買わないのが申しわけない。

● 「うさぎや」は喜連川にあった小さな本屋だった。半世紀前に行ったことがあるが,失礼ながらもう潰れていると思っていたら,とんでもない。16店舗を展開しているらしいのだ。
 ぼくは宇都宮駅東店と自治医大駅前店しか知らないのだが,どちらも基本を押さえて,独自の特徴を出そうと試みている印象。宇都宮駅東店では “ほぼ日” の書籍を取り扱っている。
 自治医大駅前店は,県内随一の富裕&知識人層が住んでいるエリアだからだろうが,理工系の専門書から児童書まで圧巻の品揃え。ほぼ日手帳weeksも取り扱っている。

● 以下に2つほど転載。
 だけど,本の魅力はそれだけじゃない。本を手に取りページをめくると,それを買った時の記憶がふと,よみがえる。(p2)
 目的を持って本を探すのではなく,『何かないかな』と出会いを求める場にしたかったんです(p35)
 わざわざそうしなくても,書店というのは書店というだけでそういう場に最初からなっていると思うけど。

2021年4月16日金曜日

2021.04.16 和氣正幸 『続 日本の小さな本屋さん』

書名 続 日本の小さな本屋さん
著者 和氣正幸
発行所 エクスナレッジ
発行年月日 2020.10.28
価格(税別) 1,800円

● 続編は正編で取りあげなかったものを集めて出すのだから,正編よりも薄まった内容になる。と思いがちなのだが,この「日本の小さな本屋さん」に限っては続編の方が面白かった。
 第一には,堀部篤史さんが恵文社一乗寺店を辞めて新たに始めた「誠光社」が入っているからだ。著者の取材にも熱が入っている。

● 続編では次の24の本屋が紹介される。
 Pono books & time(岩手県盛岡市)
 BOOK NERD(岩手県盛岡市)
 八戸ブックセンター(青森県八戸市)

 Title(東京都杉並区)
 本とコーヒー tegamisya(東京都調布市)
 museum syop T(東京都国立市)
 本屋イトマイ(東京都板橋区)
 コクテイル書房(東京都杉並区)
 フリッツ・アートセンター(群馬県前橋市)

 石引パブリック(石川県金沢市)
 オヨヨ書林(石川県金沢市)
 ひらすま書房(富山県射水市)
 古本いるふ(富山県滑川市)

 誠光社(京都市上京区)
 ホホホ座 浄土寺店(京都市左京区)
 マヤルカ古書店(京都市左京区)
 FOLK old book store(大阪市中央区)
 居留守文庫(大阪市阿倍野区)
 Calo Booksyop & Cafe(大阪市西区)

 うずまき舎(高知県香美市)
 solow(香川県高松市)
 へちま文庫(香川県高松市)
 BOOK MARÜTE(香川県高松市)
 な夕書(香川県高松市)

● これらの書店は今回のコロナでどうなっているだろうか。カフェを併設しているところが多いので,そのあたりでどうなのか,と。
 家で本を読む人が増えたからかえって追い風になった,とは思いにくい。

● 以下にいくつか転載。
 本屋は旅する人にとっての止まり木だ。観光で疲れた心を身体を少しだけいつもの調子に戻してくれる。(p3)
 なりたいものではなく,なれるものを探していくのが人生なのだと思い込んでいた。それがあの瞬間変わった。「なりたかったものになろう。そう思ったんです」(Pono p7)
 ニューヨークにはカルチャーを中心にしたコミュニティーがあって,それに影響を受けました。言葉にしにくいですが,何かが生まれようとしている感覚というか。そういう場所を盛岡でも再現したいなと思ったんです。(BOOK NERD p13)
 本屋は他業種と比べて “集まりやすい” と言われている。それぞれの得意分野を持ち寄って神保町のような街となるのだ。(p19)
 生命の細胞が入れ替わるように本屋でもいつも本が入れ替わっていくことが大切です。(Title p25)
 江戸時代の本屋になりたいんです。当時の本屋は古本も新刊も扱って出版もする。場所によっては寺子屋も開いていた。(中略)色々な寄合に使ってもらいたいんです。(コクテイル書房 p49)
 ジャンルレスで後半な知識のつながりを眺めていると,目の前の景色が啓いたような不思議な感覚になってくる。(p91)
 テンポやコード感,アレンジに共通点があれば,ジャンルを超えた音楽を無理なくつなげることができる。その意外性やスムーズさこそがDJ的センスです。既存の分類をばらしていかに違うジャンルから編集して自然に並べるかなんです。それには自分がどれだけたくさん聴いているか,感心の幅がどれだけあるかってことが重要なんです。(誠光社 p91)
 ときにはお客さんからわかりにくいと言われることもあるがブレない。「誰を相手にするかをはっきり自覚するっていうのは商売の鉄則だと思うんです」。だからこそ守れるお客さんがいる。(誠光社 p91)
 中高生のころに通っていた京都の名店・三月書房にその原点があるという。コミックから始まり,周辺の漫画家や小説家,美術家など,少しずつ本を買って自らの知識の地図を広げていった。それらが音楽とも,映画ともつながっていき,実はすべてがどこかでつながっていることに気が付く。(誠光社 p92)
 人類学のコーナーにはフィールド録音のCDを並べる。決してここにしか置いていないわけではないのに,ここにしか置いていないように思える。(誠光社 p95)
 この物件に出会ったときに演劇をしていたときの感覚が戻ってきたんです。演劇は空間づくり。この場所で本屋をすることにそれまでの自分の活動との連続性を感じました。(居留守文庫 p115)
 開業に踏み切らせたのはオーナーや上の世代への怒りだった。(中略)負の感情は爆発力があるが長くは続かない。それでも続けたのは人との出会いがあるからだ。(Calo p121)
 面白い人がいるから面白い場所になるんだと,ぶっ飛ばされたように気が付いて,それだったら地方の方が面白いかなと思って。(solow p135)
 こういった本屋で写真集や美術書がメインでないというのは珍しい。(p141)
 物として愛でることのできる本はそれ自体に力がある。それらが集まって形成する空気のようなものが心地良さにつながっていく。本を売るための場所としてではなく,本のある空間として「どんな場所であるべきか」質にこだわっているのだ。(中略)「売る」のではなく「見せる」ことに重きを置く。(へちま文庫 p141)

2021年4月13日火曜日

2021.04.13 和氣正幸 『日本の小さな本屋さん』

書名 日本の小さな本屋さん
著者 和氣正幸
発行所 エクスナレッジ
発行年月日 2018.07.23
価格(税別) 1,800円

● 紹介されているのは,次の23の本屋。
 SNOW SHOVELING(東京都世田谷区)
 ハナメガネ商会(栃木県益子町)
 ROUTE BOOKS(東京都台東区)
 Readin'Writin'(東京都台東区)
 Cat's Meow Books(東京都世田谷区)

 栞日(長野県松本市)
 NABO(長野県上田市)
 コトバヤ(長野県上田市)
 遊歴書房(長野県長野市)

 恵文社一乗寺店(京都市左京区)
 LVDB BOOKS(大阪市東住吉区)
 1003(神戸市中央区)
 books+kotobanoie(兵庫県川西市)

 蟲文庫(岡山県倉敷市)
 451BOOKS(岡山県玉野市)
 紙片(広島県尾道市)
 弐拾dB(広島県尾道市)
 READAN DEAT(広島市中区)

 ブックスキューブリック箱崎店(福岡市東区)
 MINOU(福岡県うきは市)
 カモシカ書店(大分県大分市)
 長崎次郎書店(熊本県熊本市)
 ひなた文庫(熊本県南阿蘇村)

● インスタ映えするというか絵になるところが多い。古民家を改造していたり。いきおい,古本屋が多くなる。
 あと,本を売るだけではなくて,コーヒーやカレーを出していたり,ギャラリーを併設していたり,雑貨も売っていたり。実際問題として本を売るだけで生き残るのは難しい時代になった。
 そうまでしても,今の時点で,この23の本屋がすべて生き残っているとは思えない。

● ここに登場する人たちは,多数派が乗っかるレールに乗らなかった人たちだ。それを潔しとしなかったのか馴染めなかったのかはわからないが,とにかくレールのないところを進んできた人たちだ。
 そういう人たちはリベラルに行く傾向があるっぽい。自民党を支持するとか安倍政権はよくやったと言う人はいないのではないかと思える。
 現状がどうでもそれに批判的になる。それはなぜなのだろうと,少し引っかかる。

● 以下にいくつか転載。
 あまりこだわりを持たず,自分自身が硬くならないようにしています。計画を建てたり,こだわりを持ったりするよりも,やってくる出来事に対して,正面から受け止めて考えたほうが自分には向いていると思うんです。(ハナメガネ商会 p15)
 人が集まるためにはReadin'Writin'に行ったら何か面白いことが起こると思ってもらわなければいけません。そのためにはこちらからたくさんのことを仕掛けているんです。(中略)止まらずに動き続けているからこそ次に進める。(Readin'Writin' p31)
 旅をテーマにした本屋は日本にいくつかあるが,遊歴書房はそのどれとも違う。それは店の目的が,旅をしてほしいということではないからだろう。旅は遊歴書房のなかにいればできるのだ。(遊歴書房 p63)
 選書の基準は,いつか自分が読みたい本だ。「壮大な積読本の集まりみたいなものですね。どこかの本棚で見かけてずっと気になっていた本が自然と集まってきた。そんな棚になっています」(1003 p85)
 本当は個性をもって豊かな生活を探求しなければいけないのに,誰もそのことに気づいていない。(中略)そういった大事なことを問いかける場,立ち止まって考える場に本屋はなれると思うんです。(ブックスキューブリック p131)
 息苦しい社会を冷静に捉えなおすための余裕を持てる場所を,カモシカ書店は目指している。「本屋というものは,そういう批評的な態度がなければいけないと思っています」(カモシカ書店 p143)