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2024年5月9日木曜日

2024.05.09 茂木健一郎 『70歳になってもボケない頭のつくり方』

書名 70歳になってもボケない頭のつくり方
著者 茂木健一郎
発行所 きずな出版
発行年月日 2022.09.10
価格(税別) 1,300円

● この本もタイトルどおり,年寄りに向けたもの。ので,活字が大きい。それがしみじみ有難いと感じる年齢にぼくもなった。
 内容は,次に転載するとおりのもの。和田秀樹さんの著作を読んでいる人なら,あえて読まなくてもいいんじゃないかと思う。

● 以下に転載。
 彼らに共通するのは,「いつまでもお若いこと」ではなく,「おつもエネルギッシュで」「自分らしく人生を楽しんでいること」です。(p5)
 ご本人も亡くなるまで,年齢のことなど口にされたことはなかったのではないでしょうか。それほど年齢ということから超越した存在でした。(p17)
 「継続」で大切なのは,文字通り「毎日」することではなく,「トータルで見て,継続できている」ことです。(中略)一番いけない脳の使い方は,「継続できない自分」に失望して,本当にやめてしまうことです。(p29)
 脳の体積は,加齢に伴い減少していきます。(中略)ただし,ここからが本著で強調したい大切なことです。それは,脳には可塑性があるということ。「代償機能」と言ってもいいでしょう。(p31)
 脳は使えば使うほど,筋肉と同じようにパンパンになる。それは若いころだけに限らないということです。(p33)
 かつては脳の神経細胞は,成長期を過ぎたらもはや新たにつくられないと考えられてきましたが,90年代以降,記憶を司る海馬の神経幹細胞が,年齢を経ても増殖・分化していることがわかったのです。(p33)
 まず皆さんに申し上げたいのは,「脳は適度な負荷をかけ,酷使するくらいがちょうどいい」ということです。しかし,但し書きとして,以下のことも強調しておきます。「自分が好きなことで」と。(中略)人は好きなことに没頭して頭を使っているとき,むしろ疲れ知らずです。(p34)
 創造の斜め上を行く事態に直面した時こそ,脳はフル回転します。これが本当の「脳に負荷をかける」ということ。教科書的な「正解」がない,周囲に助けを求めたくても自分一人,これまでの知識を総動員しながら,新しい事態に対処する。こうした時に,脳は一番生き生きと活動しているのです。(p41)
 彼女(若竹千佐子)に創作の秘密を問うたときの答えが,これまた見事でうなりました。「とにかくたくさんインプットして,アウトプットは思い切り絞り込むこと」(p56)
 自分がサマになっていない体験って,案外大事ではないかと思うのです。(中略)問題は,そのパターンが年を取るにつれ,減少することです。(p71)
 一番よろしくないのは,「いつも同じスタンスで人に接する」ことです。しかめ面をして,いつも他人に説教臭く接したりしていませんか?(中略)まったく違う世代の人間とは,話すのが億劫だ。こんな人は要注意です。「Aさん」は,Bさんと会うことで「Aダッシュ」になるのです。(p72)
 一番のアンチエイジングは,若者と接することです。(中略)異なる世代の交流が,なぜ「アンチエイジング」に効くのか。若者と話していて,頭が疑問符だらけになっている瞬間,脳の中では「文脈設定の回路に変化が起きている」からです。(p74)
 「相手に遠慮させないキャラ」。目指すべきはこのポジションです。(p77)
 覚えておいてください。不機嫌なおじいちゃん・おばあちゃんに近づきたい人はいない,ということを。(p83)
 僕の理想は,オノ・ヨーコさん。あるいは,作詞家の湯川れい子さんもそう。彼女たちを見ていると「若い」とか「老い」とか,もはや超越した絶対的な存在感なんですよね。美しいんです。美しいのですが,決してそれが「若いから」ではない。本人たちも,接するこちらも,もはや「年齢」などどうでもよくなってくるんです。(p88)
 僕が提案したのは,「思い切りしゃべる場を持つ」こと。(中略)昔ながらの方式で,日記を書くのももちろんいいのですが,そのほかネット空間での,ブログ,ユーチューブ,ツイッター,クラブハウスなど,いろいろな選択肢があります。フォロワー数なんて2,3人でいいんです。(p99)
 なぜ,旅がいいのか。必ず「トラブル」に見舞われるからです。(p117)
 「遊び」ほど,創造的でイマジネーション,知力が必要となるものはありません。主体的な働きかけや工夫がないと,「遊び」は面白くならないからです。(p124)
 理想なのは,「遊び」と「学び」の境界線がなく,遊ぶように学ぶこと。あるいは学ぶように遊ぶこと。(p135)
 彼にとって読書や学びは,「役に立つか立たないか」が重要であって,「立たない」なら読む必要がないと思っているわけです。彼等は若くして,すでに老化が始まっているのではないでしょうか。(p135)
 そもそも「日記」を書くという行為は,非常に脳を使う作業です。(中略)記憶・感情・言語・運動・・・・・・,あらゆる脳の機能を総動員して成立するのが「日記」です。(中略)日記のもう一つのメリットは,自らを「メタ認知」できること。(中略)文章を書くことで,自分の言動を一歩引いて眺められる,振り返る,内製する,そんな効果が「日記」にはあります。(p139)
 ツイッターの何がいいかというと,「エイジレス」なところです。(中略)ツイッターの場合は,そうした「自分像」から隔絶することができる。(中略)シンプルに発言内容が面白ければ,人は反応してくれる世界です。(中略)140字の文字数制限も絶好の脳トレになります。文章は長く書くより,短く書くほうが難しいからです。(p145)
 脳の神経細胞は「始めてのこと」に非常に強く活発化します。しかし,二度目,三度目となるとどんどん低下していってしまいます。(中略)どうぞ,自分にとっての「初めて」を探してみてください。(p168)
 「自分のどうしても苦手なケース」だけは避けるようにしておくと,反対にそれ以外の行動はだいぶストレスフリーに楽しめるようになります。(p187)
 「自分らしく生きる」スタイルの確立は,10代や20代ではできません。50年,60年生きてきて初めて,「これが自分だ」という自己像ができあがる。(p199)
 「スタイル」とは,「自分」と「好奇心」のバランスでしょう。いくら「自分らしい」服でも,そこに「好奇心」のスパイスがないと,ただの古ぼけた「習慣」になってしまうのではないでしょうか。(p204)

2021年8月1日日曜日

2021.08.01 茂木健一郎 『脳がめざめる「教養」』

書名 脳がめざめる「教養」
著者 茂木健一郎
発行所 日本実業出版社
発行年月日 2019.08.20
価格(税別) 1,400円

● 「動的教養」という言葉が出てくる。というより,それが本書のキーワードだと思えるのだが,では動的教養とは何かというと,「あなたの身近にあるツールを使いこなして知識の幅を広げ,コミュニケーションに役立てる力」(p16)と定義される。
 たとえば,次のようなこと。
 そんな若宮(正子)さんの有名なエピソードとして,CNNから取材が来たときにGoogleトランスレートで英語を日本語に直し,日本語で書いた返答をまた英語に翻訳してメールをしたら,1時間後にはCNNで流れたという話があります。それを聞いて,僕は深く心を動かされ,「これから身につける教養というのはこのようなことだ」としみじみ感じました。(p97)
 いまの時代はあなたの経験不足や実力不足を補うツールが山ほどあるわけです。だったら,明日からでもプロフェッショナルとして生きるとしたら・・・・・・という自分ごと感,現場感を持って,実力不足や時間不足を補うツールを使ってアウトプットをする。その経験が教養を深めてくれるのです。(p108)
 現代の動的教養は「すぐに始められる」ものに変化してきています。何者かになるための積み上げが教養なのではなくて,何かをやりながら,同時に動的教養も身につけていくというスタイルです。(p144)
 ん? それって教養なのか。

● 以下に転載。
 潜在能力がほとんど生かされないまま残っているというのは,現代の脳科学でも定説とされています。(p23)
 天才たちの多くに共通するのが,学校教育ではない場所で知識を蓄積したことです。(p24)
 僕が世の中を広く知るために活用しているものといえば,「Twitter」です。え? いまさらツイッター? なんて思ったあなたは,ちょっと時代に遅れているかもしれませんよ。(中略)僕は自分でもひんぱんにツイートしますし,自分のツイッターにフォローリスト(僕が定点観測しているアカウントを集めた一覧)をつくっていて,そのリストを見ればいま世の中で起こっているおおよそのことが把握できるようにしています。編集者に見せてくれと言われましたが,こればっかりは見せられない,僕のトップ・シークレットです。(p70)
 ツイッターを見ることのメリットには,自分の発信力も磨けるということがあります。(中略)価値ある情報さえ発信できれば,それによって,社会的評価も上がってステータスを手にできるのが現代社会というわけです。逆にいえば,誰もが知っている情報をどれだけツイートしても誰も見向きもしません。それがツイッターの世界です。ツイートにオリジナリティがあってはじめて,みんなが注目してくれるのです(p72)
 読書をせずに「広く知る」ことは,いかにテクノロジーが発達したとしても不可能です。動的教養が増やせる読み方とは雑読乱読。(p74)
 雑読乱読がよいもうひとつの理由は,偏りのない読書法が脳全体のマッサージになるからです。(p77)
 僕がこれまで生きてきた経験からいうと,難題難問がふりかかってきたとき,その答えや解決方法は,すでに誰かが出していることが極めて多い(中略)ですから何かに困ったときも,哲学という教養を身につけていれば自分なりに考えなくてもいいのです。先人の知恵を参考にすればいいだけです。(中略)大抵のことはすでに先人が考えに考え抜き,最良の答えや結論に行きついている。それを知ることも大切な教養だということです。(p89)
 (白洲正子は)女性が能舞台に上がるなど言語道断とされていた時代に4歳から能の稽古に通い,家の中にはいまなら国宝級の器やなんかがゴロゴロしている。そんな環境で育ったのです。美しいもの,最上級なものに自然と触れる。そうすることで,脳に「美しいもの」の知識や経験が蓄積されていったのでしょう。その蓄積された知識や経験をギュッと押し詰めて,パッとつかめるようにしている=美的感覚に優れているということ(p102)
 神経回路をつなげるには,データを蓄積することが必要です。つまり,僕たちの脳はいろいろな知識や経験のインプットによって,ディープラーニングしている。その結果として新たな神経回路ができる。(p103)
 私たちの脳にディープラーニングさせるには,とにかく場数を踏むことが重要です。(中略)とにかくどんどん経験を貯める,そうすることで判断力や自分のスタンスが養われていきます。それが「センス」の正体です。(p104)
 教養を深めていくときに大切なのは,「現場感」を持つことです。(中略)「現場感」を持つということは,言い換えれば,「自分ごととして体験する」ということです。(p106)
 これからの時代というのは,ずっと動き続けている人がいちばん輝くことは間違いありません。(p118)
 教養として押さえるべきことは押さえておかなければいけない。それがケンブリッジでは当たり前のことなんですね。一事が万事,そんな具合ですから,ケンブリッジのトリニティカレッジの正門前にある本屋さん「ヘファーズ」の品揃えはすさまじいいものでした。(中略)自由に振る舞うためには,前提として知っておくべき教養がある。それを実体験として学ぶことができたのは,私にとって幸運でした。(p137)
 何かを生み出すのは無意識だと脳科学では考えられているのです。何かの選択肢を生み出すのも無意識です。それに対して,意識はその選択肢を選ばないという,いわば無意識の邪魔をする働きだと言われています。(p148)
 なぜ世界の映画学校はほぼ例外なく黒澤監督や小津監督の映画を生徒に観せるのか,(中略)それによって,やはり映画を学ぶための時間が効率化できるからです。プロが「これはいいよ」と言っているものは,教養として網羅しておいたほうが絶対にいい。(p184)

2021年5月15日土曜日

2021.05.15 茂木健一郎 『脳を活かす伝え方,聞き方』

書名 脳を活かす伝え方,聞き方
著者 茂木健一郎
発行所 PHP新書
発行年月日 2013.12.27
価格(税別) 760円

● 雑談や会話,コミュニケーションといったところでも,「脳科学的な」観点からいくつもの本を著者は出しているのだが,その嚆矢になったのが本書かもしれない(違うかもしれない)。
 雑談は高度に知的な作業であり,会話は脳にいい。アンチエイジングになる。大きくまとめてしまうと,そういうことが説かれている。

● 好きな曲を繰り返しで聴く人は,とどまろうとする人であり,若々しさや創造性から遠ざかりがちな人である,という。ぼくは典型的なとどまろうとする人だ。

● 以下に多すぎる転載。
 私の場合,三十歳から四十歳くらいの約十年間で,「友だちビッグバン」のようなことが起こったのです。その十年の間に交友関係が,まるで宇宙の始まりの時に起こった大爆発のような勢いで広がり,仕事の幅まで広がっていったのです。その間に何が起こったのかというと,自分と考え方や価値観が違った人に会っても,以前のように拒否するのではなく,他者と自分の違いを楽しめるようになったのです。(中略)欠点は私自身にもあるのだから,相手の欠点も大目に見よう,と思えるようになりました。(p11)
 素直に弱さを出せる人は,人に好感を持たれます。(p34)
 美術館を訪れた際,作品の横に書いてある説明書きばかりを読んでいる人をたまに見かけます。(中略)本当は,作品を観てそこから何を感じるかのほうが大事だと思うのですが・・・・・・。(p39)
 包み紙とは,人の場合でいえば,学歴や地位や名誉のことです。(中略)人の本質とは,包み紙で何重にも包装されたものを一枚一枚はがしていった後に現れるものです。だから,本当に自信がある人は,自分をそんなに飾り立てて宣伝する必要がありません。(中略)包み紙をはいだ後に,まったく何も残らない人間というのはいません。どんな人でも素の部分には面白いものがあるはずです。(p46)
 「私」を意識しすぎると,脳の機能が低下する(中略)コミュニケーションも,「私」を出してはいけない典型といえます。(中略)「私」を意識したコミュニケーションは,うまくいかないのです。(p47)
 話している時と,聞いている時とでは,使っている脳の回路は異なります。(中略)そのため,ひとりの人間が他者とコミュニケーションを取るためには,感覚系学習の回路を通じて相手の情報を取りこみ,次に運動系回路を通して相手に自分の意見を話す,という情報出力を行う必要があります。つまり,よいものを見たり聞いたりしたら,それを今度は人に話したり,日記やブログに書くなどの出力をしないと,いい会話をしたり,いい文章を書くなどのスキルは向上しないのです。(p50)
 人間の脳は,なんでも,その場ででっち上げることができるのです。(中略)これは悪いことだと思われがちなのですが,脳の仕組みからすると,コンファビュレーションが会話の本質であるといえるわけです。でっち上げを楽しむのが会話だと思うと,会話自体を楽しめると思いませんか。(p64)
 でっち上げとは,嘘ではなく,その場で何かをつくるということです。(中略)その場で即興でつくっていくのが会話なのです。(中略)ですから,会話の上級者が交わす会話というのは,ただのお喋りではなく,芸術になってしまうほどすごいものなのです。(p66)
 もし会話上手になりたいのであれば,寄席や落語会に行くことをお勧めします。最低,一〇回は通ってください。(中略)是非,生の落語を聴いていただきたい。生の現場は,迫力が違います。(中略)演者がつまらなければ,お客さんは平気でトイレに立ったり,何かを食べていて,ろくに聴いていないことだってあります。演者にとっては非常に厳しい現場なわけです。その厳しい現場に客として居合わせるだけでも,参考になります。つまらない話に対しては,本来,人は容赦がないのだということを,目の当たりにできるからです。(p73)
 古典落語を読んで会話術を学ぶ方法もあります。というのは,落語の多くが,会話を基本として構成されているからです。早稲田大学名誉教授で,落語研究家だった興津要さんが編集された『古典落語』と『古典落語(続)』(共に講談社学術文庫)は,とくにお勧めです。(中略)新米の落語家も読んで勉強するくらいですから,相当に読み応えがあります。会話術を上達させたいなら,五回は読んでほしいと思います(p74)
 それでも,日々努力を続けています。やはり,一生磨き続けようとしないと,会話術はどうしても衰えてきてしまうものですから。(p76)
 彼らに共通しているのは,自分を偉い人だと思っていないこと。ある出版社の編集者が言っていたことですが,サブカルチャーの人たちがすごいのは,偉ぶらないところだ,と。自分を偉いと思っている人の話は,だいたい面白くありません。(p77)
 人の話を真剣に聞く時に,一番大事なことは中心を外さないで聞くことです。(中略)相手の話に前のめりにもならず,かといって離れもしない。つかず離れずの距離を保ち,聞く姿勢はブレさせないという,まさに「聞く」ことの最上級の聞き方です。(p82)
 「相手の話を聞いていて,自分が苦しくなってくるのは,それだけ相手の病が重いということだ」と。(p85)
 会話をする態度としてよくないのは,非対称性ができてしまうことです。とくに大人と子どもの会話は,非対称性に陥りやすい典型といえます。(中略)そうではなく,大人だって子どもたちから教えてもらえることがたくさんあるのだという態度で会話をすべきです。そして実際に,子どもたちから教えてもらえることはたくさんあります。そのためには,「自分はそんなことに興味はないから」と興味の対象を限定しないことです。(中略)よい会話とは,相手の世界を自分の中に入れるためにあるものなのですから。(p94)
 謙虚さとは,年齢や社会的立場といったことに関係なく,「相手は自分の知らないことを知っているのだ」と敬意を払う態度のことです。(p95)
 今は,『まどか☆マギカ』と「オペラ」とがまったく同等な情報として扱われていい時代であると思います。むしろそう思えない人は,年齢や社会的立場を超えた会話を楽しめないのではないでしょうか。(p97)
 時には積極的に傷つくつもりで,他人にぶつかっていくことも必要です。会話力を上げることは,それくらい価値のあることです。会話力がアップすれば,それだけで生きていけるといっても過言ではありません。(p101)
 相手の話が終わってから質問を考えているようでは,もう遅いのです。話を聞いている時点で質問を考えていないと,思いつきだけで質問することになる場合が多いからです。(p104)
 いい質問とは,その質問をすることで周りの人の利益にもなる,という公共性を意識したものだと思います。また自分が聞きたいことをピンポイントで聞ける能力も重要です。(p105)
 相手についてあまり調べすぎるとうまくいきません。これは,司会など場を仕切る仕事を数多くこなしてきた実感から得たことです。(中略)下調べしたことに引きずられてしまって,今のその人をうまく引き出すことができなくなっていることに気がついたのです。(p109)
 重みのある質問とは,質問自体に切実さとか,苦しみとか,痛みといった身体感覚とつながったものが宿っているものです。(p112)
 私は問いの答えを見つける能力よりも,問い続ける能力のほうが,人間として大事な気がします。また,そういう人は,年を取りません。(中略)問い続けることで脳に空白が生まれ,そのことが脳にとってのアンチエイジングになっている,というわけです。(p114)
 人間関係において,ストレスが溜まるのは,相手に合わせすぎることが原因だと推測されます。(p120)
 人間にとっての理想のコミュニケーションの在り方は,自然体でいることだと思います。そして,それは可能なのです。(中略)そのほうが自分も楽だし,周りともうまくいくのです。(p123)
 セールスマンがセールスのために訪問した家で,相手の話に熱心に耳を傾けていただけなのに-つまり,積極的に商品をアピールするなどしなかったのに-「あなたは話が上手ね」と言われた,という有名なエピソードがあります。つまり聞き上手な人は,会話上手にも見えるということです。(p134)
 たとえば,「クラシック音楽には価値があるけれど,ポップスはくだらない」という考え方の人がいるとしましょう。こういう人の雑談力は高いとはいえないでしょう。(中略)雑談上手な人は,さまざまなものを愛することを知っている人だといえるでしょう。(p134)
 大きな成功も素晴らしいが,失敗すらもなんらかの糧になる,そういう価値観をもっている人はすべてを引き受けることができます。(p135)
 雑談は,相手に興味をもつことから始まります。相手がどんな人であれ,人間は何かしら面白いところをもっています。相手をよく観察すれば,必ず面白い面が見つかります。(p136)
 私も高校生くらいまでは,自分が興味のある話以外は,すべて無駄な話だと思っていました。だから,コミュニケーションが苦手だったわけですが・・・・・・。雑談を無駄なことだと思わずに,その時間をどれだけ楽しめるかが,その人のコミュニケーション能力の表れなのだと思います。話すことは無限にあり,世の中には自分の知らない面白いことがたくさんあると思っている人は,潜在的にコミュニケーション能力が高いのだと思います。(中略)世の中の多様性を楽しむこと,という表現が一番ふさわしいでしょうか。(中略)ひいては,それが生きることの多様性を楽しむことにもなります。(p137)
 情報の収集源は,いろいろあります。その中で一番大事なのは,自分自身の中にある「好奇心」をアンテナにして,そこに引っかかってくるものを収集することです。(中略)外部の情報源としては,最近ではツイッターの「トレンド」や「ヤフー・トピックス」などが使えます。(p134)
 「こんなことを聞いては,いけないんじゃないか?」というような引っこみ思案や羞恥心は,コミュニケーションを取る上では捨てたほうがいいでしょう。(p147)
 会話が脳にとってのアンチエイジングとなるのは,「好奇心」を満たすことが脳にとっての若さの源になるからです。したがって,会話をしない人の脳は,だんだん衰えていってしまうのです。(中略)会話から得られる情報は,テレビや新聞,インターネットなどのメディアが提供する情報とは脳の受け取り方が違います。会話から得られるのは,生身の人間がもたらす生きた情報なので,脳が本気になります。(p150)
 雑談とは,この後の会話の展開がどうなるのか,その場にいる誰にも予測できないという,「予測不可能生」に満ちています。(中略)予測できないことに対応するからこそ,脳が鍛えられるのです。(p158)
 雑談という言葉には「雑」という漢字が入っているため,雑多なもの,どうでもいいもの,というニュアンスが含まれて,軽視されがちなところがあります。(p160)
 人の話を聞いて学ぶことの生物としての意味は,「自分だったらどうするか?」,そこにしかないのです。それこそが,究極のシミュレーションなのです。(p171)
 自分の好きな音楽を繰り返し,繰り返し聴き続ける人は,そこにずっととどまろうとする性質をもっています。(中略)あるいは,クラシック音楽など,すでに評価が定まったものばかり聴く人も,とどまろうとするタイプの人です。(中略)新しい音楽や本を求めて,「次,次」といける人は,自分の中に子どもの部分を残している人です。(中略)それとは反対に,同じところにずっととどまろうとする人は若々しさから離れていきます。(p174)
 好奇心の割合が高い人は,新しいものを求める傾向が高いけれど,そこにはいいことばかりが待っているわけではない。新しいものは,評価が定まっていないので無駄なもの,よくないものも含まれている可能性が高い。それでも,無駄ではあるかもしれないけれど,果敢に新しいものを求めます。それが大人になっても若さを失わない人の特徴であり,創造的な人の特徴でもあります。(p176)
 人を縛る規範とは,社会のルールや人の目といっていいでしょう。犯罪に手を染めない,マナー違反はしない,などの基本的なルールは当然守るべきですが,それ以外のものは,人を不自由にさせます。(p180)
 安定と変化のバランスを取るためにはどうすればいいのか。それは,一〇〇%変化を求めて行動することです。人間は変わろうとして目一杯アクセルを踏んでも,そんなには変われない生き物です。だから,一〇〇%変わろうとするくらいでちょうどいいのです。(p184)
 厳しい言い方ですが,「人は変わらない」と思っている人は,変わることができません。「人は変わることができるのだ」と,分かっている人だけが買われるのです。(p185)
 男はこうでなければならない,女はこうでなければならない,私はこういう性格だ,と決めつけるから脳に抑制がかかる。その抑制をうまく外してあげれば,人は変わることができます。(p185)
 大人になるということは,社会のルールを身につけていくことなのですが,ルールを身につけた分,脳が学習する可能性は狭まります。子どもは,ルールがないところから学習していくから,学習する能力も高いのです。大人になっても,子どものように学習していく可能性を広げるには,賢くルールを緩めることが必要だと思います。(p187)
 会話もそれと同じで,全部言う必要はなく,自分が言いたいことの七割か八割にとどめておく。そのほうが,相手に考えさせる余韻を与えることができます。(p193)
 どんなことを話したか,そのテーマよりも,その会話が楽しかったかどうかのほうが重要なのです。(p205)
 本当に面白い雑談を一時間でも二時間でも続けられる人は,実は知性が高いということです。それはペーパーテストでよい点数を取るよりも,ずっと知的なことなのです。(p206)
 愚痴や悪口などを一方的に話す人は,たいてい周りが見えていません。しあがって,その人の話を聞いてあげようとするあなたの思いやりも見えていません。(p209)
 会話をするということは,相手を知るだけではなく,自分を知ることでもあります。自分がどういう人間であるか分からないからこそ,他者との会話を通して自分を知ろうとするのです。それは,自分が他者からどう見えるかを確認する作業でもあります。(p213)
 一匹一匹のアリは,独立して動いていますが,巣全体で見ると一つの意思をもっているかのような動きをします。同じように人間の社会も,一人ひとりの脳は別々でも,社会全体としてはある意思をもっているように見える時があるのです。(p216)

2021年1月31日日曜日

2021.01.31 茂木健一郎 『もうイライラしない! 怒らない脳』

書名 もうイライラしない! 怒らない脳
著者 茂木健一郎
発行所 徳間書店
発行年月日 2020.03.31
価格(税別) 1,500円

● 日本のお笑いについて怒りのツイートをして炎上・・・・・・。その体験から怒ってはいけないと思ったのかどうか,“怒らない” に焦点を合わせて論述。
 怒ってもいいことは何もないという,まぁ,すでによく知られている命題についての解説と,どうしたら怒らないようにできるかという方法論の解説。これも,しかし,あまり新味はないと思う。すでに誰かが説いている。

● が,ネットで炎上したときの対策はなるほどと思った。ブロックしてはいけないというところには,特に。
 しかし,参考になるというのではない。SNSをやっていたりブログを書いていたりする人は星の数ほどもいると思うのだが,ほとんどの人にとっては炎上を心配する必要はない。100人にしか読まれないTwitterや1日に50PVしかないようなブログが炎上することはあり得ないからだ。
 多くの人に読まれていればこそ炎上もする。炎上を体験できる人は,SNSやブログで何らかの発信をしている人の中のエリートだけだ。おそらく,100人に1人もいまい。1,000人の中の2人か3人ではないか。
 で,炎上に群がって,罵声や正論を浴びせるのは,残り998人か997人の人たちということになる。そういう図式だろう。
 エリート対大衆,ということだ。炎上させて手痛い目に遭うのがエリートで,叩いて気晴らしをしているのが大衆。いつの時代でも救いのないのが大衆だよ。

● 以下に転載。
 怒っても,何も変わらない。むしろ事態を悪化させてしまう・・・・・・。その事実に気づいたから,怒らなくなりました。気づくまでに何十年とかかりましたが(p2)
 怒らない人になってよかったことを挙げるとすれば,人間関係が円満になること。もう一つ挙げれば,脳が活性化すること。怒らない人は,脳の機能を十分に活かすことができます。(p5)
 日本ほど怒りが満ちている国はほかにはない・・・・・・。あくまでも私の体感ですが,そう言っても過言ではないでしょう。(中略)SNSをはじめとするインターネットの世界にも,怒りがあふれています。(中略)世間を騒がした人への誹謗中傷,個人攻撃があとを絶ちません。(p14)
 私自身は「怒らない人生を生きることが人類の究極の目的」だと見なしています。これからの人生をそのように過ごしたいと,心から思っています。(p43)
 脳が怒りに「ハック」されてしまっています。怒りにハックされた脳は,もはや自分自身をコントロール不能な状態にさせます。(p49)
 怒ると,脳の働きが不十分になって言葉で説明するのも難しくなります。こう考えるほうが自然ですが,実は逆です。説明するのが面倒くさいから,怒ってしまうのです。(p62)
 脳には「ミラーシステム」と呼ばれるものがあります。目で見た人の動きを無意識にマネしてしまう働きが,脳にはあります。(中略)誰かが怒っていると,それを見ている人にもその怒りが波及することがあります。(中略)悲しいことに,怒る人は,自分自身が怒りの発火点になっています。(中略)怒る人は相手を怒らせる名人。(p65)
 怒る/怒らないは性格によって決まるものではないこと。脳の前頭葉がコントロールできるかどうかが,深くかかわってきます。(p78)
 気持ちがささくれ立ってきたら,笑顔になりましょう。ニッコリ微笑むだけで,怒りの気持ちは消えていきます。(中略)つくり笑顔でも大丈夫。照れ笑いでもいいでしょう。(中略)それだけで怒りを抑えるのには,十分です。(p94)
 子どものころは,ケンカをして「絶交だ」と言って別れても,数日もすれば,どちらからともなく歩み寄って,仲直りできたものです。(中略)大人になると,そうカンタンに一度こじれた関係は戻りません。(p144)
 「それを言ったらおしまい」ということは決して口にしてはなりません。(中略)言った瞬間にゲームオーバー。(p145)
 脳は本来,無限とも言える回路を持っていて,これまでまったく接点がなかった神経細胞がつながることで,新たな発想やひらめきが生まれたりします。問題が発生しても脳が正常に活動できていれば,打開策や起死回生のアイデアが出てくるかもしれません。ところが,怒りにハックされてしまうと,新たな回路がつくられることもなくなります。(p157)
 常に回路が作られるようにするには,脳を「とらわれない」状態にしておく必要があります。とらわれがあると,脳は特定の回路しか使われなくなりがち。(p158)
 雑談には,目的もルールもない・・・・・・。無計画とか無節操と言われれば,そのとおりなのですが,逆に言うと,「だからいい」のです。(中略)雑談しているときは,脳がたくさんの回路を使っています。(中略)このように脳のあらゆる回路を使う習慣がついていると,イライラしても怒りの回路がつくられるのをブロックします。(p167)
 慣れないことをすると,自分の未熟さや勝手に決めつけていたことなどが見えてきます。自分の無力さを痛感することで,許容範囲が広くなります。(p171)
 集中していても,脳はありとあらゆることに即座に反応できるようになっています。(中略)何かに集中して取り組んでいても,それ以外の回路も開かれています。(p178)
 一度に二つ以上のことをする「ながら仕事」はよくないことのように思われがちですが,脳の複数の回路を同時に働かせることになりますから,なんら悪いことではありません。むしろ脳を活性化させます。(中略)こうしたながら仕事やながら勉強をしていると,脳が多方面で活動することになりますから,特定の回路だけを使うことを回避するようになります。イライラしてきても,脳が怒りにハックされにくくなります。(p178)
 言葉は,その人の分身。使う言葉には,その人の思考や行動,価値観が色濃くにじみ出ています。(中略)脳を「快」にするキレイな言葉を使うと,相手の脳も快になります。(p181)
 私は前日の夜にどんなに遅くまで仕事をしたり飲んだりしても,朝は6時前に起きるようにしています。朝早く起きるのは,することがあるから。(中略)ジョギングするために,朝早く起きていると言っても過言ではありません。(中略)いつまでもグズグズ寝ていないでパッと起きたほうが脳にとってもいいのです。(p184)
 悔しさはあるに違いないのに,勝った人を祝福するのは,そのほうが自分自身も快になるからです。(中略)ある意味では,相手から「成功のおすそ分け」をしてもらっています。(p192)
 「今に見ていろ!」と悔しがると,やる気がフツフツとわき上がっているように感じますが,これは,錯覚です。(中略)攻撃性や闘争本能を高めるためのものなので,誰かを傷つけずにいられないし,長続きしません。(p193)
 私自身,過去にツイッターへの投稿が炎上したことがあり,実にたくさんの人が匿名による怒りのコメントをしてくるのを身をもって体験しました。その負のエネルギーはすさまじく,うつになったり人間不信に陥ったりしてしまう人がいるのもうなずけるほどです。(p220)
 第三者があれこれ口を出すことではないし,正論をぶったり怒りを表明したりするのは,余計なお世話。第三者がSNSで不祥事を起こした当事者に怒りをぶつけるのは,筋違いです。火事場の野次馬と大して変わりありません。(中略)本人は正義の人になったつもりで怒りに任せて正論を述べているのでしょうが,価値観の押しつけです。(p220)
 もしあなたがこのような怒りの投稿をしているとしたら,やめる方法は,第一に炎上した不祥事のニュースを見ないこと。炎上したネット上は罵詈雑言の嵐ですから,それを避けることが自分を怒りから遠ざけることになります。(p223)
 ネット上で怒りをぶつけてくる相手への対応として,大原則と言うべきものが二つ挙げられます。一つは,反論しないこと。(中略)反論するのは,まさにこちらが怒りに感染している証拠。相手はさらにかさにかかってきます。ツイッターの世界では,「トロールにエサを与えてはいけない」という有名な格言があります。(中略)もう一つは,ブロックしないこと。(中略)別の捨てアカウントをとって,攻撃してくるのは可能で,しかもその気になれば何十,何百と取得できます。ブロックされると,むしろ相手の闘争心に火をつけることになり,追求の火の手が激しくなります。(p224)

2021年1月30日土曜日

2021.01.30 茂木健一郎 『ど忘れをチャンスに変える思い出す力』

書名 ど忘れをチャンスに変える思い出す力
著者 茂木健一郎
発行所 河出書房新社
発行年月日 2019.07.20
価格(税別) 1,300円

● 著者の茂木さんも年を取ったということか。本書で説かれていることのひとつの柱は円熟ということ。尖っているよりも円熟を目指すべきだ,と。
 読者層も高齢期に入った人たちを想定しており,高齢者に宛てて書いている。老人生活論的なものだ。柔軟性を失うな,自分の暮しをルーティンで満たすな,初めてのことに挑戦してみよ,今の延長線上に未来があると思うな,と,老人を励ます言葉が並ぶ。

● 以下に転載。
 面倒な過去は思い出さないほうが楽に暮らすことができますし,われわれは「できれば悩みなど持たずに暮したい」と思うものですが,それが逆に,若さやエネルギーを失わせ,幸福の追求の妨げになってしまうことがあります。(p3)
 あまり意識していないことですが,われわれは小学校の頃から学年主義を押しつけられてきました。(中略)外から与えられた文脈に素直に適応していると,年をとってから困ることがあります。(中略)実際にはまだまだ働く力があるのに,まるでそのあたりの年齢で働く能力がなくなるかのように社会制度側に言われてしまう。それで脳は「そういうものなのかな」とその文脈に適応して,自分から元気をなくしてしまいます。(p16)
 これからは,男らしさ,女らしさ,などありとあらゆる「らしさ」が取り除かれていく時代になります。私たちが無意識のうちにまとっている「らしさ」の一つは年齢です。(p22)
 インターネットは,自分で自分が好きなことに,情熱を燃やしていい場所です。そして作品の発表の機会は,誰にでも開かれています。(中略)年齢が関係ない世界になっているのです。(p23)
 若い人は未来の自分のためにお年寄りのイメージを,お年寄りは過去の自分のために若者のイメージをもっているのがいいと思っています。一人の人間の中にゼロ歳児からお年寄りまで,全年齢の人が存在することでバランスがとれるからです。(p30)
 右も左もわからないことをする,経験値ゼロで挑む,というのが5歳児の力です。それは,50歳からでも80歳からでも可能です。(中略)もしあなたが15歳の少年少女だったら,「これからの人生は,これまでの15年の人生の延長線上だろう」などとは想像もしないでしょう。(中略)自分が慣れている方法で,これからも生きていかなければならないというのは,「制約」です。(中略)これまでに作ってきたルールを前提にしてしまうと,これからできることは限られてしまいます。「自分らしく」と思っていること自体が,自分の未来を限定したり,規定したりしてしまうのです。(p32)
 「らしさ」というのは,実は人生の途中で作った一つの仮説にすぎません。(中略)仮説だからそれはいつでも変えられる。(p34)
 趣味や副業がせっかくあっても,「本業」あってこそと,「趣味」や「副業」をないがしろにしてしまっている人たちがいます。すべての文脈を同列にとらえずに,本業だけを重要視していますが,本当は「本業」も一つの仮説にすぎないのです。(p36)
 人間は生き物です。生き物として重要な記憶は,実は,感情を使って覚える記憶です。(p40)
 生き物としての脳が本気になることの一つに,初めてのものごとを体験するときがあります。(中略)感情が最も働くのが,初めてのときなのです。(p42)
 誰でも「偽の記憶」を持っています。海馬という編集のメカニズムがあるために,われわれはありもしなかったことまで,鮮やかに思い出すことがあるのです。(p45)
 意識的に考え尽くして行き詰まってしまったら,もう寝てしまって,脳に完全に任せてみると,記憶の整理がついていい答えが出ることがある,というのが常識になっています。(中略)われわれが思っているよりもずっと,脳は賢いのです。(p52)
 無意識だけに任せていると,自分の悪癖を強化してしまうことがあります。(中略)自分の思い出し方の癖を脱却するために,普段思い出さないことを意識的に思い出すようにするのです。(p53)
 自分の人生経験も,その感情的意味合いは,意識して思い出し,多角的に眺め,何度も分析していくことによって,さまざまに変わっていきます。人間の記憶,感情の仕組みから言えば,過去は変わらないものではなく,育つものなのです。(中略)たくさんの経験をすればするほど,それを思い出せば思い出すほど,創造につながる。新しい理解づくりをしているという意味で,このような頭の中での経験の処理も,芸術家の作品づくりと同じく,人間の創造性と言うことができます。(p56)
 「Aを選んでしまったから,Bはもうできない」というのは実は思い込みで,Bは工夫次第でできるのです。(p63)
 どんなおじさん,おばさんも,かつては少年少女でした。思い出すこと(中略)は,もう一度少年少女に戻ることです。(中略)八千草薫さんなど,いつまでも若々しくて,多くの人の憧れになるような人は,少年少女だった頃のことを,思い出すのが得意な人なのだと思います。(p65)
 何かを学ぶために「学校に行かなければ」「カルチャーセンターへ行かなければ」「先生を見つけなければ」「正しいことが書いてある教科書がどこかにあるだろう」という考え方から離れることです。現代の「学び」は,自分のやり方でやることが大事です。なぜならば,「正解などどこにもない」ということがつかめた人が,万能人になっているからです。(p77)
 現代が万能人を出す基盤が整っているというのは,学校では分野ごとに分けた教育をしていても,検索エンジン,ユーチューブなどで,興味があるキーワードを入力してみれば,いくらでも無料で学ぶ素材が出てくるからです。(p81)
 ストレスなく楽しそうにしている人が,一番学習をしている人という不思議な状態に今はなっています。(p83)
 脳の回路は,経験によって毎秒毎秒つなぎ替えられています。そのつなぎ替わり方には,われわれの想像を超えることがあって,一部が外傷や病気で傷ついたときにも,他の部位が代わりをして,才能を開花させることがあります。できなくなることによって,できることが生まれる。(中略)「ある回路があることで,抑えられている能力がある」とも言えます。(p97)
 生物は用不用説が原則なので,生きるうえでとりあえず不要だと思われている機能は抑えられていますが,それが他の機能がなくなったことで,不要から要に変わって行くことがあります。言語能力が優れている人は,通常言葉で全部記述しようとしてしまうけれども,言葉が苦手な人は絵を描いたりして自分を表現しています。逆に言えば,ものごとを粘り強く論理的にとらえられている人は,絵画的にものごとを見ることができないというところがあるのです。(p99)
 可塑性を十分に発揮するには,生きる意欲が鍵になります。(中略)何かをして,「これは楽しい」「これは生きることに役立つ」と脳が思うと,脳の中で報酬物質ドーパミンが出て,回路がつなぎ替えられることになっています。(p100)
 自分の脳が何を欲しているかということ,つまり,脳が脳の欲求を自覚することは,永遠に学び続けられる脳にするために,とても必要なことです。(p107)
 比較的リラックスしているときに,「どうしてこれが?」というような文脈とはまったく関係のない何かが思い出されたことはありませんか?(中略)その「何か」というのは,無意識からの手紙のようなものです。(中略)そういうものにこそ注意を向けて,「自分の無意識は何を訴えているのだろう?」とよく考えてみてください。(p117)
 心地よく暮している感じが剃るときは、あなたは自分の人生を自分で導いているとは言えません。(中略)決まった脳の回路ばかりを使っていて,人生が固まってしまっているということです。あなたには,何か使っていない回路があるはずです。(p121)
 音楽でも,ヘビーローテーションで同じ曲ばっかり聴いていたとしたら,危険な兆候です。(中略)すでに自分が好きだとわかっているものの中だけで,生活を営むようになっているとしたら,実は,好奇心を失ってしまっているか,自分の欲望がみえなくなってしまっているのかもしれません。(p124)
 「物」があると,脳は思いだしやすい傾向があります。今の時代は,デジタル時代,バーチャル時代で,「物」が置きざりにされており,本当に「思い出す」ことがしにくい時代です。(p128)
 あなたは今この瞬間のあなあだけがいるわけではなく,もしかしたら今から見れば「あり得ない」と思うような,昔のあなたも確かにいたわけで,思い出すことでそれがひとつながりになっていきます。それによってものごとが一面だけではなく,重層的に見られるようになります。(中略)それによって,未来のことも,「このままの世界がずっと続いていくだけだ」というふうには思わなくなります。(p129)
 無意識が自由にものを言えるようにするために,意識して,ニュートラルに,満遍なく,さまざまな時代を思い出すのがいいのです。(p131)
 奈良の正倉院の御物でさえ,ときどき虫干ししているといいます。宝物は,ときどき箱から取り出して日に当てなければ,虫に食われたり,黴が生えたりしてしまいます。記憶も同じです。ときどき思いだして,虫干しをしてみるといい。(p135)
 創造とは,何もないところに急に何かができあがることを言うのではありません。もともとあったもの同士が,つながり方を変えて出てきたり,もともと何かがあったところへ,別の何かが来ることによって,パズルのピースがはまるように,完成したりすることです。だから,年を重ねた人のほうが,クリエイティブになるには有利な点があるのです。(中略)たくさんの経験を持っていて,なおかつ「何かやりたい」「何かないかな」と常に外の世界と,自分の中の図書館とを探索している好奇心の強いお年寄りなら,まったく新しいものが創れる可能性があり,最強だと言うことができます(p143)
 時代が変わってしまったからこそ,今に生きつつ過去を振り返ることが強みになるのです。(p145)
 中高生と話していると,「こんなにものを知らないのに,なぜこの子たちは自信にあふれているのだろう」と思うことがあります。つまり,何も知らなくても持てるものが「自信」です。若者は聞きかじりの知識だけで,「将来はロボットに人間の意識を移せるんですよ」などと大胆に言ってきます。意欲があるとは,そういう大胆さ,無謀さがあることで,それは圧倒的な宝なのです。(中略)自信や意欲は,根拠なく持っていい。--これは覚えていてください。(p145)
 子どもを見ると,本当によく遊んでいます。動物も人間も,若いときほどよく遊ぶことが観察されていて,驚くべきことに,遊ぶときに脳の回路が劇的につなぎ替えられるといわれています。(中略)ものごとを一つの意味だけでしかとらえず,遊ばない,遊びの余地を残さない,無駄なことをやらないと,脳は学びをなくしてしまいます。(中略)意欲を持ちにくい人は,意味を問う癖がついてしまっている可能性が高いです。(p149)
 クリエイティブなのは,尖った人で,円い人は,成功などしない。道徳的な人はつまらない。--まだそう思う人のために補足しておきましょう。成功している人は,イメージは確かに尖っていても,その実,そうでないことが多いものです。(中略)本当に素でも尖っているという人は,だんだん仲間も仕事も減ってしまうのではないでしょうか?(p156)
 文明的にも文化的にも発達の途中で,とにかく駆動力が必要だった時代には,尖ったものが必要だったでしょうが,物があふれて,何もかも飽和状態の今は逆に,円熟の思想こそ求められているのです。(p158)
 個性は,ネットワークの中で作られていくのです。周りの人を活かす中で,自分が活きてくるという不思議な関係にあります。(p167)
 何をするのがベストという客観的な「答え」はなくて,そうしたほうがいいのかどうかわからないから「自分が判断する」必要がある。(p186)
 お金につながらなくても,自分の時間を何に使うか自分で決めて,飽きることがないというのが何よりも大事です。(p186)
 「プロになって第一線で大活躍しなければ意味がない」と思うのは間違いで,「新しいことを始める」「自分がやってみたかったことを素直にやってみる」ということがどれだけ自分に満足感や喜びを与えるか,確かめてみてください。(p187)
 子どもの頃の気持ちを取り戻すためには,自分がまったく素人になるものごとにチャレンジするのが一つのコツです。自分の直感がまったく働かないものごとをやってみれば,また,自分が誰よりも下手というところに身を置いてみれば,簡単に子どもや若者と同じ状況になります。(p198)
 幸せな気分になったときに,人は初心を取り戻しやすいのです。(p209)
 「何が何につながるかわからない」というのが,脳の基本性質だということです。自分がどこにたどり着けるかは,いろいろなことの合わせ技で決まります。(p216)

2020年2月16日日曜日

2020.02.16 茂木健一郎 『脳HACK大全』

書名 脳HACK大全
著者 茂木健一郎
発行所 PHP
発行年月日 2019.10.08
価格(税別) 1,500円

● 茂木流実用書の集大成という感じ?
 Twitterは情報収集のために使うべきで,ネット上でコミュニケーションするために使うのは時間のムダだという。そうだと思う。“いいね”をしあったってねぇ。まして,リプを付けあったところで。Twitterで“いいね”をするのは,そのTweetを取分けておくためだよね。

● 以下に転載。
 僕はメモはなるべくとりません。やはり脳内で完結するほうが,融通が効くのです。メモをとったとしても,メモをとることを目的とするのではなく,メモをとりながら自分と対話することが大切なのだと思います。(p3)
 脳に入れる情報量を調整するために,スケジュール管理などもインターネットを使ってやっています。今は便利なツールがたくさんありますから,IT技術をフル活用しない手はありません。(中略)脳の回転速度を落とさないために,脳に情報を溜め込まないようにするのです。(p22)
 アポイントメントを求められたら,そこが会議室だろうが居酒屋だろうが,かまわずパソコンを開き,その場で予定を確認します。そして,なるべくその場で(中略)詳細を書き込んでしまいます。(p23)
 アウトプットの時は,なるべく事実を調べず自分の主観に従って,生鮮食品のように取り出すのが正しいと思っています。(p40)
 仕事から仕事の移動に電車やタクシーを極力使わず,自分の足で歩くようにしたのです。それ以来,大げさではなく人生が変わった気がしています。(中略)なにより頭の整理に最適なのです。(中略)歩くことのメリットは,一種の感覚遮断がなされるということです。(p58)
 感情は伝染しますから,やはり明るいエネルギーをもらえそうな人の周りに集まってしまうのでしょう。(中略)顔は自分のインターフェイスです。化粧をしろ,身なりを研究しろ,というのではありませんが,なるべく人に良い気持ちをおすそ分けするつもりで,接するようにしてみてはいかがでしょうか。(p61)
 人の悪いところばかりを気にしていると,ミラーニューロンが働いて,それが自分にうつってしまうのです。(p65)
 ストレスに弱い人のほとんどは,不確かなものに遭遇した時に,ネガティブな結果ばかりを想像してしまいます。しかしそこで「じゃあ,具体的にどう解決すればいいのか」を考えてみる。最悪の自体をシミュレーションできていれば,その中間程度のものは「大したことがない」と思えてくるはずです。ここで大切なのは,シミュレーションした内容を家族や友人に話してみたり,文字にして具体的に書いてみることです。(中略)これを「無意識を意識化する」といいます。(p71)
 勉強にせよ仕事にせよ,この「没我」の境地に達していないと,なかなか向上できません。我を忘れるほどに集中していない状態では,対象と自我の間に壁をつくっているということです。(中略)ここでもっとも大切なのは,本人が,行動に伴う結果ではなく,その行動自体に価値を見出しているということです。(p86)
 ここでポイントになるのは,原文から目を離すということ-つまり一時的に頭の中に記憶し,それを書き写す作業にすべきなのです。(p92)
 「私」を意識すると,脳の昨日が低下する(中略)人がもてる力を最大限に発揮できるのは,「私」を忘れて,無心(フロー状態)でいる時です。(p116)
 でっちあげを楽しむのが会話だと思うと,会話そのものを楽しめると思います。(p125)
 良い会話とは,相手の世界を自分の中に折り入れるためにあるものなのですから。(p131)
 問いの答えを見つける能力よりも,問い続ける能力のほうが人間として大事な気がします。そういう人は,絶対に年をとらない。(p134)
 雑談を楽しめるかどうかは,その人の若さのバロメーターでもある(p143)
 辛い思いは抑圧しているよりは,意識の中に押し出してしまったほうが,そこから自由になれます。(p165)
 子どもは人見知りが激しい反面,仲良くなるまでの時間も短いのです。(中略)人間が大きな成功を収める秘訣は,大人になって経験を積んでもどこかに子どもっぽさを残すことなのではないでしょうか。(p179)
 ポピュリズムに阿るばかりでは本当の文化はつくれません。文化をつくるということは,何ものにも寄りかからないことです。(p195)
 現代の脳科学では,学習は必ずしも秩序立てて行う必要はないと考えられています。断片的なインプットを継続して行うことが大切なのです。(p199)
 自分の中から湧き出てくる言葉や文を,流れるように書いていく。これはある程度のスピードがないと起こりません。(中略)文章を書きあげる際には・ある程度のスピードで一気に書き進めていくエネルギーが必要です。(p208)
 人間の記憶とは,コンピュータのメモリー機能のような過去の蓄積ではなく,体験の「編集」であることがわかるのです。(p212)
 脳の個性は欠点と長所が表裏一体になっています。(中略)苦手のすぐそばに得意があるのです。(p214)
 僕は,人が成長する時のきっかけは「背伸び」だと考えています。そして,背伸びをする時に欠かせないのが,他人の目です。(p227)
● こんなのもあった。
 僕は大事な記憶を忘れないためにも,あえてメモをとりません。脳は,本当に大事なことはメモをとらなくても覚えているものだからです、(中略)忘れてしまうものはたいしたアイディアではありません。
 メモはとりませんが,iPadに自分が今,調べているテーマ別にノートを作っています。アイディアが浮かぶとすぐに書き込むようにしているのです。(p26)
 それをメモっていうんじゃないの。メモってんじゃん。

2019年8月22日木曜日

2019.08.22 茂木健一郎 『脳を使った休息術』

書名 脳を使った休息術
著者 茂木健一郎
発行所 総合法令出版
発行年月日 2017.12.01
価格(税別) 1,300円

● 脳を休ませることは創造につながるというんだけどね。どうすれば脳が休まるのかといえば,同じことをダラダラと続けない,1人の時間を大切にする,散歩やジョギングをしてみる,・・・・・・。ふぅぅ・・・・・・

● 以下に転載。
 どんなに強くどんなに速い馬でも,頑張りというのは一生のうちにごくわずかしか使うことができないんです。(p27)
 ストレスのまったくない環境では,意欲の低下が生じてしまう(p62)
 たとえば,「努力するのが苦手」という人は意外に句読点のつくり方がわからないので,「努力がずっと続く」というイメージを持っていることが多いのです。(p72)
 私が大学院生のときに,ある有名な研究室で「1年で364日実験して,1日で考えろ」というモットーがありました。今考えると非常に理にかなっていると感じます。悩んでいる時間と行動している時間とでは,ほとんどの人は,おそらく悩んでいる時間のほうが長いはずです。(p83)
 天才と秀才を比べると,天才のほうがはるかに努力していることが多いからです。ただ天才は,それを表に見せていないだけなのです。(p93)
 ここでご紹介したお二方(隈研吾,所ジョージ)には,ある共通点があります。それは,「手ぶら感がすごい」ということです。(p103)
 脳を休めるというのは,どちらかといえば,脳を普段と違う使い方をすることによって「脳をマッサージする」ということに近いのです。(p127)
 より効果的に脳を休めるためには,一体どんな工夫が必要になってくるのでしょうか。ここでも実践的な提案をするのであれば,「現場を離れる」ということです。これがとても大事になってきます。(p141)
 私自身も,都内の移動くらいであれば,なるべく公共の交通機関を使わずに歩くように心がけています。ここで重要なのは,「ストレスをリセットするんだ」という認識のもとで,歩き出したらボーッと何も考えない時間を確保するということです。(p146)
 脳を休ませるには,「一人でやる」という基本姿勢が大事になってくるのです。(p164)
 私はよく,「これから10分間仕事をするとしたら,自分の尊敬する人だったらこの10分間でどれだけの仕事ができるのだろうか」ということを考えて仕事に取り組むようにしています。(p175)
 自分自身の考え方をしっかり整理できている人というのは,何が重要なものであるかということが,しっかり理解できている人といえます。逆に,自分自身の考え方を整理できていない人というのは,どうしても小さいことに捉われてしまったり,ついつい他人に流されてしまいます。(p180)

2019年7月1日月曜日

2019.07.01 茂木健一郎 『「いい人」をやめる脳の習慣』

書名 「いい人」をやめる脳の習慣
著者 茂木健一郎
発行所 学研プラス
発行年月日 2018.12.11
価格(税別) 1,300円

● 和田秀樹『自分を信じるということ』と同じ内容。つまり,自分を信じるということは“いい人”をやめることでもある。
 ぼくが若かった頃は最大の徳目は協調性だった。今でも変わるまいが,それを揺さぶる動きが堀江貴文さんあたりを源流にして大きな流れを作りつつあるように思われる。
 自分はといえば,人からの依頼を断れる人になりたい。

● 本書では職場の狭い範囲で同じ人と飲んだり食べたりするのではなく,別の世界にいる人と会うことの重要性が説かれている。なかなか難しいだろう。
 が,今はSNSがある。直接会わずとも,謦咳に接することは一応可能だ。SNSには毀誉褒貶あるが,ネットをうまく活用すれば,ベストではないにしても現状を揺すってみることはできるのではないか。

● 以下に転載。
 そもそもこの世の中には,すべての人に好かれる人などひとりもいません。(中略)これが人間関係の本質ではないでしょうか。ところが,こうした本質を認めることができない人は意外にも多く,誰からも好かれたい一心で「いい人」を演じてしまい,苦しんでいるのです。(p18)
 「いい人」を演じているあなたの脳で,どんなことが起こっているのか。実はその瞬間,あなたの脳の前頭葉では抑制回路が強く働いています。(p21)
 世の中で成功を勝ち取っている人たちのほどんどは,脳の抑制を外すことに長けた人たちです。そのため,熱烈な支持者もいれば,同時に強烈なアンチもいるわけですが,彼らはそんな周囲の反応などに臆することもなく,常に新しいことにチャレンジしてイノベーションを起こしているのです。(p33)
 「いい人」という言葉は「常識人」とも言い換えることができるでしょう。しかし,大きな結果を出したいときに「常識人」でいることなどできないのです。(p34)
 脳科学的に見ても,人間は現状を変えることを嫌う生き物だといえますから,この固定観念は必然的に身につきやすい考え方だといえるでしょう。(中略)しかし現在は(中略)ものすごいスピードで変化しています。つまり,固定観念を捨ててその変化に対応できなければ,どんどん時代に置いていかれてしまう。(p43)
 「相手の期待に応えるよりも,まず,自分の気持ちを優先させよう」 私はそう考えて行動する習慣を持ったことで,脳の抑制が外れてフル回転を始めるようになりました。(p50)
 「自分をさらけだす」 これが,自分の個性を発揮するということです。(p55)
 「人よりも劣っている」と覆われるポイントの近くに,その人ならではの輝きが潜んでいることは,脳科学の研究でもわかっています。(p58)
 なぜ,他人の期待に苦しまないのでしょうか? それは,期待とは「応えるもの」でhなく「超えるもの」なのだと考えているからです。期待に“応える”という「相手本位」の発想ではなく,期待を“超える”という「自分本位」の発想にシフトチェンジするのです。(中略)たとえそれが面倒な仕事であっても「期待を超える」と決意した途端,嫌々やっていた仕事が,チャレンジすべき仕事へと変化するのです。(p65)
 存在感がある,つまり独自の輝きを放っている人の言葉と行動には,常にその人なりの哲学が込められています。(中略)皆さんもまず自分の存在感を意識して,少しでも自分を出してみてください。(p80)
 嫌われることを恐れ,自分の保身ばかり考えている人には,どうがんばっても相手の心の中を読むことはできないからです。その点,どうすれば相手に喜んでもらえるかをいつも真剣に考えているような思考回路の人は,誰からも好かれ,何をやっても受け入れてもらえるということになるのです。(p92)
 「この状況をどうすれば楽しめるのか」という意識を持ちさえすれば,どんなことでも自分の学びや成長の機会にすることはできるということ。(p117)
 ユーモアのセンスを身につけること自体は,脳科学の立場からも,ぜひおすすめしたいことです。というのも,脳の神経回路は楽観的に物事を捉えることで活性化され,潜在能力が発揮されるという性質を持っているからです。人間関係に限らず,あなたがさまざまなチャレンジを続けている際に,笑顔でいることは大変重要なのです。(p127)
 私自信もSNSを利用していますし,そのシステム自体に問題があるとは思ってはいませんし,無理やり辞める必要があるとも思いません。むしろ,これは使い方次第で自分の世界を広げることがでいる素晴らしいツールだと思っています。そして,狭いコミュニティで他人の顔色を窺ってばかりいるよりは,SNSを通じて世界中の人と「毛づくろい」をしてほしいと考えています。「いい人」ちすて評価されることなどはさっさと卒業し,世界に能動的に働きかけて,本当の意味での「自己アピール」をしてみてはいかがでしょうか。(p131)
 セルフ・ブランディングを成功させるために,最も重要なポイントは何でしょうか。社会や周囲に対して,自分がどんな価値を提供できるのか,さらにはどんな貢献ができるのかを,他者の価値にぶら下がるのではなく,自分自身が責任を持って発言,行動することによって明確にすることです。(p133)
 「いい人」は常に他人本位のマインドになりがちで,能動的に自分の感動を他者と共有する意識が低いものです。けれどもあなたが自分の本当に感動したことを発信し続けていれば,そのうちあなたに賛同してくれる人,すなわち同じ「バズ回路」を持った人が現れるはずです。(p137)
 自分の意見を言えない人間は意思決定を任される人材になり得ないのです。(p144)
 賢いといわれる人ほど,実は「手抜き」が上手であるということをご存知でしょうか。(中略)ですが,そうした「正しい手抜き」をするためには,まずは本物の味を知っておかなければならない。(p162)
 「つながりタイム」を十分に楽しむためには,それと同じくらいに十分な「孤独タイム」がないといけないのです。なぜなら,人間は孤独な自分だけの時間に,他人とのコミュニケーションから得た情報や感覚を脳の中で整理する必要があるからです。(p168)
 人とのつながりに過度な期待を持たないことで,かえって自己肯定感が高まり,人間関係を構築する心地良い自信が生まれるものです。(p169)
 私は,正しいといわれる行動を1回しかしない人よりも,間違った行動を100回する人のほうが,絶対に学びが多いと考えています。そうやって「正解」がわからないことが,世界の最先端を生きている証なんだ。そう思えば,どんなことでも楽しくなります。(p185)
 「いい人」のままでいる人は,自分の個性という資源を使わずに,そのまま放置している人です。(中略)自分という個性の資源を発掘できなければ,当然自分自身を生かすことはできませんし,いつまでも「いい人」でいると自分の付加価値がどんどん下がっていきます。(p188)

2019年4月6日土曜日

2019.04.06 堀江貴文・茂木健一郎 『嫌われ者の流儀』

書名 嫌われ者の流儀
著者 堀江貴文
   茂木健一郎
発行所 小学館
発行年月日 2011.06.19
価格(税別) 1,500円

● 堀江さんが収監前に茂木さんと行った対談をまとめたもの。本は畢竟,面白ければそれで良い。という雑な基準しかぼくは持っていない。本書は充分に面白いので,それで良いのだ。
 “アラブの春”をもたらしたのは,若者の性欲だという,言われてみればそうかもと思わせる意見も,他では読めないだろう。

● 以下に多すぎる転載。
 多数決の「勝ち」側に寄り添うことは,自己保身だけを考えれば楽だが,絶対に自分のためにはならないと思う。何よりも,自分の魂の成長にはならない。(茂木 p1)
 既存の価値観を壊す人こそが,私たちを次のステージへと連れていってくれるのだ(茂木 p2)
 そのためには予定調和では無理だ。インターネットとともにやってきた新しい経済の文法の下では,少数派,異端者こそが次の大きな波を創り出すからである。(茂木 p4)
 一見「敵」に見える人が,その懐に飛び込んでみれば実は恵みの泉だったということは,しばしばあるのである。(茂木 p5)
 ひとつのことをやっているように見えても実は本当のプロは,日々新しい発見や体験をしている。何十年も刀鍛冶をやっている人でも,彼の中では日々変わり続けて,新しいことにチャレンジしていたりする。(茂木 p19)
 現状を説明するのって楽なんですよ。今自分が知っていることを述べるだけだから。それに対して新しいことは未知のことであるので説明しづらい。説明しづらいことを逆手にとって現状肯定をし,それで未来をディスった気になっているんですね。(茂木 p20)
 そもそも,国家というもの自体が信用に値すべきものかどうかって疑念もあるんだ。(茂木 p26)
 人の仕事や新しい産業を虚業と決めつけて見下すメンタリティには反吐が出る。(茂木 p29)
 記事を書かれる対象である堀江さんにしても安藤美姫にしても,自分の存在を世間にさらして,自分の一挙手一投足について批評される覚悟を持って生きているわけ。リクスを負っていると言ってもいい。それに対して日本の新聞記者は署名記事をほとんど書かずに会社の陰に隠れて匿名で好きなことを書いている。個人としてのリスクを負っていないんだ。無責任なんだ。そんなやつらが2ちゃんねるに対してネットの匿名性の危険とか書いている。危険なのはお前らの方だろうって思うんだよ,俺は!(茂木 p37)
 この国で「私はとても性格がいいです」と見せている人間ほど,この国の社会の抑圧に加担している人間にしか思えない。(茂木 p39)
 僕は日本の新聞記者の優秀さって,限られた文字数の中でどれだけどうでもいい当たり障りのない記事を書けるか,っていうところに一番表れていると思う。(茂木 p53)
 1日1回の弁護士の接見意外は人とも会えないから,すごく殺伐としてくるんですね。あまりにも気分が殺伐となって,「あれ? なんで自分はこんなに殺伐としているんだろう」と考えたら・・・・・・いや,女性に会ってないからだって気づいたんですよ。(堀江 p70)
 資本主義社会の中の企業のトップでありながら,資本の仕組みを尊重していないから。(堀江 p81)
 個人としてリスクを負いつつなにかをやる強さがない人は,往々にして自分という存在を国家というものにすぐ結びつけてしまう。(中略)弱い立場の人が自分を国家と結びつけることによってパワーアップした気になれる。自分がいきなり強い立場になったようなイリュージョンを得られるわけで,この中毒性はかなり強いから,なかなかそこから抜け出すことが難しい。(茂木 p102)
 覚悟を決めた個人は国家よりも強い。それが今は科学技術の発達と情報の流通によってさらに強固なものになっている。(中略)情報と暗号技術ですね。(堀江 p105)
 あの辺り(チュニジアやエジプト)で暮らす若者の最大の不満はセックスなんじゃないかと思ってるんです。(中略)彼らはイスラム教で婚前交渉が禁止されているじゃないですか。(中略)インターネットを通じて,外国がいかに自由奔放かがわかるじゃないですか。でも,肝心のエロ画像とかは規制されているから見られない。これは不満が溜まりますよ。(中略)セックスって,生き物としての人間の根幹にかかわる部分だから,ここを抑圧されると本能的に反抗せざるを得ないと思うんですよ。(中略)こういう根源的な生き物としての不満に比べると,新卒一括採用なんかへの不満というのは,重要度からして違う気がするんですね。(堀江 p108)
 自分が勝てるルールを作るってすごくクリエイティブなことだけどね。(茂木 p131)
 ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』で言及される“超人が超人になる瞬間”って,自分の咽の奥に噛み付いているヘビを,超人が逆に噛みきってしまう瞬間なんですよ。自分の咽に噛み付くヘビなんていう恐ろしいものは,それまで普通の人々を抑圧していたものの象徴。(茂木 p135)
 みんな,子どもは同じスピードで成長していくっていう幻想にとらわれすぎだと思うんですよ。そういう前提にもとに教育制度も作られているから,18歳になるまで高認の受験資格がないなんてバカみたいなことになる。(堀江 p147)
 あるとき友達がこう言うわけ,「おい,茂木,大学に自宅から通っていない,下宿している女子大生って銀行とかに就職できないんだぞ」って。俺はもう,その話を聞いてものすごく怒って,(中略)本当に血管が切れそうになるぐらい腹が立って仕方なかった。(茂木 p149)
 小さい頃から優等生で先生の言うことをなんでも聞いて・・・・・・という人じゃ革命は起こせない。(中略)「いい子」とか「優等生」って,そうした摩擦がない分,社会との関係を根本から考え直す機会がないから怖いんですよ。(茂木 p150)
 人生には安定なんて絶対にないんですよ。ないものを追い求めすぎているんです。(堀江 p154)
 川のように常に流れていくものを,無理にせき止めて「ほら,なにも流れない,変わらない」ってことにしていれば,やがて水は淀むし,活気も失われるよなぁ。(茂木 p154)
 とくに原発や節電については,あまりにも科学的な事実からありえないようなデマも流れていて,それに反論すると一斉に非難されて叩かれちゃうみたいなところもある。(中略)とくに過剰な自粛を,自分だけじゃなくて他人にも求めるというのは副作用の最たるものだと思うんです。(堀江 p178)
 僕はライブドア事件での検察とのやり取りでよくわかったことがあるんです。それは,結局,みんな自分を基準にして物事を考えて,思い込みで動くっていうこと。それと人は何回言ってもわからないもんだということなんです。(堀江 p183)
 ツイッターの仕組みがとてもよくできているとわかるんです。ツイッターってタイムラインがどんどん流れていくじゃないですか。あれって人の意識がどんどん流れていくのと一緒なんです。みんな,一度言われたことを忘れちゃうのと同様に,ツイッターでの意見もどんどん流れて見過ごされていく。だから,“無理解”に対して繰り返し同じようなことをつぶやくんです。そうやって,自分のフォロアーの全員に,僕の思っていることを伝えられたら勝ちだと思っているんですよ。(堀江 p184)
 僕みたいに神経質な人間は,自分のタイムラインを全部追って読もうとするんですけど,大抵の人はツイッターにアクセスしたときに画面に出ているタイムラインをさっと眺めて終わりなんです。自分の言いたいことを言って終わり。なにか反論されてもそれすら見ていない。僕はそういう人にも自分の意見はちゃんと伝えなきゃと思っているんですね。(堀江 p184)
 ルール原理主義も,要はロジックで考えてないってことだもんね。だから情緒的反応と一緒。(茂木 p187)
 試験の点数で測られる集団の合理性っていうのは,人生全体の合理性から見たらすごく小さい(茂木 p195)
 あの京大のカンニング事件を必要以上に怒る人って,自分のアイデンティティーが受験に受かったことにしかない人なんじゃないかな,とは思いましたね。(堀江 p197)
 でもやっぱり,パーティーに呼ばれるかどうかこそが,本当の意味でガチンコの世界だよね。(中略)カネや地位がなくても,「なんかこいつは魅力があるな」と思われる人物になれるかということだよね。そしてこれからは,レベルの高いパーティーにはリヴァイアサンしか呼ばれない。そいういう時代なんだと思う。で,東大や京大に行くっていうのは,まったくリヴァイアサンであることと関係ないっていうか,むしろリヴァイアサンから離れることなんだけど。(茂木 p198)
 (マスコミは)人の不幸をメシの種にするわけですから,どうしてもそうなりますよね(事件で盛り上がる),だから戦争が起きた方が盛り上がるし,実際,かつて日本が戦争を始めたときは新聞の部数も伸び,メディア全体で喜び勇んで,どんどん応援していたわけです。(堀江 p212)
 老舗の古い企業の経営者,創業から何代目の社長みたいは人は必ず言うんですよ。「官には絶対に逆らうな」と。(堀江 p218)
 みんな簡単に過去のことは忘れちゃうんだな,というのは身にしみて思いましたね。(堀江 p223)
 僕は,世の中を変えるものは政治ではないと思ってますから。世の中を変えるのはテクノロジーですよ。(堀江 p224)
 あの事件(ソニーの情報流出事件)はなにかを象徴しているような気がしますね。ソニーと,たとえばグーグルの違いみたいなものがはっきり出た気がするんです。おそらくソニーはハッキングされたネットワークの作業を外注しているでしょう?(堀江 p231)
 もう大学で義務的に何かを学んだり教えたりっていう時代じゃないんですよ。スキルと意欲の高い人が一緒になって何かを研究する,そんな私塾がこれから必要だと思うんです。(堀江 p237)
 技術者だけでやっていたら,絶対にロケットは飛ばない。僕がいなければロケット開発は成功しないってわかるんです。(中略)データ云々じゃなく,とにかく打ち上げを成功させ続けてチームのモチベーションを上げていかないとロケットは成功しない。(堀江 p240)
 北海道大学もロケットの研究をやっているんですが,彼らには申し訳ないですけど,「絶対にロケットを打ち上げてやる」って情熱が感じられないんです。論文を書ければいいやぐらいに思ってるんじゃないかな。ロケットを打ち上げるよりも論文を書いてアカデミックな地位を上げていくことが主目的に思えてならない。でもそれじゃあ,ロケット打ち上げなんて成功しないですよ。(堀江 p242)
 ロボットの分野だったら,「俺が絶対にガンダムを作ってみせる!」ぐらいの執着がないと成功しないんですよ。そこそこじゃダメなんです。(堀江 p243)
 日本は変わらないんじゃんくて,変われない,変わる能力を持たないんじゃないかっていう絶望ですね。日本の社会に意味のないシステムや価値観が変わらず残り続けているのは,悪意や怠慢のせいではなく実は無能だからなんじゃないか,と。(中略)日本の社会が変わることは期待できないから,今後は日本全体に期待せずに個々人がそれぞれスキルを上げてサバイバルしていくしかないのかもしれない,って思い始めたんです。(茂木 p246)
 人間とは自分以外の者に対して,実は全く興味を抱いていないのも事実だ。(堀江 p250)
 テレビの情報収集力というのはやはり半端ないのである。魅力的な人物でないと競争の激しいテレビの世界で主役を張ることは出来ないことくらい私は知っていたはずなのだ。つまり,茂木健一郎が魅力的な人物であることは,ちょっと考えればわかることなのであった。(堀江 p250)
 世の中の多くの人たちは八方美人である。嫌われないことを最優先に空気を読む。だから,大審査が起きたら「自粛」する。多くの人は被災地の人を想って自粛するというよりは,周りに自粛していないことで後ろ指を指されないように自粛しているのではないか。(堀江 p251)
 グローバル化を日本だけが拒絶することは許されない。国際社会が許さないからだ。(堀江 p254)

2018年10月8日月曜日

2018.10.08 外山滋比古・前田英樹・今福龍太・茂木健一郎・本川達雄・小林康夫・鷲田清一 『何のために「学ぶ」のか 中学生からの大学講義Ⅰ』

書名 何のために「学ぶ」のか 中学生からの大学講義Ⅰ
著者 外山滋比古
   前田英樹
   今福龍太
   茂木健一郎
   本川達雄
   小林康夫
   鷲田清一
発行所 ちくまプリマー新書
発行年月日 2015.01.10
価格(税別) 820円

● 中学生に向けた学び方,生き方指南。自分が中学生の頃,これがあったとして,果たして読み解くことができたろうか。
 特に,最後の鷲田清一さんの話は,折にふれて何度も読み返すべきものだと思った。簡単に“わかる”ことの危険を説く。

● 以下に多すぎる転載。鷲田清一さんからの転載が多い。
 日本では一九世紀からつい最近まで,満点のほうが七〇点や六〇点よりいいと,学校も世の中も考えていた。その結果,いつしか社会は活力を失ってしまった。(外山 p11)
 いったい,「満点をとる」とはどういうことだろう? 私に言わせれば,それは「頭が機械的に優秀である」ということだ。(外山 p12)
 知識が増えると,どうしてもその知識をそのまま使用して物事を処理しようとしがちになる。自分自身で考えることが,ついついおっくうになりがちだ。(外山 p15)
 人間は非常に保守的な生き物だ。いったん始めたことはなかなか変えない。(外山 p18)
 勉強は体を動かすことと組み合わせないといけない。(中略)体をうごかして集中力を高める必要がある。(中略)文武両道でなければダメなのである。(外山 p31)
 人間が自分の頭で考えるようになるためには何が必要か。(中略)不幸とか,貧困とか,失敗とか,そういう辛い境遇から逃げないことだ。困難な状況の中にいないと,頭は必死になって考えることをしない。(外山 p34)
 文章にかけて,百閒の右に出るものはない。ドイツ文学を専攻し,ドイツ語の先生をしていたのに,百閒の文章には外国語のにおいがまったくないのにおどろく。(外山 p38)
 対象への愛情がないところに学問というものは育たないと私は思う。(前田 p55)
 君たちが教員から学ぶべきなのは専門知識ではなく,彼らがものを考えるときの身ぶりや型なのだ。そこにその人のほんとうの力が現れている。(前田 p58)
 自分を発見すること。世界と出会うこと。この二つは表裏一体の出来事だ。世界と出会うことによって改めて自分を発見しなおす,と言ってもよい。(今福 p67)
 「わかりやすいこと」は,すでにある,誰もが知っている情報のパッケージとして組み立てられているから「わかりやすい」のだ。(中略)だから新しいものには,はじめ必ずわかりにくさがつきまとう。「わからない」のは,ネガティブでつまらないことではなく,ポジティブでおもしろい未知がかくれているということなのだ。(今福 p84)
 「頭がいい」とはどういうことか。それは「努力の仕方を知っている」ことだ。(中略)勉強というのは情熱を注ぎ込めばすごいところまで行ける。(茂木 p105)
 脳をうまく使うには,ドーパミンをよく出してあげることが必要だ。それでこのドーパミンは,少し自分には無理かな,と思うくらいのことに挑戦して,それをクリアできたときに,いちばんよく出る。(茂木 p108)
 いつも他人と比較して劣等感を抱いていると,そのことをだんだん見ようとしなくなる。避けるようになる。(茂木 p113)
 余計なことを省略して,やるとなったら一秒後から実質に入る。(中略)「九時になったら勉強しよう」「あと三〇分ゲームをやったら勉強しよう」-そんな「自分への花束贈呈」みたいな儀式は即刻中止して,思い立ったらすぐ机に向かおう。(茂木 p117)
 一生,勉強し続けなければ,先はないと思ったほうがいい。もちろん,がんばって志望校に合格することは大切だ。でも,それがゴールだとはくれぐれも思わないでほしい。クリアすべき第一関門でしかない。だから逆にいえば,その程度のことはとりあえずクリアしてほしい。(茂木 p121)
 感覚を研ぎ澄まし,いわば野生動物のように,あの本,この本と渡り歩くようでないといけない。だから,「どんな本がオススメですか」と他人に聞く癖がある人は,ぜひともそういうことはやめて,自分自身の原始感覚を磨くようにして欲しいと思う。(茂木 p125)
 七〇年生きるゾウも,二年くらいで死ぬハツカネズミも,心臓の打つ回数は一五億回,呼吸の回数も三億回で同じ。同じことを二年で凝縮してやるか,七〇年かけるかで生き方はだいぶ違うはずだ。(本川 p139)
 子どもは私である,孫は私である。そう考えると,子どもを産める条件を備えていながら子どもをつくらないという選択は,生物学的には自殺に当たる。生物としての基本は次世代の私をつくること。それがすなわち大人になるということだ。ところが,最近はみんな大人にならない,なりたがらない。(本川 p145)
 実は新発見というものは,発見者が一五~一六歳の頃からその種を自分の中に宿していることが多い。(中略)これは分野によらない。このことが端的に示しているのは,世界を変えるのは知識ではなく「若い力」だということだ。若い力とは「知らない」力であり,「知っている」ということよりも「知らない」ということのほうが重要なのである。(中略)新発見は,それまでの常識からすればエラー,あるいはアクシデントと呼ばれる事態の中でなされることが多い。(小林 p163)
 数学の勉強が嫌いなら,どこが好きでどこが嫌いなのかを考えてみてほしい。考えることが,単なる好きや嫌いの感覚から距離を置くことを教えてくれるから。それが学ぶことの第一歩。(小林 p165)
 学ぶためのもう一つのポイントは,全体を見ること。それと同時にどこか一点を見なければならない。全体だけを見ていても絶対に自分のものにはならない。(中略)これは思考の基本でもある。人間がものを考えるとき,公理から出発することはありえない。全体のコンテクストをぼんやりと視野に入れながら,その中で手がかりを見つけて,考えを進める。(小林 p165)
 人間は,決して完成しない存在なのだ。しかし,それでも完成してしまったらどうすべきだろう。実は,完成は壊さなくてはならない。(小林 p167)
 高校生たちは「何もかも見えちゃってる」などと言っている。だから元気が出るはずないよ,という顔をする。(中略)が,「見えちゃってる」のはいいことしか見ていないからだ。(鷲田 p180)
 ほんとうにつらいときの人間は,ただ生きていること,それすらできない。つまり,人間はただ生きるだけのためにも,自分がここにいる理由が欲しい。(鷲田 p182)
 一つだけてっとりばやい逃げ道がある。それは恋愛だ。恋愛は相手から,自分の存在の理由を与えてもらえる。(中略)こんなに楽な状態はない。(鷲田 p183)
 近代社会は「生まれ」,つまり階層,地域,言葉,性別,といった本人が選びようのない条件はすべて無視しようという考えを基本に成り立っている。(中略)その代わりあとは自分で選びなさい,と放り出される社会だ。そうするとどうなるか。今ある自分は自らが選択した結果なのだからすべて自分の責任だ,ということになる。(鷲田 p186)
 そんな大きい責任を課せられている今の時代であるにもかかわらず,若い人に限らず,すべての世代が,どんどん無力になっていると私は感じている。大げさな言い方だと思うかもしれないが,では,この中にお産のときに赤ちゃんを取り上げることができる人はいるだろうか。(中略)昔は,こういったことは女性であれば全部できたのだ。(中略)人にものを教えることも,うまくできなくなっている。教育は学校の責任になった。(中略)最低なのは,隣近所とのもめ事が起こったとき,それを解決する能力すらない。すぐに役所に電話したり,何かというと弁護士に頼んだりする。(鷲田 p187)
 近代社会は,全員が責任を持った「一」である市民社会をつくろうとしていたはずなのに,結局私たちは「市民」ではなく「顧客」になってしまった。(鷲田 p190)
 最近カウンセラーたちが,「トラウマ」や「アダルトチルドレン」「うつ」などといった言葉を使う。これらは本来慎重に扱うべき言葉なのだが,安易に使われている。人生は,そのようなひと言で言い当てられるほとシンプルではないはずだ。(鷲田 p191)
 「あなたはうつ的な状態です」と診断しても,今の患者さんは受け入れず,「違います。私はうつ病なんです」と,言い張るそうだ。つまり病気にしてもらわないと困る,というわけだ。理由は簡単だ。病気であれば,「私のせいではない」からだ。(中略)ふさぎやしんどいことには,自分で真正面から格闘しなければどうしようもない。(中略)これは単に逃げているだけ。一番してはいけないことだ。そういう思考回路に陥ると,次第にものの考え方が短絡的になっていってしまうのだ。(鷲田 p191)
 だから,私たちは「ちっとは賢く」ならなければいけない。「賢い」というのはつまり「簡単な思考法に逃げない」ということだ。物事の理由は簡単にはわからない。それを知り,受け入れようとすることが賢くなる第一歩なのだ。(鷲田 p192)
 例えばここに一枚の絵がある。素人は,ここのピンク色は隣とのバランスで黄緑色にしてもいいんじゃないか,などと偉そうなことを言うかもしれない。しかし描いた側にとって,すべての色は必然なのだ。そのピンク色を黄緑色にすれば,絵全体がだいなしになる。ただ,その理由は,画家には説明できない。しかし必然だということだけはわかる。(鷲田 p193)
 政治,ケア,表現活動といった人生に非常にたいせつな局面ではほんとうに必要とされるのは,一つの正解を求めることではなく,あるいは正解などそもそも存在しないところで最善の方法で対処する,という思考法や判断力なのだ。(鷲田 p194)
 世の中には問いと答えが一対一の問題は,めったにない。「光は波動であるか粒子であるか」という大論争があったが,これは正解が二つある例だ。(中略)無力な状態から脱し,自分の問題を自分で考えて,責任を負うことができるようになるために,私たちは,「一つの問いに一つの答えがある」という考え方をやめなければならない。物事は,こちらからはこう見えるが,後ろから見ればこんなふうだ,といろいろな補助線を引きながら考えよう。(鷲田 p195)
 投げ出さずに考え続ける,いわば知的な肺活量も持ってほしい。理解はあるとき一瞬でできることでは決してなく,じっと考え続けて到達できるものだ。(鷲田 p197)
 自分の持っている狭い枠組みの中で無理やり解釈して,わかった気になっても何も解決しないし,とても危ない。必要なのは,わからないことでもこれは大事,としっかり自分で受けとめて,わからないままにずっと持ち続けることなのだ。(鷲田 p199)
 この世界を見るわたしたちの視野というのはけっして広くありません。いつもここから,自分の立っている場所からしか,見られないという限界がまずあります。次に,自分が習ってきた知識や習慣の枠の中でしか見られないという限界があります。加えてさらに,自分がなじんでいる言語のなかでしか考えられないという限界もあります。(鷲田 p200)
 世界の襞を広げるとは,すでに知っている知識を量的に拡大するということなく,これまでそんなものがあることさえ知らなかったものの見方,問い方にふれるということです。(鷲田 p200)

2018年4月5日木曜日

2018.04.05 茂木健一郎 『結果を出せる人になる! 「すぐやる脳」のつくり方』

書名 結果を出せる人になる! 「すぐやる脳」のつくり方
著者 茂木健一郎
発行所 学研プラス
発行年月日 2015.05.07
価格(税別) 1,300円

● 茂木さんのこれは自己啓発書といっていいんだろうね。本書を読む人のほとんどは「すぐやる脳」の持ち主ではないだろう。で,そういう人が本書を読んで「すぐやる脳」の持ち主になることは,おそらく絶無だろう。
 そこのところなんだよね。だからこそ,自己啓発書はいつの世でも売れる。効果がないから売れる。自己啓発書の効用とういのは,那辺にあるのかねぇ。

● と言いながら,自分はこういうものをたくさん読んでしまっているのだ。ぼくがやったことは単なる暇つぶしなんだろうか。
 さよう,然り。どうやら暇つぶしにしかならないようなのだ。で,これからもこの暇つぶしをやめられそうにないのだ。

● 以下にいくつか転載。
 「やろうと思っている,けれどもなかなか行動に移せない・・・・・・」と悩んでいる人は,決して「すぐやる」ことが苦手なわけではなく「脳の抑制の外し方」を知らないだけなのです。(中略)そこで大事なのが,あまり深く考えないことを習慣化することです。(p18)
 「二十四時間・仕事人間」の会社経営者が,あるとき“限界”を感じたというのです。最近体力が消耗して,どうにもやる気が起こらない。これは歳のせいだろうかと考えてみましたが,同年代でばりばり働いている経営者はたくさんいます。そこでその人たちを真似して,毎朝三十分早く起きてジョギングを始めてみると,驚くほど気力が続くようになったそうです。(p38)
 「脳の活動は抑制や制約により停滞する」と言いましたが,それはあくまで「他者からの制約」です。自分で自分に課す「自分からの制約」は,逆に脳のモチベーションを上げる行為となるのです。(p45)
 リスクを取らず現状に甘んじている人と,果敢にリスクを取って進化していける人の間に,これから深刻な階層ができ上がっていくと私は考えるのです。(中略)できるかどうかわからないけれど,まず,やってみようと決心する。今,その方向に道はないけれど,自分で道をつくってみる。(p48)
 チャンスは納得いかない,しんどい「無茶ぶり」としてあなたのもとにやってきます。それを受け入れられるかどうか。そこにあなたの成功がかかっているのです。(p52)
 リスクを取るということは,いたずらに危険を冒すということではありません。あらかじめ最悪の状況を考え,不安を取り除いておくことも,リスクテイクの大きな条件です。それにより,人間の実行力は大幅に強化されるのです。(p61)
 大きなことを成し遂げた人が,一般にネガティブとされるキャラクターだったという事例は,結構多いのです。そう考えれば自分のことを「ネガティブでリスクを取れない人」と決めつけてしまうのは,いささかもったいない行為です。(p68)
 行動力のある人とない人の一番の差とは,いったい何なのでしょうか。それは自己評価が高いかどうか,つまり自分に自信があるかどうかではないかと思います。(p71)
 ひと昔前なら,ベンチャーで成功して大金持ちになれば,高級車を乗り回し,高級スーツを身にまとっていたものです。けれども裏を返せば,それらは保守化に向かった行為ととらえることもできます。(中略)しかし,本当の意味で成功している起業家というのは,どんなにお金持ちになっても,一生ロックンロールな「芯の強さ」を持っています。(p79)
 人工知能でも難しいこと。それはクリエイティブな能力です。わかりやすい例で言えば雑談です。(p96)
 どうやって感性を磨けばいいのか。実はそれほど難しいことではありません。とにかく「好き嫌いを大切にする」ということです。特に,「嫌い」よりもまずは「好き」という感覚を磨いてみてください。(中略)逆を言えば,「基準が自分の中にない人」「世間に流されてしまう人」というのは,やはりクリエイティブな感覚を磨くことが難しい人だと言えるでしょう。(p102)
 クリエイティブの“本質”とは何でしょうか? それは絵が描けることでも,音楽を奏でられることでもありません。それを一言で言うならば,「様々な制約をクリアしながら新しいものをつくり上げること」でしょう。そうしたクリエイティブな作業に求められること,それは「締め切りをつくること」です。締め切りという制約をつくることなしには,クリエイティブという作業は成立しません。(p105)
 もっとも大事なことは,世間の常識や他人の評価を気にせず,まずは自分の中でその小さな成功が起こったときにちゃんと喜ぶということです。(中略)ここで一番いけないことは,「こんなのたいしたことない」「自分なんてしょせん,こんなレベルだ」と,小さな成功に罪悪感を持ってしまうことです。(p131)
 脳は,抑制を外してあげれば,あとは勝手に動いてくれるものです。(p133)
 マラソンの世界では,三十キロを過ぎてからスピードのピークを設定しろと言われています。最初からペースを上げすぎてしまうと,後でへばってしまうのです。これは人生全般に言えることでしょう。(中略)そのようにならないための秘訣とは,「他人を見ないこと」です。(p141)
 周りから「あの人はいつも頑張っている」と思われている人は,実は「頑張る」のペース配分がうまい人です。すなわち,ここぞというときに一気に集中できるだけの余力を残している人だということです。(p149)
 仕事をバリバリやっている人や勉強を頑張っている人は,実は普段から仕事や勉強について深く考えていませんし,また考えないようにしています。なぜなら,いちいちひとづずつ深く考えていては,体が持たないからです。(p151)
 今この本を読んでいる自分からスーッと抜け出して,自分の横に立っているというようにイメージしてみてください。そして自分を注視して,何を感じているのか観察してみてください。(p162)
 自分の作業を続けていて学生が急に話しかけてきたとしても,その一秒後には学生との話に切り替えるよう心がけています。そういった脳の対応力というのが「すぐやる脳」には必要不可欠なのです。(p171)
 人は共感を求めるとき,どうしても自分と似たような人に目がいってしまいがちです。けれども利他的な発想を考えた場合には,いかにして自分と違う人の立場に立てるかがポイントになります。自分と同じ境遇の人のことばかりを考えていれば,その範囲のことだけに脳の回路が定められてしまいます。(p183)
 自分の仕事に誇りを持って成功している人たちの共通点。それは他人を喜ばせるのがすごく好きなことです。その誰もが「サプライズ脳」とでも言うべき,思いもよらないユニークな発想に満ちた脳の持ち主なのです。(p185)
 必要なときに最低限の努力だけをして,無駄なことに一切手をつけず,省エネ人生を生きる人は,歳を重ねるにつれてどうしても伸び悩む傾向にあります。(p193)
 どんな些細な仕事でもベストを尽くして行動する。なぜなら,人間の脳というのは行動することでしか鍛えることができないのですから。(p201)

2018年3月26日月曜日

2018.03.26 茂木健一郎 『アタマがよくなる勉強会』

書名 アタマがよくなる勉強会
著者 茂木健一郎
責任編集 田原総一朗
発行所 アスコム
発行年月日 2010.04.02
価格(税別) 1,400円

● 茂木さんのような脳科学の研究者がなぜこういう本を出すか。しかも,茂木さんは矢継ぎ早に出している。その答えを茂木さん自身が語っていたような記憶もある。
 出版社にしてみれば,売れる目算を立てやすいからだろう。固定ファンが付いていて,この程度は売れるという目安が立つ。安心して出版できる。

● ぼくも茂木さんのその手の本をずいぶん読んできたけれども,本書はその決定版的な存在かも。

● 以下に転載。
 実は脳ブームには,安易な偽薬作りや偽薬売りみたいなものが多い。人びとが不安を感じている時代は,不安につけ込んで偽物がいろいろ横行しますね。脳ブームは,それに近い状態だと思うんです。(p16)
 大学が淘汰される時代とおっしゃったけど,大学それ自体には何の権威もないということが,みんなわかってきた。だから,どの大学も必死になっている。大学が権威にふんぞり返っていた時代よりいいでしょう。(p18)
 いろいろな方にお目にかかって,僕がああ輝いているなと思う人は,みんなフリーランスなんですよ。(中略)組織に守られている人は,かなりの部分時代遅れになっちゃっている。官僚やビジネスマンも同じで,かなりいい人でもほとんどそうです。この感覚が,僕の中に絶対的にあるんですよ。(p18)
 それなのに,日本の親たちが考えることは,いかに「百ます計算」をやらせて,わが子を一流中学に入れるか。いかに東大生の美しいノートの書き方をマネさせて,一流企業や役所に入れるかだけ。みんな沈みかけた船に必死で乗せようとしている。そのために脳をこう使えと,偽薬を売るヤツがいる。(p21)
 脳を成長させるのは,楽しちゃダメです。やっぱり脳に負担をかけることですよ。現実に立ち向かうのはつらいことだけど,それが脳をいちばん成長させます。(中略)それこそが「生命力」です。脳が喜ぶし,その人にとってもっとも価値のあるものを生み出すことにつながると思います。(p23)
 この本を読んだだけで万事わかったと思う人は,もうダメなんですよ。そんなはずはないだろう,もっと先があるだろうと思えるかどうか。ここが極めて重要です。(中略)この対談も,もちろんほかの僕の本も,書いていることは全部本当です。だけど,それを鵜呑みにすることは,頭がよくなることにあまりつながらない。本には手がかりやヒントが書いてある。それを自分なりに咀嚼し,自分に合った方法を工夫しないと。(p26)
 誰かの作ったパターンは,自分には必ず限界がある。パターンをあてはめるのは楽だけど,楽しちゃダメです。(p28)
 苦しいことや辛いこと面倒くさいことなどをいろいろやって脳内の快楽物質が出ると,その面倒くさいことで学習した内容がちゃんと定着する。しかし,麻薬で快楽を得ると,麻薬をやることしか覚えない。(p30)
 脳は暗示にとても弱いので,とにかく「大丈夫だ」「何の問題もない」と楽天的な暗示をかけること。(p33)
 脳に関するどんな本を読んでも構いませんが,自分で自分の責任が取れない人は,頭というか脳が伸びません。これは極めて重要なことで(中略)つまり,自分の意見を持ち,それを表明し,その結果を自分で受け止めることができなければ,頭はよくならない。脳は他人まかせではダメです。(p40)
 田原 そう。使えるネタや資料は限られている。昔はインターネットなんて便利なものもないし。自分の考えや経験をもとに,集中してダーッとやっつけるしかないね。 茂木 そんな「瞬発力」みたいなものが,僕は知性の本質なんだろうと思います。脳の本質,脳の本当の力と言ってもいいですね。(p51)
 ゲーム脳に関しては,僕はインチキだと思っています。IT時代に知能指数は上がっているという証拠もある。(p67)
 楽観的なときに脳がもっともよく機能することは,もともとわかっています。ただし,楽観とは「ま,何とかなるだろう。きっといい方向にいくよ」という,実は根拠のない自信ですね。裏付けに欠けた自分勝手な思い込みと言ってもいい。だから,その根拠なき自信を,自分の努力で裏付けなければならない。(p68)
 0.1秒くらいの間に,脳のかなり広い範囲にわたって神経細胞が一斉に活動します。その活動の結果,脳の神経細胞の結びつきのパターンが変化し,一瞬にして世界の見え方が変わり,新しい学習が成立している。これがひらめきです。パラダイムシフトが起こるような学習は,ひらめきが起こすんです。(p81)
 田原 一時パソコンでやろうとして書いてみたんです。でも,これは何となく違うなと思って,手書きに戻りました。 茂木 脳のためには手書きのほうがいいですね。(p84)
 日記を書くのは,脳にとてもいいことです。(中略)思い出そうとすればするほど,使えば使うほど脳にはいいんです。(p90)
 若いときのような意欲が出ないと嘆く人がいるけど,やる気や意欲は欠乏から生まれるわけで。(中略)やる気や意欲を出すには,自分には持っていないものがこんなにある,こんなに空白だらけだと認識する必要があります。高齢者がいかに意欲を保つかは,自分の経験をいかに捨て去るかと同じことだ,とも言えますね。(p95)
 鍛えれば鍛えるほど確かに脳は伸びていくんですけど,そのためには課題をつねに自分で工夫していかなければいけない。課題を見つけること自体が創造的なんだと思います。(p96)
 それを学者が老化だと定義したって,自分は変化だと思えばいいじゃないですか。脳には楽観が大事なんだから。(p99)
 面倒くさいことをやるというのがとても大事です。面倒くさいことほど,脳の回路を使いますから。(中略)自分がこれまでやってないことをやるのがいい。(中略)それがいちばんのアンチエイジングですね。(p100)
 僕は中曽根康弘さんに(中略)1回だけ会ったことがありますが,91歳なのにすごく元気だった。なぜこんなに元気なんだろうと思ったら,日常の細々したことをなんでも自分でやるそうです。(中略)中曽根さんが風呂に入ったきりなかなか出てこないので秘書の方が心配して見にいったら,洗い場で自分の下着を洗っていたと。(p101)
 くそまじめに「わが社のこの事業の意味は何であるか」と言っている人は,脳の潜在能力を全然発揮していない。だから,会社にほとんど貢献していない。(中略)ダメな芸人ほど「笑いとは何か」みたいな話を始める。(p108)
 そこ,とても大事です。野球に将棋盤を使うとか,サイコロにカードとか,パチンコ玉に鉛筆って,あり合わせで間に合わせていたわけです。その物本来の使い方ではなくて。実はこれ,脳の回路とよく似ているんですよ。(中略)脳って現場主義でして,その場その場のあり合わせで間に合わせるんです。(p117)
 遊びのなかでフロー状態を経験しておくと,仕事でもその状態が使える。ある脳の回路は,それをどういう文脈で鍛えたかということに関係なく,使い回しができる。(p124)
 人間の脳は孤立していると,潜在能力を発揮することができないんです。他の人と向きあうことによって初めて,異なる資質がかけ算されて,互いに高めあうことができるんですよ。(p133)
 日中戦争や太平洋戦争に反対した新聞は一つもなかった。反対すると弾圧されるからか? 違う。弾圧される前から賛成なんです。みんな賛成だから,少数の反対を弾圧するんです。(田原 p138)
 どんな場所のどんな境遇で育った人でも,自分の中に宝物が必ずあります。それを見出すことが,そても大事ですね。(p150)
 僕は堀田力さんという元検事に,容疑者を落とす技術,吐かせる技術って何だと聞いたことがある。すると,思いがけない答えが返ってきた。堀田さんは「それは相手に惚れることだ」と言ったの。(中略)「強盗殺人犯にも惚れられるか」と聞いたら,「惚れる」と。強盗殺人をした人間は,しない人間よりもギリギリのところまで追い詰められているから,その魅力があるんだと言っていた。(p153)
 われわれの人生の時間って,実はかなり切迫しているんじゃないですか。僕は,人生の時間って意外とそんなものじゃないかと思うんですよ。(中略)個人の生活でも,一度ゆっくり話を聞いて,それからおもむろに反論するという悠長なことをやっている時間は,いまはないんじゃないかと思う。(p170)
 親鸞が各地で説法したというけど,逆に多くの時間,人びとが言うことをただ聞いていたんじゃないかと思う。最後に短く決定的なことは言ったとしても。(中略)親鸞さんは30代半ばまでは京都ですね。京都を本拠地に考え続け,理念を作っていった。でも,理念は完璧なものに近づいていても,それは現実と食い違う。だから,むしろ全国を回り,聞いて回ったんじゃないか。(田原 p171)
 脳の中では同じ部分が喜んでいる。ということは,利己主義と利他主義は,まったく正反対のことのように思えるけど,脳にとっては,かなり近いことなんですね。だからこそ人間の社会は,これだけ発達してきたわけです。(p193)
 その「自分の利益」ということ自体が,そもそもよく考え抜かれていないんです。要するに,個々人が利己的に動くのが自由主義社会や資本主義社会だという考えそのものが,実は脳の仕組みからすると違うんです。(p194)
 おそらくこの国は,ドライに徹することができないと思います。(中略)徹底的にドライになれと強制したら,おそらく日本人は分解しちゃう。もう日本が日本ではなくなってしまう。(p208)
 竹下登という政治家が僕によく言いましたよ。「歌手1年 総理2年の 使い捨て」と。(田原 p213)
 ごく普通の人がフリーで生きられるような条件を考えればいいんじゃないですか。まずネットを活用する必要があります。僕がよく言うのは「グーグル時価総額」っていう造語です。自分の名前をグーグルの検索窓に入れて,検索してください。それでどれくらいの情報が出てくるか。それがあなたのグーグル時価総額ですよ,と。(p219)
 僕は09年6月以降,自分のことが書かれた日本語のウェブサイトを一切見ないことにしたんです。精神衛生上よくないし,時間のムダなので。(p226)

2018年3月20日火曜日

2018.03.20 茂木健一郎 『続ける脳』

書名 続ける脳
著者 茂木健一郎
発行所 SB新書
発行年月日 2018.01.15
価格(税別) 800円

● 本書の要諦は「はじめに」にある次の一文。
 私たちは,成功した人の功績を見るとつい「才能があったから」と思い込んでしまいます。しかし,それは既に達成された偉業に注目するからで,その過程には私たちとまったく同じ困難や挫折があるはずです。彼らはただそれを乗り越えて,続けられただけなのです。(p6)
 つまり,継続することの重要性が説かれている。継続するためには何に注意すればいいか。右から左から上から下から,いろいろと解かれている。

● 以下に転載。
 ダメだといわれても,けなされても,とにかく続ける。才能に恵まれていようがいまいが,とにかく粘り強く継続する。それこそが,最終的には結果につながるのです。(p20)
 根性論は,「正解は一つ」というモノカルチャー的な考え方に陥りがちなのです。(p29)
 宿題をやらなければならないとき,それ以外をゼロにする必要はありません。それこそが「モノカルチャー(単一的)」思考。これは理想的なようでいて,他者に従っているだけの指示待ち常態です。まずは,「何をどれだけやるか,いつ初めていつやめるか」を自分で決めてみる。(p35)
 やっかいなもの,無駄に見えるものでも,どんな役割があるかわからないのです。(p41)
 「ハーバード大学がいい」というのは,誰もが知っている名門大学なわけですから当たり前で,他人の決めた価値観に従っているだけです。(p42)
 最後までやり続ける力と聞くと,一つだけに集中するイメージをもつ人もいるでしょう。集中できる環境を整えようと,「他に手を出すのはやめておこう」「しばらく飲み会の誘いは断ろう」などと考えがち。しかし,続けるためには逆効果です。なぜなら条件を整えて,一つだけをやろうとすると,条件が整わなかったら,続けられなくなってしまうからです。(p46)
 長く何かを続けようというとき,「完璧主義」は大敵です。(中略)なぜなら,継続が途絶えるのは,当たり前だからです。どんな人間でも,一日も休まず,一つのことを続けるなんて,まず無理です。(p48)
 実は目標とは,他人に言うと叶いづらくなると研究で明らかにされているのです。(中略)目標を他人に宣言すると,「目標に近づいた気分」になってしまうと考えられるのです。(p58)
 村上(春樹)さんは,作品を最後まで書いてから,いきなり人に渡すのです。小説を書くには長い時間がかかります。作品を書く長い時間の中で,村上さんはひたすら書いているだけで,周囲から反応をもらうという満足を得ていないのです。(p60)
 新しい英語の本を読んで,いままで知らなかった物語に出会うとうれしい。知らなかった単語に出会うとうれしい。「知らない」に出会うとは,何かをしるチャンスの前触れだからです。しかし,テストで満点を目指している人は,知らないことに出会うと,おびえてしまいます。満点を妨げられるからです。(p65)
 一生かけて追いかける目標とは,「これだ」と運命的に出会うイメージがありますが,そうではありません。むしろ最初はなにがなんだかわからなくても,続けているうちに見えてくるものなのです。(中略)つまり,夢は「育てる」ことが必要なのです。(p70)
 一万時間の法則とは,どんなことでも,一万時間続けるとエキスパートになれるという法則です。(中略)一万時間の継続が,才能や素質よりも重要なパラメーターになる(p75)
 他人の評価が報酬ではなく,行為自体が楽しいから,続けられる。行為自体が楽しいと思える人は,周りがどんな状況であれ,幸福でいられる。(p87)
 柴(那典)さんは,意外にもかつてより今のほうが,ミュージシャンの寿命が長くなっていると指摘します。収入は主に,コンサートやフェス。(中略)かつては,大ヒットしては消えていく「一発屋」が問題になっていましたが,今やたった100人のファンがついてくれれば,十分キャリアを積んでいけます。(p88)
 生物として唯一意味のある継続性とは,生き延びること。生き延びるための居場所(ニッチ)さえ見つかれば,生きる場所の優劣はないはずです。(p91)
 マイノリティの権利に対する意識の高まりも,それぞれの生き方を大事にするという個人の問題だけでなく,社会全体としてもそのほうが進歩し,イノベーションが起きやすいという認識が共有された結果でしょう。(p92)
 単一知性が重視される時代は終わりました。現代では,「何かができない人は,何かができる」ということが常識になっています。(p93)
 エリートという考えは,社会の限られた資源を奪い合うときに現れるものです。一つの椅子を100人で争い,得た一人がエリートと呼ばれる。これは,100人中99人が幸せになれないゲームです。(p96)
 チクセントミハイのフローの概念の中で大事なのは,「その課題に意義があるかは関係ない」ということです。意味がないように見える仕事も,フローに入れば楽しくなります。(p105)
 邪魔だと感じる仕事の中にも本質的な仕事のヒントがあるのです。邪魔な仕事からもヒントを見つけるには,その仕事に打ち込んでいる必要があります。(中略)「今,ここ」の仕事がどんなものであれ,大事なのだという感覚は大切です。その人が伸びるかどうかの分かれ道になるからです。(p106)
 モーツァルトは,ばかばかしいほどに遊んでいました。作品をつくるときも,友人と酒を飲むときも,同じ「集中した1分」を続けていたのです。(p108)
 持続可能なグリットは多様性の中にこそあるのです。私たちが多様性を身につけるために,「今ここにあるすべてのものに,一切の判断を挟まずに目を向ける」という姿勢は,助けになります。(中略)「好きなものは取り込む」「嫌いなものは避ける」とう単純な判断では,多様性を身につけられません。(p109)
 世界とは,すぐに判断できるものだけで構成されているわけではありません。むしろ言葉にしないほうが,存在している物事を丸ごと保持できるのです。言葉以前の形で,自分の中に取り入れることが,多様性を蓄えるコツといえるでしょう。(p116)
 AIは定義した問題を解き続けることは得意だけれども,そもそも問題を定義することが苦手であると考えることができます。(中略)つまり,それをやるのが人間だということになります。(p118)
 頻繁に会う人たちよりも,年に一回程度しか会わない関係性が薄い人たちのほうが,自分が危機におかれたときに助けになる傾向があるのです。なぜでしょうか。頻繁に会う人物は趣味が似ていたり,持っている情報が似通ったり(するからです)。(p127)
 もしかすると夢の実現とは,すべての期待が消えてからが本番なのかもしれません。過度な期待を持たずに,具体的な努力の仕方が見えるところまできたなら,夢の実現まではもう少しといえるでしょう。(p131)
 「基準を知る」ことは助けになります。目指す分野で最高のものに,なるべく早くふれてしまうのです。(中略)まず「無理だな」とわかる。それこそ,基準を知ることです。「無理だな」はプロの基準を身につけたことなので,それから具体的な努力ができるようになるのです。(p132)
 本質を見抜く力をつけるためには,次の二つが必要です。 1 サンプルをたくさん見せる 2 体を動かして,実際にやってみる (中略)とにかくたくさん見ると,法則と型が見えてくるのです。さらに,自分の体を動かしてやってみると,「できる・できない」がはっきりします。すると,ものごとがより具体的に見えるようになります。(p163)
 なぜ本物を見るのがよいのかといえば,必ず手間がかかっているからです。(p171)
 「茂木さん,女性のナチュラルに見えるメイクには,手間がかかるんですよ」 いかにもメイクしていますというメイクはすぐにできるけれど,一見化粧していないように見えるメイクは,細かい作業が必要で時間がかかる。たしかに,レオナルド・ダビンチの『モナリザ』は,ただの薄化粧に見えるけれど,あの肌をつくるために,ダビンチが加えた工数は膨大だったに違いありません。(p175)

2018年3月17日土曜日

2018.03.17 茂木健一郎 『成功脳と失敗脳』

書名 成功脳と失敗脳
著者 茂木健一郎
発行所 総合法令出版
発行年月日 2015.12.07
価格(税別) 1,300円

● 茂木さんが矢継ぎ早に出している啓蒙書を後追いで読んでいるわけだが。そろそろいいかなと思わないでもないんだけど。ただし,カンフル剤的な効果もあるし。
 少なくとも,栄養ドリンクを飲むよりはいいだろうと思う。

● 結局,自分は何のために本を読んでいるのかということだ。ぼくの場合は暇つぶしってことになるのかも。消費としての読書でいいと思ってきたし,実際,それにとどまっているのだ。
 だから,読みやすいものを読んでいる。

● 以下に転載。
 人間の脳は,成功と失敗をはっきり区別しています。最も重要な報酬物質ともいわれるドーパミンが放出される中脳から前頭葉に向かっている回路は,成功したときには強化され,失敗したときには戦略を立て直してします。(p18)
 とにかく短い時間で仕事をやる癖づけをするのです。自分自身に適度なプレッシャーをかけ続けていれば,人間の脳というのは自然にアクティビティを上げるようにできているのです。(p25)
 脳というのは非常に面白いもので,実は「失敗の貯金」があればあるほど成功したときのドーパミンの放出量が多いといわれています。(中略)つまり,成功ばかりしていてもいけないということです。(p34)
 人間というのは自尊心を持たないと成長できません。ここでいう自尊心の本質というのは,「自分にダメ出しができる」というプライドを持つことなのです。(p47)
 ぜひとも,(中略)「根拠のない自信」というものを持ってみてください。これは,幼少期には誰でも持っていたものです。しかし,そこから大人になるにつれて失ってしまっているのです。何かで失敗してしまったときに,それがトラウマとなってしまい,新しいことに挑戦しようというときに脳が抑制をかけてしまっています。(p52)
 私の周りにいる仕事ができる人,成功している人ほど,仕事と遊びの区別がないように見えます。(中略)そのような人の脳を分析してみると,仕事における脳への報酬構造と遊びにおける脳への報酬構造がひとつながりになっているのです。(p65)
 教養というのは,何かを学び知っているということのほかに「いろいろな物の見方ができる」ということも含まれています。つまり,人の生き方を考える上で,「見方を変えると全然違った視点が得られる」ということが教養でもあるのです。結局のところ,一人の人生ではとてもカバーできないくらいの,人類の歴史の中でさまざまな人が経験してきた,いろいろな物の見方を濃縮したのが「教養」ということではないでしょうか。(p74)
 実は,人間の脳の限界がどの程度のものかなど,科学的に断定することはできません。つまり,脳が成長する可能性は無限といってもいいわけです。ですが,自分ができることには限界があるという思い込みをしてしまうことが,脳の成長を妨げてしまいます。(p84)
 大切なのは,自分にとって輝ける「ニッチな居場所」を見つけるということです。(中略)ひきこもりで学校に行けない学生は,学校に行けないという自分の個性に合った居場所を見つければいい。毎日会社に行けない人は,会社に行けない自分に合った居場所を見つければいい。それこそが,成功への基本的定義だと私は思います。(p88)
 嫌いなことというのは,実はそれをちょっとでも取り入れることで自分の可能性が伸びるケースが多い(p93)
 おそらく,「成功している人は,きっと自分よりも苦しいことをやっているんだ」と思っている人が多いのではないでしょうか。しかし,これは完全に間違った認識です。成功脳をうまく使って集中力をいかんなく発揮し,成功している人というのは,実はすごく楽しい仕事生活をしているものです。(p106)
 あれこれ考えずに1秒目から何でもすぐにやり始めてしまえばいいのです。(中略)思い立った瞬間にやることで,脳はどんどんマルチタスクをこなしていけるようになるのです。(p108)
 誰にでも緊張する瞬間はあります。しかし,それらを一つひとつ乗り越えることで脳は次第に成長してフローに入る時間がどんどん長くなていきます。ですから,フローを体験するには,新しいことに繰り返しチャレンジするという姿勢が必要だということです。(p116)
 結局のところ,人間の創造性というのは,自分の周辺視野がどれくらい広く見えるか,自分とどれくらい対話ができるかということによって決まってくるものです。(p126)
 一度負け癖がついてしまうと,それに安住してしまって,そこからなかなか抜け出せないという人は,自分自身の認識をつかさどる脳の回路において,「どんな自分でも自分らしい」と勘違いしてしまっているのです。(p136)
 負ける勝負しかしていない人は,すでに負けるとわかっている時点でどこか本気になっていない,全力を出していない自分がそこにいるはずです。(p145)
 個性的な外国人は決して空気を読んでいないわけではないのです、かえって,そのような人ほど空気を読んでいるものです。日本人がいう「空気を読む」というのは,空気を読んでそれに合わせるということまで含んでいます。ところが,空気を読んだ上で,あえて個性を出していくという選択肢もあるはずです。(p159)
 脳科学的にいえば,他人という鏡を使えず,自分が見えなくなってしまっている人というのは,脳の老化によってメタ認知が弱まっているということにもなります。(中略)例えば,年配の方が電車に乗るときに,周りに気を遣わずに我先に席を取るとうのは前頭前野の衰えともいえる行動です。(p161)
 「多様性こそが,イノベーションにおいては大事だ」 このようなことがしきりにいわれている昨今ですが,これは脳科学的な立場からもその通りだと断言できます。というのも,多様性がなければ,自分の特性がメタ認知による鏡に映らないからです。実は,人間は似たような人と一緒にいるとメタ認知が立ち上がりにくいという性質があります。(p165)
 メタ認知がしっかりと働いていないときというのは,どうしてもベストシナリオを考えがちになります。ところが,大抵の場合でいえばベストシナリオでうまくいくことはまずないといえますので,メタ認知のアシストを借り,成功するためにリアリストになる必要があるのです。(p167)
 私の場合でいえば,ツイッターがミラーニューロンの働きを担ってくれています。(中略)ソーシャルメディアの中にいるかどうかは,現代においては今の同時代性を支える一つの基準になっているものです。場合によっては,ソーシャルメディアは誹謗中傷するようなものも含めてあるわけですが,そこも含めていろんなものがサラウンドで聴こえてくることがあります。(p177)
 成功している人たちのコミュニケーションの基本は,「常に対等である」という意識を持っているということです。(中略)対等なコミュニケーションの本質とは,まずは相手をしっかりと敬い,思いやりを持ってお互いの考え方や行動に対して本音で意見をいい合うということです。(p186)
 コミュニケーションが苦手な人ほど,キャリアや肩書き,あるいは名声を気にし過ぎたり,逆にそれらを自分の武器として相手に振りかざしてしまう傾向があるのではないでしょうか。(p189)
 最近よく口にする言葉は,「勉強ができるというのは,一つの欠点ですらある」というものです。(中略)勉強ができるというのは典型的なオタク体質だということがいえます。オタクというのは,やはりコミュニケーションが苦手な人が多く,広い世界が見えていないことが一つの欠点として浮かび上がります。さらにいえば,オタクは他人と何かをするといったコラボレーションが苦手という側面もあります。(p195)
 現代社会において,「運動ができている」というのは,ある意味では成功者の一つの指標といっても過言ではありません。(中略)仕事で行き詰まったときや,ストレスを感じているときに運動をすることで,「無意識を耕す」作用があるからです。(p201)
 脳の仕組みは,「非線形である」ということも大切なポイントになります。(中略)つまり,1+1が2以上になるのが脳の特徴でもあるということです。これは一つひとつのステップが小さくて,あまり進歩していないように見えていても,ふと気づくと1+1が100にも1000にもなる瞬間がやってくるということなのです。(p207)
 「何かを選択する」というときに使う脳の容量というのは,実は限られているということが研究でも明らかになっています。つまり,私たちが何かを選択するたびに,脳は活動容量を減らしているというのです。(中略)自分があまり重要視していないことの意思決定において脳を消耗させずに,自分の好きなことに全力で取り組むためにも,自分のビジネスに関係ないことにはルールを定めてみてはいかがでしょうか。(p218)

2018年3月3日土曜日

2018.03.03 茂木健一郎監修 『脳に効く写真』

書名 脳に効く写真
監修者 茂木健一郎
発行所 エムディエヌコーポレーション
発行年月日 2017.04.01
価格(税別) 1,300円

● 監修者の茂木さんによれば,「脳の中では,喜怒哀楽などの感情に関する情報処理は,すばやく行われることがわかっています。(中略)そのように感情の「準備」ができた後で,大脳皮質が,ゆっくりと情報処理をしていきます」(p2)ということらしい。
 写真は感情に直接訴えるということだろうか。そこに本書の意義がある,と。

● ぼくはサラッと読んだ(見た)だけなので,こういうものが本当に「脳に効く」のかどうかは未検証。

2017年12月2日土曜日

2017.12.02 茂木健一郎 『走り方で脳が変わる!』

書名 走り方で脳が変わる!
著者 茂木健一郎
発行所 講談社
発行年月日 2016.06.09
価格(税別) 1,300円

● タイトルは『走り方で脳が変わる!』だけれども,走り方なんかどうでもよくて,走れば脳は変わる,ということ。
 “走る”以外に“歩く”でもいい。要するに,体を動かすことなら何でもいい。それをタマにじゃなくて,習慣化すること。

● ぼくはこの数年間,自転車に乗っていたんだけども,ここ1年ほどはすっかり遠ざかっている。いかんなぁ,と思った。自転車に復帰しなきゃなぁ,と。
 なにせ,自転車もまた脳にいいのだろうから。アンチエイジングにも効果的だろう。惚けを防いでもくれるだろう。

● 以下にいくつか転載。
 走ることで,僕の脳は活性化されてきた。研究や執筆のアイデアは,走っているときに生まれることが多い。しかも,(中略)走っていると自分でも気づいていなかったストレスが解消されて,すっきりする。(p6)
 ランニングは,もしかしたら,人生を変えるもっとも簡単な方法かもしれない。(p6)
 脳と体は一体のものである。(中略)基本的に体の基礎体力と脳の基礎体力は同じものであり,体を思い通り動かすために筋肉を鍛えるように,脳だって鍛えることができる。(p16)
 脳のスイッチは体にあるのだ。脳の働きを向上させたければ,机の前でうんうん考えているよりも,まず立って体を動かしたほうがいい。(中略)そもそも脳には細かく血管が張りめぐらされており,運動によって血流量を上げること自体が直接,脳に作用する。(p18)
 快楽主義者といえば,夜遅くまでお酒を飲んだり,それこそ麻薬に手を出したりというイメージがあるかもしれない。しかし,僕に言わせればそれは真の快楽主義者ではない。自分の外の物質に依存しているだけだ。努力や苦痛を通して自分の中から快楽を得る。これこそが究極の快楽主義者だと思う。(p22)
 仕事熱心な人はランニングの時間を退屈に感じる,と聞いたことがある。でも,そこで英会話のテープなどを聞くことはやめて,あえてアイドリング・タイムをつくってみるのだ。そうするとデフォルト・モード・ネットワークが活動し,普段の仕事では鍛えられない想像力や発想力が身につくだろう。(p26)
 年をとることで,ニューロンの成長因子と脳の健康な働きを支える神経栄養因子,そして新しく生まれるニューロンは少なくなっていく。しかし,それらは運動によって増やすことができる。(中略)体を動かし続ける限り,脳も成長させることができるのだ。(p35)
 物事に対してどれだけ頑張れるかは「自分のスタミナの予算額」によって規定される。(中略)スタミナの予算が少ないと,人はいろいろなことに対して省エネモードになっていく。(p46)
 走るということは,自己肯定感を高めてくれる。(中略)そして,その自信は新しいことへのチャレンジを後押ししてくれる。(p47)
 ランニングは「日常から一歩外に出る」という感覚をもたらしてくれる。(中略)この「一歩外に出る」というのがとてもめんどうくさいことなのだ。(中略)ある状態から違う状態へ移行する。それはつまり,自分にキューを出す,ということである。この「キュー出し」は,さまざまな活動の中でも,もっとも脳のエネルギーを食うことのひとつだ。(中略)このキュー出しの昨日が衰えると,新しいことに取り組めなくなったり,だらだらしたまま次の行動に移れなかったりする。キュー出しさえしてしまえば,あとはオートパイロットで動ける。ランニングというのは,この「脳のキュー出し」の練習でもあるのだ。(p58)
 僕としては,「続けていること」そのものがとても大事だと思う。(中略)走りの質は問わなくていい。短い距離でも,遅くてもいいから毎日走っているという,そのことに価値があるのだ。(p62)
 ストレス耐性を上げる方法が一つある。自分にストレスをかけることだ。逆説的なようだが、これは正しい。(中略)ここで大事なのが,筋トレ的なストレスは,自分でコントロールできるものであることだ。そこでランニングが出てくる。(p75)
 習慣的に運動することで,脳のドーパミン貯蔵庫は増える。それだけでなく,ドーパミン受容体をつくる酵素が生成されて,脳の報酬系にある受容体そのものが多くなる。よって,何かを達成したときにより強い満足感を得られるようになるのだ。走れば走るほど,走ったことへの満足感は増していく。この循環に入れたら,走ることは習慣になるだろう。(p81)
 1日走れなかったからといって必要以上に落ち込まないことも大切だ。健康にいいことを習慣化できないのは,もしかしたら自分に厳しすぎるからかもしれない。(p83)
 自己啓発本を何冊も読むより,毎朝5分走るほうがよっぽど自分を変えることができる。(p84)
 デフォルト・モード・ネットワークを活動させるような状態に入るのにも,1人で走るというのは必須条件である。誰かと会話しながら脳のアイドリング状態をつくることはできない。(p106)
 生命の本質は即興にある,とも言えるだろう。普段の行動を規定する文脈は,予期せぬ出会いや突発的な事項によって変化する。そのときに,パッと適応できるかどうか。長期の計画や予測も必要だけれど,これまでの文脈をひきずって変化に対応できないと,人生の可能性は狭まってしまう。(p124)
 淡々と物事を片付けていく人よりも,先延ばしにしている人のほうが創造的だ,というデータが有る。僕がフルマラソンを「先延ばし」していた10年の歳月にも意味があったのだろう。(p129)
 高橋尚子さんは,あるインタビューで「万人に共通する正しいフォームなんてない」と言っていた。「そもそも同じ骨格の人はいないし,それぞれのくせがあるから」と。だからこそ自分の走りを見つけることが大事なのだ。(中略)ランニングというのは,自分の個性と向き合う良い機会でもある。個性に正解がないように,走りにも正解がない。(p138)
 自分自身と自分のまわりで起こっていることをありのままに受けいれられた30歳の頃,明らかに「自分の人生が変わった」と感じた。現代社会においてストレスから逃れ,自由に,創造的に生きるための鍵が,「今ここ」に集中することだとわかったのだ。(p141)
 コンピュータはノイズがあると誤作動を起こすが,脳は逆に,ノイズが入ることを前提に設計されている。まったく刺激がない状態だと脳はまともに動くことができない。(p151)
 走ることは,当事者にならざるをえない。(中略)走っているとき,人は批評家ではいられない。(p159)
 もともと幸福の設定値が高い人は,不運な事故にあったり災厄がふりかかったりしても,時間がたてば元の幸福と感じられる状態に戻れる。逆に,もともと幸福の設定値が低い人は,宝くじが当たろうが名誉ある賞を受賞しようが,しばらく経つと「そんなの幸せじゃない」という状態に戻ってしまう。(p162)
 歳を重ねても元気な人の共通点として「食欲が旺盛であること」が挙げられる。僕がケンブリッジ大学に留学していたときにお世話になった,ホラス・バーロー教授に昨年会ったとき,彼は分厚い肉を3枚も食べていたのだ。御年93歳。(p168)

2017年11月29日水曜日

2017.11.29 茂木健一郎 『もぎ塾 実況ライブ!』

書名 もぎ塾 実況ライブ!
著者 茂木健一郎
発行所 東京書籍
発行年月日 2015.07.04
価格(税別) 1,500円

● 著者がすでに何度も書いていることを聴衆相手に講義した。それを文字化したのが本書。
 内容をひと言でいうと,ドーパミンが出るような生き方をせよ,ということ。では,具体的にどうすればドーパミンが出るのか。それが本書で語られている。

● 以下にいくつか転載。
 脳の神経細胞がつなき変わることを「学び」といいます。(中略)生まれた時から死ぬ時まで学んでない瞬間なんてないんです。(p13)
 優等生だけで集まると,人間の幅が狭くなる。テロリストってインテリが多いんだよね。(中略)だから,優等生ばかりもあまりいい状況じゃない。(p19)
 ドーパミンというのは,初めてのことをしないと出ないんです。(中略)ドーパミンって挑戦しないと出ないんですよ。「うれしい」時に出るっていっても,「うれしい」だけではそんなに出ないんです,チャレンジしないと。(p28)
 新しいことに挑戦している時は時間が長く感じられるということは,実は脳科学で証明されているんです。(中略)ということは,最近,時間が速く経つと感じる人は,新しいことをやっていないっていうこと。(p30)
 自分の常に慣れ親しんだ領域で何かをやるんじゃなくて,アウェイでどうするか。これがですね,実は脳が生き生きとまなんでいくためにも,いちばん不可欠なことなんです。(中略)だから自分にとって,まだ知らない世界に挑戦し続けるということが,ね。一番のアンチエイジングなんだよ。(p31)
 脳は基本的に感覚と運動のループが成立しないと,本当にあるものをマスターしたとはいえません。(中略)「話す・書く」という運動性の学習と,「聞く・読む」という感覚性の学習とのループができて初めて,人間は,脳の中で,言葉というものを自分のものにすることができると思うんです。(p47)
 感覚的な学習は運動の学習に先行するということは事実なんです。(中略)側頭連合野というところに,素材が入らないとダメなんです。まずはインプットが大事なんです。(p55)
 本というのは,読んだ本が自分の足の下に積み重なって,その高さの分だけ世界が見える。広い世界が見えると,僕は思ってる。(中略)インプット,大事なんだよね。世界が広がる。やっぱり,どんどん読まないと。(p56)
 ある人について評論を書こうと思ったら,その人の全著作を繰り返し読まなければ書いちゃいけないというのが,小林秀雄さんの基本的なスタンスなんです。だから,大変なんですよ。本当にちゃんとした仕事をしようと思ったら。(p61)
 僕は車の免許をとるのがすごく遅くて,30才をすぎて取った。イギリスで取ったの。日本の教習所には,途中で行かなくなっちゃった。(p104)
 楽しいと感じられないことには,脳はなかなか本気にならないことが分かっています。(中略)それに,脳には,自分が得られる利益を最大にしようとするはたらきがあります。新しいことに挑戦しても,できない時は,脳が拒絶している可能性があるんです。努力しても無駄だと脳が判断してしまえば,やる気は起こらない。(p107)
 生まれもった脳の出来で,得意・不得意が決まっているわけじゃない。できる人も,苦手な人も,ドーパミンは出る。それにね,脳には可塑性というものがあって,いくれでも変えることができるんです。いくらでも,自分の努力で変えることができるんです。(p132)
 苦手意識をもっている人ほど,実は最初のひと回りが回ればチャンスなんです。(中略)英語が苦手な人ほど,それができるとドーパミンが出るわけだから。(p133)
 僕はたまたま勉強ができたけど,僕みたいに勉強ができる人のことを何て言うか知ってます? これ,意外と理解されていないんですけど,「オタク」っていうんです。(中略)僕は小学校の時から,講談社の『ブルーバックス』とか,そういう科学の本を読んでたんですよ。あと,『日経サイエンス』って『SCIENTIFIC AMERICAN』というアメリカの雑誌の日本版とか。僕は小学校の高学年でこういうのを読んでた。(p140)
 好きなことって,かたよっているかもしれない。でも,底がうんと深いと,他のことにもつながっていくわけ。広がっていくんです。(中略)だからね,これってすごく大事なポイントなんだけど,勉強できる子って,別に学校の勉強をやってるわけじゃないんだよ。何かのオタクで,すごく興味あることを勉強しているうちに何か地頭ができてきたとか。(p142)
 英単語10個,1分で覚えるのはきついと思う。普通に考えると,これ,つづりまで含めて,30分ぐらいって思っちゃうんじゃないかな。でも,あえて1分でやってみる。そうやってみると,勉強が極端に違ってくるわけ。人間って,無理だと思っても意外と(中略)プレッシャーをかけてやるとできるんだよ。(p148)
 集中するのに,静かな勉強部屋なんてなくてもいい。親父が隣でプロ野球見ながらビール飲んでても集中できる,本当の集中力を鍛えなくちゃ。(p152)
 自分のためにがんばるっていったって,そんなの1人分のエネルギーしか出ないんだけど,みんなが困っていることがあって,みんなのために何かしようってできたら,すごいエネルギーが出るわけ。百人分,千人分の。でもさ,みんなのためにがんばるためには,ものすごくいろんなことを勉強しないとがんばれない。(p162)
 いちばん肝心なことっていうのは,やっぱり「学びの喜び」っていうことなんですよね。(中略)東大に入ることを目的でやってきた受験秀才は,みんな失速してますから,ほんとに。そりゃそうだよ,東大ごときに入ることが人生の目標だったらさ。(p182)
 やっぱり,最初に感動がないと,子供の脳は勉強する気にならない。(中略)人間って,人を蹴落として自分だけ甘い汁を吸おうみたいな,そんなことじゃ勉強する気にならないよ。(p187)
 人生っていうのは,どうなるか分からない不安というのと楽しみっていうのがある。どっちが強いかでその人の脳の健康さが決まってくる。不安が強い人というのは安全基地が足りない。楽しいだけの人は大丈夫なの。(p194)
 自分の欠点とかダメなところをユーモアのセンスで笑える男はなぜモテるのかというと,そういう男性は逆境に強い。例えば,リストラされてもくじけない。(p201)
 劣等感って隠しちゃってると,こじれてきます。だから言っちゃえばいいのよ。(p208)
 自分の欠点のすぐそばに,最大の長所があるもんなんだよ。だからこそ欠点を冷静に見つめることが大事なんです。(p208)
 大人にとっての安全基地というのは(中略)友達との絆,他人との絆です。ホリエモンとか,ああいうベンチャー企業をやる人っていうのは,1人で全部やってると思われるけど,違うの。友達がたくさんいる人ほど,新しいことに挑戦できる。(p215)
 ある研究によると,人間の会話の7割は,うわさ話なんです。(中略)アベノミクスについて議論しても絆は深まらない。本当にどうでもいいこと,そういうのをしゃべることによって気持ちいい時間をもって,それで絆を深くする。(p219)
 だいたい「天才」っていわれている子供の中で英才教育を受けたケースは非常に稀といいますか。(中略)だいたいの子供の場合,天才的素質は偶然発見されています。才能ってそういうものなんですよ。(p249)
 理論物理って,最も専門性が高くて,学問的に狭いものだと思われているわけだけど,その分野でさえ,やっぱりいい仕事をしている人って幅広い教養があるってこと。(p250)
 結局どの時代でも,その時代で珍しいことができる人,貴重なことができる人が求められるので,今はもう,メモリの問題に関してはコンピュータに任せておこうっていう流れに時代が変わりつつあるんじゃないかな。(p255)
 (ボケないために)大事なのは,新しいことに挑戦することなんですけど,もうひとつすごく大事なことは,体を動かすことです。僕がお勧めしているのは,歩くこと。(p264)
 勉強の達成感ということでいえば,遊びのようにやれる勉強がいちばんよく学ぶことになるんですね。だから,仕事でも勉強でも,遊んでいるのと同じような脳の状態になればいちばんいいわけです。(中略)勉強と遊びは決して別々のものじゃなくて,遊びを通しても勉強できるし,勉強を通しても遊べるというのがいいと思います。(p265)
 集中って細切れでもいいんです。自分で時間を決めればいいんです。1時間とかまとめてやる必要はなくて,本当に1分でも2分でもいいから。(p267)