著者 茂木健一郎
発行所 総合法令出版
発行年月日 2015.12.07
価格(税別) 1,300円
● 茂木さんが矢継ぎ早に出している啓蒙書を後追いで読んでいるわけだが。そろそろいいかなと思わないでもないんだけど。ただし,カンフル剤的な効果もあるし。
少なくとも,栄養ドリンクを飲むよりはいいだろうと思う。
● 結局,自分は何のために本を読んでいるのかということだ。ぼくの場合は暇つぶしってことになるのかも。消費としての読書でいいと思ってきたし,実際,それにとどまっているのだ。
だから,読みやすいものを読んでいる。
● 以下に転載。
人間の脳は,成功と失敗をはっきり区別しています。最も重要な報酬物質ともいわれるドーパミンが放出される中脳から前頭葉に向かっている回路は,成功したときには強化され,失敗したときには戦略を立て直してします。(p18)
とにかく短い時間で仕事をやる癖づけをするのです。自分自身に適度なプレッシャーをかけ続けていれば,人間の脳というのは自然にアクティビティを上げるようにできているのです。(p25)
脳というのは非常に面白いもので,実は「失敗の貯金」があればあるほど成功したときのドーパミンの放出量が多いといわれています。(中略)つまり,成功ばかりしていてもいけないということです。(p34)
人間というのは自尊心を持たないと成長できません。ここでいう自尊心の本質というのは,「自分にダメ出しができる」というプライドを持つことなのです。(p47)
ぜひとも,(中略)「根拠のない自信」というものを持ってみてください。これは,幼少期には誰でも持っていたものです。しかし,そこから大人になるにつれて失ってしまっているのです。何かで失敗してしまったときに,それがトラウマとなってしまい,新しいことに挑戦しようというときに脳が抑制をかけてしまっています。(p52)
私の周りにいる仕事ができる人,成功している人ほど,仕事と遊びの区別がないように見えます。(中略)そのような人の脳を分析してみると,仕事における脳への報酬構造と遊びにおける脳への報酬構造がひとつながりになっているのです。(p65)
教養というのは,何かを学び知っているということのほかに「いろいろな物の見方ができる」ということも含まれています。つまり,人の生き方を考える上で,「見方を変えると全然違った視点が得られる」ということが教養でもあるのです。結局のところ,一人の人生ではとてもカバーできないくらいの,人類の歴史の中でさまざまな人が経験してきた,いろいろな物の見方を濃縮したのが「教養」ということではないでしょうか。(p74)
実は,人間の脳の限界がどの程度のものかなど,科学的に断定することはできません。つまり,脳が成長する可能性は無限といってもいいわけです。ですが,自分ができることには限界があるという思い込みをしてしまうことが,脳の成長を妨げてしまいます。(p84)
大切なのは,自分にとって輝ける「ニッチな居場所」を見つけるということです。(中略)ひきこもりで学校に行けない学生は,学校に行けないという自分の個性に合った居場所を見つければいい。毎日会社に行けない人は,会社に行けない自分に合った居場所を見つければいい。それこそが,成功への基本的定義だと私は思います。(p88)
嫌いなことというのは,実はそれをちょっとでも取り入れることで自分の可能性が伸びるケースが多い(p93)
おそらく,「成功している人は,きっと自分よりも苦しいことをやっているんだ」と思っている人が多いのではないでしょうか。しかし,これは完全に間違った認識です。成功脳をうまく使って集中力をいかんなく発揮し,成功している人というのは,実はすごく楽しい仕事生活をしているものです。(p106)
あれこれ考えずに1秒目から何でもすぐにやり始めてしまえばいいのです。(中略)思い立った瞬間にやることで,脳はどんどんマルチタスクをこなしていけるようになるのです。(p108)
誰にでも緊張する瞬間はあります。しかし,それらを一つひとつ乗り越えることで脳は次第に成長してフローに入る時間がどんどん長くなていきます。ですから,フローを体験するには,新しいことに繰り返しチャレンジするという姿勢が必要だということです。(p116)
結局のところ,人間の創造性というのは,自分の周辺視野がどれくらい広く見えるか,自分とどれくらい対話ができるかということによって決まってくるものです。(p126)
一度負け癖がついてしまうと,それに安住してしまって,そこからなかなか抜け出せないという人は,自分自身の認識をつかさどる脳の回路において,「どんな自分でも自分らしい」と勘違いしてしまっているのです。(p136)
負ける勝負しかしていない人は,すでに負けるとわかっている時点でどこか本気になっていない,全力を出していない自分がそこにいるはずです。(p145)
個性的な外国人は決して空気を読んでいないわけではないのです、かえって,そのような人ほど空気を読んでいるものです。日本人がいう「空気を読む」というのは,空気を読んでそれに合わせるということまで含んでいます。ところが,空気を読んだ上で,あえて個性を出していくという選択肢もあるはずです。(p159)
脳科学的にいえば,他人という鏡を使えず,自分が見えなくなってしまっている人というのは,脳の老化によってメタ認知が弱まっているということにもなります。(中略)例えば,年配の方が電車に乗るときに,周りに気を遣わずに我先に席を取るとうのは前頭前野の衰えともいえる行動です。(p161)
「多様性こそが,イノベーションにおいては大事だ」 このようなことがしきりにいわれている昨今ですが,これは脳科学的な立場からもその通りだと断言できます。というのも,多様性がなければ,自分の特性がメタ認知による鏡に映らないからです。実は,人間は似たような人と一緒にいるとメタ認知が立ち上がりにくいという性質があります。(p165)
メタ認知がしっかりと働いていないときというのは,どうしてもベストシナリオを考えがちになります。ところが,大抵の場合でいえばベストシナリオでうまくいくことはまずないといえますので,メタ認知のアシストを借り,成功するためにリアリストになる必要があるのです。(p167)
私の場合でいえば,ツイッターがミラーニューロンの働きを担ってくれています。(中略)ソーシャルメディアの中にいるかどうかは,現代においては今の同時代性を支える一つの基準になっているものです。場合によっては,ソーシャルメディアは誹謗中傷するようなものも含めてあるわけですが,そこも含めていろんなものがサラウンドで聴こえてくることがあります。(p177)
成功している人たちのコミュニケーションの基本は,「常に対等である」という意識を持っているということです。(中略)対等なコミュニケーションの本質とは,まずは相手をしっかりと敬い,思いやりを持ってお互いの考え方や行動に対して本音で意見をいい合うということです。(p186)
コミュニケーションが苦手な人ほど,キャリアや肩書き,あるいは名声を気にし過ぎたり,逆にそれらを自分の武器として相手に振りかざしてしまう傾向があるのではないでしょうか。(p189)
最近よく口にする言葉は,「勉強ができるというのは,一つの欠点ですらある」というものです。(中略)勉強ができるというのは典型的なオタク体質だということがいえます。オタクというのは,やはりコミュニケーションが苦手な人が多く,広い世界が見えていないことが一つの欠点として浮かび上がります。さらにいえば,オタクは他人と何かをするといったコラボレーションが苦手という側面もあります。(p195)
現代社会において,「運動ができている」というのは,ある意味では成功者の一つの指標といっても過言ではありません。(中略)仕事で行き詰まったときや,ストレスを感じているときに運動をすることで,「無意識を耕す」作用があるからです。(p201)
脳の仕組みは,「非線形である」ということも大切なポイントになります。(中略)つまり,1+1が2以上になるのが脳の特徴でもあるということです。これは一つひとつのステップが小さくて,あまり進歩していないように見えていても,ふと気づくと1+1が100にも1000にもなる瞬間がやってくるということなのです。(p207)
「何かを選択する」というときに使う脳の容量というのは,実は限られているということが研究でも明らかになっています。つまり,私たちが何かを選択するたびに,脳は活動容量を減らしているというのです。(中略)自分があまり重要視していないことの意思決定において脳を消耗させずに,自分の好きなことに全力で取り組むためにも,自分のビジネスに関係ないことにはルールを定めてみてはいかがでしょうか。(p218)
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