発行所 マガジンハウス
発売年月日 2014.08.16
価格(税別) 630円
● この特集であれば,買わないわけにいかない。
● 松浦さんが考える一流品とは何か。
一流品とは,人がいのちを注いで作ったもの。謙虚なたたずまいの中に,静かな美しさがあり,未熟と成熟が同居する。愛嬌のある人格を備え,媚びない凜とした姿勢を持ちながら,いつもあたたかくてやわらかな笑顔を絶やさない,天涯孤独を受け入れたような,人へのやさしさを感じさせるものである。(p33)● ふぅぅむ。わかったようなわからんような。けれども,松浦さんが選んだモノが80品目,写真と文章で紹介されている。
日常の生活に使う器から,車,自転車,オーディオ,絵画,本,レコード,スポーツ用品,カメラなどなど。ここまで広い範囲でこだわりの品目を挙げられるというのが,第一の驚き。
自転車が好きな人は自転車にこだわるし,カメラが好きな人はカメラにこだわる。けれども,それ以外のところでは,まぁこれでいっかとなっている人が大半だろうから。ぼくも同じ。こだわりがない。何でもいいと思ってしまう。
● ひょっとすると,結婚相手を選ぶときだって,さほどのこだわりはなかったような気もする。
まぁ,これは自分と結婚してもいいと言う女性がいるとは思えなかったことが大きい。こちらが選んでる場合じゃないぞ,っていう。
● その80品目の中に,レコードが2つ入っている。
ひとつは,「フーベルマンが弾くチャイコフスキー」。ヴァイオリン協奏曲ニ長調。「僕は,自分の中にあった一人の放つ表現力のスケールを粉々に壊された。スケールとは価値観であり美意識だ。生まれてはじめて自分を壊してくれるものと出会った」,と。松浦さん,22歳のとき。
もうひとつは,「マルカントワーヌ・シャルパンティエという作曲家」。シャルパンティエの「修道女のためのスターバト・マーテル」について,「生まれてこの方,こんなに美しい音楽を聴いたことがないと衝撃を受けた。永遠とは何かがわかった」,と。
音楽を聴いている時間はたぶんぼくの方が長いと思うんだけど,深さにおいては比べてはいけないと思わされる。
● この差はどこからくるんだろうか。家柄とか血筋ってあるような気がするなぁ。両親や祖父母がどういう人だったか。経済状況も当然。それらをひっくるめて環境っていうやつね。
母方の祖母は北海道随一と謳われた芸妓だったそうだ。そうした所作もみているだろうし,習わぬ経を読むということもあるだろうし。
ぼくなんかは喰うのがやっとという家庭で育っているので,モノはあるだけでラッキーってなものだった。
大人になってからは,自分次第だろって言われるな。そのとおり。
● ひとつだけ転載。
もうこれでいい。今のままでいい。生きていければそれ以外は何もいらない。それは言葉を変えれば,頑張りたくない。成長したくない。もっと言えば,リスクを負いたくないし,失敗もしたくないから成功もいらないという弱さではなかろうか。(p33)
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