書名 洗面器でヤギごはん
著者 石田ゆうすけ
発行所 幻冬舎文庫
発行年月日 2012.07.05(単行本:2006.11)
価格(税別) 648円
● 自転車世界一周を素材にしたこれが3冊目。旅の間に食べたものと,それが供された状況を絡めて,ときに洒脱に,ときにシリアスに,ときに面白おかしく,語られる。
面白さ無類。何を面白いと思うかは人によって違うとしても,本書の面白さはあまり人を選ばないのではないか。
● すごいところは,上から目線が皆無に近いこと。読者に対しても,作中に登場する様々な人たちに対しても。
時々の状況に対する反射神経の良さも印象的。どうすればこんなふうにできるのか。
● 食味に関する表現の豊穣さも魅力。自分でもかなりのレベルで料理をする人じゃないと,これは書けないよなと思うところがいくつもあった。
食を書いて秀逸な人って,たとえば開高健がいるし,阿川弘之がいるし,池波正太郎がいる。それらの大家に対しても,たぶんヒケを取らない。いや,ひょっとすると石田さんの言い回しの方が,地に足が着いているようにも思われた。食べているモノと場所の違いによるのかもしれないけれど。
● 自分は食べることを粗末にしてきたなと思った。食事なんて給餌でいいじゃんと思ってた時期もあるし。エサで何の文句があるんだ,みたいな。
一般にもダイエット流行りで,食べることを敵対視する風潮がないわけでもないように思う。いいものを少なく,っていうのも,どこか違うような気がする。
● 700円で本書を読む数時間が買える。かなり安い買いものっていうか,お得な買いものだったと思う。
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