書名 旧型自転車主義
著者 平野勝之
発行所 山と渓谷社
発行年月日 2012.03.10
価格(税別) 1,905円
● イギリスのサンビームという古い自転車があるんだそうだ。写真で紹介されている。
著者によれば,「「あなたは私と暮らす勇気はあるのかな?」と,伊達ではない黒塗りの車体がそう語りかけてくる」(p11)ような自転車で,「自分のレベルを上げないと,とてもつきあえない」(p12)自転車である。
しかし,ママチャリの中にもこれと似たデザインのものがなかったか。あったとしても,あくまで似ているだけで,本物と偽物ってことになるんだろうなぁ。
● イタリアのチネリについては,「この「魔物」という強烈な形容詞がついたものは,僕の知るかぎり自転車だけだ。自転車はそんなふうに呼ばれるほど,人を狂わせるものなのかもしれない」(p62)と言う。
このあたりの感覚,わかる人にはわかるんだと思うけど。
● 「蛍光灯は,便利だが醜い。明るいことは素晴らしいことだが,余計なものまで,鮮明に写し出してしまう。僕は,日本が美しくないとしたら,それは蛍光灯のせいだと思っている」(p111)とも言う。
たしかに蛍光灯というのは味も素っ気もないっちゃないんだけど,そこまで言ってしまうと,蛍光灯が気の毒だとも思う。
これからはLEDが取って代わっていくんでしょ。蛍光灯よりずっといいよね。
● 自転車に関しては著者の美観はとんがっていて,したがって許容範囲がごく狭い。こういう人は距離をおいて付き合う分には面白い。
著者と読者という関係が理想的か。
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