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2015年12月12日土曜日

2015.12.06 津田大介 『Twitter社会論』

書名 Twitter社会論
著者 津田大介
発行所 洋泉社新書
発行年月日 2009.11.21
価格(税別) 740円

● 本書が刊行されたのは東日本大震災の前。Twitterは多くの人の命を救ったとも言われたし,風評被害を拡散したとも言われたが,本書刊行の時点ではそんなことは知る由もない。
 それと,まだスマホが普及する前だった。iPhoneが出たあたりだろうか。このあと,短時日のうちに,スマホがガラケーに取って代わることになるわけだけど,本書が書かれた時点ではスマホは一般的ではなかったようだ。

● したがって,この時点でTwitterを始めていた人っていうのは,スマホの導入も早かった人。マーケティング用語でいうアーリー・アダプターになるんでしょうね。

● 以下に転載。
 ユーザーが日常の他愛もないことを140字で書き込んでいくだけというサービスは,「人間同士のコミュニケーションは,得てして他愛もないことから始まる」という彼(ジャック・ドーシー)の信念によるものだった。(p16)
 ユーザーのアイデア次第でツイッターはどんな目的でも使うことができる。単なる日常生活の報告ツールという枠組みで捉えていると,ツイッターの本質は見えてこない。(p45)
 そんな多彩なつぶやきの中,特に筆者の興味を引いたのが,何かの現象や出来事,ニュースを目の前にしたときに,そこから派生して感じたことや普段から考えていることをメモ的につぶやくというものだ。(中略)自分でもツイッターに日々の生活の中で思いついた提案や教訓,仕事をしていて知ったちょっとした豆知識などを積極的につぶやくようになった。すると,ツイッターの使用感がガラッと変わったのだ。自分の思考をあいまいなまま「垂れ流す」ことで,(中略)当初は想定していなかったイレギュラーな出来事が次々と起き,ツイッターというサービスが筆者にとってどんどん刺激的なものになっていった。(p55)
 SNSは相互承認プロセスがなければユーザーは情報を見られないので,情報の伝播力でツイッターに劣る。ブログはハッシュタグのように特定の話題で一覧できるような連動性や,話題に対して即座に反応できるというリアルタイム性でツイッターに劣る。(p102)
 事後の細かい監視作業は調査報道と同じで非常に時間・金銭的コストがかかる。メディアやジャーナリストも商売である以上,コストに見合わないことをやり続けるというのは難しい。(p102)
 ブログ時代は「メイン=マスメディア」と,「サブ=ブログ」という明確な力関係があったが,ツイッター時代になり,両者は徐々にフラットな立ち位置に向かっている。その方向に向かえるのは,ひとえにツイッターの持つ強烈な属人性とリアルタイム性が個人の情報発信力を最大化させているからだろう。(p117)
 まずは賞味期限が短い情報を旬の内に発信しておいて,後から形を整えてブログに掲載するといった利用もできるだろう。(逢坂誠二 p120)
 公職選挙法が改正され,ネットで情報発信することのインセンティブが高まれば,ツイッター議員が増えることは十分予想できる。そうなればどぶ板的人情論でなく,冷静に政策ベースで支持する議員を選びやすくなるという意味でネットユーザー側にも大きなメリットがある。(p131)
 こういうのを筆の滑りというのか。冷静な政策ベースの議論って,どぶ板的人情論に勝るかい? どぶ板人情論を実践できてない議員が,頭で冷静に政策を語ってみたところで,何も始まらないだろうよ。むしろ,票は逃げていくのではないか。
 ストックされることの多いメルマガより,個々の日常に密接したライムラインに突如「オトク情報」が入ってくるツイッターの方が購入欲が喚起されるのは疑いがない。 というのも,ネット通販における大原則は「ユーザーに考える時間を与えたら負け」だからだ。ネット通販は,購入までの確認画面を1つ挟む度に購入率が落ちていく。(p141)
 ツイッターで人気を集めやすい書き込みはまさに,そうした現場の人間にしかわからない裏話やエピソードだ(p144)
 そもそも閑古鳥が鳴いている「企業ブログ」を放置しているような企業がツイッターを試してみたところで結果は同じなのだ。(p154)
 いいつぶやきをしていくことが大事ですよ。私はマーケットを信頼している方なので,ちゃんといいものを提供している人はきちんと見つけられると思っているんです。(勝間和代 p172)
 結局,人から直接聞いた情報が一番質がいいんですよ。ツイッターは当然文字ベースのサービスなんだけど,ブログやニュースサイトに比べると,その情報はかなり「生」に近い。(勝間 p178)
 こうしたツイッターの本質は,ある程度フォローする人数を増やさなければ理解することができないだろう。(中略)ツイッターの独自性が理解できるのは,知り合い以外も含めて100人以上フォローするあたりからだ。そうするt,新聞やテレビなどのメディアを見るような感覚でツイッターを楽しめるようになってくる。 そしてライムラインの景色が変わるのが,フォロー数300~500を超えるあたりだ。ここまでフォロー数が増えると,情報の流れも速いため,「タイムライン上の情報はすべてみなければいけない」といった強迫観念から解放される。(p189)
 ツイッターの一番の楽しさは,自分が好きな人の他愛もないつぶやきを見て笑ったり,共感したり,ときには噛みついたりして,その人のことをより好きになっていく,そのプロセスにあるんじゃないかな。とにかく「人間」が好きな人なら,何らかの方法で絶対にツイッターを楽しめること請け合い。(p191)
● 今までTwitterの解説書は何冊か読んでいると思う。が,本書を読んで初めて,自分のスマホにTwitterアプリをダウンロード&インストールした。速攻でアカウントも取った。
 さて,このあとはどうすればいいんだ? 気になる人たちをどんどんフォローしていくか。

2013年12月10日火曜日

2013.12.10 津田大介・牧村憲一 『未来型サバイバル音楽論』

書名 未来型サバイバル音楽論
著者 津田大介
    牧村憲一
発行所 中公新書ラクレ
発行年月日 2010.11.10
価格(税別) 840円

● 「USTREAM,twitterは何を変えたのか」が副題になっている。
 CDがかつての半分も売れなくなっている。が,ライヴは好調だ。昨今ではUSTREAMやYouTubeを使って,クリエイターが聴衆に直接,語りかけることができるようになった。ならば,それらを追い風にして,今までとは違ったやり方ができるのではないか。
 かつての大手レーベルやレコード会社は,ありていにいえば,クリエイターを搾取していた。そのくびきを脱して,クリエイターが音楽活動に回す資金を確保する方法があるのではないか。
 そうした姿勢で音楽の近未来について考えている。

● キーワードは「一人1レーベル」。巻末で牧村さんが次のように発言している。これが,本書の結論といってもいいかもしれない。
 ネットは「サロン」なのですよ。大昔はサンジェルマン・デ・プレやグリニッジ・ヴィレッジに行かなければ出会えなかったことが,ネット上では日常茶飯事に起きている。そのネットの中で自分にとってのサロンを確実に見つけて,それをどうリアルに転換できるか。その答えが大きな意味でのレーベルになるのだと思います(p247)
● ネットはサロン? 本当か? 中川淳一郎さんの『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)を読んで間がないので,しかもそこで言われていることにほぼ全面的に賛成なので,ネットにそこまで楽観的でいいのかと思ってしまう。
 ネットには上質な情報があまたあることは間違いないし,そこから何を引きだすかは使い手次第だと思う。けれども,ネットはコミュニケーションには向かない。もしコミュニケーションの質を普通以上に維持したいんだったら,参加者を制限しなければいけない。
 クリエイターと熱心なファンの間には,その巧まずともその制限がかかった状態になっているのかもしれない。ネット上にサロンができているのかもしれない。

2013年6月21日金曜日

2013.06.20 津田大介 『情報の呼吸法』

書名 情報の呼吸法
著者 津田大介
発行所 朝日出版社
発行年月日 2012.01.15
価格(税別) 940円

● ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアについて,著者の経験や接し方を説いたもの。読んでおいて損はない。というと不遜な言い方になるけれども,読みものとしても面白い。

● いくつか転載。
 昔は「情報選び」は「媒体選び」でした。朝日新聞を取るのか読売新聞を取るのか。どの雑誌を買い,どのチャンネルを見るのか。しかしソーシャルメディアの時代になって,それは「人選び」に大きく変わりました。人をどう選ぶのかによって入手できる情報に大きな違いが出るようになりました。(p45)
 ここだけちょっと異論があって,「人をどう選ぶのかによって入手できる情報に大きな違いが出る」のは,昔からそうだったと思う。本と雑誌しかなかった頃も,誰が書いたものか,誰が寄稿しているか,を最初に確認して選んでいたぞ。
 少し前まで情報は「ストック」でした。ネットに情報を上げておけば誰かが何年後かに検索で見つけることができる。そんな巨大なインターフェースをみんなでよってたかって作ろうとしていました。それがツイッターやフェイスブックになると情報がどんどん流れて消えていってしまう。情報がある意味「一期一会」の「フロー」になった。 だからといって情報をずっと追う必要はありません。本当に大事な情報というものは,わざわざ遡って探さなくてもリツイートなどにかたちを変えてまた流れてくるからです。(p80)
 情報は「ストック」だとぼくも思ってた。お金と同じで,ある程度貯まらないと使い勝手がでないものだ,と。自分が何がしかの興味,関心を持っているモノやコトについての情報は,断片をたくさん集めて固まりにしないと使えないものだ,と。

● 本書にも詳しく紹介されているけれども,東日本大震災のような未曾有の災害が起こったとき,ツイッターは大いに役に立った。フローとしての情報が生死を分けるほどの意味を持った。
 が,平時においてすぐに消える情報が役に立つとは思いにくい。たとえば,今どこそこにいるんだけど,近くに美味しいレストランはないかと投げかけて,それならこの店がいいよっていう情報をもらったとして,それが何だというのだ。どうだっていいじゃないか,そんなこと。

● 本書を読んでもなお,SNSに手を染めてみようかとは思わなかった。引きこもり傾向が強くて,あまり人とのコミュニケーションを望んでいないから,と自己分析してるんだけどね。