著者 津田大介
牧村憲一
発行所 中公新書ラクレ
発行年月日 2010.11.10
価格(税別) 840円
● 「USTREAM,twitterは何を変えたのか」が副題になっている。
CDがかつての半分も売れなくなっている。が,ライヴは好調だ。昨今ではUSTREAMやYouTubeを使って,クリエイターが聴衆に直接,語りかけることができるようになった。ならば,それらを追い風にして,今までとは違ったやり方ができるのではないか。
かつての大手レーベルやレコード会社は,ありていにいえば,クリエイターを搾取していた。そのくびきを脱して,クリエイターが音楽活動に回す資金を確保する方法があるのではないか。
そうした姿勢で音楽の近未来について考えている。
● キーワードは「一人1レーベル」。巻末で牧村さんが次のように発言している。これが,本書の結論といってもいいかもしれない。
ネットは「サロン」なのですよ。大昔はサンジェルマン・デ・プレやグリニッジ・ヴィレッジに行かなければ出会えなかったことが,ネット上では日常茶飯事に起きている。そのネットの中で自分にとってのサロンを確実に見つけて,それをどうリアルに転換できるか。その答えが大きな意味でのレーベルになるのだと思います(p247)● ネットはサロン? 本当か? 中川淳一郎さんの『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)を読んで間がないので,しかもそこで言われていることにほぼ全面的に賛成なので,ネットにそこまで楽観的でいいのかと思ってしまう。
ネットには上質な情報があまたあることは間違いないし,そこから何を引きだすかは使い手次第だと思う。けれども,ネットはコミュニケーションには向かない。もしコミュニケーションの質を普通以上に維持したいんだったら,参加者を制限しなければいけない。
クリエイターと熱心なファンの間には,その巧まずともその制限がかかった状態になっているのかもしれない。ネット上にサロンができているのかもしれない。
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