書名 転んでも海外!
著者 吉田友和
発行所 幻冬舎
発行年月日 2012.11.10
価格(税別) 1,400円
● 特に若い人たちは海外旅行をしなくなっていると聞く(しなくなったのか,したくてもできないのか)。これを嘆く年配者の声を聞くこともある。
ぼくは,しなくたって別にいいんじゃん,という意見。というと,でも思いでができましたから,なんて声が聞こえてくるかも。特にバブル世代からね。
思いでねぇ。海外に行かないと思いでも作れないような手合いは,豚に喰われてしまえ。って言ってしまうと,ぼくも豚に喰われた方がいい部類に入ってしまうんですけどね。
● さて,というわけで,海外旅行本ってガイドブックをはじめいろんなジャンルのものがあるけれども,おしなべていえば活気がない感じがする。ひと頃はやったバックパッカー貧乏旅行的なものは,特に凋落著しいのではないか。
そんな中で,吉田友和さんと奥さんの松岡絵里さんのお書きになるものが,ひとり気を吐いているような印象。ぼくもこの二人のものは,たいてい読んでますよ。
貧乏旅行でもなく豪華ホテルやグルメ三昧でもなくっていう,ほどほどのところが世相に受けているんでしょうかねぇ。コストパフォーマンスの良さっていうあたり。
● 「心から満足して帰国するための旅極意60」というのが副題。出発前の注意事項から,機内での過ごし方。到着後の宿や食事,観光の心得。何を持っていくか。現地でのお金にまつわる話。
そうした海外旅行の全プロセスから60のトピックを拾いあげて,著者の考えを開陳。しかもそのひとつひとつが,読み切りエッセイのようになっている。
これ,なかなかできませんよ。何といっても語るに足る経験を数多く持っていなければいけない。
● 読みやすい。面白い。でも,ぼくは一気読みができなかった。こちらが海外旅行から離れてしまっているのが理由かなぁ。
旅行って,行かなくなると行かない状態が定着するからね。そこで息苦しくなるほどに行きたいよぉってなると,旅フリークの称号を得られる。でも,ぼくは行かなけりゃ行かないで平気なタイプ。基本,近場ですんじゃうっていうかね。
● ニューヨーク(行ったことはないけど)よりも,パリ(これは一度行った)よりも,香港(何度か行った)よりも,東京の方が面白いんじゃない? ぼくが地方に住んでいるからだと思うんだけどね。
もっというとさ,ぼく,栃木の片田舎で息をしてるんだけど,宇都宮で気がすんじゃうってところもあってさ。時間帯とか場所によってはね,宇都宮で旅情を感じることもあるんですよ。それでいいかなぁと思っててさ。
● 吉田さんが奥さんの言葉として紹介している文章を引用。
留学なんて無意味だと思うよ。そんなお金と時間があるなら,旅した方が遙かに勉強になるよ。日本人は言葉のコンプレックスが強すぎるんじゃないかな。(p182)
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