2018年3月4日日曜日

2018.03.04 和田秀樹 『勉強したくなった人のための 大人の「独学」法』

書名 勉強したくなった人のための 大人の「独学」法
著者 和田秀樹
発行所 大和書房
発行年月日 2017.03.25
価格(税別) 1,400円

● 和田さんはすでに,受験生や社会人に向けて,勉強の本を何冊も書いている。その多くをぼくも読んでいる。
 思いだした。ぼくは受験生のときも,合格体験記というのを好んで読んでいた。受験雑誌に載っている勉強法のところを読みひたっていた。そうして,勉強そのものはしなかった。そうだった,そうだった。

● こういう困った性癖は,大人になってからも直らないものだね。和田さんの勉強法の本はかなり読んだのに,勉強じたいが自分の生活の中心になることは,やっぱりなかったな。

● 以下に,多すぎるかもしれない転載。
 独学のメリットは,勉強の時間や進め方を自由に設定できるなど,さまざまあります。ただ,もっとも重要なのは,既成の権威や価値に左右されないところにあると私は考えます。(p4)
 あなたは,知性とはほど遠いような学者もたくさんいるという現実を,きちんと認識しているでしょうか。(p4)
 相手が専門家であろうがなんであろうが,疑問に思ったことがあれば,率直に疑問をぶつける。専門家であっても,正しいことを言うとは限らない。私は,それこそが本物の知性であると考えている(p9)
 私は,勉強熱心な社会人の多くが,ただインプットすることに夢中になっているように思えます。(中略)大切なのは,インプットするだけではなく,学んだ知識を自分なりにアウトプットすることです。(中略)どれだけ独自の観点からアウトプットできるか。勉強の成果は,そこにかかっています。(中略)つまり,これからの時代,本当に必要とされるのは,他の人とは違う視点からアウトプットできる人なのです。(p12)
 日本人の多くは,学校を卒業してから勉強をしないまま一生を終えているのではないでしょうか。(中略)人生を分けるのは,大人になってから勉強をしているかどうか,です。(p29)
 資格試験やカルチャースクールなどでは,基本的に先生から一方的に教えを受ける形式で勉強します。このとき,私たちはなんとなく「正解を教えてもらう」という意識で先生のお話を聞いています。(中略)けれども,私は「これしか正解がない」という発想は非常に息苦しいと考えます。(p34)
 健康寿命を延ばすには,体を鍛える必要があるのはもちろんですが,脳の老化対策も重要となります。(中略)1人でコツコツと勉強する意欲がある人は,超高齢者会にあっても,健康的で若々しくいられるのではないか,と私は考えます。(p40)
 勉強のテーマは多種多様ですが,とにかく楽しい勉強,面白い勉強に取り組むのが基本です。(p42)
 私が提案したいのは,普段使いのパソコンとは別に,勉強用のパソコンを別に1台持つ,という方法です。(中略)ネットにつながないパソコンは,原稿を書くためだけに使用します。(中略)余計な機能はいりませんから,低価格のパソコンでも中古品でも十分です。(中略)書くことにしか使えないパソコンがあれば,単純に「書く」という行為に集中できます。勉強用パソコンを使っているときは勉強に集中する,というルーティンが完成すれば,こっちのものです。(p63)
 政治であれ,歴史であれ,科学であれ,ワインであれ,勉強した内容を面白く語る。それができれば大人としての魅力は高まります。(p69)
 あなたがもし独学を志すのであれば,既存の学説をたくさん身につけるなどという,情けない目標を持たないでほしいのです。(p74)
 何を学ぶにあたっても,既存のフレームワークに類型化して安心していると思考停止に陥ります。あらゆる可能性を模索するスタンスを忘れないようにしてください。(p77)
 ユニークな意見を言うために必要なのは,大胆な仮説を立てることです。どれだけ荒唐無稽な説であっても,仮説を立てるのは自由です。一度仮説をたてると,その仮説を立証するための材料を得ようと努力します。大切なのは,その努力です。(p78)
 日本人が「ノーベル賞」や「有名大学の教授」といった肩書きに弱すぎる証拠に,万が一,ノーベル賞学者が週刊誌で不倫疑惑を報じられたら,一転して世論のバッシングの嵐に遭うはずです。私にしてみれば,研究者の人格に問題が会っても研究の価値自体は揺るがないと思うのですが・・・・・・。(p87)
 数学オリンピックで金メダルを獲得するような人は,数学者としては大成しないと有名な数学者から聞いたことがあります。数学者の中では数学的な「問い」を立てられる人こそが優れているのであって,問題を解くだけの人は二流以下とみなされるからだそうです。(p90)
 私は知識を詰め込む教育を否定はしません。日本だけでなく,諸外国でも初等中等教育は詰め込み式の発想で設計されています。(中略)ところが日本の場合は,大学に進学しても,一方的に教授の学説を教えてもらうだけで,自ら考える場にはなっていません。(p96)
 大人にとっての頭の良し悪しを分けるのは,知識量ではなく,「答えが1つだと思っているかどうか」と私は考えています。頭が悪い人は,正解が1つしかないと決めつけています。(p98)
 「儲けたい」という人間のインセンティブよりも,「損をしたくない」というインセンティブのほうが3倍強く働く--端的にまとめるとカーネマンはこのような理論をきちんと数式化して,2002年にノーベル経済学賞を受賞しました。(p105)
 日本では精神分析の治療で医者や心理学者が食べていくのは至難の業です。ところが大学の教授になれば食べていけるので,理屈ばかり言って,論文ばかり書いている人が分析の世界では主流です。結局は,その手の大学の先生が何十年も前の理論をもとに,患者さんの心を平気で踏みにじるような「治療」を行っているわけです。(p108)
 外国の人は,「会話はできるけど話の中身がない人」よりも「会話はおぼつかないけど話に中身がある人」の話を聞きたがります。それは立場を逆にしてみれば当然です。(p119)
 仕事ができる人,勉強ができる人ほど,休むべきときにはきちんと休んでいます。大切なのはメリハリです。力を出し切ったと思ったら,とにかく体を休めるのが先決です。(p137)
 ビジネス書にいたっては,売れているものでも3~5万分が相場ですから,内容のあるビジネス書を読んでいれば上位1%どころか,0.5%に入ることができます。知的レベルが上位1%に入れば,少なくとも失業の心配は不要でしょう。ちなみに,ビジネス書やビジネス誌の購読層は首都圏に集中しているのが実情です。(p156)
 今ほど,読書によって周囲を差をつけられる時代はないと痛感します。(p157)
 たとえば,簿記の試験に合格するという目標を立てたときに,会計学のテキストを購入するのは順序として間違っています。資格試験を受けるなら,まず過去問を集めた問題集を入手するのが基本中の基本です。(p158)
 若い人にぼくが最も伝えたいのはここだ。実践知として,有益このうえないのは,ここのところだ。まず過去問にあたってみること。そのときの自分の学力は度外視していい。とにかく過去問にあたること。
 当然,大部分はわからない。だから解答と解説を読む。そうしてとにかく,3年分なり5年分(それ以上は無意味)の過去問にすべてあたること。
 で,解答と解説を読んだあと,さらに同じ過去問を解いてみるのだ。すでに解説を読んでいるのだから,今度は半分くらいはできるだろう。そして,また解答と解説を読む。2回目からは解説を読んでもわからないところは,人に訊くなり参考書にあたるなりしてもいいだろう(今ならネットをググるという手もある)。
 それを繰り返す。5回も繰り返せば,全問正解に至るだろう。5回でダメなら全問正解になるまでやるのだ。それでおそらく,大学受験や資格試験はパスするだろう。なぜなら,本番でも同じ問題しか出ないからだ。どういうわけかそうなのだ。
 この勉強法を若い頃に知っていれば,まぁ東大くらいは入れたかもしれない。そのくらい有効な方法だ。
 何か新しいテーマを知ろうとするときに,著名な著者のテキストや定評のある教科書から読もうとするのはリスクが高すぎます。(中略)まずは,見栄を張らずに手ごろな「入門書」から手にとればよいのです。(p158)
 精神分析の本でも,自分に基礎的な知識があれば,一部分を読んだだけでも著者の理論をある程度把握できます。むしろ部分的に読むだけでも,1冊を隅々まで読むのとあまり変わらないのではないか,と思えるようになったのです。(p174)
 熟読する部分の選び方がわからないという人には,あれこれ考えずにとりあえず1章だけを熟読する読み方をおすすめします。私が著者としてたくさんの本を執筆してきた経験からいうと,著者が本を通してもっとも主張したい内容は1章に書いてあるケースがほとんどです。(p178)
 「正しさ」にとらわれすぎると,考えの幅が広がりません。他の人とは違う視点で,どのような主張を提示できるか。それを考えてほしいと思います。(p199)
 ブログでは主張したいことを妥協しないで書いているので,ストレスの解消に大きく貢献しています。そして何より文章を書く行為は,日々の勉強を下支えしています。(p204)
 私はたくさんの本を出版しているので,博覧強記のように思われることもありますが,まったくの誤解です。本を書くという仕事があるから,いろいろとものを調べたり,人から話を聞いたりします。そうやって学んだ材料を,著書を通じてアウトプットする過程で知識が自分のものとなっているわけです。(p205)
 つまらない文章になるのをおそれず,わかりやすく書けばいい(p207)
 一般的な論理展開に,「①問題提起」「②意見提示」「③展開」「④結論」の4部構成があります。(中略)この論理展開をマスターすれば,文章が格段に論理的になります。型にはめて書けば,いろいろなテーマで文章を量産できるようにもなります。(p208)
 私の場合は,まずコンテづくりを行います。コンテというのは,どんな内容を,どんな順序で書くかという見取り図です。(中略)短いコラムのような文章を書くときも,最初は簡単なコンテを作るのをおすすめします。箇条書きでも十分です。内容のモレを防ぐ効果もあります。(p212)
 「相手はわかっているはず」と思う内容であっても,実際には相手が知らないケースがはるかに多いのです。(中略)省略するよりも,むしろ丁寧すぎるくらいの文章を書いてください。(p218)
 灘高校に通っていた当時,英語の先生が「英作文は英借文だ」と語っていました。(中略)自分が表現したい内容に近い英語の文章を見つけてきて,単語を入れ替えたほうが書きやすいし,自然な文章になるというわけです。(p220)
 定年になれば,時間がいくらでもできるから,それからにしようとか,今はちょっと忙しくて,と思う人も多いかもしれません。しかし実は,人間の脳の前頭葉と呼ばれる部分は,40代から萎縮が目立つようになります。ここが萎縮すると,なにごとも意欲がだんだん衰えてしまうのです。(中略)結局のところ,時間ができたころには意欲が衰え,「ま,今さらいいか」ということになりがちなのです。そういうことを避けるためにも,意欲のある今のうちに勉強を開始したほうが懸命です。(p227)
 毎日進化を続けられるなら,歳をとることはなにも怖くありません。長く生きるほど強くなれるし,賢くもなれるのです。そして,そのために残された時間も十分あります。うまくいかないことがあっても,またやりなおせる。(p229)

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