著者 茂木健一郎
発行所 学研プラス
発行年月日 2018.12.11
価格(税別) 1,300円
● 和田秀樹『自分を信じるということ』と同じ内容。つまり,自分を信じるということは“いい人”をやめることでもある。
ぼくが若かった頃は最大の徳目は協調性だった。今でも変わるまいが,それを揺さぶる動きが堀江貴文さんあたりを源流にして大きな流れを作りつつあるように思われる。
自分はといえば,人からの依頼を断れる人になりたい。
● 本書では職場の狭い範囲で同じ人と飲んだり食べたりするのではなく,別の世界にいる人と会うことの重要性が説かれている。なかなか難しいだろう。
が,今はSNSがある。直接会わずとも,謦咳に接することは一応可能だ。SNSには毀誉褒貶あるが,ネットをうまく活用すれば,ベストではないにしても現状を揺すってみることはできるのではないか。
● 以下に転載。
そもそもこの世の中には,すべての人に好かれる人などひとりもいません。(中略)これが人間関係の本質ではないでしょうか。ところが,こうした本質を認めることができない人は意外にも多く,誰からも好かれたい一心で「いい人」を演じてしまい,苦しんでいるのです。(p18)
「いい人」を演じているあなたの脳で,どんなことが起こっているのか。実はその瞬間,あなたの脳の前頭葉では抑制回路が強く働いています。(p21)
世の中で成功を勝ち取っている人たちのほどんどは,脳の抑制を外すことに長けた人たちです。そのため,熱烈な支持者もいれば,同時に強烈なアンチもいるわけですが,彼らはそんな周囲の反応などに臆することもなく,常に新しいことにチャレンジしてイノベーションを起こしているのです。(p33)
「いい人」という言葉は「常識人」とも言い換えることができるでしょう。しかし,大きな結果を出したいときに「常識人」でいることなどできないのです。(p34)
脳科学的に見ても,人間は現状を変えることを嫌う生き物だといえますから,この固定観念は必然的に身につきやすい考え方だといえるでしょう。(中略)しかし現在は(中略)ものすごいスピードで変化しています。つまり,固定観念を捨ててその変化に対応できなければ,どんどん時代に置いていかれてしまう。(p43)
「相手の期待に応えるよりも,まず,自分の気持ちを優先させよう」 私はそう考えて行動する習慣を持ったことで,脳の抑制が外れてフル回転を始めるようになりました。(p50)
「自分をさらけだす」 これが,自分の個性を発揮するということです。(p55)
「人よりも劣っている」と覆われるポイントの近くに,その人ならではの輝きが潜んでいることは,脳科学の研究でもわかっています。(p58)
なぜ,他人の期待に苦しまないのでしょうか? それは,期待とは「応えるもの」でhなく「超えるもの」なのだと考えているからです。期待に“応える”という「相手本位」の発想ではなく,期待を“超える”という「自分本位」の発想にシフトチェンジするのです。(中略)たとえそれが面倒な仕事であっても「期待を超える」と決意した途端,嫌々やっていた仕事が,チャレンジすべき仕事へと変化するのです。(p65)
存在感がある,つまり独自の輝きを放っている人の言葉と行動には,常にその人なりの哲学が込められています。(中略)皆さんもまず自分の存在感を意識して,少しでも自分を出してみてください。(p80)
嫌われることを恐れ,自分の保身ばかり考えている人には,どうがんばっても相手の心の中を読むことはできないからです。その点,どうすれば相手に喜んでもらえるかをいつも真剣に考えているような思考回路の人は,誰からも好かれ,何をやっても受け入れてもらえるということになるのです。(p92)
「この状況をどうすれば楽しめるのか」という意識を持ちさえすれば,どんなことでも自分の学びや成長の機会にすることはできるということ。(p117)
ユーモアのセンスを身につけること自体は,脳科学の立場からも,ぜひおすすめしたいことです。というのも,脳の神経回路は楽観的に物事を捉えることで活性化され,潜在能力が発揮されるという性質を持っているからです。人間関係に限らず,あなたがさまざまなチャレンジを続けている際に,笑顔でいることは大変重要なのです。(p127)
私自信もSNSを利用していますし,そのシステム自体に問題があるとは思ってはいませんし,無理やり辞める必要があるとも思いません。むしろ,これは使い方次第で自分の世界を広げることがでいる素晴らしいツールだと思っています。そして,狭いコミュニティで他人の顔色を窺ってばかりいるよりは,SNSを通じて世界中の人と「毛づくろい」をしてほしいと考えています。「いい人」ちすて評価されることなどはさっさと卒業し,世界に能動的に働きかけて,本当の意味での「自己アピール」をしてみてはいかがでしょうか。(p131)
セルフ・ブランディングを成功させるために,最も重要なポイントは何でしょうか。社会や周囲に対して,自分がどんな価値を提供できるのか,さらにはどんな貢献ができるのかを,他者の価値にぶら下がるのではなく,自分自身が責任を持って発言,行動することによって明確にすることです。(p133)
「いい人」は常に他人本位のマインドになりがちで,能動的に自分の感動を他者と共有する意識が低いものです。けれどもあなたが自分の本当に感動したことを発信し続けていれば,そのうちあなたに賛同してくれる人,すなわち同じ「バズ回路」を持った人が現れるはずです。(p137)
自分の意見を言えない人間は意思決定を任される人材になり得ないのです。(p144)
賢いといわれる人ほど,実は「手抜き」が上手であるということをご存知でしょうか。(中略)ですが,そうした「正しい手抜き」をするためには,まずは本物の味を知っておかなければならない。(p162)
「つながりタイム」を十分に楽しむためには,それと同じくらいに十分な「孤独タイム」がないといけないのです。なぜなら,人間は孤独な自分だけの時間に,他人とのコミュニケーションから得た情報や感覚を脳の中で整理する必要があるからです。(p168)
人とのつながりに過度な期待を持たないことで,かえって自己肯定感が高まり,人間関係を構築する心地良い自信が生まれるものです。(p169)
私は,正しいといわれる行動を1回しかしない人よりも,間違った行動を100回する人のほうが,絶対に学びが多いと考えています。そうやって「正解」がわからないことが,世界の最先端を生きている証なんだ。そう思えば,どんなことでも楽しくなります。(p185)
「いい人」のままでいる人は,自分の個性という資源を使わずに,そのまま放置している人です。(中略)自分という個性の資源を発掘できなければ,当然自分自身を生かすことはできませんし,いつまでも「いい人」でいると自分の付加価値がどんどん下がっていきます。(p188)
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