2019年7月13日土曜日

2019.07.13 外山滋比古 『「長生き」に負けない生き方』

書名 「長生き」に負けない生き方
著者 外山滋比古
発行所 講談社+α文庫
発行年月日 2016.07.20
価格(税別) 540円

● 老年期の生き方を説いた実用本ではなくて(そういうものとしても読めるが),短い随筆を束ねたものと受け取った方がいいと思う。
 対決姿勢で読んではいけない。同意しかねるところはあるかもしれないが,その場合であっても著者と対決してはいけない。

● 以下に転載。
 とにかく,みじめでない,生き生きした年寄りになりたかったら,まず,この,“自ら助くるもの”でなくてはいけない。自分のことはなるべく自分でする。人の手を借りない。(p6)
 いつまでも,死ぬことは考えず,明日ありと思って生きる。それには仕事をするに限る。なければつくる。(p19)
 すこしなら,酒もタバコも,外はすくなく,ときとして活力を生む効果がある。いけないのは度をこすこと。適度なら,害は,その効用によって帳消しになる。人間はそうできているように思われる。(p34)
 時間と競争すると,おのずから緊張する。(p55)
 友人は食べものではないが,やはり賞味期限がある。(p64)
 はじめから,いついつに死ぬとわかっていたら,人生というものはそもそも存在しないであろう。(p74)
 ぜいたくが世のため,人のためだけではなく,自分にとってもいいことであるとわかったのも発見である。(中略)そうは言っても,ぜいたくは節約より難しいようである。(p79)
 難局に当たっては怒るに限る。(p92)
 風邪をひいて休養したがために,大事に至らなかったことが,思い返しても,何度もあるような気がした。(p157)
 つけた日記は一度だって読み返さない。(中略)となると,古い日記が場ふさぎで,じゃまになる。が,といってゴミに出すわけにはいかないから,始末が悪い。(p169)
 (菊池寛は)「学問的背景のあるバカほど始末の悪いものはない」といった意味のことばを残しているが,やはり生活の達人でなくては思いもおよばない。生活を文学にした内田百閒が,「なんでも知っているバカがいる」と言ったのもおもしろい。(p176)
 いったん実務の世界へ足をふみ入れた人間には,あてどもなく,本を読んで,知識を増やし,それを利用したレポート的論文を書くのは耐えられなく退屈だった。(p178)
 忘れる力のつよいのは人生の勝者である。(p199)
 叱られると寿命が縮み,ホメられると,寿命がのびる,というのは昔からどれくらいおこっていたかしれないのである。(p210)
 友を選ぶのに,切磋琢磨の相手を求めるのはごく若いうちのこと。一人前の人間になったらケチをつけるような人間は一人でもすくないほうがいい。(p213)

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