2019年7月28日日曜日

2019.07.28 スズキナオ・パリッコ 『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』

書名 椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門
著者 スズキナオ
   パリッコ
発行所 Pヴァイン
発行年月日 2019.04.28
価格(税別) 1,560円

● タイトルにひと目惚れして購入。コンビニで缶ハイボールとサラミを買って電車に乗れば,そこは動くパブなのだし,川辺に降りて腰を降ろせば,そこはマイナスイオン溢れる自然パブなのだ。たっぷり体験済みだ。
 椅子を持ち歩けば,あらゆるところがパブになるのだな。なるほど。タイトルだけで価格だけの価値はあると思った。

● ダイソーて200円の椅子とマットを買って,コンビニで酒とつまみを買って,近くにトイレがある場所を探せばいいんだな。
 そこに椅子を置いて座れば,そこがつまり,プライベート酒場だ。それをチェアリングと著者らは呼んでいる。

● キャンプのように重装備を要しない。しかし,チェアリングのあとは車を運転するわけにはいかないから,移動手段は公共交通機関に限られる。主には電車。これもいい。ぼくは車の運転があまり好きじゃないからだ。
 が,歩いて行けるところにもチェアリングできるところがけっこうありそうだ。人生を楽しむのに,お金は必ずしも必要不可欠ではないのだ。

● というか,著者らによると,チェアリングが成立するようになったのは最近のことだ。コンビニが商っている食べものが旨くなり,コンビニの数も増えたからこそ。
 なるほど,なるほど。いい時代に生きてるだな,ぼくら。

● 以下にいくつか転載。
 ひとたび椅子に座った瞬間,余分な情報がシャットアウトされ,その場所が自分だけの特別な空間として切り取られることは,チェアリストの多くが実感している。(中略)あまつさえ,それをつまみに酒さえ飲んでしまう。天国とはこんなに身近にあったのかと,チェアリストは実行するたびに実感してしまうゆえんだ。(p9)
 チェアリングはまた,本格的なキャンプやアウトドアになりすぎない気軽さも重要なポイント。(p30)
 ではなぜわざわざ山の中に行って酒を飲むという行為に魅せられるのかというと,まず,基本的に静かということかな。居酒屋ってうるさいでしょう?(p35)
 と語るのは和嶋慎治さんだが,何だかスカした野郎だな。付き合いづらい感じがするな,こういうやつは。
 花見ってあるじゃないですか。あの時期だけは酒飲んで表で騒ぐのOKみたいになって。そうなると極端にマナー悪くなるはないですか。あれがすごい嫌。(p53)
 ベラベラ大声でしゃべるんだったら店行けよ,家行けよっていうことになる。もっと味わえよっていうかさ。(p53)
 昔の日本は金があって良かったっていう人がいるけど,その時代よりも今の方が生活実感のレベルって高いと思う。ご飯も美味しいのが安く食べられる,服もいいものが安く売られている,すごくいいワインが超安く手に入る。昔だったらすごくお金をかけなきゃできなかったことが今カジュアルにできるんですよ。(p55)
 チェアリングするときはいつも電車移動だし,それゆえ,それほど駅から遠くない場所で,しかも飲み物や食べ物が容易に手に入るコンビニやスーパーが近くにないと困ってしまう。町と自然とがギリギリ拮抗する場所を探し,そこに座る。(p92)
 チェアリングの不思議なところは,いざ場所を選んで椅子を置き,そこにドカッと身を預けてみるととたんに静かで落ち着いた気持ちになるという点だ。(p102)

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