2019年7月15日月曜日

2019.07.15 外山滋比古 『お金の整理学』

書名 お金の整理学
著者 外山滋比古
発行所 小学館新書
発行年月日 2018.12.05
価格(税別) 780円

● お金の稼ぎ方,貯め方,使い方,が整理されているわけではない。定年後の年寄にとってのお金の価値といつたところが論じられている。
 が,著者が確信をもって書いているのは,末尾の2章。株の話だ。

● 以下にくつか転載。
 とりわけ問題なのは,日本のサラリーマンの多くが,自分たちのことをむしろ〈アリ〉だと思って生きてきたことだろう。(中略)日本人の多くは,「定年後」という冬の時代の厳しさを真面目に考えず,なんとなく働き続ける〈キリギリス〉になってしまっていたのではないだろうか。(p13)
 節約と貯金に熱心になり,財産に余裕があれば子供に相続させるという考え方では,世の中にお金は回らない。家族のことばかり考える個人主義的な思考である。それでいて,困ると社会保障に寄りかかろうというのでは,矛盾している。(p45)
 退屈な社会はリスクの高い社会だ。(p47)
 人間らしい生き方をするために,リスクを伴う選択は必要だ。定年退職をしたら,あとは安全運転で余生を過ごす--そんな思考では,長い人生は面白くならない。(p59)
 人生の第一部はなるべく早く終わらせて,次のステージへ移行する。(中略)国が定年を延ばしたからといって,ダラダラと第一部を続ける必要はない。(p82)
 同じ清掃作業をするにも,大企業のビルのなかを清掃するよりも,小さなお寺の敷地を掃除するほうがいい。お墓参りに来た人に感謝されたりする。(p87)
 趣味で嗜んでいる程度の知識や実力で,お金がもらえるはずはない,と決めつけるのは早計である。どんな趣味でも,自分より後に始めた「初心者」はいるものだ。(p95)
 定年後が退屈になる原因の一つは,「失敗」する機会がないことだ。(中略)新しい仕事を始めていると,そうはいかない。緊張する。(p103)
 意外に思われるかもしれないが,一人きりで実験室に籠ってビーカーを動かしていても,なかなか発明にはたどり着かない。一人で座禅を組んで悟りを開くなんて,常人ができることではない。どの分野であっても,独学には限界がある。むしろ,クラブ的思考に基づき,皆で酒を飲んだり,ものを食べたりしながら勝手なことを言い合っているほうが,新たな気づきへの近道になる。(p111)
 (株投資で)損をして刺激を受ければ,気持ちは若返るだろう。自分がこの世に存在している自覚が生まれる。(p136)

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