2019年7月27日土曜日

2019.07.27 寺井広樹 『「試し書き」から見えた世界』

書名 「試し書き」から見えた世界
著者 寺井広樹
発行所 ごま書房新社
発行年月日 2015.10.04
価格(税別) 1,250円

● 試し書きから世界を見るという試みなのだが,少々の無理がある感じ。なぜ試し書きに惹かれるのかをもっと掘り下げて行けばよかったのに。追随者がいない道なんだから。

● 以下にいくつか転載。
 フランスの絵画とアメリカの絵画を比べても,それほど国や地域としての差がはっきりとは出ないものです。意識的に描いているものなので,当たり前ですが描き手の個性が前面に出るからです。しかし,フランスとアメリカの「試し書き」を比べると,差がはっきりとわかります。無意識で書いているものだから,書いている人さえしらない国や地域の特徴が出るのです。(p14)
 イタリアの文具事情は,ノートやボールペン,ホッチキス(ステープラー)といった日用品については,ハッキリいってかなり残念な状態です。(中略)しかし,万年筆などの効果な文具を見ると,洗練されたデザインでしっかりしたものが多いのはさすがです。このアンバランスといいますか,妙に大きな落差があるところこそイタリアなのでしょう。(p55)
 口には出さないまでも,「なぜこんなゴミみないなものを集めているのか。自分には理解できない」と思っているのがわかりました。それで,私ががっかりしたかというと・・・。そんなことはなく,まったく逆で,その反応がすごくうれしかったのです。なぜなら,「この試し書きの魅力は自分にしかわからないものなんだ!」と確信できたからです。(p166)

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