著者 吉田友和
発行所 幻冬舎文庫
発行年月日 2015.06.10
価格(税別) 650円
● 台湾一周の本といえば,宮脇俊三さんの『台湾鉄路千公里』がある。台湾が経済的にテイクオフする前でしたかね。日本人を当てこんだピンク床屋もあった時代ではないだろうか。日本とはまだまだ生活水準の差があって,そこからくる台湾人の哀感のようなものも描かれていた。
もちろん,宮脇さんの本は鉄道がメイン。
● それに対して,こちらの吉田本は,食に対するこだわりが第一。旨そうな料理が次々に紹介される。喰ってみたくなる。
台湾気質(?)に対するリスペクト。台湾愛という感じの本。こちらがそういう態度で接すれば,相手も応えてくれるというのは,こうした場でも成立するんだろうか。
● 最も面白かったのは,馬祖島の描写。馬祖島に行ってみたくなった。できれば自転車を持って行きたい。
● 以下にいくつか転載。
同じ国を繰り返し訪れ,リピーター化すると,旅人は少なからず保守的になってくる。口に合う食べ物や,心休まる場所を見つけ,自分の中での定番が確立されていく。お気に入りがあること自体は歓迎すべきだが,見方によってはマンネリとも言える。(p32)
東日本大震災の際に,世界中から多額の義援金が寄せられたが,中でも台湾が最も額が多かった事実は忘れてはならない。その総額はなんと二百億円を超えるというから,日本人としては頭が下がる思いだ。 台湾のことをよく知らない人からしたら,「なんでそんなに?」と疑問を抱くかもしれないが,この国を旅するとなんとなく腑に落ちる。ただ単に親日的という言葉だけでは片付けられない。台湾の人たちには善意の心が満ちているのだ。(p78)
ヨーロッパで食事をしようとすると,頼んでから何十分も待たされたりする。そういう流儀なのだろうが,あのまどろっこしさが自分には合わない。お腹を空かせた客を待たせるなんてナンセンスだと思うのは,アジア人の感覚なのだろうか。(p80)
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