著者 石田高聖
発行所 講談社
発行年月日 2006.06.20
価格(税別) 1,400円
● 元カリスマトレーダーになっちゃいましたか。傷害罪で刑務所暮らしも経験した。この点については,本人にも言い分はあるのかもしれないけれども,中身はいわゆる破廉恥罪。
でも,ここからどう持っていくかが,本人の器量ってことになる。言うほど簡単ではないんだろうけど。
● 部外者の勝手な感想になるんだけど,5億円プレーヤーだったら,そのままデイトレで50億円,500億円を目指せばよかったのに。
社会的名声なんてつまらないものが欲しくなったのか。デイトレはお腹いっぱいになってしまったのか。
● 本書は著者が時代の寵児だった頃のもの。「ニートから億万長者になった」というのは版元が付けた副題だろう。
ニートといってもどこにも就職できなくてやむを得ずニートに甘んじていたというのではなく,積極的に就職しなかったわけだから,ちょっと普通のニートとは違う。
● 本書の肝というか,内容は前半3分の1でほぼ説きつくされている。残りは本の形態にするための工夫。が,後半にも一箇所,なるほどと思うことが書かれていた。
このとおりにやれば誰でも株で儲けることができるか。まぁ,そうはいかない。でも,参考にはなると思う。
● それらを以下に転載。
デイトレでは業務内容はあまり関係ない。問題は値動きだけです。(p54)
KOSEI式トレードの基本は,わかりやすくいえば「高値で買って,より高値で売る」です。(中略)具体的にいうと,一度下がった株価が底を打って上昇に転じ,「直近の高値」を抜いた瞬間に買います。「直近の高値」を抜くということは,その銘柄が上昇の勢いを持っている証拠。(p60)
KOSEI式トレードはとてもシンプルです。いろいろな人に教えると例外なく全員が納得し,翌日の取引からすぐに実践します。 しかし,そのまま続くかというと,ほとんどの人が自分のやり方に戻ってしまいます。頭では理解できても,気がつかないうちに元のスタイルに戻り,結局損することになるのです。 なぜそうなってしまうのか。ここが株式投資の難しいところであり,人間の不思議なところです。(p61)
ロスカットは損切りともいいますが,損を出しても手仕舞いすることを指します。そして,個人投資家が失敗する最大の原因は,ロスカットができないからだといわれています。(p66)
株式投資は,弱い者をいじめるゲームといっていいでしょう。弱者から徹底的にしぼりとるゲームなので,踏み上げられるとたいへんなことになります。 ただし,資金のある人がカラ売りをすれば,一〇〇%勝てます。ここが株のおもしろいところです。 株には「重力」というものがあって,下がった株は必ずしも上がるとは限りませんが,上がった株はいつか必ず下がります。(中略)豊富な資金でそこをしのぐことができれば,必ず相場は下落するので勝てるのです。(p164)● 相場を取るのに要求される資質の第一のものは,非情であることかと思う。これを欠いてはいけないような気がする。
しかし,たいていの人は情を持っているだろう。そういう人は,業績がよくなる企業の株を持って,その企業の幸せのお裾分けに預かろうとするだろう。これから業績がよくなりそうなところはどこか。懸命に考えて(考えた気になって)どこかの企業の株を買う。それで成功することもあるし,それ以上に失敗するというわけだろう。
● その判断を人に預けてしまう人も多いだろうな。そういう欲の皮だけ突っ張らせているやつらからは,いくらふんだくっても構わないような気がするな。
証券会社の営業マンのいうことを聞いて,その通りにしたら損をしたといって,証券会社に苦情を言うやつ,今でもいるのか。そういうときに,証券会社が非難されるのが,この国の不思議なところ。
営業マンは業務に忠実なだけだものな。彼らは買わせるのが仕事だ。そういう人間の言うがままに,自分のお金をさしだす輩がいるというのがおかしいんで。
● でも,先達に相乗りするという手はありますよね。ぼくは邱永漢さんに乗って美味しい思いをさせてもらったことが二度ある。
その後,自分の判断で動いたら,惨めに失敗した。その失敗を何度か繰り返したところで,株からは足を洗った。
というわけだから,利いたふうな口をたたく資格はないんだけどね。
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