著者 小沢昭一
発行所 ちくま文庫
発行年月日 2008.09.10(単行本:2004.11)
価格(税別) 800円
● 対談集。対談の相手は次のとおり。
桂米朝(落語家)
延広真治(落語史研究者 東大名誉教授)
柳家り助(落語家)
桂小金治(俳優・タレント)
国本武春(浪曲師)
小松美枝子(お囃子)
神田伯龍(講談師)
あした順子・ひろし(漫才師)
笑福亭鶴瓶(落語家・タレント)
北村幾夫(新宿末廣亭席亭)
立川談志(落語家)
矢野誠一(評論家)
● 落語の聞き方の手引書としてぼくは読んでみたんだけど,もちろん本書は手引書ではない。これ以上はいないだろうと思われる語り手が,寄席の表や裏や前や後や右や左を無尽に語るといった趣。
面白かった。だけど,けっこう重い内容だったりもするので,休み休み読んだ。
● 地方にいると,落語をライヴで聞く機会というのは,まずないものだ。大きなコンサートホールで年に1回か2回,行われる。
もっとも,東京でも寄席は少なくなっているのだろう。身近な媒体はやっぱりテレビってことになるのかね。
● CDでときどき聞く。CDだから古今亭志ん生の噺を聞くこともできる。
できるんだけれども。
本書に,落語で人生を教えてもらう,という言い方が出てくる。同時代の落語家の噺をライヴで聞いて,一緒に時を過ごしていく。そうして初めて,“落語で人生を”ということになる。のかどうかわからないけど,そういうふうにぼくは受けとめた。
● 以下に,いくつか転載。
人間というのは本当に,年とってからのことが若いときから分かれば,ずいぶん生き方が違うんだろうというふうにおもいますけれども,なかなかどうも。そういうなかでもう本当にね,若いときに話の数を増やして,年とったらば体のなかに入っているものを一つ一つ磨けばいいという。これは噺家だけではなくて,いろいろなお仕事をしている人にも共通する名言,至言だと私は思うんですよ。(小沢 p29)
テレビでも落語でも,迎合していくことによってお客さんは離れていくんですね。やっぱりお客さんを引っ張っていかないと。つらい時期はあるけれども,そこを越えてしまうと絶対にこっちへ来させる自信はありますから。(鶴瓶 p227)
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