書名 39歳からのシン教養
著者 成毛 眞
発行所 PHP
発行年月日 2022.07.04
価格(税別) 1,700円
しかし,本書は「あえて本を読まずに教養を身につける方法を紹介するもの」(p28)だ。宗旨変えをしたのかといえば,そうではないだろう。39歳まで本を読まずに来てしまった人に,しょがねぇなぁ,それじゃこうしてみれば,と助け舟を出しているのかもしれない。
● 以下に多すぎる転載
30代も半ばを迎えてから,ヨイショと重い腰を上げて教養を詰め込んでいるようでは,遅い。遅すぎる。時間は有限である。(p5)
知識を得るために本を書い,あるいは図書館に行って本を探し,ページを開いて,そこに書かれた知識を自分のものにするのは結構だが,恐ろしく時間がかかり,コスト面からみても効率が悪いことこのうえない。(中略)筆者は今,知識の9割を,本ではなくインターネットから得ている。(中略)最大の理由はネットの文章が簡潔であることだ。(中略)断言しよう。これから差がつく能力はたった1つ。ネットでググる(Googleで検索する)力。これだけだ。(p6)
「なぜ勉強しなければいけないのか」というレベルに留まっている人は,今すぐこの本をブックオフに売るなり,メルカリに出品するなりしなさい。(中略)教養とは,「何のために学ぶかわからない」「それを知っても得にならないかもしれない」,それでも学び続ける人にしか備わらないのだ。(p25)
ウクライナで戦争が始まったら,「争いをやめろ」「民間人を救え」と叫びながら,日本政府が防弾チョッキを送ろうとすると「武器輸出反対」と言い出す。(中略)そのような論理性のない主張をする人々を一生懸命説得するのは,時間の無駄でしかない。(p26)
それでもあなたが最小限の読書で本から教養を身につけたいと考えているのなら,「今の高校の教科書を読め」と言いたい。(中略)あまりの高度さに我が目を疑うはずだ。(p28)
ググるのは,本を読むよりずっとラク。少し時間ができたら,スマホやパソコンで気になるキーワードについてググるだけ。それを1年,5年,10年と続ければ,そんでもない量の知識の蓄積になる。(p34)
ウィキペディアはアテにならない。いい加減な情報ばかりで見る価値がない」そう言って最初から信用しない人がいる。そういう人は,ネットの黎明期の価値観をいまだに引きずっている「時代遅れ」だ。(p41)
哲学的なもの,正解がないものについては,ググる必要がないと考えている。だから一切,手を出さない。(中略)哲学とは深い思索であり,情報収集や知識を得る行為とは,全く異なる次元のものであるから,そもそもググるメリットがない。(中略)ググるメリットなどなく,単なる時間の無駄。それより客観的な事実や正解のあるものについてググることに,頭を時間を費やしたほうが利口である。(p48)
若い人のテレビ離れは深刻と言われるが,テレビの情報量はかなり多い。テレビというとワイドショーを連想する人がいるが,あれせいぜい中学生レベルの内容しか扱わないので観る価値はほぼない。観るべきは,NHKの教養系のBSプレミアムか総合テレビで放送される教養番組だ。そこから取れるネタは実に多い。(p51)
はっきりいえば,「観たい番組」を観ればよい。なぜなら興味のある番組を観るからこそ,そこで新たな好奇心が湧き上がり,広く,深く知識を掘り下げたくなるからである。(p53)
「貧困の解消」なども,個人の問題というより,社会制度の問題だ。個人が努力してもどうにもならない問題を解決するのは政治の役割であり,筆者は運も良く,努力すれば解決できる立場にあるのだから,おのずと社会問題に対する関心は低くなる。同じように,悲惨な話もあまり興味がない。それが個人の資質によるものでも,社会制度の不備によるものであってもだ。(中略)自分が口を挟むような問題ではない。「担当が違う」という認識でいる。(p54)
もしもウィキに書いてあることの7割も理解できないという場合には,以後,その分野には触れないという諦めも肝心。(p60)
見るのは,データのみ。憶測を含む,主観に基づいた「物語」は読む価値がない。経営者のインタビュー記事や談話も,未来予測にはあまり役に立たない。(中略)データを自分で解析し,評価するのがわれわれの仕事であり,そのための材料を提供してくれるサイトを活用すればいい。(p66)
アマゾンについてのデータを集める際,漠然と「アマゾン」で検索していないだろうか? それこそ,アマゾンの公式サイトがヒットするだけだ。これでは効率が悪い。だから,キーワードを掛け合わせて検索するのだ。(中略)キーワードの掛け合わせ検索は,連想ゲームのようなもの。(中略)すべては連想する力,言ってみれば発想の豊かさとか志向の柔軟性が問われる。(p68)
メモは取らなくていい。Google Chrome なら右端にある「履歴」をクリックすれば,過去に見たサイトが一覧で表示される。(p73)
媒体側の人間がニュースバリューを判断し,仰々しいタイトルをつけた記事を目立つ場所にアップする。そういうニュースは,価値判断の邪魔になる。ニュースは事実だけを伝えてくれればいい。(p78)
フェイスブックが貴重は情報源になる。学者や研究者のフェイスブックをフォローすると,正確で専門性が高いニュースをアップしてくれる。(中略)彼らの知見がフィルターとなり,ネット上に溢れる無数の情報から余計な情報をカットし,網にかかった選りすぐりの情報にアクセスできる。文系分野では,記者上がりの編集者系フェイスブックが役に立つ。(中略)「フェイスブクはオワコン」と言い切る人もいるが,どんでもない。世界中の “友だち” からの投稿は,ググりたいフレーズの宝庫なのである。(p79)
すべてを知り尽くしているように書く人は,すでに探究心を失くしていると思っていい。最初の1行を読んだだけで「なんでこの人こんなに偉そうにしてるの?」と思った人をフォローから外すだけで,無駄な情報に時間を費やす必要がなくなる。(p80)
自分の情報源として,いい書き手の新着記事を最低でも週に1回はチェックするのを勧める。(p85)
主張が偏ってしまっている記事は,その主張が正しいか正しくないかに関係なく,絶対に読まない。時間の無駄だ。一切,視界から消すのがいいだろう。(p85)
新潮社や文藝春秋など,校閲がしっかり機能しているオンライン媒体も信用できる。(p86)
海外のメディアもいまひとつ信用できないが,中東カタールのドーハに本社を持つ「アルジャジーラ」は,信用に値する数少ない放送局の一つだ。反米でもなく中立的で穏健,そのうえ速報性で群を抜いている。(p86)
どちらも出版社系の会員系サイトである「フォーサイト」(新潮社)や「クーリエ・ジャポン」(講談社)は見逃し厳禁だ。(中略)本来,貴重は情報には高額の原稿料が支払われるべきだから,広告収入頼みのサイトで実現するのは不可能に近い。新潮社も講談社もそれがわかっていて,会員系有料サイトとして,お金を出してでもハイクオリティの記事を読みたい人向けに配信している。(中略)はっきり言ってしまえば,「日本の0.1%くらいが読んでくれればよくて,99.9%は読まなくていい」というぐらいのスタンス。こういう会員制メディアは “マス” メデイアでない分,信頼が置ける。(p89)
「日本のメディアに掲載される海外ネタはレベルが低い」ことが多い。(中略)(中略)知識がないから読むに値する記事を書けないのである。(中略)特定のジャンルであれば,You Tube を見ている素人のほうが,現地にいる記者よりも詳しいということも起こりうる。(p95)
記事にアクセスする前に内容が面白いかどうかの見当をつけるコツがある。それは画像を見ることだ。面白い画像が出ている記事をクリックすると,文章も楽しめることが多い。(中略)ググる際には検索窓にキーワードを入れ,まず,画像を検索する。その中から読むべき記事を見つける。難解な理系テーマのキーワードは,この方法で概要を理解するのが手っ取り早い。(p103)
素人に理系の知識を教えてくれる You Tube チャンネルの登場によって,理系の理論を,われわれ一般人も楽しめる時代になっている。(p130)
教え方がうまい人の動画や,有名教授の講義を見ると,難解でとっつきにくい理論も,目から鱗が落ちるように理解できることがある。最近筆者がそのような体験をしたのは,「ローレンツ変換」だ。(p134)
筆者の場合,30分以上の動画は,よほそのことがない限り見ない。(中略)10分以上になると,プロが作ったもの以外は見ていられない。(p138)
大人になってからも,好奇心,探究心を持ち続けることは,人間としての成長に直結する。好奇心を失えば,知的な面での成長は止まってしまうし,メディアが流す情報を漫然と受け止めているだkでは,情報が溢れる現代で情報弱者となるのは否めない。(p142)
興味のままにググる人たちは,コアな情報やマニアックな情報を集め,それだけで1冊の本を書けるぐらいの知識を簡単に集めてしまう。いわゆる「偏愛者」だ。(p142)
この世には,われわれの想像の斜め上をいく事典が数多く出版されている。(p150)
古典落語の3分の1超は,歌舞伎が元ネタになっている。そのため,歌舞伎を知らないと落語は楽しめない。(p157)
歌舞伎も,ストーリーやその背景を知ったうえで観たほうが楽しめる演劇。映画のように,ストーリーがこれからどうなるかわからず,ハラハラ,ドキドキを期待するような観方はしないもの。(p158)
個人ブログやSNSで大事なのは「キャラ立ち」である。書き手のキャラクターが立っていないと,面白いことを言っても「ふーん」で終わってしまう。(中略)ネットで話題になる発言を見ればわかるが,有名人も無名の人も,言っていることは大して変わらない。それなのに有名な人の発言ばかりが取り上げられる。(中略)本人のキャラによるところが大きい。(中略)ビジネスを考えると,世間にぱっとイメージしてもらえるようなキャラを確立し,そのイメージをうまく使いながら情報発信することが求められる。(中略)いい情報を発信しても,多くの人に受け止めてもらわないと意味がない。まずは多くの人に聞いてもうことが情報発信者の前提になる。(p165)
過去の会長のらの強烈な個性に比べれば(トーマス・バッハ会長は)可愛いものである。もともとICO会長は,欧州の貴族の末裔が務めることが多い役職で,われわれの常識の斜め上を行くような人たちであると思ったほうがいい。(p181)
話題になっている先端技術のキーワードを見つけたら,その起源すなわちスタート地点を知ることも,次に何が来るのかを考える際にとても参考になる。(p195)
海外の情報に関するキーワードは,英語版ウィキにしか載っていない場合がある。そのためにも,英語版,さらに英語記事をググれば,これまで知らなかった世界が一気に広がる。(中略)もちろん,英語でサッと読めればいいのだが,さすがにネイティブ並みの速度では読み込めない。だからGoogle翻訳で和訳してしまうのが手っ取り早い。(p205)
ヨーロッパのさまざまな言語は,そこから直接日本語に翻訳するのもいいが,できれば英語に翻訳することを勧めたい。(中略)一度英語にGoogle翻訳してさらにそれを日本語にGoogle翻訳したものを読む。そして記事の大枠を把握した後,必要があれば英語翻訳を丁寧に読む。(p221)
昭和の時代に比べると,入手できる情報量は何万倍にも増えたと言っていい。(中略)これは,われわれの接することができる情報媒体の多様化であり,情報の取捨選択がますます重要になっていることを意味する。(p222)
いちいち本を買うより,最新の状態になっているウィキをググって知識を入手する。それをSNSを利用して発信して,自分の知識をさらに広げてくれるフォロワーを増やし,彼らとのコメントのやり取りでさらに知識を磨いていく。(p224)
令和の今は,「ながら族」になれない人は,非効率な昭和の遺物と思われている,と考えたほうがいい。限られた時間しか与えられていない人間にとって,複数のことを同時に行えるほうが効率的だからだ。「ながら族」だと効率が悪くなるタスクだけ,それをやめて集中すればいい。(p225)
情報が溢れる時代に効率的に情報を入手するためには,2つのアプローチが重要であることは理解してもらえたと思う。つまり,①キーワードをググって知識を増やす,②不必要な情報を取り込む前にカットしていく--この2点だ。(中略)イデオロギーや宗教が絡む媒体はそもそも視界に入れない。(p225)

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