書名 ドビュッシー
著者 ロデリック・ダネット
訳者 橘高弓枝
発行所 偕成社
発行年月日 1998.04.01
価格(税別) 2,000円
● 昔,吉行淳之介さんの小説やエッセイや対談が好きで,読みあさった時期がある。その吉行さんのエッセイにドビュッシーは何度か登場する(ほかに,絵画のパウル・クレーも)。
戦時中の空襲で逃げまどっているときに,どれかひとつを持ちだそうとして,それがドビュッシーのレコードだった。エボナイトのずっしりとした重さが・・・・・・,と書かれていたのを記憶している。
● 吉行さんがそうならと思って,ぼくが初めて買ったクラシック音楽のCDはドビュッシーだった。牧神の午後への前奏曲と,ほかにいくつかが収録されていたと思う。
が,ぼくにはまるでピンと来なかった。どこがいいのかわからない,という。で,1枚のCDを最後まで聴きとおすことができなかった。
● 今でも,ドビュッシーは難解だと思っている。なぜそうなのか。本書を読むとその理由がスルスルとわかってきたような気がする。理由がわかれば対処の仕方もある。
本当は,対処なしでスッと身体に入ってくるような感性が最初から自分にあってほしかったけど。
何ていうのか,規則性とか体系とか整いとか,そういうものを好み,そこからはみ出たものを受け付けない,法律家的な体質があるんだろうなと自己分析。
● 巻末に,20世紀の作曲家でドビュッシーの影響を受けなかった人は一人もいないはずだとある。必ず,ドビュッシーを勉強している。
学術的にはシェーンベルクの無調音楽なんかが注目を集めているんだろうけど,実作者に与えた影響という点では,ひとつの画期を作った人なんですかね。
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