2021年3月15日月曜日

2021.03.15 堀江貴文 『僕たちはもう働かなくていい』

書名 僕たちはもう働かなくていい
著者 堀江貴文
発行所 小学館新書
発行年月日 2019.02.06
価格(税別) 820円

● パンドラの箱を開けるという言葉が出てくる。人間はパンドラの箱を開けてしまうものなのだ,と。AI開発でも然り(といっても,ぼくには何がパンドラの箱になるのかはわからないのだが)。堀江さんはそういうものだと割り切っている。
 割り切るも何も,原発はおろか,原爆も水爆も作ってしまっているのだから,それはそうに違いないのだが。

● 徹底的にテクノロジーの側に立つと堀江さんは決めている。そこにゆらぎはない。

● 以下に転載。
 AIを人類の敵とみなし,わけのわからない脅威論で排除しようとするなど,絶対に許されない愚行だ。根拠のない感情論で,テクノロジーの進化をせき止めるのは,人が知性体であることをやめるに等しい。(p8)
 IT革命とグローバリズムにより,経済格差や情報格差,教育格差など,あらゆる分野で格差がどんどん拡大している。今後はAIやロボットを使いこなす人と,そうでない人との格差の拡大が始まる。使いこなす側が受けられる恩恵と,使いこなせない側のフリ液は,これまでの格差とは比べものにならないほど,大きくなるだろう。(p11)
 国にお金を集めても,ロクなことがないからだ。もうこれ以上,変な税収で国家を焼け太りさせるべきではないだろう。そんなお金があったら,アマゾンやグーグルにもっと稼がせてほしい。先進的なIT企業にお金が集まる方が,よほど世の中のイノベーションの助けとなるだろう。(p29)
 人間だって,例えば脳だけの存在で,身体を持っていなかったら,現在のような知性体への進化はなかったはずだ。(中略)身体がなければ世界のリアリティを得られず,成長しない。それは,AIも人間も同じという考え方だ。(p32)
 私たちはみんな,生まれたときから,「手」で触り,知識を蓄え,成長してきた。AIをヒトへ近づけるというなら,同じ順序の成長を課していかねばいけない。ヒトへの進化に近道はないのだ。リアルの世界に出て,痛みを得たり「手」を汚したりしなければ,大事なことはつかめない。(p45)
 今後,アンドロイドの開発において,最も解決しなければいけない課題は,「不気味の谷をどう越えるか?」という基本に戻っていく気がする。「不気味の谷」とは,ロボットの姿や仕草をどんどん人間に近づけていくと,ある程度までは親近感が増すものの,それを越えると,今度は逆に不気味さや嫌悪感が出てくる現象のことだ。(p77)
 AIロボットの膨大なインタラクションデータがクラウドに同期されるようになったら,カーツワイルが指摘したように,人の頭脳や記憶もネット上に保存できるようになる。(中略)人がAIやロボットの研究を続けているのも,永遠の命を得たいという,本能的な希求によるものではないか。(p89)
 人は,いつの時代もパンドラの箱を開ける。そして開いた箱は,もう閉じられない。火力も,原子力も,「人間そっくり」のAIロボットにも同じことが言える。テクノロジーで適切に管理しつつ,私たちの文明に活かす。それができなければ,人は知性体とは言えないのだ。(p91)
 外食産業全般で本当に人手が求められるのはごく限られたパートのみになりつつある。最後の接客のコミュニケーションのパートだけは人間が担い続けていくと思う。(中略)私が飲食業のビジネスモデルとして注目しているのは,スナックだ。仕入れはほとんど酒屋との連携で自動化されており,ママの愛嬌とコミュニケーションの才能で,集客をうまく回している。(中略)中途半端に人を介在させるのではなく,魅力的なママだけは人間で,あとの作業を担うのはロボットで十分だ。(p131)
 金やレアメタルを埋蔵している鉱山の発見にも,AIの画像認識は使われる。山の外観写真の解析だけで,ゴールドラッシュが! という奇跡は,夢物語ではないかもしれない。(p144)
 これからはデータの価値がますます高くなる。(中略)金やアイデアではなく,情報を持つ者が勝つ。(p146)
 あらゆるビジネスは人材集めに尽きると言っても過言ではない(p156)
 専門性の高い分野にも,AIロボットの進出は進んでいる。近い将来,一部の有能な医師が,世界中の患者の診断・手術を,遠隔ロボットを介して手がけることが予測されている。そしてヤブ医者は,きれいさっぱり消え去る。(p165)
 経営者の立場から見てロボットの方が安く導入できるのなら,躊躇なく取り替える。それをしなければ,経営者失格だ。まったく不合理はない。(p168)
 人が働く根源的なモチベーションは,楽しいから,好きだから。それが基本だろう。(中略)これからの時代,生き残れるのは,安定した仕事を与えられた人でも,お金持ちでもない。働かなくてもいい世界で,なおモチベーションを持ち,何かの行動を起こせる人が,生き残れるのだ。(p171)
 遊びが仕事全体の大きな部分を占めるようになって,GDPというものは,経済的発展のたしかな指標にはなりえなくなっている。仕事の定義づけが変化しているこの時代に,「財が足りない」と嘆いているのは,財を獲得するために正しい情報を得ていない証拠だ。「財が足りない」と嘆く人は,「どこに財があるのか気づいていないだけかもしれない」と,まずは考えを改めてみてほしい。(p175)
 日本の経済は長引く不況でひどいことになっているとか,アジアのなかで地位が急落しているとか,ネガティブな情報にばかり目を向けてはいけない。(中略)2018年のGDPは550兆円を超えている。数値は30年余りで,倍以上の増額だ。(p178)
 実は世界に,富は有り余っている。食料なんて,生産されたうちの,ほとんどを廃棄している。(p179)
 食べるために仕方なく・・・・・・という感じで,嫌々働いている人々は,大きな目で見ると,経済を “マイナス成長” させている。そんな無駄な不利益を防ぐためにも,ベーシックインカムを導入して,無理に働いてもらわないことは有効だろう。(p182)
 好きなだけではやっていけない仕事もあると反論する人もいるかもしれないが,好きなだけでやっている人が,だいたいうまくいっているのが事実である。(p187)
 テクノロジーは常に,それまでなかった面白みのある仕事をつくりだし,労働者の所得を上げてきた。人々の人生にやり甲斐をもたらず,優秀なジョブ・クリエイターでもあったのだ。(p189)
 インターネットの出現は,これまでのテクノロジーとは少し様相が違っていた。情報の可視化により,グローバリズムが急進した。(中略)巨大な富の格差が顕著となった。(中略)グローバリズムによって富は最適化されて,1箇所に集まりやすくなったためだ。(p189)
 AIロボットが社会進出を果たしていったとき,私たちは,人にしかできないものは何か? という根源的な問いを突きつけられることになる。(中略)きっと私たちよりも,AIの方が,その答えを待っている。(p191)
 栄華が永遠に続くかのように言われている「GAFA」とて,いつまで支配的な立場を維持できるか,わからない。ひと昔前までは,ハイテク産業はIBMやマイクロソフトの支配が永遠に続くと思われた。だが巨大な力は,もう見る影もない。(p194)
 目立ちたいとか,フロントマンでいたいとか,そういう次元で,私は大事な時間を費やしたりしない。いまこの瞬間を,最高に楽しく,輝いている仲間たちと一緒に,遊び尽くし,やりたいことをやって生きていきたいだけなのだ。その姿を多くの人たちに見てもらい,私と同じ最高の時間を,共有したいだけだ。(p195)

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