書名 世界の大学を旅しよう!
著者 三竹大吉
発行所 Jacaranda Press
発行年月日 2020.11.13
価格(税別) 1,800円
実際のところ,図書館や本屋に行ってみたところで,言葉がわからないわけだから,手も足も出ないわけだ。
● 若い頃は,知(正確には人文知というかな)というものの力というか,威力を無邪気に信じていた。世界を統べて良い方向に持っていくのは知だと思っていた。
知の殿堂は大学だ。だから,大学は尊ばれるべきものだと思っていた。
● しかし,大学がどうでもいいものになったのはいつからだったか。日本の大学はダメでも欧米の大学は違うのじゃないかと思っていた時期もあるが,今では大学と名のつくものはすべてどうでもいいものになった。
しいて申さば,理系だけあればいいのじゃないか。人文系や社会科学系については大学がある必要はない。学びたければ独学すればよろしい。インターネットと図書館があるのだから,大学なんかなくても学びに困ることはない。
● ということなので,この本に出てくるイギリスや東南アジアの大学にも,実際に行ってみたいとはまったく思わない。本書の写真で満たされる。
建物じたいに建築物として見るべきところが多くあるのだと思うのだが,それも素人ではどこまで味わえるか心もとない。本書のような書物で充分かと思う。
● 以下に転載。
古い図書館の定石だが大小の地球儀がバランスよく配置され図書館のアクセントとなっている。(p27)
オバマ大統領が核廃絶を訴えた有名な演説のフラチャニ広場もすぐ近くだ。(p39)
著者は民主党支持なのかね。リベラル派というかね。リベラルに行っちゃう人って,騙されやすい人なんじゃないかと思っていてね。どうでもよろしいのだが。
数あるカレッジ(オックスフォード大学であれば39カレッジ)のひとつに見事合格したとしよう。入学後に待っているのは,有名な個人指導(チュートリアル制度)である。これは教授と生徒が週に1回行うプライベート・レッスンで,毎回レポート用紙に平均10ページ程度のエッセイが義務付けられている。「年がら年中,読んで,書いて,議論するという学習」が徹底的に行われる。大学1年生から大学院並みの個人レッスンがずっと続く学生生活は想像しただけでも強烈だろう。(中略)講義やセミナーも並行して聴講できるが出席しなくてもかまわない。担当教授と対面による真剣勝負の場を中心に1週間が回っているので,時間が空いているから他の授業も取ってみようという発想にならない。(p62)
日本でも音大ではそんな感じなんじゃないかと思うけどねぇ。このチュートリアル制度を理想的なメソッドのように書いているけれども,弊害はないのかね。イギリスでもこれではもうダメだという議論があってもいいような気がするが。
オックスフォードとケンブリッジの学部卒業生は,7年を経て申請すればMA(修士号)が授与されるという。これは言葉は違えどオックスブリッジの学士は他校の修士に等しいということをあからさまに表現しているようにも取れる。(p66)
「オックスフォード出身者は,世界は自分のものという顔つきで歩き,ケンブリッジ出身者は,世界が誰のものであっても構わないといった顔つきで歩く」(p66)
FAHASAの社員と一緒に仕事をするようになって気付いた点は,ベトナムの人がとても賢いということ。(中略)日本の本を整理していても,言葉は読めないのに裏表紙の数字(ISBNナンバー)から瞬時に仕分けしていく。(中略)数字に強い。そして性格的にも根のところでひとりひとりとても強い部分を持っているように感じる。(p133)
例えば,図書館の責任者に面会を取る。すると実際に面会する際は戦法は決まって大人数で部屋に入ってくる。代表者はいるが,集団で接客しようとする。(中略)タイ人の気質なのだろうと思う。(p149)
タイ人はとてもおっとりしている。歩くスピードもゆっくり。(中略)まず自己主張ということをしない。自分の考えを他人に押し付けない,集団で行動するのが好き。朝から晩までガムシャラに仕事をしたりは絶対にしない,仲間内での揉め事をなにより嫌う,みんなで仲良く一緒に仕事して,一緒にランチに出る。(p149)

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