2022年10月14日金曜日

2022.10.14 甲斐みのり 『一泊二日 観光ホテル旅案内』

書名 一泊二日 観光ホテル旅案内
著者 甲斐みのり
発行所 京阪神エルマガジン社
発行年月日 2016.11.30
価格(税別) 1,600円

● バブル以降,急速に消滅の道を辿ったかに見える温泉街の大型観光ホテルを取りあげている。「観光ホテル」という言葉自体,もう死んだかと思われているのではないか。
 「東京から1泊2日県内の温泉地の大型観光ホテルを案内している」(p3)。栃木県では塩原温泉のホテルニュー塩原,鬼怒川温泉のあさや,松やが紹介されている。

● 本書で説かれているようなホテルの楽しみ方,つまり団体(集団)で徒党を組むというやり方は,観光ホテルが全盛だった頃にも揶揄の対象だった。団体行動が苦手な人はその当時にも当然いたし,いつかは職場旅行じゃなく,彼女(彼)や家族で来れるようになりたいものだと思った人も少なくなかったろう。
 団体旅行は今ではすっかり寂れてしまった。社員旅行が成り立たなくなったのは既婚女性が増えたからだが,それだけが理由ではない。社員旅行の魅力がゼロ地点にまで落ちたせいでもある。

● が,そういう状況になって幾久しくなれば,オバサンたちが申し合わせて数人で観光ホテルに行くのが,新鮮な楽しみ方に見えてくる。
 オジサンたちがやるとゴルフ旅行になってしまうだろう。本書で説かれる楽しみ方は女性ならではという気がする。

● 以下にいくつか転載。
 戦後の高度成長期,(中略)旅といえば会社や地域や学校の団体旅行か,生涯一度の新婚旅行が主たるもの。観光地という概念も今よりずっともっと狭く,昔ながらの温泉地か,国立公園近辺などに集中して人が集まる。(p2)
 そうでした。ついつい昔のことは忘れてしまうけれども,たしかにそういう時代でしたよ。子供にとっては,旅行した回数が多いことが優越感の源になったりもした。高度経済成長期って貧しい時代だったんだよね。
 大型観光ホテルでは,しっぽりと過ごすよりも気の置けない仲間と賑やかに過ごすほど強く記憶に残り,行き先を決めて参加者を募るようになった。(p3)
 これは著者がそうするようになったということ。団体で騒ぐ,団体で宴会をするというのは,日本独自の文化というわけではないと思うのだが,世界標準からはわりと偏っているのかもしれない。カップルとかファミリーではない団体がユニットになるというのは。
 しかし,楽しみ方のバリエーションが多いという言い方もできるのだろう。この種の楽しみ方については,ぼくはもうノーサンキューなんだけど。
 幼い頃にホテルへ泊まると,部屋でのんびりなどとはいかず,探検と称して施設中を巡ったけれど,大人といえど昔と変わらず,ロビーや売店やバーや卓球場や・・・・・・あちらこちらじっとしていられない。(p14)

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