書名 60歳からはやりたい放題
著者 和田秀樹
発行所 扶桑社新書
発行年月日 2022.09.01
価格(税別) 880円
● これまで著者が,「70歳・・・・・・」「80歳・・・・・・」と年齢を冠して刊行した多くの著作と内容は被っている。出す本,出す本がメスとセラーになるのを横目で見ているだけというわけにも行かず,多くの出版社が著者の本を出そうとした結果のことかと思う。
● とはいえ,以下に転載。
日本人は予期不安と呼ばれる「起こっていないこと」への不安を抱きがちです。しかし,多くの日本人は,不安を抱いているのに何も対策を取らない。その結果,余計に不安が高まってしまうのです。では,この悪循環を断ち切るにはどうしたらいいのでしょうか。それは,「最悪の事態」を想定しておくことです。(p16)
日本人は,「起こってほしくないこと」を,「起こらないこと」として片づけてしまう傾向があり,その結果,不安を放置しているがゆえに起こる最悪の事態が,頻繁に起こってしまっているのは事実です。(p17)
浴風会に勤務していた際,相当な高齢なのに常にアクティブで若手に慕われている某現役政治家の脳のCT画像を見たことがあります。その方の前頭葉自体は「認知症なのでは」と思うレベルで萎縮していましたが,逆に考えると,脳が萎縮していても使い続ければ脳の機能は衰えないのだという大きな根拠を得たと感じました。(p27)
医師の平均寿命は一般の人よりも低いといわれています。それは,医師の言うことをうのみにしていても,長生きはできないことの証明です。(p31)
脂肪には脂肪を燃焼する作用があるので,脂肪を完全に絶ってしまうと,体内の脂肪を燃やせず,接種した脂肪を蓄積する一方です。(p41)
人間がおいしいと感じるもの。それは,甘いものや脂肪分があるもの,うまみ成分(アミノ酸)が含まれているものなどです。なぜ人間がこのような食べ物をおいしく感じるのか。それは,生物進化の過程で「体に必要なものはおいしく感じるように進化しているから」です。(p47)
農業中心で誰もが激しい労働をしていた時代よりも,現代のようにホワイトカラー人口が増えてからのほうが,外見も若返っている上に,寿命も延びています。体は使い続けるに越したことはないのですが,屋外で紫外線を浴びて激しいスポーツをするよりも,適度な散歩や自宅でできる簡単な筋トレ程度が望ましいと考えています。(p66)
前例踏襲をする限りは,どんなに難しいことをしても前頭葉を使ったことにはなりません。(中略)では,どんな人が前頭葉を使っているのかというと,他人と違う意見を言う人です。(p71)
片付いている部屋が好きな人もいれば,少し雑然としてるほうが落ち着く人もいます。それは本当に人それぞれです。今の環境が自分にフィットしていると思うのであれば,あえてそれを変える必要はありません。(p75)
高齢者が感動できる景色や料理,芸は本物です。シニア世代が喜ばないものを「若者の感性がわかっていないから」と言ってしまうのは,非常に本末転倒なこと。(中略)だからこそ,せっかくの感性を雑多なコンテンツに費やすのはもったいない。ぜひ,様々な “本物” のグルメや芸に触れて,その感性を十分に楽しませてほしいと思います。(p80)
「何が一番頭を使っていることになるのか」というと,最も効果が高いのは他人との会話です。(中略)声を出すこと自体にも,ボケ防止の効果があるように感じます。(p112)
認知症予防として,何をすればいいのでしょうか。その一番の対策は「楽しいことをやる」ことだと思っています。楽しいことをやればやるほど,脳にはプラスの効果が伝わります。(p114)
「人と交わる機会がなくてかわいそうだ」「独居は孤独でつらいのではないか」などというのは,世の中で多様性を認めない人々の思い込みだと私は思います。(p118)
ガンは治療をすると非常に苦しい病気ですが,治療させしなければ,死ぬ数ヶ月くらい前までは元気に過ごす事ができます。(p130)
60代で「ガンで余命はあと1年ほどです」と言われた場合,治療でどんなに頑張っても,おそらく余命は2年程度しか持ちません。1年を2年に延ばす治療となると,抗ガン剤は必ず使われるでしょう。(p131)
結婚関係を続けるための一つの指標として,夫婦の間にどれだけ会話があるかという点が挙げられます。(中略)また,定年退職したあとも,子ども抜きでふたりが出かける関係を築けているでしょうか。(p136)
60代以降は「性格の先鋭化」が顕著になります。「実はひとりのほうが気楽だった」という人は,もっとひとりを好むようになります。だからこそ,60代以降の人間関係は「したい人だけすればいい」と思います。(p149)
言葉を選ばすにいうと,日本は,お金持ちであればあるほどに,子どもが「バカ息子」「バカ娘」になりやすいシステムが残っています。お金があるほど,子どもをエスカレーター式の大学の付属校に幼少期から入学させ,大学まで受験を知らずに育てるケースが非常に多いのです。(p167)
「年を取ったら物欲がなくなる」という方もいますが,資本主義社会にいて消費に参加しないのは,発言力がなくなるのと同じこと。(p175)
今は要介護認定されれば,介護支援を受けることができます。つまり周囲のサポートがなくてもなんとかなるので,「嫌われてもいい」と開き直ることができる時代です。(中略)自分を押し殺してまで,その共同体にしがみつくことが本当に大切でしょうか。(p186)
物事を楽しめる体力や脳の機能が生きているうちに,様々なことを思いっきり楽しむ,これは終活よりも大切なことです。(中略)「年甲斐もなく」という言葉さえ忘れてしまえば,世間体を気にせずあらゆることをずっと楽しんでいていいのです。(中略)年甲斐もないことは,むしろ脳の老化予防にも役立つことが多いのです。(p191)
他人と比べている限りは,いつまでも生きづらさや苦しさから逃れることができません。(中略)「他人よりも優れている人がえらい」という価値観は,もう60代になったら捨てる準備をしてください。できることはオンリーワンでよいのです。(p197)
「できること」はできるだけ維持し続ける一方で,「できないこと」を無理に「しよう」とする必要はないのです。(中略)どんな人でも歳を取れば,当然「できないこと」は増えていきます。ですので,「できないのは当たり前」と割り切る姿勢が大切なのです。(p198)

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