2024年5月1日水曜日

2024.05.01 和田秀樹 『70歳が老化の分かれ道』

書名 70歳が老化の分かれ道
著者 和田秀樹
発行所 詩想社新書
発行年月日 2021.06.25
価格(税別) 1,000円

● 著者の老人本のベストセラー群の嚆矢になったのが本書だと思う。その後に刊行された本をかなり読んでいるわけだが,本書に書かれていることは,すべてどこかで読んだことがあるものだ。
 逆に,本書を読んでいれば,著者の他の老人本を追いかける必要はないかもしれない。

● が,ぼくはこのあとも読んでいくと思う。なぜかというと,自分に都合がいい本だからだ。健診なんか受けるな,健診の結果なんか気にするな,血圧・血糖値・コレステロールは高くて上等,正常値まで下げるために薬を飲むのはアホやで。
 糖尿病で高血圧,コレステロールも中性脂肪も尿酸値もバッチリ高いぼくには,それでいいのさ,気にするなよ,と言われているようで,ホッとするというより元気が出るのだ。自分の現状にお墨付きをもらったような気分になる。

● 以下に転載。そのほぼ全ては,著者の別著で転載しているところと被るはずだけど。
 気持ちが若く,いろいろなことを続けている人は,長い間若くいられる。
 栄養状態のよしあしが,健康長寿でいられるかどうかを決める。(p4)
 旧来型の医療常識に縛られず,70代をどう生きるかで残りの人生が大きく違うというのが,私の30年以上の臨床経験からの実感です。(p5)
 80歳や90歳になっても,いまの70代の人たちのように元気に活躍できるようになって,人生のゴールがどんどん後ろにずれていくというのは幻想でしかありません。若返るのではなく,医学の進歩によって,「死なない」から超長寿になるというのが「人生100年時代」の実像です。(p20)
 「人生100年時代」が目前に迫った私たちは,今後は「老い」を2つの時期に分けて考えることが求められていると私は考えています。それは70代の「老いと闘う時期」と,80代以降の「老いを受け入れる時期」の2つです。どんなに抗おうと,老いを受け入れざるを得ない時期が,80代以降に必ずやってきます。(p29)
 高齢者のほうが,身体能力や脳機能において,個人差が格段に広がっているのです。その高齢者が大多数となっていくこれからの社会は,まさに多様性に満ちた社会となるはずです。このような「健康格差」が生じるというのが,これからの社会の特徴となります。(p33)
 高齢者にとっては,脳機能,運動機能を維持するために,「使い続ける」ということが重要なのです。個々の能力差が大きくなっていく超長寿社会においては,その維持するための努力をしたかどうかが,その後の大きな差となって現れてきます。(p34)
 実際に,「使い続ける」ことを実践できる人はそう多くありません。なぜなら,頭では理解していても,70代になってくると,意欲の低下が進み,活動のレベルが低下してくるからです。(中略)この「意欲の低下」こそが,老化でいちばん怖いことなのです。(中略)「意欲の低下」を防ぐには,日々の生活のなかで,前頭葉の機能と,男性ホルモンを活性化させることがとても重要になってきます。(p35)
 70代の人たちは,放っておけば何もせず,すぐに老け込んでいく危険性をもっています。だからこそ,機能維持のために意図的に振る舞うことが大切になってきます。このタイミングで,意識してよい習慣をつけることで,80代も元気さを保つことができるのです。(p43)
 70代一気に老け込む人の典型は,仕事をリアイアしたときから,一切の活動をいっぺんにやめてしまうというケースです。(p46)
 歳をとったので「引退する」という考え方自体が,老後生活のリスクになります。引退などと考えず,いつまでも現役の市民であろうとすることが,老化を遅らせて,長い晩年を元気に過ごす秘訣です。(p49)
 肉を食べることは,セロトニンと男性ホルモンの生成を促進し,人の「意欲」を高め,活動レベルを維持することにたいへん効果的なのです。(p70)
 一日中,部屋のなかにいることだけは避け,日中での明るい光を浴びる習慣をつけてください。これだけでも,高齢者が意欲の減退を防ぐには効果的です。(p72)
 前頭葉の老化を防ぐには,「変化のある生活」をすることが一番です。(中略)毎日,単調な生活を繰り返していると,前頭葉は活性化せず,衰えてしまいます。(中略)仕事やボランティア,趣味の集まりなど,外に出かける用事が生活のなかに組み込まれていることが,いちばん単調な生活を送らない解決策と言えるでしょう。(p75)
 一人で読書に勤しむような自学スタイルは,前頭葉の老化を防ぐという麺では役に立ちません。(p79)
 誰かと話す機会がなかなかつくれないという人でも,いまではブログやフェイスブックなどのSNSがありますから,そこに自分の意見を書き込むようにすれば,直接の会話ができなくても前頭葉は活性化します。(p82)
 何かを発信する機会には,「物知りな人」より,「話の面白い人」を目指すことが前頭葉の老化防止には効果的です。(p83)
 階段の上り下りにおいては,実は下りるときの筋肉のほうが先に弱るのです。ですから,いつまでも自分の足で歩くことを目指すなら,階段では下りの練習をしたほうがいいのです。(p86)
 メタボの提唱者の松澤祐次氏は,やせようとしているようにはまったく見えない太めの体型ですが,今年80歳になるにもかかわらず,とても元気です。(p94)
 70代の人にとっては,100歳まで生きたとしてもあと30年です。どう生きたいのか,ということも考える必要があるのではないでしょうか。(p97)
 人づき合いをしていると,男性ホルモンが少しずつ増えてくるちう側面もあります。それによって,さらに人と交流する意欲が増進するという好循環をつくることができます。(p101)
 70代になったら,もう,嫌なことはなるべくしないということが大切です。(中略)私がお勧めすることがどうしても嫌なら,もちろんやらないほうがいいのです。(p103)
 苦しければ苦しいほど,大きな成果が待っているという考え方からは,そろそろ解放されましょう。(p104)
 医学の知識がない患者さんだと,少々,薬の副作用があっても,医師が健康のために処方したのだから我慢しようと考えてしまいがちです。しかしそのような我慢は必要ありません。我慢したところで,それで長生きできるなどという確証はないのです。(p113)
 結局,医学とは,不完全な発展途上の学問だということです。だからこそ私は,現実をとらえた統計データこそ,もっとも嘘のない信頼に足るものだと考えています。(p125)
 日本人のおかしなところは,風邪くらいでも簡単に病院に行くのに,心の不調の場合は自殺するまで病院にいかないというところです。(p139)
 日本社会では,依存症の人間の意思が弱い,人間性がだらしないからだ,といった見方をされがちです。そして,依存する人間のほうを叩き,依存症を生み出している酒類メーカーやパチンコ屋,ゲーム会社はそれでお金儲けをしているにもかかわらず,何も批判されません。(p141)
 会社勤めをしているような人だと,どうしても仕事だけで時間が忙殺されてしまう傾向がありますので,意識して趣味をつくろうとしないと,定年まで無趣味できてしまうということがほとんどではないでしょうか。(p157)
 だから「50代や60代の勤めているうちに,趣味をつくっておくことが重要です」(p157)となるのだが,ぼくの経験では定年後の人生がどうなるかは,定年になった時点で勝負はついている。趣味だけの問題ではない。夫婦仲がいいか悪いかはそれ以上に重要だ。おそらくだけれども,定年後にそれを修正するのはほぼ不可能ではないかと思う。定年になってから慌てても手遅れだ。
 趣味したって,探して見つけるものではないような気がする。気がついたらやりたくてしょうがないものとしてそこにあった,というのが普通のあり方ではないか。やりたくてしょうがないものならば,仕事で忙しいという程度の理由で,やらずにいることなどできるわけがない。できる範囲でやっているはずだ。定年数年前になってそのやりたくてしょうがないものがないようだと,すでに逆転は難しいのじゃないか。
 私がこれまでみてきたケースでわかったのは,親の死がとてもこたえるという人は,親子関係に対する罪悪感をもっているということです。これまで不仲であったり,親不孝ばかりしてきた,親孝行もろくにできなかった,そんな思いが罪悪感となっていて,いざ親がいなくなってみると喪失感に耐えられなくなってしまうのです。(p169)
 70代ともなると,だんだん人づき合いがおっくうになり,夫婦ふたりで行動することが多くなります。(中略)しかし,その関係は永遠には続きません。必ずどちらかが先に亡くなり,どちらかが残されることになるのです。(中略)だからこそ70歳になったら,行動のすべてが「夫婦ふたりユニット」になってしまわないように気をつけるべきです。(p171)
 最近の研究では,男性ホルモンが多いと,「人にやさしくなる」といこともわかってきました。(p181)
 私は,70代になったら,自分のことだけで生きるのではなく,まわりの人のために尽くす生き方に少し変えていったほうがいいのではないかと考えています。(中略)肩書やお金持ちかどうかといったことが,その人の人生を決めているわけではないのです。最後はその人が,まわりに対して何をしてきたかが大きいと思います。(中略)自分も他者にやさしくできるようになってきたと感じることがありますが,そのようなときは,私自身も幸せだとしみじみと感じるものです。(p186)

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