著者 ダミアン・トンプソン
訳者 田中敦子
発行所 ガイアブックス
発行年月日 2012.08.20
価格(税別) 2,900円
● 書斎に憧れた時期がやはりありまして。正確にいうと,書斎でひとりの時間を過ごしているオレ,っていうイメージに憧れたんですけどね。
重厚な机と椅子。机の上には電気スタンドとノートパソコン。この場合,パソコンはAppleかIBMに限ると思ってましたよ。まだ,IBMがパソコン生産から撤退してなかった時分ですね。
んでもって,本棚が周囲を囲んで,ピシッと掃除が行き届いている書斎。
● でもね,部屋は持ち主に従うしかないわけで,ぼくの部屋はゴミがうっすらと積もる物置みたいになったんでした。
そのうち,その部屋にいる時間は極端に少なくなってね。ま,お決まりのコースですか。
● 本書は,本と本棚を使って,インテリアをいかにデザインするか,どうディスプレイするかっていう内容。実際に書斎で仕事をしたり読書をしようと思っている人が読んでも,あまり参考にならない。
中には,読むためではなく,人に見せるために,本の購入も本棚のレイアウトも,一切合切をその道の専門家に任せるお金持ちもいるらしい。そういう人が読むと勉強になりそうだ。
● メインは,文章ではなく写真。ため息をつきたくなるような写真ばかり。
ただし,日本の普通の家屋ではちょっと気後れするというか,真似しちゃいけないよなと思わせるものばかりでもある。
● 著者はイギリスの人らしい。英国人らしいウィットっていう言われ方があった(今でもあるのか)。本書にも,斜に構えたような皮肉っぽい表現が頻出する。
ウィットというより,少々,目障りな印象の方が強い。
● その中から気の利いた表現をいくつか転載。
知るべきことはあまりにも多く,人生は短い。(p59)
一般に初版本の価値の6割はカバーが占める(p60)
最後にファディマンはこう結ぶ。就寝時の読書に最適なのは「明日の存在を忘れさせてくれる」書物であると。(p103)
本を買う余裕があるのに,本がまわりにない環境で子どもたちを育てる権利は誰にもない(ホーレス・マン p135)
書物がわれわれの人生に深い影響を及ぼすとすれば,それはおそらく子ども時代だけであろう(グレアム・グリーン p143)
15世紀の活版印刷術の発明をはじめ,新たなテクノロジーはいつの世も道徳的パニックによって迎えられたことを歴史は示している。(p143)
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