著者 茂木健一郎
山崎まゆみ
発行所 東京書籍
発行年月日 2014.06.07
価格(税別) 1,400円
● 温泉をめぐる四方山話。固くいえば温泉社会学。話題は義経の八艘飛びさながらに,多方面にわたる。
山崎さんが訊いて茂木さんが答えるという役割分担が,だんだん入り乱れてくるところも面白い。活字からうかがわれる以上に,山崎さん,座談が上手いのではないだろうか。
● いくつか転載。
最近思うのはやっぱりライブですよね。インターネットがこれだけ普及しちゃったんで,情報自体は本当にどこでも手に入るんですけど,何を求めているのかっていうと,結局ライブ感であって,温泉ってその最たるものかなと思うんですよ。(p27)
「お風呂入ってる時って少し怠けてる私」みたいなイメージがあったんだけど,実際はそうではなくて,違うモードでアクティブになってるっていうことがわかってきてますよね。(p47)
脳と心はイコールなんですよ。ただし,心って体から入りますよね。(p51)
ある種ね,恥ずかしさを超えた向こうにある快感みたいなのが,日本の文化のいちばんの根本にある気がしてですね。上手くいえないけれども,ハリウッド映画でクラーク・ゲーブルがクールな恰好しているとそれは恥ずかしくないみたいな。(中略) だけど日本の温泉文化って,外国人がハマるともう抜けられないような魔力があるわけ。実は今、そこにおいて日本が世界をどんどん制服しているわけ。(p84)
人間の脳の栄養としては,雑談がいちばん大事ですね。だから,自分の人生の中で雑談しない時って,基本的に調子が悪い時っていうか。(p120)
欧米のホテルと日本の旅館の違いで言うと,日本の旅館は高ければ高いほどリラックス数値が上がっていって,外国は高いホテルほど緊張感が漂う。(山崎 p145)
ヨーロッパでもアメリカでも中途半端に高級なところだとドレスコードが何とかって言うんだけど,そこを突き抜けてほんとにいちばんハイクラスになると,皆リラックスしてるというか。(p147)● 雑談が脳の一番の栄養なのかぁ。とすると,一般的に男性より女性の方が豊富に栄養を摂っているね。
“男は黙ってサッポロビール”的な道徳律はまだ死んでないものな。真面目で優等生的な男子ほど,その呪縛に絡めとられているかもな。
ただ,ここでいう雑談とは,居酒屋で上司やその場にいない同僚の悪口を言い合ったり,グチをこぼしあったりすることではないだろう。喋ってりゃいいというものでもない。
0 件のコメント:
コメントを投稿