著者 下野新聞社編集局
発行所 下野新聞社
発行年月日 2016.04.27
価格(税別) 1,500円
● 日光について多くの知見を与えてもらった。曖昧にしか知らなかったこと,まったく知らなかったこと,そういうのばかりだった。
もっとも,日光といえば東照宮で,東照宮とは徳川家康を神として祀っているところだから,家康を巡る諸々のことがらが芋づる式に出てくる。知るべきことに際限がなくなる。
日光の専門家になるつもりならいざ知らず,そうでないならほどほどにしておくことも大人の知恵といえるのではないか。人生は有限だからね。
● 本書にはいろんな人物が登場するけれども,最も気になる人を一人挙げろと言われれば,慈眼大師天海ということになる。
家康の信任厚かった天台宗の僧侶。が,僧侶というよりは政治顧問的な役割を期待されてもいたようだし,その分野で辣腕を振るったようでもある。
何者なんだ,おまえ,と言いたくなるような得体の知れなさがある。つまり,そこが魅力であるわけだけど。
● その天海さん,当時ではあり得ないような長寿を全うしたようで,108歳まで生きたと紹介されている。本当かね。
だとすれば,長寿の秘訣を語っていないかと気になる。本書はその期待にも応えてくれている。
輪王寺には,天海の遺訓が伝わっている。 長寿の秘訣を問われ,「気は長く 勤めはかたく 色薄く 食細うして 心広かれ」と答えたという。(中略) 天海はこんな言葉も残した。「こと足れば 足るにまかせて 事足らず 足らで事足る 身こそ安けれ」。欲望を抑えてこそ,天海のように長生きができるのだろう。(p126)残念ながら,おそらく後世の創作ではないか。何だか平板でつまらないからさ。
● 東照宮では20世紀になってからでも,一再ならず出火さわぎがあったようだ。
1961年3月,この本地堂であってはならないことが起きた。春雪の舞う夜に出火して23時間半も燃え続け,薬師如来や十二神将,鳴竜を消失してしまった。(中略)暖房器具の不始末が原因とされた。(p148)神職や僧職であっても,ぼくらと同じ程度には油断があるんだろうね。ひょっとしたら,ぼくら以上にひったるんでいるのかもしれないよ。
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