書名 70歳からの人生の楽しみ方
著者 櫻井秀勲
発行所 きずな出版
発行年月日 2019.08.10
価格(税別) 1,500円
● 著者は,60歳,70歳,80歳に向けての生き方論を書いているが,これでその3部作を読んだことになる。これからは若い人はどんどん減って,年寄りだらけになっていく。高齢者の不安解消業は需要が多いことだろう。
と,一般論にして言っているけれども,自分もかすかながら不安を感じているから,こういう本を手に取るのだ。
● カバーのそでに “「生まれて初めて!」の体験を増やそう” とある。好奇心を失わずにいて,それを実行に移せれば,楽しみに遭遇する確率が上がることは理解できるのだが,それは原因なのか結果なのか。
● 以下に多すぎる転載。
年を取ると,過去に目が向くようになります。(中略)それはそれで,楽しいことです。でも,それだけではもったいない,と私は思います。(中略)せっかく70歳まで,なんとか生きてきたのです。だったら最後にもう一回,楽しむのです。(p6)
それこそ,山あり谷あり,どん底ありで,今ここにいる,という人がほとんどでしょう。(中略)あなたがいま,ここに生きているということには意味があります。だから,何かを成し遂げよう,ということではありません。ただ,楽しむことをすること。少なくとも,それをしようと努力することが,命を与えられていることへの義務,ではないでしょうか。(p8)
自分だけが楽しむわけにはいかない,などと考える必要はありません。あなたが人生を楽しむことで,あなたのまわりの人たちの人生が,明るく幸せになることもあるのです。(p11)
まわりの人たちからは「若々しい」といわれても,やはり,からだは正直んものです。でも,それは仕方ありません。それだけ長く使ってきたのですから,新品のようにはいかないわけです。だから,そのことを気にしすぎないようにしています。(p27)
70歳からの人生を楽しむコツは,自分の世界を狭めないことです。どこにでも出かけていき,誰とでも会うことで,世界は広がっていきmす。(中略)「自分の世界を広げなさい」というのは,若い人たちのための言葉のように思われるかもしれませんが,若い人たちの世界は,放っておいても広がっていくものです。けれども,60代,70代となれば,世界はどんどん狭まっていきます。(p28)
年齢よりも若々しい人に共通して見られるのは,よく食べることです。(中略)それだけ歯と胃が丈夫だということでしょう。(中略)足腰は使うことで強くなります。疲れない程度に,歩くことは毎日の日課として心がけるようにしましょう。(中略)そのためには,「食べたいものがある」「行きたいところがある」というのが一番です。(中略)逆にいえば,多少のからだの支障はあったとしても,「食べたいもの」「行きたいところ」があるというのは,元気で,人生を楽しんでいる人です。(p28)
70歳で,いま入院するようなこともなく過ごせているとしたら,もともと健康だということがいえそうです。そうであれば,自分の健康に自信を持つことが大事だと私は思います。「自分は健康である」と思えれば,それだけで大きな自信になるはずです。(p37)
「お酒を飲む」「煙草を吸う」というのは,健康を害する二大巨頭のように思われがちですが,それをしていても,健康で長生きする人は大勢います。煙草やお酒が害になるというのは,やはり,その量が多すぎるということがあるように思いまず。でも,それより重要なのは,どんな場所で喫煙,飲酒しているかです。(p44)
70歳を過ぎてから,足腰が重要だと考え,歩くことは心がけていましたが,歩幅については,それこそまったく気にしていませんでした。けれども,大学の同級会などで,「老けたなあ」と思うような級友たちを見ていると,彼らの歩幅が小さいことに気づいたのです。颯爽と歩く,というのは若さの象徴のようなものです。(p48)
立つときは,できるだけ顔を上げ,まっすぐ前を見て,背筋を伸ばすことです。背筋が伸びると,胸が前に出ます。そのときに,両肩が内側に向かないようにしましょう。(中略)胸を張れば堂々と見えます。男性でも女性でも,この「堂々と見える」ということが,とても大事です。(中略)堂々とするだけで,逆に自信も湧いてきます。(p50)
それに笑顔を加えることです。じつはテレビを見ていてもわかりますが,70代に入った人で,笑顔に慣れるタレントは,ほとんどいません。ビートたけしは72歳ですが,自分では笑っているつもりかもしれませんが,そうは見えません。(p50)
悪くなった目や耳のメンテナンスにも,手を抜かないようにしましょう。杖や補聴器を使うことに抵抗のある人は多いですが,いまの時代,それらはどんどん進化しています。(中略)私が経験から学んだことは,「文明の利器は使うべきだ」ということです。(p51)
70歳になったら,あらゆるコンプレックスを手放していきましょう。自分の容姿やスタイル,学歴,仕事,パートナーの職業などなど,自分の理想とはほど遠い現実に,落ち込んだり傷ついたりしたことがあったかもしれませんが,「70歳を過ぎたら,皆同じ」と私は思います。どんな美人も,どんな神童も,どんな大会社の社長でも,70歳になれば,ただの人。たいした差はない,ということです。(p59)
教養の有る無しで,その人の品格が決まります。70歳を過ぎたときにいちばん大切なのが,この品格ではないかと私は思っています。品格のある人は,まわりから大切に扱われます。それだけ幸せに,日常を送ることができるはずです。(中略)「教養」と「説教」は,まったく根本から違います。説教には教養がありません。(p62)
若い人に「得」を取らせるのも大切なことです。わかりやすい例でいえば,たまには「メシをおごってやる」ということです。(p63)
よくも悪くも,私たちは見た目で判断したり,されたりしてしまいます。70歳になったら,この見た目をいままで以上に意識したいものです。「ただの老人」と「紳士」「マダム」の差は,「年齢」よりも「見た目」にかかっているといっても過言ではありません。(p65)
品格のある人というのは,身なりもきちんとしています。逆にいえば,身なりに気を配ることで,品格を高めることができます。ふだんから,たとえ近くに行くだけのようなときにも,きちんとした服装を心がけましょう。(p67)
品格を高める方法としてオススメしたいのが,「高い場所」に行くことです。「高い場所」というのは,高級な場所という意味もありますが,高層階の建物や,地上を見下ろすような展望台など,文字通り「高い」ところのことです。(中略)70歳を過ぎたら,できるだけ明るい場所に行くほうが,あなたを若々しくさせます。(中略)品格のある人といえば「神様」がその最高位ですが,神々しさは光が満ちたところに表れます。(中略)人は,明るい場所に集まります。明るい人にも,人が集まるのです。(p67)
70歳から学び直しをするというときに心得ておきたいのは,「うまくいかなくても気にしない」ということです。(中略)「70歳」という年齢を迎えて楽なことは,語弊を恐れずにいえば,「期待されていない」という点です。(p73)
いまの私は88歳ですから,たいていの場所で,最高齢者になります。慣れないうちは,そんなポジションに気恥ずかしい思いもしましたが,いまは最高齢者としての役割を果たせるようになってきました。「最高齢者」の役割とは,堂々としていることです。威張るということではありません。(中略)仮に名刺を交換するとしたら,先に出すのではなく,相手から名刺を受け取ってから出すことです。(p76)
ここで伝えたいのは,「いざというとき」というのを漠然としたイメージだけでとらえない,ということです。イメージだけでは,どんどん不足額が膨らんで,老後の蓄えはいくらあっても足りない,ということになってしまいます。(p79)
私は,相手に得を取らせることが人脈につながるとかんがえています。相手に得を取らせるとは,自分が損をするということです。(中略)利益が少し減るくらいのことであれば,喜んで私は損をします。(p91)
お金の使い方で大事なのは,ケチになりすぎないことです。「情けは人のためならず」で,人のために使うお金もまた,「人のためならず」であることを覚えておきましょう。(p92)
「櫻井さんは恵まれているんですよ」といわれてしまえば,それまでですが,本音をいうなら,恵まれているのではなく,恵まれるように生きてきたのです。(p95)
前に出る,というのは怖いものです。どんな非難を浴びるかわかりません。自分の名前と顔を出して仕事をしている人には,たとえそれがペンネームであったとしても,それだけの覚悟を持っているのです。舞台に立つには,それだけの覚悟が必要だともいえますが,(中略)舞台に立つといっても,最初から大舞台をめざす必要はありません。自分が経験したこと,勉強したことをシェアする感覚で,「小さな勉強会」を開いてみてはいかがでしょうか。(p95)
「お金さえあればできるのに」というようなことは,じつは「お金があってもしない」のです。(中略)大切なのは,自分が,それにどれだけの情熱を向けられるか,ということです。情熱というのは,年を重ねるほどに燃えにくくなっていきます。(p99)
世話をしてくれる人に感謝はしても,どのことで卑屈になったりしないように気をつけましょう。自分ではなく,家族が患者になったときには,とにかく患者の気持ち優先で,その場を対処していきましょう。(p109)
どんなことでも予定を立てるのは楽しいものです。(p113)
東京にいると,自分で運転しなければならない必要性は感じませんが,地方であれば,そうはいかないこともあるでしょう。(中略)それでも,事故を起こして,被害者を出してしまっては,事情も何も,理由にはならないわけです。70歳という年齢を迎えて,戒めなければならないのは,自分に対する過剰な自信です。自分だけは大丈夫だという驕りが,一瞬で,あなたの運命をどん底に突き落とすのです。(p115)
病気やケガをすると,弱気になります。自分の寿命が来たと思って,「病気の自分」を受け入れてしまうのです。病院というのは不思議なところで,たとえ検査入院でも,何日かいると病人らしくなってしまうところがあります。(p117)
人生は「もう終わった」と思ったところで終わってしまいます。(p118)
70歳を過ぎたら,悲観的になりすぎないことだと,私は思います。悲観的になったとしても,どうして悲観的になってしまうのかと考えてみることです。悲しいことがあったら,悲しくなるのは当然のことです。それをなかったように振る舞うのは,無理があります。悲観的になっている自分を受けとめることで,悲観的になりすぎるのをくい止めるのです。(p120)
セックスも恋愛も,したいと思えば,それを我慢することはないし,したくないと思えば,無理をする必要はないわけです。ただ,もったいないと思うのは,「もうできない」と決めてしまうことです。(p127)
相手との距離が50センチ以内に縮まっても,感情的にイヤでなければ,セックスの相性は悪くないかもしれません。相性というのは理屈ではなく,いいなと思っていた人でも,相性が悪いと,近くにいることが居心地が悪くなるものです。(p128)
60歳よりも,70歳のほうがモテる,といったら信じますか? でも,これは本当の話です。ことに男性の場合は,100パーセントそうだといっても過言ではありません。(中略)男性が,60歳よりも70歳のほうがモテるというのは,生々しさが抜けるせいかもしれません。いまの60歳は,若すぎるのです。(p130)
年齢よりも,感覚が合うかどうか,話が面白いかどうか,優しいかどうかで,女性は相手を判断します。その点で,女性というのは,若いときから「人を見る目」を持っている人が多いのです。(p132)
1人だけにのめりこまないようにするのも,大人のテクニックです。(p135)
「自分のことを好きな男性はわかる」という女性がいましたが,そう思っていた相手が,自分以外の女性に走ってしまいそうだと思えば,急に惜しくなることがあるわけです。(p135)
70歳からの恋愛は,それが「人生最後の恋」になりうる可能性が高いでしょう。だとしたら,世間のルールより,自分の気持ち,相手との関係を大切にすべきです。ただし,だからといって何をしてもいいわけではありません。自分の気持ちを大切にしながら,周囲も大事にできる,というのが大人の甲斐性です。(p141)
身近であるがゆえに,ないがしろにしてしまうことがあるのです。70歳になったら,近くの人こそ,大切にすることです。あらためて,自分のパートナーを見直しましょう。(p149)
運命の人というのは,その出会いによって,自分の運命が変わっていく存在ですが,生涯にただ1人というわけではない,というのが私の持論です。また夫婦だけが,運命の人とは限りません。ただし,夫婦でも,運命の人ではないことがあるかといえば,それはないでしょう。運命の存在だったからこそ,結婚したのです。(p150)
チャンスというのは,じつは誰にも,いくつになってもあるものです。あなたの人生も,あなたがその気になりさえすれば,まだまだ変わっていきます。可能性の扉は,いつでも開かれているのです。(p164)
70歳を過ぎたら,「自分に残された時間」を考えてみましょう。(中略)毎日というのは,なんとなく流れてしまいます。よほどの計画を立てない限り,あっという間に1日は過ぎて,「何もしなかった日」が続いてしまうのです。とくに男性は定年で仕事がなくなると,そうなってしまいがちです。(p167)
「シャンパンタワー」というのは,グラスをピラミッド状に積み上げ,シャンパンを注ぐセレモニーのことです。そのすべてのシャンパングラスをシャンパンで満たすには,ます一番上の,1つめのグラスを満たし,それがあふれることで,下のグラスにシャンパンが注がれていくわけです。(中略)まずは,自分自身に注ぐことが大事なのです。自分に注いであふれたエネルギーが,次の段へとあふれていくことこそが,美しくエネルギーが行きわたる形なのです。(p174)
昭和生まれは,自己犠牲を美徳だと考えがちです。(中略)が,70歳を過ぎたら,自分優先でいいのです。いや,本当は70歳を待たず,60歳でも,それをすべきです。(中略)自分を優先するというのは,自分のことをするというのではありません。自分がしたいことをするのです。(中略)あなたの人生が充実していると,元気でいられます。70歳を過ぎたら,あなたが元気でいることが,あなただけでなく,あなたの周囲の人たちにとっても,幸せなことだと気づくのではないでしょうか。(p176)
外食や旅行をするときに,目的は何かといえば,自分を喜ばせることではないでしょうか。(中略)誰かに見栄を張るための贅沢は,70歳になったら,もう卒業していいでしょう。いや,卒業すべきでしょう。(p180)
年を重ねると,それだけで気持ちは暗くなりがちです。どんなに若々しさを保っている人でも,自分の老いを感じない人はいないからです。(中略)その暗い気持ちが,病気を誘発してしまうこともあるのではないかと私は思います。だからこそ,気持ちを明るく持っていくことが大事なのです。(p180)
「お金は使えない」となったら,知恵を絞りましょう。知恵は,そうして使うのです。「フレンチのフルコース」に行くのが難しいなら,自分でフレンチを勉強して,家族にふるまってはどうでしょう。そのほうが,ホテルで食べるより,ずっと楽しそうだと私は思います。(p181)
未来というと,ずっと先のことを考えてしまいます。30代,40代の若いうちはそれでよいのですが,70歳の未来は,明日のこと,明後日のことでいいのです。(中略)昨日の失敗を引きずることもありません。後悔している時間は,70歳にはないのです。「今日,何をするのか」「明日,何をするのか」ということを考えていきましょう。(p182)
年を重ねれば重ねるほど,人生の表舞台には立てなくなる,というのは,これまでの常識でした。でも,いまは違います。(中略)人生70年時代,80年時代のロールモデルはあっても,それ以降はどうして生きていけばいいのか,健康をどう保っていけばいいのかを,模索していかなければなりません。いわば,いま70歳のあなたが,そのモデルとなっていくことができるのです。(p188)
「自分なんて」という言葉を使ってはならない,ということを本や講演で伝えています。(中略)そういっている人には,どんなこともできません。仕事もまわってこないでしょう。(中略)「自分になんてできない」と考えるより,「自分にもできるかもしれない」「いや,自分でなければならない」と考えるほうが,人生は楽しくなるでしょう。(p190)
たいていは「年齢」や「家族」の話になるのです。(中略)そういう話しかできない人は,話材のない人です。つまり,「内」の話しかできない人は,その話を発展させていくことができません。(p194)
興味のあることには,列車の時間も忘れて,それだけ没頭できるというのは,やはり大きな才能でしょう。(p196)
私は,70歳になった人にこそ,手帳を持つことをオススメします。105歳で亡くなるまで,生涯現役を貫いた医師,日野原重明先生は,100歳のときに「10年日記」を買って,3年後の予定も書き込んでいたといいます。(中略)人生というのは,気を抜いていると,あっという間に,なんとなく過ぎてしまうものです。悪いことに,なんとなく過ごしてしまっても,年を取ると誰も叱ってくれません。(中略)そのために,日記や手帳を使って,これからの予定や,その日に知ったこと,気づいたこと,考えたことなどを書き込んでいきましょう。スマホなどに記録することもできると思いますが,私は手と脳はつながっていて,「手で書く」ことで,脳も活発になると信じています。(p198)
年長者というのは,その存在感で貢献できるということがあるのです。(p203)
若々しいことは素晴らしいことですが,それよりも大切なのが「自分らしい」ということです。いくつになっても,自分らしく生きられることが,人生の目的といっても過言ではありません。その「自分らしさ」を守るには,「年齢」に制限されないことです。(p207)
70歳を過ぎて,私が一番無駄なことだと思うのは,「自分にないもの」を数えることです。(p208)
どんなことでも10年続けていけばプロになれる,といわれます。あなたも,これからの10年をかけて,「残せる仕事」に取り組んでみませんか。(p211)

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