書名 歩き続ける力
著者 三浦雄一郎
発行所 双葉社
発行年月日 2019.04.14
価格(税別) 1,000円
が,著者は盛りもせず妙な謙遜もせずに,自身の体験を語っているのでもある。
● どの分野でも一流の足跡を残す人には,いくつかの特長があるように思う。まず感情家だということ。喜怒哀楽の振り幅が大きい。涙もろく,感激屋である。斜に構えた冷静クン(ぼくはこのタイプ)はお呼びじゃない。
次に,楽天家であること。慎重であることが知的だという思い込みに毒されていない。したがって,基本的には陽性の人だ。著者もそういうタイプの人なのだろう。
● 以下に転載。
私の父・三浦敬三は,99歳のときにフランスのモンブランでスキー滑走を楽しみ,101歳まで生きた。首の骨を折ったことで命を縮めてしまったが,それがなければ110歳まで生きたのではないかと思う。(p15)
今は75歳で後期高齢者扱いだが,75歳なら100歳まで25年もある。時間はたっぷりだ。仮に100歳まで生きられるのなら,100年間ギリギリいっぱい楽しく暮らしたい。(中略)そのための行動の源となるのが,“歩く” ことだ。(p15)
人間は何歳になっても前に進んでいくべきだと私は考える。86歳でのアコンカグア登頂は叶わなかったが,次の目標に向かってまだまだ前進していくつもりである。「人生に,“もう遅い” はない」(中略)何歳だろうと,今からできること,これから始められることは何かある。(p17)
70歳を過ぎて,世界の高峰に何度も挑んでいる私を,ストイックで自分に厳しい生活をおくっている,立派な人物だと買いかぶっている人がいるのだ。(中略)しかし,それはとんでもない誤解だ。三浦雄一郎は,どちらかというとズボラでナマケモノである。面倒なことは嫌いだし,我慢するのも,節制も苦手だ。(中略)トレーニングにしても,今日は寒いから,雨が降っているからと,サボってしまうことがよくある。(p24)
血圧,血糖値,尿酸値,コレステロール値などの数値を下げることだけを目標にして,節制して運動するだけでは,なかなか続かないものだ。(中略)食事制限や継続した運動を続けていくには,何かその先の目標を設定するのがいい。そうすることで張り合いが生まれる。(p32)
歩けること,言い方を変えれば自分の意思で自由に移動できることは,高齢者にとって,充実した老後を過ごすための強力な武器となる。(p50)
早寝はともかく,早起きは高齢者にとっていいことばかりではない。(中略)65歳でトレーニングを再開してからは,早朝の運動を避けるようになった。(中略)運動は,太陽が昇り,自分の体温が温まり,起床時に一気に上がった血圧が安定した午後からでいいのだ。(p56)
私が特に重視しているのが,科学的なものを取り入れる姿勢だ。(中略)そのひとつに,サプリメントがある。(p64)
先生は,男性ホルモン「テストステロン」を注射することを提案した。(中略)私は提案を受け入れた。(p72)
誰も自分が何歳まで生きられるかがわからない。だから私は,死ぬことよりも,生きることを考えたいと思っている。“就活” の類は一切していない。(p78)
私は80歳でエベレストに挑む以前,骨盤を骨折して入院したことがあった。その時は,ベッドの上で身動きが取れず,身体をグルリと回転させることができなかったのだ。そんな状況では,「寝返りを打つ」というなんでもないことが,目の前の目標になった。それができたときは,なんとも言えぬ達成感に包まれた。(p81)
まずはアンクルウェイトを入手したい。これは,ちょっとしたスポーツ店ならどこでも売っている。通販で買うこともできる。片足に1kgずつから始めよう。それからリュックサックだ。(中略)そこに5kgぐらいの重りを入れるのだ。(中略)1日1時間ぐらいが理想だが,まずは10分でも15分でも歩いてみることから初めてみよう。(p85)
ヘビーウォーキングには,ちょっとしたご褒美がある。スキーをやっている人なら,たっぷり滑って,スキーブーツを脱いだときのなんともいえない足の開放感をご存知だろう。頑張って歩いてアンクルウェイトを外したときは,それに近い,まるで空を飛べるのではないかと勘違いするほと,足が軽くす~っとする。これがなかなか気持ちがいい。(p86)
ヘビーウォーキングは平地限定のトレーニングだと考えて欲しい。山でやるのは危険だ。(p96)
そもそも毎日やらなくたっていいと私は思う。オーバーワークになっていつまでも疲れが取れないなら,頻度を落とせばいい。無理をして,くたびれ果てて,「もううんざりだ」と止めてしまうくらいなら,時々サボるぐらいのほうがいい。(p97)
三日坊主でもいいではないか。やらないよりはマシだ。ゼロと3では大違い。三日坊主も10回やれば,合計で1ヶ月やったことになる。(中略)まずは,始めることだ。(p108)
アンチエイジングの権威である白澤先生によると,胃袋が満たされていない状態の人間を含む生き物は,種の保存のために生殖能力を維持し,若さを保とうとするのだそうだ。つまり,満足感,満腹感がない方が若さを維持できるということだ。だから,高齢者は腹八分目ではなく,七分目でいいという。その発言は「なるほど」と思えることばかりだ。だが,私はどうしても,先生の言うことを守ることができない。(p111)
食に関して,私がもっとも重要だと思うのは,空腹になることだ。(p113)
メタボで余命宣告を受けたのも,人生においてはかなりの失敗だし,雪崩に巻き込まれたこともあれば,心臓手術後のオーバーワークで再手術を受けたこともあった。これまで,生きながらえていることができた最大の理由は,「運が良かった」,これに尽きる。たまたまである。(中略)ただ,命を失うtこがなかった理由を一つ絞り出すとすれば,大きな目標のために事前になんども予行演習を重ね,小さな失敗を繰り返すことで,本番で失敗して命を失わないようにしている--ということだろう。(p124)
ずっと調子が悪かったのに,なぜここまで復活したのか? 好きなこと,面白いと思えることをやったから。それ以外に考えられなかった。(p148)
私も死を恐れるのではなく,次は何に生まれ変わるかを楽しみにしている。蟻になるかもしれないし,牛になるかもしれない。蟻には蟻の喜びや幸せがあるだろう。ともかく,そのぐらい常に前向きな気持ちでいたい。(p176)

0 件のコメント:
コメントを投稿