読書で人生が変わるなどということは,まずもってないものでしょう。読書が人を賢くすることも,たぶん,ないと思います。 読書は安価でお手軽な娯楽であり,時間消費の手段です。それでいいというより,娯楽でない読書は可能な限り避けたいものです。 娯楽としての読書があれば,老後もなんとかしのげるのではないでしょうか。というか,しのげると思いたいわけですが。
2012年9月23日日曜日
2012.09.20 たくきよしみつ 『大人のための新オーディオ鑑賞術』
書名 大人のための新オーディオ鑑賞術
著者 たくきよしみつ
発行所 講談社ブルーバックス
発行年月日 2009.06.20
価格(税別) 780円
● 「音楽のデータ管理はデジタルで行い,再生は思いきり贅沢なアナログで楽しむ」(p146)ことを説いた本。著者によれば,「録音や演奏の現場にデジタル技術が導入され,音楽の世界は激変しましたが,その変化は音楽シーンを豊かにさせるより,むしろ貧相にさせる方向に向かった」(p81)とのことで,その辺も本書を書いた動機のひとつなのかもしれない。
● 音楽ファイルのファイル形式の多さに絡めて,メーカーの顧客囲い込みに関する批判も展開されるが,ここで愚者の代表として紹介されているのがSONY。
アップルのiPodに先んじてフラッシュメモリ搭載のWALKMANを出していたのに,MP3に対応する姿勢を見せなかったために,消費者に受け容れられなかった,と。
とすれば,愚かだったのは,現場ではなく経営ってことだね。顧客を自分の方に囲い込もうっていう発想は,覇権主義だもんね。自分が顧客の方に行かなきゃねぇ。
でも,これで行けると思ったんでしょうねぇ。囲い込めるだけの魅力を備えた製品だとね。
● 著者はロスレス圧縮形式のFLACを推奨している。リッピングも再生もFLACに対応しているソフトを使った方がいいですよ,と。
● ちなみに,ぼくはiTunesをデフォルトのまま使っている。大きく困っているわけじゃないから,それでいいやと思ってるんですよ。
というのも,ぼくの音楽を聴くスタイルはスマートフォン+イヤホンだからね。もしくは,ノートパソコンに安いスピーカーをつなぐだけだからね。
3月までは車通勤だったので,運転中にカーオーディオ(ナビのハードディスクにCDをコピー)で聴いていた。そのカーオーディオが,ぼくの音楽環境の中ではダントツでまともなものだから。
要するに,おおもとが貧しいわけでね。持たざる者は強いよ。
● アンプやスピーカーはどこまで行ってもアナログなもの。そうしたアナログ機器に関しては,「贅沢なオーディオライフを楽しむなら,ヤフオクで中古を探すに限ります」(p165)と著者は言っている。
● その他,豆知識も得られる。iPodユーザーは,聴いている楽曲のほとんどをCDからリッピングしてて,iTunesストアからの購入はわずかしかないってことも,初めて知った。
というようなことを含めて,本書は読みものとしても面白く読める。ぼくはもっぱら読みものとして楽しんだ。知識を得て,それを自分の生活に取り入れようというんじゃなく。
読みものとして面白いのは,著者の「オーディオ鑑賞術」に元手がかかっているからだろう。金銭も時間もたっぷり注ぎ込んできたのだろう。
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