書名 小心者のアメリカ大陸一人旅
著者 越智幸生
発行所 PHP
発行年月日 1999.10.28
価格(税別) 1,000円
● タイトルに惹かれて読んでみた。ぼくも自分を小心者だと思っているので。思っているというか,小心者に違いないので。
特に,人に声をかけることができない。ホテルでもレストランでも,スタッフに声をかけるくらいなら,些少の我慢ですむなら,我慢してしまえばいいと考えるほうだ。
いや,些少でなくても,我慢しちゃったほうが楽だ。スタッフに声をかけるくらいなら。そのくらい,人へのアクションを起こすのが嫌というか怖いというか。対人恐怖の気味があるのかもしれない。
● で,本書を読んだところ,著者はべつに小心者じゃなく,ごく普通じゃないかと思った。おそらく,小心を強調するように書いているところもあると思うんだけど,気をつけるべきところにきちんを気を配っているという印象だね。
● ただし,積極的に現地の人たちとの交流を求めるタイプじゃない。ハプニングを引き寄せるタイプでもないようだ。
普通に動いて,自分に降りかかってきたあれやこれやを書いている。
● それが面白い読みものに仕上がっている理由は,現地を好きになっているからだ。アメリカ大陸といっても,本書のメインはメキシコ。
著者はメキシコが気に入った。たまたま気に入るような人たちや暮らしぶりや風景があったってことなんだけど,ともかくメキシコと著者の波長が合った。著者の良きものがメキシコによって引きだされた。そういうことではないかと思う。
● 著者自身によるイラストもふんだんに登場する。わざわざ本文に書くほどのものではないと著者が判断したものの一部がイラストに回される。脚注的な感じ。そのイラストにも面白いものがあった。
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