著者 阿部 昭
橋本澄朗
千田孝明
大嶽浩良
発行所 山川出版社
発行年月日 1998.02.25
価格(税別) 2,400円
● 地方史を書く場合,都道府県を単位にして切りだすこと自体に,無理というか難しさがあるのじゃないかと思う。
が,では他にどういう切りだし方があるのか。ともあれ,本書はコンパクトな下野史。
● 古代からパッと武士の時代に跳ぶ。日本史の時代区分でいえば,飛鳥時代,奈良時代,平安時代の記述はほとんどない。せいぜい下野薬師寺がちょっと登場する程度だ。
この時代の日本はエリアが狭い。近畿地方がすなわち日本の歴史舞台であって,栃木県など化外の地であった。日本に入っていない。
● ぼくなんか,坂上田村麻呂は侵略者だと思っているからね。もっとも,東北ではその田村麻呂の人気が意外に高いらしい。
実際には,東西の混血がどんどん進んで,“日本人”ができあがってきたわけだし,人の移動も広範囲に発生しているわけで,あまり歴史本に影響されるのもいかがなものかということだけどさ。
● 現在の日本人にとって,昔の日本は異国であって,内藤湖南に倣って応仁の乱以前は視野に入れなくてよいと思っている(内藤湖南が視野に入れなくていいと言っているわけではない)。
やはり近現代史ということになる。戦後の占領政策をメインに据えて,その前後を渉猟すればいいのではないか。それ以外は専門家の領域。歴史はしょせん過ぎたことだしね。
● 近いうちに自転車で栃木県を一周しようと思っている。そのとき,ずっと自転車で走っているだけではもったいないので,史跡なり名所のいくつかには立ち寄りたいと思う。
どこに立ち寄るか。それをピックアップするために本書を読んだ。その目的は達成された。
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