著者 宮田珠己
発行所 ちくま文庫
発行年月日 2015.06.10(単行本:2012.05)
価格(税別) 740円
● 著者の書評集。あるいは,著者の楽屋を公開した本と言ってもいいのかも。宮田さんはこういう本を読んでいたのか,っていう。
● 本書に登場する本の中で,ぼくが読んだことがあるのは,アラン・ド・ボトン『旅する哲学』のみだった。
読んでみたいと思ったのは,五来重『四国遍路の寺』(角川ソフィア文庫)と河本英夫『飽きる力』(NHK新書)。
● 以下にいくつか転載。
孤立した文化というのは,ユニークになりがちだ。世界の国々を見ても鎖国していた国ほど独特な社会になる。(p89)
死んだ後に,ストレスのない楽ちんな天国(極楽)と,苦痛に満ちたしんどい地獄があるという発想は,洋の東西を問わず共通しているが,ただ個々の地獄描写には,書き手がどんな苦痛を思いつけたかによってそれなりの違いが生まれてくる。そうした書き手の創意工夫が,地獄案内本の読みどころと言えよう。(p124)
鈴木理生には,もう一冊ちくま学芸文庫になっている著作があって『江戸の町は骨だらけ』というのらしい。まだ読んでいないが,読まないうちから,強力おすすめである。(p166)
中野美代子という人は,周囲がどう評価しようとまるで気にせず,自分の興味関心に向かって突っ走る人なのだ。他人のことなど知ったこっちゃないスタンスが徹底しているから,読む側も小気味いい。(p170)
歩けなかった患者が歩けるようになったとき,よっしゃ,ってんで,いっぱい歩いてしまうとそれ以上よくならない。意識的な身体運動は,一生懸命になるほど歪んでいく。(p214)
素晴らしい著作だけれど,内容が専門的だったので真面目に読み込んでしまってネタに昇華させられず。残念。(p246)
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