著者 藤原智美
発行所 プレジデント社
発行年月日 2017.12.18
価格(税別) 1,300円
● 著者が新聞に連載したエッセイを1冊にまとめたもの。その中の1つのエッセイのタイトルが「あなたがスマホを見ているとき スマホもあなたを見ている」。
だから,本書全体がスマホを話材にしているわけではない。
● 以下にいくつか転載。
情報断食中は,一日がこんなに長かったのかと驚くはずだ。私は3か月に1回ほど,3日の情報断食を続けているが,効果はというと,しだいにSNSから遠ざかり今ではまったくやらなくなったこと。ネット全体に費やす時間も以前よりだいぶ少なくなった。(p33)
人を撮るという行為にはコミュニケーションが必要だ。すぐれた写真家はそれがうまかった。土門拳,木村伊兵衛,現役では荒木経惟。しかしネットの時代は,自己防衛として撮られる側の権利意識がどうしても強くなる。そうした「心のバリアー」は,見知らぬ人とのコミュニケーションを難しくする。こうなると,やがて他者への関心自体も薄れていくのかも。(p44)
ある料理屋で板前さんが常連客とかわした言葉が耳に入った。「最近の店は白い無地の器ばかり使うから,盛りつけが雑になっている。彼らは色や絵のある器は,使いこなせないんじゃないか」(中略)なんでも無地で無難,というのではちょっと貧相ではないか。(p200)昔は「無地で無難」を最も上等なものとして推奨することが多かったような気がする。文士と呼ばれた人たちが男性の服装について語るときは,ストライプの難しさを指摘するのと,無地を勧めるのが定番になっていたような。このあたりも時代とともに移ろうんだな。
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