2019年9月29日日曜日

2019.09.29 坪田信貴 『才能の正体』

書名 才能の正体
著者 坪田信貴
発行所 幻冬舎
発行年月日 2018.10.10
価格(税別) 1,500円

● 才能の正体は何? となると,それは本書でも明らかにはなっていないと思った。
 が,才能の正体は何? なんて考えないで,努力を継続できることが才能であり,努力を継続するためには,陽気というか明るい気分が必要。というのが本書の要諦だと解してよろしいか。

● 以下に多すぎるかもしれない転載。
 どうやら人とうのは,“才能の有無”を,安易に断定したがるようです。(p4)
 自分に合っていない,ふさわしくない場所でいくら頑張っても,物事は身につきません。(p27)
 人間というのは「これなら自分にできそう」で,しかも「これはきっと人生の役に立つに違いない」と思えたら,行動に移すものなのです。(p44)
 僕は,遺伝が人の“成功”を左右することはない,と言えます。(p59)
 東大に入った人が,全員成功していますか? 全員憧れの生活をしていますか? そんなことないですよね。主教科のお勉強ができるだけで成功者になれるほど,社会はカンタンではないのです。(p62)
 こうした「○歳からの□□教育」みたいなものが“才能を殺している”と,僕は思うのです。こうした誤った教育観を信じてしまうせいで,「○歳だとおもう遅い」という考えになってしまうのです。(p69)
 これは面白いくらいに,すべての世代の人が,同じように思うことなのです。とにかく人は,ひたすら後悔しながら生きているものなのです。これはもはや「“いつでももう遅い”後悔教育観」と言っても過言ではないでしょう。(p70)
 子どもでも,70代の人でも,始めようと思えばいつだって始められます。「すごくやりたい」とおもえることがあるのなら,まずはやってみたらいい。やってみて興味がなかったら,やめればいい。やらない理由を探している時間はもったいない。(p72)
 そもそも「仕事を選ぶ」のではなく,「仕事を創る」ことが,これからの“人生百年時代”“AIやロボットの時代”に求められることです。もし,あなたが自分の能力の“尖り”を見つけつつあるのであれば,わざわざ抑え込んで,それを丸くすることに意味なんてありません。どんどん尖らせることです。(p76)
 アインシュタインは言っています。「誰もが天才だ。しかし,魚の能力を木登りで測ったら,魚は一生,自分はダメだと信じて生きることになるだろう」。(p79)
 「人のせい=他責」にしたとき,つまり「自分のせいじゃない」と言ってしまった瞬間に,才能の芽はたちまち枯れ果ててしまいます。(中略)才能は,本質的に自分の中にあるものです。(p81)
 私が言いたいのは,「生まれつきの能力は,誰もが持っている」ということです。(p95)
 僕がいつも言うのは,「頭のいい人を完コピしろ」ということです。(中略)完コピにあたって,大切なポイントがあります。完コピをするときは,その人の「考え方」だとか,言っていること」ではなく,「行動」を完コピすること,です。人間が唯一,他人を完コピできるのが「行動」です。(p98)
 完コピを徹底的にやると,必然的にオリジナリティが出てきます。僕に言わせれば,それが「個性」です。(p101)
 ちゃんと学校へ行って,授業を聞いて,ノートを取って,宿題もやって,大学まで行く人が,もちろんいるでしょう。(中略)でも,何の疑問も持たずにそうしてきた人たちが大人になっている姿をよく見てください。「才能」と言えるほどには尖りがない。(p121)
 親や教師,上司などが「こうしたらうまくいく」と言っていることを聞いても,うまくいくわけありません。なぜか? それは「その人固有の成功体験」だからです。(p127)
 「一般道場生」と「後継者」は学ぶ体型が違うのだそうです。(中略)一般道場生は,ひたすら「技の練習」をします。しかし後継者候補には,早々に「術を教える」のだそうです。(中略)柔道における「術」は,“相手が崩れた瞬間に技をかける”という「崩し」にあります。後継者候補の人たちは,達人たちからこれを教え込まれるわけです。(p129)
 壁にぶつかってしまうと,伸びが鈍化します。そういうときに必ず抱くのは「もうこれ以上は無理なんじゃないか」という気持ち。しかし,その壁を突き抜けないと,あなたの“尖り”にならず,才能として結実しません。(中略)もし,才能の「壁」にぶつかったらどうするか? もう“本当の基礎の基礎”からやり直すことです。これしかありません。(p140)
 大学受験までの学問というのは,しょせん答えがある“例題集”にすぎません。(中略)だから,本質的なことを言うと,大学受験に才能なんか関係ないのです。才能が必要になってくるのは,大学入学から先を生きていくとき。(p152)
 社会的に有名な成功者だって,みんな“成功する前”があったはずです。もし,君が言うように『成功体験がある→自信が持てる→頑張れる』ってことなら,“成功体験以前”にはどうやって頑張ったらいいのかな? (中略)結果をまだ出していない,これから出すんだ,というときに,信じないといけないのは自分です。(p157)
 人は,議論の対象に具体性がないときほど,批判的な意見を言いがちなのです。一方で,具体的なイメージを最初に提示すると,そこをゴールとして,そこまでの道筋を見つけ出そうと考え始めます。(中略)スタッフに与えるビジョンとしては,その意味の通り「目に見えている」ということが重要です。(p184)
 単なる「目的」を超えた「大義」を持つことで,人は動き方が変わります。その「大義」をその人の中に植えつけるためには,この「感情の幅」「感情が動くこと」がすごく重要なんです。(p186)
 人の脳は,接触回数を増やしさえすれば,記憶に定着しやすくなり,仲間だと思いやすくなるのです。(p193)
 先にタイトルを言っておくと,聞き手はクライマックスがどのあたりかの予測がつくので,「ここはまだ導入だな」とか「これは布石かな?」といった具合に,推測しながら話を聞ける。タイトルというのは,すごく重要なのです。(p204)
 世の中で最も“フィードバックしてくるもの”って,何だかわかりますか? それは,鏡です。(中略)どうして人は鏡を見るのでしょうか? よりきれいになるため,よりカッコよくなるためでしょう。(中略)これが何を意味しているか。人間は,フィードバックを受けると,より良くなろうとする生き物だ,ということです。(p216)
 プラスの意図もなく,マイナスの意図もなく,ただ事実のみを言うのです。(中略)フィードバックにあたって,自分の価値観を挟まないことです。自分の価値観を入れずにフィードバックを続けると,部下がもともと持っている「自分が正しいと信じている価値観」の通りの姿になっていきます。部下自身が抱いている理想の姿です。(p219)
 自分で自分を動かすためには,何でも自分で自分の実況中継をしてください。(中略)不思議に思うかもしれませんが,自分の実況中継ができるようになると,人はポジティブな方向へ思考が変わるようになります。(p230)
 実は私たちの脳は,自分が言っていることの「主語」について,あまり認識していないのです。(中略)そんなわけですから,人に対しては基本的にポジティブな言葉だけを口にした方がいい。そうすると自分も相手もストレスを感じなくなる。他人を傷つけないようにすると,自分のことも傷つけなくなるものです。(p234)
 教育・指導・改善を受けると,教育・指導・改善をしてきた相手に対して「悪感情」が芽生えるのです。(中略)だから部下が「あの上司,ムカつく」という感情を抱くのは,社会的に見たらデフォルトです。(p236)
 コミュニケーションというのは,「“自分が何を言ったか”ではなく,“相手にどう伝わったか”がすべて」です。(p245)
 これからの日本は,人口が減っていく時代です。たくさんの人をふるいにかけて,優秀な人材だけを残そうという考え方は時代遅れです。(p250)
 日本には引き分けの文化がない。実はイタリアなどは,「もう失点しないと決めたら,鍵をかける」と言われるぐらい,「点を取らず,同時に,絶対失点しない」という組織力を発揮します。(中略)美学にとらわれるあまりに予選で敗退するなんて,勝負の仕方を間違っています。(中略)今振り返ってみて,今回のさっかー日本代表が選択すべきは,「無責任な外野の,結果論での批判」を全員が無視することだったのではないかと思うのです。(p257)
 そのようなおばあさんに出会う「運」を,どうやったら,引き寄せられるのでしょうか。そして,そういうおばあさんに出会ったときに気に入られるには,どうしたら良いのでしょうか。それは,「出会ったすべての人に優しくすること」です。(p284)
 これは僕の個人的な意見ですが,一流の人ほど,どんなときでも「できる」と言います。著名な人でも,成功しているように見える人でも,「ダメだ」「無理だ」と言いがちな人は,二流,三流の人だと思います。(中略)超一流の人の言葉には,シンプルに能力を加速させる「何か」があります。実際に触れてみれば,わかります。(p293)
 本当の天才というのは,一般には理解されないものです。市井の大勢の人が,あの人は天才だ! とわかるような天才は,本当の天才ではないのでしょう。そういった意味で言うと,僕は,ピカソは天才ではないと思います。(p295)
 「失敗」を「失敗」と思わない能力・・・・・・。(中略)どんなときも,どんなものからでも「成功の種」を見つけることのできる人を,「才能のある人」と言っていいのかなと思います。(p301)
 つい人は,自分の「今」と「周囲」に視線が集まりがちです。しかし,人生には“その先”があり,世界はあなたが知っているよりずっと広い。成功を信じた人のところに,成功はやってきます。(p301)
 ルールが明確にあるものは,それに即していないと,成功するのが難しいのです。しかし,ビジネスや学問には,基本的にルールはありません。何をどうしたっていいのです。(中略)これには没頭できる,これなら絶対に他人に負けない,というものを大事にしてください。そういうことに取り組む能力を磨いて磨いて磨き抜いて,才能として発揮させてください。(p305)
 「才能」は気分が9割。少し乱暴な言い方かもしれませんが,僕はときどきこう言います。(中略)「才能はある」と信じること。「才能はすばらしいものだ」と信じること。そうすれば,世界の見え方が変わってきます。(中略)人生も気分が9割。あなたの未来を明るくするのも,暗くするのも,あなたの気分次第なんだと思うのです。(p306)
 「才能」「天才」「地アタマ」「運」,僕はこれを「4大思考停止ワード」と呼んでいます。というのも,多くの人はこれらを結構たやすく使うんですよね。(中略)僕はいつも思うんです。「その4つが本当にわかるのは神様だけでは?」と。(p309)

2019.09.29 カーラ・ラスキン 『オーケストラの105人』

書名 オーケストラの105人
文 カーラ・ラスキン
絵 マーク・サイモント
訳者 岩谷時子
発行所 ジー・シー
発行年月日 1985.09.01
価格(税別) 1,300円

● 新国立劇場情報センターで子供用の絵本をもう1冊。105人のうち,女性は20人に満たない。欧州の伝統あるオーケストラはね。ウィーン・フィルなんて異常に女性が少ないものな。

● 白人社会のレディファーストっていうのは,どうも胡散臭いと思っているんだよね。男が人間扱いしていない罪滅ぼしじゃないのかね。オアメゴカシともいうな。
 これを,財布の紐は奥さんが握っている日本にも適用しようというのは,少し無理があるかもなぁ。

2019.09.29 アリキ 『シェイクスピアとグレーブ座』

書名 シェイクスピアとグレーブ座
絵・文 アリキ
訳者 小田島雄志
発行所 すえもりブックス
発行年月日 2000.07.25
価格(税別) 2,200円

● 先週に続いて,今日も新国立劇場に来たので,情報センターで子供用の絵本を1冊。訳者はかの小田島雄志さん。

● あまりに有名な次の一節を転載。
 この世はすべてこれ一つの舞台。人間は男女を問わずすべてこれ役者にすぎない。それぞれ舞台に登場しては退場していく。そしてその間に一人一人がさまざまな役を演じる。(お気に召すまま)

2019年9月22日日曜日

2019.09.22 中嶋茂夫 『「ななつ星」「四季島」「瑞風」ぜんぶ乗ってきた!』

書名 「ななつ星」「四季島」「瑞風」ぜんぶ乗ってきた!
著者 中嶋茂夫
発行所 河出書房新社
発行年月日 2017.12.30
価格(税別) 1,500円

● 1泊2日で30万円とか40万円。カップルで乗ったら何やかやで100万円。いくらなんでもお金を捨てるようなものじゃないか,もっと賢い使い方があるだろう,と思っていた。
 そうではないのだと教えてくれるのが本書。クルーズトレインにはそれだけの内実がある。しかし,と言われてもということはある。 

● 以下にいくつか転載。
 カシオペアは6回だが、トワイライトエクスプレスには58回も乗車した。理由は,展望室スイート以外のもっと他のところにある。それは「料理」。(中略)「トワイライトエクスプレスに乗る」というのは,私にとって「トワイライトエクスプレスというレストランへ行く」と同義語だった。(p28)
 時代は,鉄道ファンが臨む寝台列車に「No!」を突きつける。(中略)「ななつ星が今後の寝台列車のスタンダードになる」と私は確信した。(p35)
 トワイライトエクスプレスにはガチガチのマニュアルがあるわけではない。クルー一人ひとりがゲストに楽しんでもらうためにはどうしたらいいかを自ら考えて実践しているのが大きな魅力である。(中略)アマン東京やザ・リッツ・カールトン東京など,「ラグジュアリーホテル」と呼ばれる一流ホテルのサービスと比較すると、クルーズトレインのサービスの質は未熟かもしれない。しかし,「クルーのゲストに楽しんでもらいたいという気持ち」を十分に感じることができるので,サービスの細かい中身は気にならない。(p37)
 クルーズトレインに乗車するには,お金よりも「抽選に当たる運」を持っているほうが重要である。(p41)
 乗車しているゲストはフレンドリーな方が多い。積極的に話しかけてくる,好奇心旺盛な人たちだ。そんな人同士がひとつの列車に集まれば,盛り上がらないわけがない。(中略)私はクルーズトレインに乗車したら,就寝時を除いて室内にはほとんどいない。乗車時間の大半をラウンジカーで過ごしている。なぜなら,他のゲストやクルーとの会話が楽しめるからだ。(p44)
 沿線のレストランや料亭での食事も魅力的だが,それは四季島に乗らなくても味わえる食事である。せっかく四季島に乗車したのだから,もっと車内で食事をしたいと思う。(p87)
 ななつ星はリピート客だけでも十分成りたつビジネスモデルになっており,乗車するゲストが増えれば増えるほどリピートするゲストも増える仕組みになっている。(p176)
 2017年9月27日から10月5日までの9日間,取材を兼ねてスイスの観光列車に乗る旅に出た。(中略)このツァーの料金は約80万円。ちょうどクルーズトレインの3泊4日コースの料金に相当する。日本に戻った後に考えてみた。もし手元に80万円の旅行費用があれば,私は「9日間スイスの旅」と「クルーズトレインの3泊4日の旅」のどちらを選ぶだろうかと。私なら迷わずクルーズトレインを選ぶだろうし,友人や知人にもそうすすめる。(p219)

2019.09.22 アンドレア・ホイヤー 『ぼくとオペラハウス』

書名 ぼくとオペラハウス
絵・文 アンドレア・ホイヤー
訳者 宮原峠子
発行所 カワイ出版
発行年月日 2001.02.01
価格(税別) 1,400円

● 新国立劇場の情報センターには子ども用の絵本も置いてある。ぼくが読めるのはその絵本くらいのものだ。いや,それすら怪しいかもだが。

● 写真の絵本は,オペラの制作過程を解説するもの。普通にオペラを鑑賞するだけなら,ここに書かれていることを知っていれば,まずもって充分ではないか。

2019年9月16日月曜日

2019.09.16 西原理恵子 『パーマネント野ばら』

書名 パーマネント野ばら
著者 西原理恵子
発行所 角川書店
発行年月日 2006.09.30
価格(税別) 952円

● ズシンと腹にくる短編集。これを描くのはそれ自体がかなりシンドいでしょ。女の生態(?)を惜しげもなく教えてもくれる。唯一の救いはなおこさんに彼氏がいて,幸せそうなことだ。 

● 台詞を2つだけ転載。
 あんな小さなころから私は今の私を心配してた。あのね,あんたのしんぱいね,ざんねんながらあたったよ。 でもどうにかやれるみたい。うん。おんなってどうにかなるみたい
 ええねん,わたしら若いときは世間さまの注文した女,ちゃんとやってきたんや。 これからはわたしもあんたも好きにさせてもらお

2019.09.16 西原理恵子 『いけちゃんとぼく』

書名 いけちゃんとぼく
著者 西原理恵子
発行所 角川書店
発行年月日 2006.08.31
価格(税別) 1,100円

● “いけちゃん”は“ぼく”と短い恋をした女性。その女性が“いけちゃん”になって子ども時代の“ぼく”に会いに来た。
 と,最後に“いけちゃん”が告白するんだけど,母親のようにも見える。“ぼく”が何もしても許す母性的なるものの象徴。

2019年9月14日土曜日

2019.09.14 『世界の美しい市場』

書名 世界の美しい市場
発行所 エクスナレッジ
発行年月日 2017.05.06
価格(税別) 1,600円

● この表紙の市場なんかショッピングモールのようだ。改築されて綺麗になってるわけでしょ。こちらが過去に固めてしまった市場のイメージは修正を要する。
 でも,あれだ,外国の市場で売手と渡りあうには,けっこうなエネルギーを要求されそうだ。

2019.09.14 『世界の露店』

書名 世界の露店
発行所 パイ インターナショナル
発行年月日 2016.02.21
価格(税別) 1,800円

● ちょっと,何というのか,ディズニーランドのポップコーン売りのワゴンのような,あんな感じの露店が多いような。
でも,インドはすごくて入れ歯を売る露店もあるのだな。

2019年9月13日金曜日

2019.09.13 坪田一男 『ごきげんな人は10年長生きできる』

書名 ごきげんな人は10年長生きできる
著者 坪田一男
発行所 文春新書
発行年月日 2012.07.20
価格(税別) 720円

● 副題は「ポジティブ心理学入門」。タイトルのとおりの内容だから,本文は読まなくてもいいと言えるかも。
 問題は,「長生き」にかつてほどの輝きがなくなっていることだろう。長生きすれば,見なくてもいいものまで見なくてはならぬ。人生100年時代? 冗談じゃねぇよ,と思う人が多数派ではないのか。

● 以下にいくつか転載。
 言葉の影響力は僕たちが想像する以上に大きい。(中略)寝る前に一日三つの「うれしかったこと」や「楽しかったこと」を書くだけで,二カ月後には幸福度がグンと上がるというトレーニング法もあるほどだ。(p35)
 医学的に言えば,人と関わることが少なければ,感染症にかかるリスクもほとんどないはずなのに,一日中ほとんど一人でいる人は,心筋梗塞などの心血管疾患だけでなく,風邪にかかる確率も二倍に高まる。一人は身体に悪いのだ。(p85)
 コップ半分の水を「もう半分しかない」と思うのも「まだ半分ある」と思うのも,実は習慣に過ぎない。「まだ半分」と考えるよう習慣づければ,ポジティブな感情料は少しずつでも確実に増えていく。そして,ポジティブな感情料の増加は,心の成長を意味していると言われる。(p96)
 ただ何となく遊ぶだけでは,幸福度はあまり上がらない。(中略)完全に夢中になって遊ぶことが大切なのである。(p102)
 「セルフコンセプト」は非常にゆらぎやすいものであり,基本的には何の根拠もない「思い込み」に過ぎない(中略)人生は,思い込み次第でどうとでも変わるのである。(中略)根拠なんてなくてもいい。(中略)「いわれなき万能感」を持ってしまおう。たったそれだけで,人生がよい方向へ向かって動き出す。(p116)
 道ばたに落ちていた空き缶を拾うだけでもいい。そこに落ちていた空き缶がなくなった分だけ,社会はほんの少し変化する。自分に社会を変化させる力があるのだと実感すると,自分に自信が生まれ,セルフコンセプト(自己概念)もよりよいものになっていくだろう。(p129)

2019年9月8日日曜日

2019.09.08 出口治明 『大局観』

書名 大局観
著者 出口治明
発行所 日経ビジネス人文庫
発行年月日 2015.08.03(単行本:2010.07)
価格(税別) 780円

● 最も印象に残った一文は「文化というのは,突き詰めていけば「言語そのもの」です」(p86)。これは出口治明さんが言う前に言語学者が言っているんだろうけども,出口さんが言うとなるほどと思わせる。
 日本文化とはつまり日本語のことであり,日本人とは日本語でものを考える人のことだ。出自や肌の色はどうでもよい。

● 時々,妄想するのだが,外国の優秀な女性に日本に来てもらって,出産してもらう。優秀な母を持つ子が日本語を母語として育つ。日本男子がやるべき焦眉の急は外国に行って優秀な若い女性をさらって来ることだ。それができるだけの魅力を日本男子は持っているか。今どきの若者は持ってそうな気がする。
 が,わが大和撫子が外国人の優秀な男性を捕まえる方が,数倍現実的か。
ぼくの田舎でも“日本女子+外人男子”のカップルを見る機会はけっこう増えたような気がする。良いことだと思う。

● 以下に転載。
 直感というのは,その計算のプロセスを自分でも意識できないほどのスピードで「脳をフル回転させて得たアウトプット」であり,言語化はできなくても,単に直情的に行動するのとはまったく違う性格のものなのです。そして,この直感は「ストックしてある知識は情報=インプット」の量が多ければ多いほど精度が上がります。(p4)
 私は,人生というものは九九%,いや九九.九%,思うようにならないものだと思っています。(中略)しかし,そんな人生のなかでも,わずかに残された〇.一%の可能性を信じて挑戦し続けなければ,未来永劫何かを成し遂げることはできません。(p5)
 思考軸にはこれが正しい,というものはありません。大切なのはそれが「あなただけのものである」ということです。(p9)
 もうそろそろエサがなくなりそうだとか,果実が豊富なのはあの方向だとか,そういうことがどうしてボスザルには判断できるのでしょう。それは,群れのサルがせっせとエサを集めているとき,ボスザルは高い木に登って四方八方を眺めているからです。(中略)これが大局観の本質です。(中略)とにかく対象から離れなければ,全体像は見えてきません。(p25)
 メンバーの中から落ちこぼれる人間が必ず出てきます。そのとき,弱いメンバーは要らないと切り捨てて先に進めば,組織の弱体化は免れません。(p31)
 どんな組織でも素直でやる気のある人と,平均LEVELの人と,反抗的だったり非協力的だったりする人の割合は,ほぼ二対六対二になるといわれています。(中略)リーダーの考えを受け入れ,やる気になっている上位二割を思いきり走らせたほうがいい。(中略)最初に上位二割にエネルギーを注入すると,リーダーはより少ない労力で,望ましい方向に組織を動かせるようになるのです。(p33)
 これまで「成功の法則」とされてきたことは,すべからく役に立たないものと思った方がいい。その上であらゆることをゼロベースで考え,新たな価値体系を構築していく能力が求められているのです。(中略)「何を自分の軸とするか」,このことに答えはありません。だからこそ,そこに人となりが現れます。(p45)
 「一部の人」を「長い間」だますことや,「大勢の人」を「一時的」にだますことはできても,「大勢の人」を「長い間」だまし続けることはできないのです。私が民主主義を信用している理由もそこにあります。(p52)
 そういうときの私の判断はかなり早い方だと思います。それは私が短気だからというだけではありません。深謀遠慮や沈思黙考には世間の人が思うほど効果がないことを,経験を通して知っているからです。(中略)「よく考えた方が間違えない」という理屈が当てはまるのは,最初から出題範囲や答えが決まっている学校のテストのような場合だけです。(中略)判断に時間をかけることで欲や希望的観測という余計な要素が入り込み,精度が堕ちる危険性も高まってきます。(p53)
 リーダーというのは「わからないことを決められる人」のことです。(p55)
 迷ったらコインを放り投げてその表裏で判断をしてもかまわないのです。そんな決め方であっても,何もしないでぐずぐずしているより,ものごとは間違いなくよい方向に進むはずです。(p58)
 自分で決めてやりはじめたことは,新鮮なうちに一気にやりきってしまうというのもスピードを上げるコツでしょう。課題にも「鮮度」があって,もっとも集中できるのは取り組み始めた新鮮なときです。(p59)
 思考の時間が短くてすむのは,深く考える訓練ができているからです。眠りが深い人は短時間睡眠でも頭がすっきりするのと同じで,思考も深めれば深めるほど時間をかける必要がなくなるのです。(p59)
 実際には「変化がない時代」などあり得ません。さらに現代は,起き続けた変化の結果をまとめて引き受けなければならないという,大変な時代です、(p66)
 人間というものは,皆さんが思っているほど賢くはありません。(中略)現時点での花形産業に就職すれば,高値づかみになる可能性はきわめて高い。それなのに,毎年学生が殺到するのは,その時点でピークを迎えているような企業ばかり。(p67)
 この話は,経済学部や経営学部だと,講義で話す先生がいると思う。その話を聞いていてもなお,只今現在の花形産業を目指す。そういうものなんだね。
 フランスでは,専業主婦よりも働く女性の出生率が高いというところにも注目すべきです。一般的に言えば,外で働く女性はアクティブですから,安心して子どもを産める環境さえあれば一人より二人,二人より三人と,たくさん子どもが欲しいと思うようになるのでしょう。(p83)
 人口が減り続ける国家や地域に反映はあり得ない。そして歴史上の豊かな国や都市では,移民が人口を下支えしてきた。これは紛れもない人間の歴史的な事実です。(p87)
 麻雀は自分の好きな手ばかりをつくっていたら絶対に勝てないゲームです。(中略)日本の問題を考えるときは,世界中の国々と麻雀卓を囲んでいると思えばわかりやすいもかもしれません。(p87)
 人類の半分は女性だというのに,その半分の才能に活躍の場が与えられていなければわが国の国際競争力が堕ちるのも仕方がないことでしょう。(p88)
 人間という生きものは,そう賢いものでも変わるものでもないのですから,自分がいま問題にしていることに対する答えやそれに近いものをもっている人は,タテヨコに広く視野をもって探せば,必ずどこかに見つかるはずなのです。(p90)
 私はそれよりも先にやることがあると思います。それは「インプットの絶対量を増やす」ということです。私が見るかぎり,日本のビジネスパーソンはインプットが質・量ともに少なすぎます。(中略)つまり,技術やノウハウ以前の問題なのです。(p93)
 私のインプット方法は「最初は自分で選ばず,とにかく大量に取り込む」というものです。自分に役に立つ情報だけを抽出することができればそれい越したことはありませんが,そんな芸当が最初からできるわけがありません。(中略)「そんなことをしたら,時間がムダになるのでは」という心配も要りません。必要か必要でないかと迷っている時間の方がもったいないし,取り込む情報の量が多ければ多いほど処理速度は上がるからです。(p96)
 品元は失敗を通してしか本当には学べないという習性がありますから,失敗の機会もまた多い方がいいのです。(p97)
 インプットを増やすためには(中略)アウトプットの機会を強制的に設けることも有効だと思います。(p98)
 読書というのは食事と似ています。何を食べたかは忘れてしまっても,栄養分は確実に身体に吸収されて,その人の骨や筋肉やエネルギー源になっている。(p103)
 私は三十歳からライフネット生命設立プロジェクトをはじめるまでの約三十年間,家で夕食を食べたのはおそらく一回だけだと思います。誇張ではなく,本当に毎晩誰かしらと飲み歩いていたのです。会食の相手はいつも社外の人でした。(p108)
 知らない土地で旅人が多少危うい目に遭うのは古今東西ごく当たり前にことだし,自分の身を守るために四方八方に気を配って感覚を鋭敏にしておくというのもまた当然のことだと思っています。実際,そうした経験から得た情報や対処法は大きく自分の血肉となっています。(p112)
 本でも人でも旅でも,安住する場所を一度は捨て,新しいものに飛び込んでいくことが,深く多様なインプットを得るためのコツだと思っています。毎日違う道を通り,違う店でランチを食べ,違う本を読んで,違う人と酒を飲む。言ってしまえばそれだけのことですが。(p113)
 いわば自分のなかに「辺境」をつくる,という感覚です。(中略)一刻も早く,そこに足を踏み出すべきだと思うのです。辺境での対処の仕方は,辺境に身を置き,そこで失敗を繰り返すことからしか学べません。そして,そうやっていったん知識やスキルを獲得してしまえば,もはや辺境は恐るべき未知のフィールドから,勝手知ったる自分のホームグラウンドになってしまうのです。(p113)
 すべての情報がオープンになるこれからの時代では,「完全に他社と差別化した商品・サービス」などあり得ません。(中略)世の中に本当にユニークなものなどどこにもない,となったときに,最後の勝負を決めるのは人と組織風土です。(中略)スタッフがニコニコ出社してくる会社であれば,絶対に他社に負けることはないと信じています。(p140)
 「効率」という言葉を重視する人は,オーソドックスなやり方だとなんだかムダが多いような気がするのか,正攻法に背を向け,ともすればわざと奇をてらったような手段を選びがちです。でも,多くの場合それは,「策士策に溺れる」結果に終わることになります。(p146)
 私は「ビジネスに美学は不要」だと思っています。「何を美しいと感じるか」という主観的な要素をビジネスに持ち込んでしまえば,その時点で合理性が失われます。個人的にも美学や品性などという言葉はあまり好きではありませんし,「品格という言葉を使う人こそ,品格のない人」だとも感じています、最短ルートを考え抜いた上で,正規の手順で淡々とものごとを進めていく,これが私の考える「正攻法」なのです。(p150)
 私は,日本の将来を大局的には楽観しています。「若者と女性のリーダーを増やす仕組みをつくれば日本はうまくいく」というのが私の結論です。(p170)
 「最終的に勝利するために何をするか」といった本質的・戦略的な問題を徹底的に考え抜くという訓練をあまり(日本人は)受けていないのではないか,と感じることはあります。(p180)
 私は,日本が本当に豊かだったのは,現在を別にすれば室町時代から安土桃山時代にかけてだったと思っています。例えば,織田信長が南蛮貿易を推奨したので,海外との交易が盛んに行われ,国内には異国の文物がどんどん入ってきた。(中略)そして,外部との交流が盛んになると,野心に満ち溢れ,進取の気性に富んだ人間がこぞって国境を越えて外へ出ていきます。(p194)
 鎖国のような制作が続くのはいっときのこと,私たちは本質的にはいつも開かれた海洋民族だったのです。だからこそ私は国を開き,どんどん外へ出ていくのが歴史的に見ても正しい,これからのわが国のあり方だと思うのです。(p196)
 階層化し,固定化した社会に活力が生まれるはずはありません。私はやる気のある人,才能のある人がどんどん上に上がってこられるような下剋上の社会であるべきだし,そうあってほしいと心底思っています。(p198)
 新聞・雑誌に書かれていることに対して,日本では七二%の人が信頼を寄せています。しかし英国では,わずか一二%に過ぎません。考えるまでもなく,英国社会の方が健全だと思います。自分で考えて腑に落ちていることと違うことが新聞や雑誌に書かれていれば,「そちらの方が間違っている」と考えるのがふつうであるはずです。(p202)

2019年9月5日木曜日

2019.09.05 出口治明 『教養は児童書で学べ』

書名 教養は児童書で学べ
著者 出口治明
発行所 光文社新書
発行年月日 2017.08.20
価格(税別) 840円

● ここに紹介されている10冊,必ず読む。
 その10冊を選びだす背後にある,頭がクラクラしそうなほどの該博な蓄積。松岡正剛か出口治明か。それに驚くことが本書の醍醐味かもしれない。

● で,紹介されてる10冊は次のとおり。
 『はらぺこあおうし』偕成社
 『西遊記』岩波少年文庫
 『アラビアン・ナイト』福音館書店
 『アンデルセン童話集』岩波少年文庫
 『さかさ町』岩波書店
 『エルマーのぼうけん』福音館書店
 『せいめいのれきし 改訂版』岩波書店
 『ギルガメシュ王ものがたり』岩波書店
 『モモ』岩波少年文庫
 『ナルニア国物語』光文社古典新訳文庫

● 以下に転載。
 僕は,本にはいい本とそうでない本しかないと思っています。児童書であっても優れたものがあるし,つまらないものもある。大人向けに書かれた小説でもそうですし,学者の書いた学術書も同じです。(p3)
 人間は,なんのために生きているかといえば,次の世代を育てるためです。だからこそそのためのツールである児童書は,とても大切なものです。(p10)
 『ワンピース』は仲間をとても大切にします。だけど,美しい友情もあまり長く続くと退屈になりませんか。俺さえよければ,というほうがおもしろいのです。(p44)
 大人は,もしかすると(西遊記に)なかなか入り込めないかもしれません。ハチャメチャすぎるのです。でもしれは,社会常識に毒されて,ある意味,心が歪んでしまっているということ。子どもにとっては,これこそ本音の世界ですから,きっとスラスラと読み進めるはずです。(p44)
 中国のエラい人は,大まかにいうと二種類いて,科挙をトップで受かるようなエラい人と,そういう人を高笑いしているエラい人がいます。(p47)
 国から出ていく人は,だいたいが強くて賢い人です。それは全世界共通で,体の弱い人や頭の固い人はなかなか出ていこうとはしません。(中略)中国には,そういう頭のやわらかい人がたくさんいるのです。(p48)
 おおむね遊牧民は男女同権になります。旅をしていると実力主義にならざるを得ません。(p83)
 『グリム童話』は,クリム兄弟がドイツ中を回って,昔から伝わる物語を聞き出してまとめたものです。(中略)『アンデルセン童話』は,それとは違って,アンデルセンが自分で創作したものです。(p93)
 僕は,人間が賢くなるために必要なのは,「人,本,旅」だとつねづね言っているのですが,アンデルセンもまさしくそうだったと思います。彼は,その時代には珍しく世界中を旅した人です。(p97)
 ここまで自己を犠牲にしてもなお実らないという物語が読み継がれているのは,やはり世の中には理不尽がたくさんあるからです。それを暗くつらく書いてあれば逆に落ち込むのですが,美しく清らかに書いてあるので,読んでいると自分の気持ちが浄化できる。つまりカタルシスが得られるのです。(p103)
 『アンデルセン童話』は,『おやゆびひめ』(立原えりか文,いわさきちひろ絵,講談社)のような美しい色彩の絵本にもなっています。なぜそれができるかといえば,ディテールをていねいに書き込んであるからです。小説もそうですが,すぐこのままで映画にできると思う作品は,やはり優れています。(p107)
 言葉はなんとかなります。アンデルセンも必ずしもコミュニケーション能力の高い人ではありませんでしたが,旅を繰り返しています。(中略)文法的に正しく話そうとするから難しいだけで,ふdなは誰もそれほどまともな言葉を話していないのです。(p108)
 憂鬱な気分で働く人は,必ず給与泥棒になってしまうのです。ワクワクしてさかさ町の子どものように仕事をするのが,一番生産性が上がります。(p120)
 最近は,甲子園や箱根駅伝を見ていても,楽しそうなチームのほうが強い。楽しいことから勝利への道筋が描けるという側面がきっとあるのだと思います。(p123)
 アメリカの児童書の魅力は,ベースがすごく健全で,元気で明るく生きようよ,頑張ろうよ,という肯定感があるところです。だから,時代を超えてよく読まれるのだと思います。(p127)
 人間にとって一番大事なのは,すべての人は顔も,考えていることも,感じ方もまったく違うという事実を知ることだと思っています。(中略)それがわかれば,人間にとって価値観の押しつけほどいやなことはない,ということもすぐにわかるはずです。(中略)ところで日本はというと,同質性の高い社会です。(中略)違って当たり前だ,という前提にはなかなかなりません。それではおもしろくないのです。同じ人間だから言わなくてもわかるはずだ,という考え方は世界では通用しません。このままではものの見方がものすごく貧弱になってしまいます。(p138)
 不思議な道具を手に入れたり,不思議な力を身につけたりするような奇想天外なストーリーではありません。現実世界にきちんと根を下ろしているから,物語の世界がかえって自由に広がるのです。(p153)
 礼儀正しさは,人間としての基本的な徳目です。礼儀正しさは,人生を豊かにしてくれます。(p164)
 人間の脳はだいたい二〇歳ぐらいまでには完成するので,二〇歳から,たとえば八〇歳まで生きたとして,生涯でその人がベストのものをいつ制作するかもアトランダムなのではないでしょうか。(中略)経験を積めばさらいいいものができると考えるのは,あまりにも短絡的です。(p167)
 地球上では,生物の大絶滅がたびたび起きています。地球のことを母なる大地と呼ぶ人もいますが,地球はお母さんのようにやさしくはありません。(中略)しょっちゅう機嫌を損ねては,生物をみな殺しにしているのです。(p173)
 現在の研究では,地球の生命は五〇億年ぐらいの寿命しかないとされています。いま四〇億年が過ぎていますから,あと一〇億年しかありません。五分の四はもう終わっているのです。(p174)
 進化論に限らずどんな学問でも進化します。数字やファクトは進化を続け,永遠に変わっていくものなのです。(p191)
 ベッポやジジの姿を見ていると,世の中では序列だけが大事なのではないとわかります。いい人やおもしろい人は世の中の社会的地位とは関係ないのです。その人と一緒にいて楽しければそれで十分でしょう。(p236)
 効率にとらわれると,かえって大切な方向を見失います。錦織圭さんのように特別な才能のある人間なら,「僕はテニスをやればいい」とわかるかもしれませんが,歴史的に見てもほとんどの人間はやりたいことがわからないまま,偶然どこかに勤めて,偶然誰かと結婚して,そのまま死んでいくのです。それで十分なので,自分が何に向いているのかとか,自分は何をなすべきかとかは,別にそれほど大事なことではないと思うのです。もっと自然に,川の流れに流されて生きた方が人生は楽しい。(p240)
 急がされることを嫌がることこそが,人間の本性の一つだと思うのです。(中略)急ぐのは,ほとんどが大人の都合です。しかもちょっとぐらい急いだところで大した差はありません。(p251)
 何かを伝えたいとき,カシオペイアは甲羅に文字を浮かびあがらせます。(中略)甲羅なので短い言葉しか使えません。だけど考えてみたら,社会を動かしているのはシンプルな言葉です。それが一番伝わるのだということも,カシオペイアから読み解くことができます、(p251)
 人間は不器用なので,創造の翼を働かせようとしても,テレビのスイッチを入れるようにパッと切り替わるものではありません。想像の世界との間には不思議な通路が必要なのです。(p263)

2019年9月1日日曜日

2019.09.01 本田晃一 『はしゃぎながら夢をかなえる世界一簡単な法』

書名 はしゃぎながら夢をかなえる世界一簡単な法
著者 本田晃一
発行所 SBクリエイティブ
発行年月日 2017.09.22
価格(税別) 1,400円

● 竹田和平さんの教え(?)がしばしば出てくるんだけども,こういうものって,1つに収斂するのかもね。斎藤一人さんが言ってることと同じじゃん。だったら,どれを読んでも同じ。
 それ以前に,こういう本を読んで夢を叶えた人っているんだろうか。これを読んでる時点で負け犬じゃないか,オレよ。

● 以下にいくつか転載。
 俺の人生の目的は,笑う時間を長くすること(p16)
 豊かさやチャンスや成功は,みんな「人経由」でやってくるんです。だから人からほめられたとき,「いえいえいえ・・・・・・」と拒否していたら,人経由でやってくるチャンスや運や豊かさや幸せも全部拒否することになってしまいます。(p67)
 自分が心底ときめくものにお金を使うと,不思議とお金は減らず,むしろ増えたりします。逆に,あまり好きでないものに使うと減ってしまう。(p159)
 お金や豊かさも同じです。いちばん本気の人,喜んでいる人のところに集まるようになっています。(p160)
 そうか,ストリップのお姉さんも人を喜ばせたいんだ,と気がついて,そこで僕が学んだのは「喜ぼう」ということです。喜んだら,幸せがいっぱいきます。喜んだら,ストリップもいっぱい見られたんです。(p163)
 豊かさはムダから生まれます、(p172)
 「ラクに受けとってはいけない」「ラクして稼いではいけない」という“受けとり下手”をやめることです。それがラクに夢をかなえる人の考え方です。(p188)
 自分で自分のことが好きでいれば,贅沢はムダになりません。でも自分のことが嫌いだと,贅沢はムダ使いになります。で,贅沢がムダだと思っている限り,自分はムダな存在なので,セフルイメージは低くなって,豊かにはなれない。(p199)
 僕は27~28歳のころ,ごフル会員権の販売をしながら,寝ていてもお金が稼げる「ビジネスオーナー」にたくさん会って,その方法を聞きまくっていた時期がありました。そしてわかったのは,彼らは自分が優秀であろうとしていない,自分より優秀な人を評価して,使っていたことです。(p234)