2021年7月4日日曜日

2021.07.04 中田 考・田中真知・矢内東紀 『70歳からの世界征服』

書名 70歳からの世界征服
著者 中田 考
   田中真知
   矢内東紀
発行所 百万年書房
発行年月日 2020.08.08
価格(税別) 1,500円

● 著者のひとり,矢内東紀さんはネットでは有名な「えらいてんちょう」。本書出版時で29歳。ずいぶんと大人びているというか,見極めに至っている人だねぇ。

● 老人なんて死ぬだけの存在だということを明らめろ,生きがいなんか求めるな,自分磨きなんてつまらないことはやめろ,という内容。
 身も蓋もないけれども,ひたすら真実だと認めざるを得ない。

● 以下に転載。
 人は必ず死に,この宇宙の中には善悪も,意味も,目的も,ありません。私たちが習う自然科学の中には,善も悪もなければ意味も目的もありません。(p3)
 この世界の中で,人が生きることにも,死ぬことにも,意味はありません。(中略)世界の中で良いと言われていることも,悪いと言われていることも,すべてそう言っている人の好き嫌いの話でしかありません。(p4)
 すでに老化してガタガタなのに,そんな自分を磨いてどうするんですか。(p18)
 いまは大学に金がないので,「生涯学習」などという名目で定年退職した人を受け入れて授業したりしていますが,本当にナンセンスです。はっきりいって迷惑。教える側にしても,若いからこそ「今はバカだけど伸びるかもしれない」と思えるから教えようという気になる。でも,老人なんて衰えていく一方だし,死ぬだけです。(中略)だいたい老人は他人の話を聞かない。聞かないというか聞けない。逆に自分の話を聞いてほしくて大学に来る。(中略)迷惑きわまりありません。(p19)
 基本的に大学院なんかに行ってる学生はコミュ障なので,よけいなことは話す必要もありません。(p22)
 老人にできる社会貢献は,煎じ詰めれば若い人にお金を落とすことだけです。(p27)
 頼まれもしないのに高い山に登ったり,海にヨットで乗り出して遭難する人もいます。はた迷惑なバカどもだと思いますが,人の価値観はいろいろです。(p41)
 それなのに,みんなにうつしてやると言って暴れる年寄りがいたりする。マスクを買うために列に並んだり,騒ぎ立てているのも老人が多い。長い間生きてきてそんな歳の取り方しかできなかったクズどもはさっさと死ね,と思いますね。(p47)
 退職した老人なんか外に出る必要はほどんどないわけだから,若い人の楽しみまで奪うなってことですよね。(p49)
 老人医療は人手が必要なので,どうしても人を雇わなくてはならない。つまり雇用を生み出すんです。その雇用発生のために,老人が必要とされる。(中略)長生きする老人が増えると儲かる人間がいっぱいいるわけです。医者もそうですね。いまの国家というのは福祉がないと成り立たないんです。(p64)
 「アラブの春」あたりから,世代交代を背景とした対立が表面化してきた。それまでは革命が起きるのは貧富の差ということで説明されることが多かったんですが,「アラブの春」では年寄りの支配はもう嫌だ,ということになったんですね。だいたい30年40年やってる独裁者たちだらけでしたから。(p71)
 これまでできなかった人間が,今から何かできるわけない。(中略)若いときに活躍しなかったら老人になってから何かできるわけない。(中略)もう今さら変わりませんよ。(p81)
 人間はいつかは結局死ぬわけです。何をやったって無駄なんです。だから死ぬまで生きているだけのことで,その意味では今生はすべて暇つぶしでしかないんです。(p90)
 みんな自分が例外だと思いたいんだけど,本当はみんなダメなんだよね。(p95)
 即身成仏はまさに自分でコントロールする自殺ですね。(p98)
 施設としての老人ホームは,かえってボケを進行させる環境です。(p108)
 あとを継ぐ若い世代としては,後世の人がその姿を見て「かっこいいなあ」と思えるものを残してほしい,それこそが人生なんじゃないかと思うわけです。(中略)でも,今は医療が発達して,80歳,90歳で何の社会的役割もない人が死にましたっていう話ばかり。悲しいどころか,周りにさんざん老害さらして迷惑していたのが,やっと死んでくれてホッとしたという方が多い。(p109)
 カラカルパク語とかマリ語とか,マイナー言語が狙い目です。ちょっと勉強しただけで第一人者になれますからね。カルチャーセンター的に受け身で学ぶのではなくて,世の中に介入するための武器として学ぶ。(p111)
 自分の欲望を満たそうとか,自分の身体をより快適にしようという方向にいくと,結果的にはあまり快適にならないことが多いんです。自分の外側,つまり世界を快適にするほうが,結果的に自分が快適になりやすい。それなのに,たいていの老人は,小金使って自分磨きしながら死んでいく。(p112)
 自分史なんて残したって誰も読みません。(p137)
 電車で席を譲られて,素直に座らない老人がいますよね。あれはかっこ悪い。(中略)老人のフリをすることでしか,老人にはなれません。(中略)「自分が老人? まじ?」みたいな感覚があっても,頑張って老人をやる。(中略)若々しく見えても,老人であることを受け入れていない人は,ただひたすらにかっこ悪い。(中略)それは若いのではなくて,たんに成熟していないだけです。(p141)
 施設に入るのも嫌,孤独死も嫌。要するにわがままなんです。(p145)
 断捨離というと,一般には自分の思い出の写真とか,本とか,服とか,日記とかを処分することと思われています。でも,そんなものは本人以外にとってはゴミです。ゴミだから全部捨ててしまえばいいし,べつに残しておいても捨てるだけですから,子どもにも迷惑はかかりません。(p149)
 本人が消そうとしても,価値のあるものは残る。本人が消さなくても価値のないものは消える。たいていのものは価値がないのでどうせ消えます。SNSもまずほとんど価値がないので消えます。だから安心してください。(p155)
 会社をやめたら人間関係がなくなった。そういう人は,最初から人間関係なんてなかったんです。人間関係は,人から「可愛い」と思われることで作られます。会社をやめたら,人間関係がなくなったというのは,(中略)「可愛い」と思われていなかったというだけのことです。(p169)
 中高年ともなると,もう先が見えています。その歳になって,あいかわらず世間的な価値観にとらわれているとしたら,もう見込みはありません。(p174)
 「老人生きがい本」は自己啓発本の延長線上にあるものだと言っていいと思います。(中略)老人になってなお何かを手に入れようと執着し,ますます多くの荷物を背負い込むことがよしとされています。それは老いることをかえって苦しいものにし,結果的に経済至上主義をますます煽ることになりかねないのではないでしょうか。(p176)

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