2021年11月14日日曜日

2021.11.14 櫻井秀勲 『70歳からの人生の整え方』

書名 70歳からの人生の整え方
著者 櫻井秀勲
発行所 きずな出版
発行年月日 2021.03.20
価格(税別) 1,500円

● 高齢者,いかに生きるべきか,を説いた本はあまたある。今や高齢者はマスなのだ。大きな市場だ。そこに糸を垂れたくなるだろう。
 そのあまたある中で読むに値するものがどれだけあるかはわからない。つまり,そんなに多くはないのではないかと思っているが,櫻井さんが書くものは必ず読むことにしている。何せ,著者自身が90歳なのだから。それだけで説得力があるというものだ。

● おそらく,出せば一定の販売部数が見込める人だから,版元も安心して出せるのではないか。ちなみに,自身が起こした出版社から出している。
 ただし,読者側として,老人になってまで老人向けの本を読んでいるのは,そもそもどうなのよ,という感はつきまとう。けれども,読んでしまっている。

● 以下に転載。
 70歳のあなたに伝えたいことは,まだまだ楽しい人生はこれからだ,ということです。自分らしく生きるということでいえば,70代こそ,それを通しやすい時代です。義務も義理もなく,自分が望むことができる。(p5)
 そんな中でも,私は希望があると思っています。(中略)第二次世界大戦とその後の敗戦を体験したことで,人はそのように生まれついている,と私は思っています。(中略)それでも,人生は楽しむことができます。90歳の私でも,これからの楽しみがあるのですから,私より若いあなたであれば,「これから」がそれこそ,楽しみです。(p7)
 私は人相を観ますが,人相学で,若く見える人と老けて見える人のいちばん大きな違いは,口角,口の両側です。(中略)人を遠ざける人は,運も遠ざけます。昔から「笑う門には福来たる」といいますが,口角を上げると「笑顔」になります。「つらいときに笑っていられない」という人もいるでしょうが,私は,そんなときこそ,作り笑いでも,笑顔になることが大切だと思います。(p20)
 自分におきた辛いことを矮小化できればいい。小さなことだと思えればいい。それをするには意思の力が要る。性格というより意思の力だろう。
 その意思の力は,本来,誰もが持っているものだとも思う。それを地下から掘りだしてきて,思い切って使ってみることだと思っている。自分はこの歳になるまでそれができなかったが,どうにかして意思の力を発現させたいものだと思っている。
 私は毎年,誕生日にスーツを新調するようにしています。たったそれだけで,また1年長生きできる気になるからです。(p23)
 たしかに流行は繰り返されますが,それでも,まったく同じではありません。(中略)若い人が古いスタイルをすれば,それだけで新しくなりますが,古い人間が古いスタイルをすれば,古いだけになります。(p24)
 若々しく見える人というのは,そうでない人と比べて,変わることを楽しむことに長けているように思います、(中略)コロナ禍のような時代の変化というものにも臨機応変に対応できると,ネガティブな状況でも,ポジティブに変わることができます。(p26)
 自分ではどうしたらいいかわからないし,わからないことは,プロにお任せするのがいい(p28)
 彼女(デヴィ夫人)は,素敵なハイヒールを履いていました。(中略)80歳の女性が履けるヒールとは,到底思えません。(中略)彼女のいうには,健康法や痩身法など,いろいろやるより,ヒールの高い靴を履くだけで,スマートになれるし,スタイルも整うし,若さも保てるというのです。(p30)
 本当に大切なのは,どんな靴を履いているかではなく,颯爽と歩けているかということです。(p32)
 70歳になって,いちばん気をつけたいのは,「70歳らしくなる」ことです。(中略)若づくりをしなさい,というのではありません。(中略)でも,その逆に,70歳になったからといって,無理に70歳らしくしよう,などと思う必要もないわけです。(p33)
 どんなことでも制限がはずれていくのはよいことでしょう。けれども,それにもかかわらず,私たちは,知らないうちに自分で制限をかけていることがあります。そして,それによって,自分自身を窮屈にしてしまうようです。(p34)
 「若さと新しさ」はエネルギーです。元気のいい会社の経営者には,そのエネルギーがあります。(中略)経営者にとって大切なのは,貫禄を見せるより,エネルギッシュであることです。それは,経営者に限りません。どんな立場であろうとなかろうと,エネルギッシュな人は,若々しく,そのために人も運も集まってきます。(p35)
 まずは,背すじを伸ばして,よい姿勢を保つようにしましょう。それだけでも,背中の筋肉を鍛えることになります。(p38)
 食べすぎに注意しなければならないのは,せいぜい60代までです。70歳になったら,食べたいと思っても,それほど食べられるものではありません。(中略)「お腹がすいた」と思えることが,元気の源のように思うのです。(p48)
 80歳,90歳になっても元気な人は,総じて,よく食べます。それだけ行動しているから食べられる,ということだと思うのです。70歳を過ぎたら,お腹が減る生活を心がけましょう。(p50)
 夜型の私としては,ぜひ夜更かしすることをオススメします。(中略)たいていの人たちは眠っているわけですから,自分だけが起きているような気持ちで,すごすことができます。(中略)大事なことは,自分の時間を楽しむことです。自分の好きな時間に,好きなことをしていきましょう。(p52)
 深夜,ことに午前2~4時の空気は,しんと静まり返っています。この「しん」とは「神」を表し,仮に山の中であれば,神気の満ちる時間帯になります。私はこの時間帯の水を飲んで寝るのですが,これが私の体内を浄化するような気がします。(p67)
 私は老後とは,100歳からを指すと,勝手に思っています。私が出版社を起こそうと考えたのは,80歳のときでした。2011年--東日本大震災の年です。(p69)
 心に穴があいたのなら,それを埋めていきましょう。失恋を癒やすには,新しい恋愛を始めるのが一番です。(p74)
 思い悩むことを「悶々とする」といいますが,まさに心が内に入って,表に出られないのです。扉を開くには,どうすればよいのか。私は,まずは誰かに話すのがいいと思っています。(中略)誰にもいえないなら,独り言でも,効果があります。(p75)
 相手に対して,「そんなことではダメだ」と思うことでも,致命的なことでないなら,放っておく主義です。(p81)
 たとえ悪いことが起きても,いいところを見つけて,「あー,よかった」と思う。「よかった探し」は,いかに,その「よかったこと」を見つけるかの遊びなのです。(中略)そんなにつらいことでも,いいことはあるものです。(中略)どんなに恨んでも,状況は変わりません。むしろ気持ちは落ち込む一方です。それなら「よかった探し」をして,気持ちだけでも上に向けていきましょう。(p88)
 時間があると,つい余計なことを考えてしまいます。それもよくない可能性を考えるのが,私たちの脳の基本的なパターンです。(中略)その結果,考えが自然な身体の動きの邪魔をして,本来持っている力を発揮できなくさせてしまうのです。(中略)考えることは無駄にはならないと思ってしますが,それは,あくまでも戦略を考えるときに限ります。(p90)
 「禍も三年置けば用に立つ」という,ことわざもあります。禍も3年もたてば,幸せの糸口になる,という意味です。まさに,その通り。よく「明けない夜はない」といいますが,それは本当のことです。それが90年生きてきた私の感想であり,いま,あなたに伝えたいことです。(p96)
 70歳になったら,それまでのつき合いはなかったものと考えましょう。(p98)
 人の悩みの90パーセントは人間関係である,といっても過言ではないほど,人とのおつき合いというのは難しいものです。私は,ある程度の年齢になれば,そうした悩みからは解放されるものだと思っていましたが,じつは90歳になっても,そうではないことを感じざるを得ません。(p102)
 日本で,普通のサラリーマンをしていたら,とりあえずの年金がもらえます。(中略)そうであれば,もう無理をするのはやめましょう。せっかく70歳まで生きてきたのです。これからの年月は,我慢しないで生きたいものです。寿命が延びたといっても,折り返し地点はとっくに過ぎています。無理をしている余裕は,もうありません。(p104)
 新しい情報を得るというと,時代に乗り遅れないためにそれが必要だ,と考えるかもしれませんが,そうではありません。時代には,乗り遅れてもいいのです。なにも若い人たちに,無理に合わせる必要はないわけです。(p105)
 70歳になったら,そんな新しい情報を得ることで,元気が出てきます。やる気が湧いて,若々しさを取り戻します。情報は,ただ「知る」だけでいいのです。(p107)
 これから先,コロナが収束しても家族優先の生活は変わらないでしょう。これが「女性の時代がやってくる」ということなのです。(中略)仕事仲間と一緒にいる時間よりも家族と一緒にいる時間が多くなります。(p112)
 外でうまくいかないことがあったときには,それを家に持ち込むことは厳禁です。家に入るときには,ウイルスと不機嫌は,持ち込まないようにしましょう。(p114)
 言葉とは不思議なもので,「OL」という言葉が広まっていくとともに,実際に「OL」も増えていったのです。(p133)
 私は,この「はたらく」--「傍を楽にすること」を心がけていこうと思っています。「傍」の本来の意味は,「そばにいる人」です。(p136)
 仕事で大切なことは,断らないことです。あなたも,無理を承知でお願いしたことがあるのではありませんか?(中略)仕事であるなら,多少の無理はしたほうが得です。(p139)
 先のことがわからないのは,40代でも70代でも同じです。(p141)
 タダ働きはできるだけしないことです。それがトラブルのもとになることもあるからです。それを避けた上で,もしも経済的に困らないようなら,相手に得をとらせることも,70歳を過ぎたら,大切なことだと思います。(p144)
 70歳を過ぎたら,好きなものに囲まれて暮らしましょう。品物でも人でも,自分が「いいね!」と思えることが大切です。(p170)
 手相では健康運と財運は同じ線で観ます。つまり健康で長寿ということは,それだけ財運があると解釈するわけです。(p176)
 90歳になった私が,皆さんに伝えられるのは,「長生きするといいことがありますよ」ということです。(p196)
 私たちは誰もが,自分のあとを生きる人たちに,「あんなふうになりたい」と思ってもらえる生き方を見せなければなりません。(中略)私は,人生は明るく,楽しいのが一番だと思っています。足りないものを数えあげたらキリがありません。自分にあるものを,見つけることが,幸せな人生を送る秘訣ともいえます。(p197)

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