2021年11月14日日曜日

2021.11.14 髙橋洋一 『髙橋洋一式 デジタル仕事術』

書名 髙橋洋一式 デジタル仕事術
著者 髙橋洋一
発行所 かや書房
発行年月日 2021.05.13
価格(税別) 1,400円

● You Tube の「髙橋洋一チャンネル」はチャンネル登録している。実際にはTwitterの告知を見て,You Tube に跳ぶことが多いのだが,ともかく見ている。
 井上ひさしに「むずかしいことをやさしく,やさしいことをふかく,ふかいことをおもしろく,おもしろいことをまじめに,まじめなことをゆかいに,そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」というやや長い標語がある。前半部の「むずかしいことをやさしく,やさしいことをふかく,ふかいことをおもしろく」が広く膾炙しているが,時事問題について難しいことを易しく語っている。それができるのだから,頭がいい人なのだ。

● また,著者はガジェット好きでも知られる。特にアップル製品はほぼすべてを所有している(いた)らしい。
 そうした話も出てくるのかなと思って本書を読んだが,その話は出てこないのだった。タイトルどおり,仕事術の話になっている。

● 以下に転載。
 スマホがあれば,ほぼ全部の仕事ができてしまいます。(中略)スマホを活用すれば,鞄も書類も持ち歩く必要はないので,身の回りがすっきりとします。(p2)
 散布図はデータ分析の基本です。(中略)データ分析のスキルはデジタル仕事術の根幹です。データ分析ができなければ,仕事のツールが神やペンからスマホに置き換わるだけで,これまでの仕事のやり方とあまり代わり映えはしないでしょう。(p5)
 2020年10月から「ユーチューブ」で新しいチャンネルを始めました。(中略)やってみた率直な感想は,「新しいことを試してみるのは,いいものだな」。(中略)でも,私がやっていることは,ほぼ雑談。(p12)
 私は,仕事と趣味を完全に分けて考えていて,「仕事はロジカルでなければ通用しない」と思っていますが,映画は,楽しくて荒唐無稽なほうが好きです。映画にあまりロジックを持ち込んでほしくありません。(p13)
 自分のチャンネルを持つ前は,他の人のユーチューブ・チャンネルに出演者として出て出演料をもらっていました。自分でチャンネルを初めてみると,その十倍以上にもなるような広告料が入ってきて,ビックリしました。(中略)芸能人がテレビへの出演から,自分のユーチューブ・チャンネルに移っている理由がよくわかりました。チャンネルを持った芸能人は,広告代理店や芸能事務所にいかに搾取されていたのかがわかってしまったのではないでしょうか。(p17)
 ユーチューブは,間に入る人が必要なくなることを実感させてくれます。わかりやすく言えば,「中抜き」をして食べている人は,もういらなくなるということです。広告代理店や芸能事務所など「中抜き」をしていた人たちは,儲からなくなっていくはずです。マスコミもやっていけなくなります。(p18)
 ネタ元から情報を聞いて流す人は,存在価値がなくなっていきます。デジタル時代には,自分がネタ元になることが,ますます重要になるはずです。(p20)
 データ分析ができれば,独自のネタを生み出して,ネタ元になることができます。(p20)
 オンライン会議はスマホを使っています。スマホは,もともと携帯電話ですから,音声通話を前提に作られています。ハンズフリーの会話もできるようになっています。(中略)なぜか,パソコンでやろうとするので不思議です。ホストでなければ,スマホのほうが便利です。(p31)
 Simplenote は,パソコンで書いても,スマホで書いても,すぐに同期してくれます。(p36)
 ぼくも Simplenote をインストールしてみた。Android と Windows に。けれども,現時点ではあまり使っていない。Google Keep で同じことができるので,専らそちらを使っている。
 ツイッターとフェイスブックは毎日のように使っていますが,ほぼ「お知らせ」用です。(中略)ちょっとしたメモ代わりにツイッターを使うこともあります。(中略)ツイッターに自分の意見を書く人が多いようですが,私は,データを知りたいほうですから,意見や主義主張にはほとんど関心がありません。(p43)
 そもそもの話として,大学で教師をしているのであれば,「これについて90分講義してください」と言われたら,どんな状況であっても講義できるくらいにしておかないと,授業になりません。直前に調べ物をしているような先生は,先生自身が内容について未消化あるいは消化不良ですから,学生はそんな教師の講義を聞いていても,よくわからないだろうと思います。(p46)
 原稿は,前日の日曜日の夜12時までには送るようにしています。夜の9時くらいから書き始めますが,図表を先に作りますので,エクセルでの作業が2時間くらい。エクセルで作業しながら分析して,頭の中にストーリーができあがっていきます。(中略)図表を先に作っていくのは,実は,論文と同じ書き方です。私は,論文と同じ作法で書いているだけです。(p50)
 国際機関のレポートや海外の論文を読むときに,表とグラフを先に読みます。表とグラフだけを見れば,言いたいことの8割は理解できます。そこにエッセンスが詰まっているからです。(p54)
 私は官僚時代に新聞記者の人をたくさん見てきましたが,正直言って「情けないな」と思うことばかりでした。「ペーパーをくれ,ペーパーをくれ」と言うので,ペーパーを渡すと,「解説してほしい」と言ってきます。(中略)説明しても理解してもらえないので,私が記事を書いてあげたこともありました。(p56)
 余計な情報に邪魔されずに自分の頭で考えたいので,私は本をあまり読みません。特に,主義主張が書かれているであろう本は,まったく読みません。本を読むくらいなら,データを引っ張ってきて,自分で考えます。(p59)
 この法案で,最近面白い話が報道されています。法案に誤字が多いという記事です。「法案など読んだことがない記者がよく言うな」と呆れてしまいました。法案は国会議員も読んでいないのに,「誤字があったら審議拒否」という発言にも唖然としました。(p61)
 私は,大蔵官僚,財務官僚時代にいろいろな上司を見てきましたが,仕事のできる上司は,あっという間に書類を見てくれました。会議の前に数枚の資料を渡すと,パラパラと見て「はい,いいよ」と会議が始まる前に承認してくれました。(p73)
 小泉総理は,資料などまったく見ない人でした。黙って目を閉じて話を聞いているだけ。(中略)目を閉じて話を聞いていると,話がストーンと落ちるときがあるそうです。そうやって,小泉総理は決断をしていました。(p74)
 私は,円グラフを多用する人をあまり信用していません。人間の視覚認知においては,円グラフの面積の大きさを正確に比較することはできません。(中略)棒グラフにして並べたほうがはるかに認知しやすくなります。(p162)
 私の見る限り,多くの人はスマホにアプリを入れすぎです。(p184)
 いまや銀行というのは装置産業です。「システムが命」の業界ですから,システムのことがわかる人たちが幹部にならないと,話になりません。(p202)

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