2021年11月24日水曜日

2021.11.24 ナカムラクニオ 『世界の本屋さんめぐり』

書名 世界の本屋さんめぐり
著者 ナカムラクニオ
発行所 産業編集センター
発行年月日 2019.10.16
価格(税別) 1,500円

● タイトルのとおり,アジア,欧州,北米アメリカの書店を紹介しながら,各国の出版事情や読書事情を述べている。相当な奥地まで行っているが,旅番組のディレクターもやっていて,仕事で訪ねたものらしい。羨ましいとは言うまい。大変だったろう。
 が,その頃から,「本屋さん」に関心があって独自に調べていたんだろうかねぇ。

● 器用な人で,行った先々で絵を描いている。それを本書に多数載せている。表紙にも使っている。それが本書のテイストを作ってもいる。
 現地では写真を撮って,その写真と記憶とを合わせながら描いているのだと思うが。

● 以下に転載。ティプス的な豆知識が多くなるが。
 この頃(グーテンベルグが活版印刷技術を発明した1445年頃)は,印刷技術もまだ未熟で,本はかなり高価だったそうです。今でいうと,1冊数十万から数百万円ほどしたのだとか。(中略)レオナルド・ダ・ヴィンチは,自分の蔵書が100冊以上あり,書名や著者名を記録した目録も作っていたそうです。医学書やラテン語の辞典の他に,イソップ寓話臭,錬金術,霊魂不滅論,誘惑論,美食論,手相論,健康保持論,夢占いといった不思議な本がたくさんまさっていたといいます。(p2)
 1冊数百万円もする本を100冊持っていたのだとすると,レオナルド・ダ・ヴィンチはとんでもない富裕層だったってことね。教養人や文化人というのが当時もあったのだとすると,彼らは例外なく富裕層の出身者だったんだろうね。
 逆に,レオナルド・ダ・ヴィンチですら100冊の本しか持っていなかった。今だとその100倍の蔵書を持ってる人,けっこういるよね。何を生みだすかは蔵書数とは関係ないってことね。
 1829年にタイプライターの発明,1840年木材のパルプ化成功,1846年の輪転機の登場によって,出版・印刷産業は飛躍的に成長します。(p3)
 そんな言葉の王国(インド)は,英語による書籍の出版点数がアメリカに次ぐ世界第2位。新聞だけで4万紙もある驚愕の出版大国なのです。(p34)
 インド人は,本をよく読んでいます。(中略)1週間あたりの読書時間の世界1位はインド(10.7時間)で,日本は信じられないことに29位(4.1時間)なのです。
 この数字はどうやって取り出したんだろうか。どういう調査の仕方をしたんだろうか。
 数年前,世界の読書会を取材するため,各国の文学事情を調べた時,日本がダントツで読書イベントが多いと知りました。もともとはフランスやアメリカからやってきた読書カルチャーが本場を超えて,独自に進化していたのです。(p71)
 ベルギーに来て驚いたのは,公立の図書館でも貸出サービスが有料ということ。(中略)現実的な運営を考えるともっと普及してもおかしくない気がしました。(p77)
 オランダの図書館では,おしゃべりが許されており,話をしていても注意されることはありません。(中略)図書館は地域コミュニティの中心地という意識が強いのです。(p79)
 チェコには約2000人に対して1つ図書館があります。この数は平均的なヨーロッパの国の4倍(p87)
 北欧フィンランドは,読書大国。図書館の利用率は,世界一ともいわれ,1人当たりの年間貸出冊数は約20冊だとか。(p96)
 1人20冊の貸出で世界一になるのか。そんなものなのか。
 って,そうなんでしょうね。図書館なんて行かないという人が多数派だろうからな。
 国民全体で平均1人20冊というのは大変な数字で,借りている人だけの数字をみれば,1人100冊超になるのかもしれないねぇ。
 ヨルダンに住んでいる人々は,元々砂漠の遊牧民族です。本屋さんのおじさんがこんな事を言っていました。「私たち遊牧民には欲がない。自分がどこに住んで,何を持っているかより,自分がどの方角を向いているかの方が,大切なんだ」。(p119)
 アメリカの空港ではiPadやKindleなどのタブレットの普及が目につきます。(中略)南米からトランジットで北米に降りると,紙の新聞やペーパーバックを読んでいる人をほとんど見かけなくなるので,少々違和感を感じてしまいます。(p137)
 本棚は文化を映す鏡。「その国を知るには,空港の本棚をよく見るべし」と思います。(p143)
 (パラグアイでは)まだまだ本は「娯楽」ではなく,「教養」という感じがしました。(p155)

0 件のコメント:

コメントを投稿