読書で人生が変わるなどということは,まずもってないものでしょう。読書が人を賢くすることも,たぶん,ないと思います。 読書は安価でお手軽な娯楽であり,時間消費の手段です。それでいいというより,娯楽でない読書は可能な限り避けたいものです。 娯楽としての読書があれば,老後もなんとかしのげるのではないでしょうか。というか,しのげると思いたいわけですが。
2013年4月10日水曜日
2013.04.10 立花 隆・薈田純一 『立花隆の書棚』
書名 立花隆の書棚
著者 立花 隆
薈田純一(写真)
発行所 中央公論新社
発行年月日 2013.03.10
価格(税別) 3,000円
● 広く浅く,狭く深く。たいていどっちかだと思うんだけど,広く深くという稀有な例が立花さん。哲学,宗教,歴史,文学から政治,経済。量子論から宇宙科学,生命科学。美術,音楽,写真。この世の森羅万象のことごとくを深く極めて飽くことがない。
聖書やコーランを言語で読むために,ギリシア語,ラテン語,アラビア語,ペルシア語,ヘブライ語まで勉強したというんだから,この人の頭はどうなっているのか。
● 立花さんがやった仕事は,基本的にはリサーチといっていいんでしょうか。ジャーナリストとしての多くの仕事を含めて,既存の情報を駆使して(もちろん,緻密な取材もして)なしとげたもの。しかし,それは立花さんでなければできなかったもの。
最近は,かつての切れ味が鈍ったとか,ちょっと舞いあがりすぎたとか,っていう言われ方もされることがあるようだけど,本書に目を通せば,現在の学問や科学の状況をひととおり俯瞰できる。現代諸学便覧とでもいえばいいか。
● 薈田さんが撮影した書庫の写真も圧巻。ほとんど図書館だもんね。それも小さな町の図書館ではなくて,かなり大きな市の市立図書館ほどの蔵書数になっているだろう。これを個人でやったってのがねぇ,あり得ないでしょ,普通。
これだけ買ってこれだけ読んだ人が,人格円満,品行方正のはずがないでしょうね,たぶん。そんな枠に収まっていたら,とてもこれだけのコレクション?は残せない。
● どうもわからないんだよなぁ。この人,読んだだけじゃなくて,大学時代は映画館に入り浸っていたっていうし,音楽聴きまくり,美術館に行きまくり,そして仕事として文章書きまくり。
そんなことが何でできるのかねぇ。といっても,現にこうして実物が目の前にあるわけなんだけどさ。
● あと,気になるのは,彼が死んだらこの膨大な本はどうなるんだろう,ってこと。記念館にでもなるのかねぇ。
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