書名 フランシス子へ
著者 吉本隆明
構成・文 瀧 晴巳
発行所 講談社
発行年月日 2013.03.08
価格(税別) 1,200円
● 「フランシス子」とは吉本さんの愛猫の名前。吉本さんはフランシス子が亡くなった9ヵ月後に自らも逝った。
本書は,その最晩年の吉本さんへのインタビューというのか,問わず語りというのか,吉本さんがゆっくり(だったと思われる)語った話を文章化したもの。
● こういう本は,こちらもゆっくり読まないといけない。1時間で読めてしまうかもしれないけれども,道草を喰いながらゆっくりと。
● こういう本からの転載はいかにも野暮だけれども,いくつかを写しておく。
行き止まりでも,その先を生きていくほかない。 いつでもそう思ってきました。 終わりから始まる。 そういうところは依然として残っています。(p65)
何か大事なものかそうじゃないか,それもよくわからんのだけど,本当は中間に何かあるのに,原因と結果をすぐに結びつけるっていう今の考えかたは自分も含めて本当じゃないなって思います。 何かを抜かして原因と結果をすぐに結びつけて,それで解決だって思おうとしてるけど,それはちがうんじゃないかって。(p66)
親鸞は,そういうごく普通の人々と同じところに自分も行こうとしたんですね。 普通のお坊さんは,自分が修行をして特別な境地に達することで,人々を教化するという考えだったけど,親鸞はちがった。 そこが親鸞の特異なところだし,すごいところだったと思います。 人々を救ってあげる偉い人間がいるんじゃない。 普通の人こそが人間だって考えて,自分の宗教心を普通の人に近づけようとして,うんと努力した人なんです。(p98)
あるところでは若いときには全然なかったことを考えてるんだけど,それを言わないだけ。 思ってるんだけど,やらないだけ。 思ってるんならやりゃあいいじゃないかって思うかもしれないけど,思ってるけどやらないってことがあるんだってことが,いよいよわかってきた。 そういうことがよくわかってくるっていうのがお年寄りの特性っていうか,せめてもの慰めでね。(p107)
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