2021年2月6日土曜日

2021.02.06 堀江貴文 『これからを稼ごう』

書名 これからを稼ごう
著者 堀江貴文
監修者 大石哲之
発行所 徳間書店
発行年月日 2018.06.30
価格(税別) 1,300円

● 副題は「仮想通貨と未来のお金の話」。大きく分けて,2つのことが語られる。
 1つはテクノロジーの優越。仮想通貨を作りだしたテクノロジーが国家の通貨発行権を崩していく。技術革新は国家による規制を超えて進化していく。いったん,この世に現れでたものはもう留めようがない。
 2つめは,個人の生き方としてお金換算主義からの脱却を説く。お金の価値は下がってきたし,これからも下がる。お金に囚われるのはなく,お金では測れない魅力を追求しなくてはいけない。

● 以下に転載。
 仮想通貨は,貯金や投資にとって代わる画期的な財テク術ではない。儲かる,儲からないの考え方で捉えていると,本質を見失う。仮想通貨は,僕たちの “これから” の未来を豊かな方向へデザインする,テクノロジーのひとつだ。(p4)
 僕は負の情緒よりも,テクノロジーを信じる。最初のハードルを超えた,どこかのタイミングでは,日本円や米ドルの代わりのように使われ始める。世界がフラット化していく中で,グローバルペイメントの需要は個人間でも広がっていく。(p22)
 現物の紙幣ではなく,銀行口座の数字のやり取りになっているところが,お金がバーチャルであることの何よりの証拠だ。(p32)
 ビットコインが流行るために必要だったのは「投機」だった。「儲かるだろう」という投機目的で,多くの人が入ってくることが必要だった。(p37)
 こういった先のことを見越さず「仮想通貨は投機だ」なんて言っている人は,金融の素人なのだろうと思う。日本円と米ドルの通貨取引だって,ほとんどは投機だ。売りと買いがあるから成立する。(p41)
 寄せては返す波のように,バブルとバブル崩壊は繰り返される。その周期は技術革新やノウハウやシステムの洗練,インターネットの影響もあり,明らかに短くなっている。(p47)
 銀行による運用をはじめ,これまでの投資の原則は,規模の部分での成長を見越していることが勝ちのパターンだった。最たる例が,右肩上がりの人口への投資だが,これは頭を使っていない投資,はっきり言えば,バカでも勝てる投資だ。(中略)日本の人口が増えなくなれば,「次は中国だ,その次は東南アジア,そしてアフリカだ」といった感じで,人口ボーナスがある国を目指して投資をしていた。僕はこれからの世界で,こんな牧歌的な投資手は通用しないと考えている。(p49)
 先進国では,子供を生み育てなくても生活していけるようになっている。(中略)先進国では子育てをするよりも楽しいエンターテインメントが多く存在している。労働するばかりで,今と比べて圧倒的に娯楽も少ない時代では,子育ては労働力の確保のためでもあり,エンタメでもあったのだ。(中略)先進国では,子供以外の投資対象も数多く存在する。子供に賭けるくらいなら,別のことに投資をした方が豊かに生活できてしまう現実がそこにはある。(p50)
 人口ボーナスで儲けられなくなった巨額のマネーが目指す先は,もちろん人口ボーナスとは無縁の業界だ。(中略)つまり,それが人口だろうが,エネルギーだろうがAIだろうが,なんでもいいのだ。その価値の源泉をどうやって生み出すのかというのが,最も重要なのだ。(p52)
 日本だろうとアメリカだろうと,国なんていうものは,案外信じられないものだ。(p82)
 「選択できる」ということが重要なのだ。(p93)
 誰しもが正解を求めたいと思っている。未来永劫続く正解がほしいのだろう。ただ,残念なことに,そんなものは存在しないのだ。(p97)
 銀行が仮想通貨を発行する理由とはなんだろう。おそらく「とりあえずやっておきますか・・・・・・」みたいな話だ。上司が納得する範囲で,無理なく,事故がないよう,やっているアリバイを作るサラリーマンが,自分の地位を脅かすようなリスクを取るわけがないのだ。現代社会の抱えている問題点は,まさにそこにある。(中略)どうしても既得権を守る方向に力が働いてしまう。(p144)
 日本でキャッシュレス化が遅れた理由は,飲食店の責任もあると思う。(中略)かたくなに現金払いにこだわる理由なんて,僕には経営者の脱税目的ぐらいしか思いつかない。(p158)
 2016年時点では,通貨の世界のビットコイン取引のほとんどは人民元建てだった。ビットコイン価格が高騰し始めたのも,自国通貨を信用しない中国人たちが,キャピタルフライトの手段として目をつけたことが,一番のきっかけだった。(p160)
 法律とは不思議なものだ。国や為政者が徹底して規制を行っても,必ずどこかに抜け道,バグのようなものが生じる。(中略)一方で,法律は結構いいかげんなものだったりもする。明らかに現行法では違法なのに「昔からやっているから」とお目こぼしを受けているようなものだ。例えば,ソープランドなんていうものは実質的には管理売春である。(p162)
 日本でも利用者の多い米国籍のとある有名なウェブサービスは,日本人の創業者が自分の通っていた大学のブロードバンドを使って無修正のアダルトビデオをアップロードしていたことからビジネスが始まっていたりする。おそらく日本に帰ってきたら逮捕なのだが,彼らはみな変に腹が据わっている。断言するが,これからもそういう者は続々と現れるし,アナザーウェブは絶対に終わらない。これは善悪やモラルを超えた話だ。(p163)
 中国政府にとって,最大の脅威とは何だろうか。彼らの恐れが表れている象徴的存在が,国をすっぽりと覆うグレートファイアウォールだろう。(中略)中国共産党の歴史は,本来規制できない性格のものを,無理矢理規制してきた歴史でもある。しかし,グレートファイアウォールも,衛星インターネットの出現でなきものになる。(p165)
 かつては情報の統制が国を形作っていた。(中略)国を統治するための共同幻想を作り上げるためには,情報の遮断が一番てっとり早い。だが,メデイアのパワーは強力だ。(p167)
 どの時代にも法の目をかいくぐって世の中を変えてやろうという勢力や,そもそも法を意識しないアウトローが現れる。(p167)
 規制はその性質上,先回りができない。何か統治側にとって都合の悪い問題が起き,世論が盛り上がり始めた時に,初めて対応に動き始める。それでは遅い。すでに一定の規模でグローバルに浸透していったイノベーションを一国の都合で潰すことは,絶対にできない。(p167)
 僕らは技術革新に抗えないということを理解しているはずだ。便利な携帯電話ができれば,最初は「こんなもの!」と,抵抗があっても,いずれみんな使い始める。テクノロジーは常に優越するのだ。テクノロジーの持つ力をもってすれば,国家の通貨発行権ぐらいは,当然将来的にはなきものになるだろう。(p168)
 規制は決して技術に対抗できない。守る側の方が,遅い。だから,僕は新しい方に張るのだ。(p168)
 メルカリが爆発的に流行った背景には,「インスタ映え」の影響が大きい。(中略)インスタに写真を上げれば,もっと手軽にもっと効率良く,承認欲求が満たされる。だから,お金がある人はZOZOTOWNで洋服を買って,インスタに写真を上げたあと,メルカリに流すという行動に出る。お金がない人は,メルカリに流れた洋服を買って,やっぱりインスタに上げて,再びメルカリに流す。それは,結果的にシェア経済ということだ。(p184)
 テクノロジーの進化により,C2Cで人々が充分暮らせるようになってきた。これからは徴税というものが,根本的に難しい時代が到来すると予測している。ここで,大きなエスタブリッシュメントの組織が既得権を守らんとして,無理筋な法整備や規制に乗り出してしまうのは問題だ。結局それが成長の歯止めや,本当に助けを求めている人たちを切り捨てるなど,社会問題を生じさせている。(p195)
 世に現れてしまったものは,もうどうにもならない。利用する人たちの成熟スピードに合わせて,法規制にとらわれることなく,態様を自在に変え,進化していく。(p201)
 我々が幸せになるために必要な資源は,かなり少ない。今ある資源の1%以下じゃないかと思うくらいだ。(ラリー・ペイジ p205)
 テクノロジーは人間から何かを奪ったりはしない。金も仕事も,奪うのは人間の思考だ。お金はもうすでに大量に有り余っていて,人が働く必要は急速に消えつつある。テクノロジーは,その真実を明らかにしているのだ。(p205)
 テクノロジーのお陰で,人間が汗水垂らして働かないといけない場面は,どんどん減っている。ということはお金の出番が減っている。以前ほどには,ありがたくなく,投じた手間や苦労を,ねぎらってくれるものでは,なくなっているのだ。(中略)お金の価値は下がっている。今後も下がっていくだろう。そんな社会で,豊かになれる人は,どんな人だろうか? 答えはひとつ。お金との交換ができない独自の価値基準を持っている人だ。(中略)ノウハウやプレミアムなスキルなど,他の人が簡単には入手できないものを,装備すること。すると,お金では代替できないモテ価値が生じるのだ。(p206)
 役に立たないことをしている人に価値が生まれ,仕事が集中する。ダイナミックな価値のパラダイムシフトが起きている。この変化を,受け入れてほしい。(中略)金儲けを考えている時代ではないのだ。(p210)
 設備投資せずに人間にやらせている無駄な仕事が,昔は本当に多かった。ニュースなどのアーカイブ映像で見ると,昭和のサラリーマンの仕事の大部分は,めちゃくちゃ無駄だったと思う。みんなよく耐えたものだ。(p212)
 21世紀以降はIT技術が発達した。(中略)「機械の代わりに人が働く」時代から「人の代わりに機械が働く」時代への移行だ。(中略)人間はロボットにはできず,人間だけができることをしないといけなくなった。それは何か? 遊びである。(p213)
 「食べていくために」安い仕事で我慢している人たちが,実は経済発展において,大きなネックだ。低い待遇で働こうという集団がいる以上,労働単価は上がらないのだ。(中略)すごく迷惑な存在だ。(中略)安い賃金で,いやいや仕事をしている人は極端な話,社会の発展を邪魔していると思ってくれた方がいい。(p214)
 大切なのは「他人の時間」に生かされるのではなく,「自分の時間」を活きる意識だ。(中略)誰もが,永遠の時間を持っているわけではない。まず「いまここ」の時間を使い方を大事に考えないとダメだ。(p216)
 自分の魅力での成功体験が少ないと,通貨主義というか,お金に拘泥してしまうのも,まあわかる。(中略)お金換算で物事を考えがちな人ほど,モテない属性に固定される。(p221)
 非モテは,評価経済社会で,ふるい落とされるといのは誤解だ。動き出しが,足りない。評価経済社会だろうと通貨主義社会だろうと,動かない者が負けるという真理は変わらないのだ。(中略)ヒゲはきちんと剃るとか,その程度の動き出しでいい。(中略)ちょっとの勇気で,ちょっとの行動を起こす。その一歩は,見た目の何倍もの距離へ歩み出すことになる。そうした小さな変化は,また次の変化を呼び,評価・信用に繋がる好循環になっていくと保証しよう。(p223)
 批判的な人は,同じようなコミュニティの中で閉じ,受け入れる人たちは,よりオープンな世界へ飛び出していく。その二極化は,進んでいくだろう。(p234)

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