書名 夜行バスで出かけましょう
著者 小川かりん
発行所 イースト・プレス
発行年月日 2018.12.13
価格(税別) 1,000円
● イースト・プレスの「コミックエッセイの森」の1冊。
● 自分が夜行バスに乗ったのは記憶する限り3回。初めての夜行バスは東京から京都まで(京都から東京までだったかもしれない。このあたり,記憶が曖昧)のドリーム号。20代の頃だったろうか。鉄道好きだったので,バスで京都に行くなんて乗る数日前まで頭に浮かばなかった。
が,安いのと宿泊費を浮かせられるというので。お金がなかったから。しかし,これは若い身空にも苦行だった。
● これで懲りて,しばらくは乗らなかったのだが,次に乗ったのは,東京から青森までんだ。何をしに青森まで行ったのかは憶えていない。
が,間違いなく乗った。宇都宮から東京まで電車で行って,東京から青森行きのバスに乗ったのだ。ドリーム号とは段違いに快適になっていて驚いた。
● 三度目は京都から宇都宮まで夜行バスで帰ってきた。
宇都宮駅前のチサンホテルの前で降りて,チサンホテルの朝食を食べたんだった。旨くてびっくりした。旅行中,ロクなのを食べなかったから。
● 思いだした,もう1回乗っている。これも東京から京都までだ。朝,京都に着いて,京都駅から西日本のJR線の乗りつぶしを始めたのだった。ので,「青春18」を使える時期に行っていることは間違いない。
しかし,著者が持っている思い入れの1%も自分は持っていない。電車で動きたかったんだけど,お金がなかったのでバスにしたという,それだけのことだったからだ。
● 本書で一番ジンと来るシーンは,深夜,サービスエリアでの休憩時に,自販機でココアを買ってそれを飲みながら,広い駐車場を眺めるところ。「楽しいような,さみしいような」「なんとも言えない不思議な気持ちが沸き立ちます」という。
しみじみとわかるなぁ,と。そういうときって,人生を感じるんだよね。あるいは,宇宙を感じるっていうか。悠久がそこにあるっていう思いにとらわれる。
この風景は自分が死んだあとも,何も変わらず,毎日このように,同じように展開されるんだろうな,って思って。そのことが不思議に思えてくるんですよ。